成功を信じるものの苦難の人生を送る男性が新たな生き方を見つけるまでを描く、製作アーヴィング・タルバーグ、監督、原案、脚本キング・ヴィダー、主演エレノア・ボードマン、ジェームズ・マーレイ、バート・ローチ他共演のコメディ・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:キング・ヴィダー
製作:アーヴィング・タルバーグ
原案
キング・ヴィダー
ハリー・ベーン
脚本
キング・ヴィダー
ジョン・V・A・ウィーヴァー
ハリー・ベーン
撮影:ヘンリー・シャープ
編集:ヒュー・ウィン
出演
メアリー・シムズ:エレノア・ボードマン
ジョン・シムズ:ジェームズ・マーレイ
バート:バート・ローチ
ジェーン:エステル・クラーク
ジム:ダニエル・G・トムリンソン
ディック:デル・ヘンダーソン
メアリーの母親:ルーシー・ボーモント
ジョン・シムズJr.:フレディ・バーク・フレデリック
ジョンとメアリーの娘:アリス・ミルドレッド・プーター
アメリカ 映画
配給 MGM
1928年製作 98分
公開
北米:1928年3月3日
日本:未公開
■ アカデミー賞 ■
第1回アカデミー賞
・ノミネート
芸術作品・ドラマ監督賞
1900年7月4日、独立記念日。
人々は、花火やパレードそしてピクニックなどで、124回目の記念日を祝う。
その日、ジョン・シムズは誕生した。
1912年。
12歳になったジョンは、詩の朗読やピアノ演奏、聖歌隊の合唱などが得意な子だった。
友達から将来の夢を訊かれたジョンは、父が言うように大物になりたいと答えるが、その父は急死してしまう。
21歳になったジョン(ジェームズ・マーレイ)はニューヨークに憧れ、船でマンハッタンに向かう。
乗客の男性から、群衆に飲み込まれないためには才能が必要だと言われたジョンは、チャンスさえあれば成功できることを確信する。 アトラス保険会社に就職したジョンは、友人のバート(バート・ローチ)から、コニーアイランドでの女性とのデートに誘われる。 夜は勉強するつもりだったジョンはそれを断るものの、気が変わり派手に遊ぶことにする。 バートからジェーン(エステル・クラーク)とメアリー(エレノア・ボードマン)を紹介されたジョンは、4人で出掛けることになる。 メアリーが気に入ったジョンは、バスに乗って彼女と話し、意気投合する。 コニーアイランド。 その後、結婚したジョンとメアリーは、ハネムーンでナイアガラの滝に向かうことになり、見送ったバートは、二人はもって2年だろうとジェーンに伝える。 列車内で眠る準備をしたジョンは、メアリーが待っている寝台に向かう。 ナイアガラの滝。 クリスマス・イヴ。 メアリーの家族とは友好的に付き合えないジョンは、気が進まなかった。 嫌々ながら義兄と義母に挨拶したジョンは、酒がないことに気づき、バートのアパートに向かう。 バートと楽しんでいた女性にルックスを褒められたジョンは、その場で楽しんでしまう。 酔ったジョンは夜中までその場で過ごし、バートに送ってもらいアパートに戻る。 起きていたメアリーは、あなたのことが理解できないと言って家族は帰ったことをジョンに伝える。 メアリーは自分のことを理解していることを確認したジョンは、彼女にプレゼントを渡す。 4月。 我慢の限界に達したメアリーは、出て行くと言って脅すものの、ジョンは止めようとしなかった。 ショックを受けたメアリーは、出勤するために出かけたジョンを呼び戻し、内緒にしていることがあると伝える。 子供のことだと気づき、それをメアリーに確認したジョンは、彼女を抱きしめて和解し、これからは心を入れ替えることを伝える。 メアリーを気遣い優しく接したジョンは、出社するために出かける。 10月。 メアリーの元に案内されたジョンは、苦しんだ彼女と共に子供と対面する。 ジョンは、一生懸命働いて楽をさせるとメアリーに伝える。 5年後。 ビーチで家族で過ごしていたメアリーは、結局は子供の世話や食事の用意をしなければならず苛立つ。 ジョンから、出世をすればすべてがうまくいくと言われたメアリーだったが、いつまでたってもその気配がないことを伝える。 バートは出世していると言われたジョンは、家族持ちの自分は、上司に付き合うこともできないとメアリーに伝える。 その後、広告のキャッチコピーの懸賞で500ドルを手に入れたジョンは、家族にプレゼントを買って帰宅し、メアリーと共に喜ぶ。 ジョンとメアリーは、通りで遊んでいた息子(フレディ・バーク・フレデリック)と娘(アリス・ミルドレッド・プーター)にプレゼントのことを知らせる。 喜んで家に戻ろうとする子供たちは道路に飛び出し、娘がトラックに轢かれてしまう。 娘を部屋に運んだジョンは医者を呼び、メアリーと兄や義母と共に見守るしかなかった。 医師から娘が亡くなったことを知らされたメアリーは取り乱し、悲しむジョンは絶望する。 葬儀を済ませたジョンは、職場で仕事が手につかず、上司に注意されたために憤慨し、職してしまう。 帰宅したジョンは、会社のピクニックの準備をしていたメリーに、何も話すことができなかった。 会社主催の船を借り切った大規模なピクニックが開かれ、ジョンと共にそれに参加したメアリーは、管理職となったバートと話をする。 バートに促されたジョンは、メアリーに会社を辞めたことを話す。 他にも仕事はあると言うメアリーに励まされたジョンは、その後、職を探す。 1週間で4つの仕事に就いたジョンは、どれも長続きしなかった。 婦人服の仕立てをして生計を維持していたメアリーは、兄のジムとディックから、ジョンに仕事を与えてもらえることになり喜ぶ。 仕事を選ぶジョンは気が進まず、もう少しすれば大物になれる気がすると兄たちに伝える。 出会った時から同じこと言って繰り返すだけのジョンに呆れたメアリーは、彼の頬を平手打ちして罵倒し、彼を追い出してしまう。 家を出たジョンは、ついてきた息子と線路に向かい、自殺を考えるものの、その勇気はなかった。 息子から大人になったら自分のようになりたいと言われ、愛を感じたジョンは、考えを改めて生きることを誓う。 プライドを捨ててサンドイッチ・マンの職を得たジョンは、息子と共に帰宅する。 兄達と共に家を出るつもりのメアリーは、ジョンから、仕事を見つけて明日も続けると言われ、稼いだ金を見せられる。 大した仕事ではないが、必死に頑張るので信じてほしいと伝えたジョンは、外で待つと言って兄たちが出て行った後で、君への愛は変わらないとメアリーに伝える。 用意してある夕食や洗濯物のことをジョンに伝えたメアリーは、別れを告げてその場を去る。 いつも自分を頼っていたジョンが心配になったメアリーは、大丈夫か確かめてくると兄たちに伝える。 部屋に戻ったメアリーは、息子に会いたければいつでも来てほしいとジョンに伝える。 メアリーに感謝するジョンは、ショーのチケットを見せて、3人で観に行きたいと伝え彼女を誘う。 ジョンから花をプレゼントされたメアリーは、それを胸につけてコートを脱ぐ。 レコードをかけたジョンはメアリーと踊り始め、音楽が聴こえたジムとディックは、彼女が出て行かないと考えその場を去る。 息子を連れて劇場に向かいショーを楽しむジョンとメアリーは、パンフレットに、自分のキャッチコピーが使われた広告が掲載されていることに気づく。 隣りの席の男性にそのことを話したジョンは、喜んでもらう。 ジョンとメアリーは、愛を確かめながら幸福を感じ、劇場は笑いに包まれる。
...全てを見る(結末あり)
4人はカーニバルで楽しい時間を過ごし、ジョンは、帰りのバスの中でメアリーにプロポーズする。
ピクニックをしたジョンとメアリーは、愛を確かめる。
ジョンと高架鉄道脇のアパートで暮らし始めたメアリーは、母(ルーシー・ボーモント)と兄ジム(ダニエル・G・トムリンソン)とディック(デル・ヘンダーソン)を食事に招待する。
ジョンとメアリーは、様々なことで口論となり諍いが絶えなかった。
勤務中に子供が生まれたという連絡を受けたジョンは、バートに仕事を任せて病院に向かう。
シムズ家に娘が生まれ、ジョンは8ドル昇給した。
*(簡略ストー リー)
1900年7月4日の独立記念日に生まれたジョン・シムズは、父親の言葉を信じ、大物になることを確信して成長する。
憧れのニューヨークに向かい保険会社に就職したジョンは、親友バートに紹介されたメアリーと結婚する。
幸せが続くと思われた二人の生活は、安アパートに住み諍いが絶えない日々が続き、いつかは大物になれると言うジョンの夢は、いつになっても叶わない・・・。
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後に重厚な作品を手掛けるキング・ヴィダーが、多くの秀作を残したサイレント期の作品。
夢を実現させようとする青年が、大都会の民衆の中で埋もれてしまい、平凡から脱出できない現実と、その過程で知る人間の純粋な愛情をユーモアをまじえて描く、撮影当時30代前半のキング・ヴィダーの演出手腕が光るコメディ・ドラマ。
製作はアーヴィング・タルバーグ、原案、脚本を兼ねるキング・ヴィダーの意欲作である。
ヒロインを演ずる主演で、当時の妻エレノア・ボードマンのためにキング・ヴィダーが製作したようにも思える作品。
記念すべき第1回アカデミー賞では、芸術作品、ドラマ監督賞にノミネートされた。
1989年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
大物になることを信じて生きる主人公を熱演するジェームズ・マーレイ、その友人バート・ローチ、彼と付き合うエステル・クラーク、ヒロインの兄ダニエル・G・トムリンソンとデル・ヘンダーソン、その母親ルーシー・ボーモント、主人公の息子フレディ・バーク・フレデリック、事故で亡くなる娘のアリス・ミルドレッド・プーターなどが共演している。