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喝采 The Country Girl (1954)

1950年にブロードウェイで上演されたクリフォード・オデッツによる舞台劇の映画化。
息子の事故死に責任を感じ酒におぼれ落ちぶれた元スターと彼を支える妻そして若手演出家の関係を描く、製作、監督、脚本ジョージ・シートン、主演ビング・クロスビーグレイス・ケリーウィリアム・ホールデン共演によるヒューマン・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・シートン

製作
ジョージ・シートン

ウィリアム・パールバーグ
原案:クリフォード・オデッツ(戯曲)
脚本:ジョージ・シートン

撮影:ジョン・F・ウォーレン
編集:エルスワース・ホーグランド
美術・装置
ハル・ペレイラ

ロナルド・アンダーソン
サム・コマー

グレース・グレゴリー
音楽:ヴィクター・ヤング

出演
ビング・クロスビー:フランク・エルジン
グレイス・ケリー:ジョージー・エルジン
ウィリアム・ホールデン:バーニー・ドッド
アンソニー・ロス:フィル・クック
ジーン・レイノルズ:ラリー
ジョージ・チャキリス:ダンサー
ヴィクター・ヤング:指揮者

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1954年製作 104分
公開
北米:1954年12月15日
日本:1955年4月17日


アカデミー賞 ■
第27回アカデミー賞

・受賞
主演女優(グレイス・ケリー
脚本賞
・ノミネート
作品・監督
主演男優(ビング・クロスビー
撮影(白黒)・美術(白黒)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ニューヨークブロードウェイ
若手演出家バーニー・ドッド(ウィリアム・ホールデン)は、往年のミュージカル・スター、フランク・エルジン(ビング・クロスビー)を、新作の主演に起用するつもりで準備を進めていた。

しかし、今では酒に溺れ、かつての芸が期待できないエルジンの起用に、プロデューサーのフィル・クック(アンソニー・ロス)は苦言を呈する。

バーニーはクックを説得して、エルジンをテストするものの、彼は主役だと聞いて戸惑ってしまう。

芸の出来は良くもなかったが、バーニーはそれでもクックを説得して押し切り、エルジンの出演で納得させる。

しかし、主演の重責に耐えられる自信のないエルジンは、結果も聞かずその場を立ち去ってしまう。

その後、バーニーはエルジンの自宅を訪ね、彼の妻にしては若いジョージー(グレイス・ケリー)に迎えられる。
...全てを見る(結末あり)

ジョージーは田舎育ちだったため、その若さの割には地味な女性だった。

そこにエルジンが帰宅し、かつて自分を感激させた彼を、バーニーは何とか舞台に出演させようと説得する。

エルジンはクックの反対を心配するが、ジョージーの勧めでそれを承諾する。

やがて稽古が始まるが、エルジンはバーニーの期待通りの演技が出来ずにいた。

バーニーは、とげとげしく支配的なジョージーの態度が気になり、家庭の事情をエルジンに質問する。

育ちも良く気品もあったジョージーは、一人息子が自動車事故で死亡したことを苦にする生活を続け、ある日、泥酔して自殺未遂までしてしまった。

その後、ジョージーは酒浸りになり、放火したこともあり、彼女の側についていたエルジンも酒に溺れるようになった。

その途端にジョージは酒を断ち、エルジンは、彼女が元に戻らぬよう、全てを仕切れるようにお膳立てする日々を送っていたということだった。

劇場に姿を現したジョージーを誘い、三人で食事をすることになったバーニーは、妻のことばかりを気にしている様子のエルジンに芝居意外の苦労をさせないよう、彼女に忠告する。

ある日エルジンは、ラジオから流れる自分のヒット曲を聴き、彼の責任で息子が事故死した時のことを思い出してしまう。

塞ぎこんだエルジンは、ボストンでの公演に向かうことを拒絶し、ジョージーを困らせる。

ボストン
ジョージーに説得され、何とか舞台稽古に挑んだエルジンだったが、クックはその出来に満足しない。

バーニーは、それをジョージーのせいにして彼女を非難する。

結果的に舞台は酷評され、エルジンはショックを受けるが、バーニーはニューヨークの初演は必ず成功させると言って彼を励ます。

クックは、主人公の役柄の強さを、エルジンでは出せないと批判する。

バーニーは、強い妻がいる限り彼が役に集中できないと考え、ジョージーをニューヨークに帰そうとする。

翌日も稽古は続くが、体調も優れず重責に耐えるのがやっとという状態のエルジンは、アルコールが入った咳止め薬を手放せなくなる。

ジョージーに会ったバーニーは、エルジンを管理して支配し、愛情を示そうとしない彼女を非難してニューヨークに帰そうとする。

楽屋に戻ったエルジンは、ジョージーが一人で帰る話を聞き気落ちしてしまう。

エルジンとバーニーの狭間で苦悩するジョージーは、尚も彼に優しくすることが出来ない。

ジョージーは、エルジンに浮気まで疑われ言い争いになり、彼を置いてホテルに戻ってしまう。

失意のエルジンは、バーで再び酒を飲んでしまい、泥酔して警察に捕まってしまう。

エルジンの身柄を引き取りに行ったバーニーは、ジョージーに一人でニューヨークに帰るよう伝え、以前のようなことは二度としないよう釘を刺す。

そして、息子が死んで酒浸りになり、自殺未遂事件を起こしたのはエルジンだったことを、バーニーはジョージーから知らされる。

真相を知りジョージーに謝罪するバーニーは、一転してエルジンには彼女が必要だと考えるようになる。

混乱するジョージーは興奮するが、バーニーはそんな彼女を抱き寄せてキスしてしまう。

ジョージーに惹かれていたバーニーは、彼女に近づくまいとあえて厳しく接していたのだった。

バーニーは、エルジンを立ち直らせるためにジョージーが必要だと説得し、彼女を納得させる。

エルジンの楽屋に向かったバーニーは、彼に厳しく接するものの、休養を取らせるために眠らせる。

バーニーは代役を使わずに、あくまでエルジンで舞台を続ける考えをスタッフに伝え、それを知った彼はそれに応える決心をする。

そして、ニューヨーク公演は幕を開け、エルジンの演技を誰もが認める。

バーニーは、エルジンが再起したことで吹っ切れ、ジョージーに求婚する。

ジョージーは即答を避け、楽屋で第一幕を終えたエルジンを迎える。

楽屋に現れたクックは、今までの態度をエルジンとジョージーに謝罪する。

そして、無事に舞台を終えたエルジンとジョージーは、その後のパーティーに招かれる。

バーニーとジョージーの関係を察したエルジンは、苦労をかけた彼女を解放しようとして身を引こうとする

しかし、ジョージーは、会場で流れたあの時の曲を聴いても、エルジンが動揺しない姿を見て、彼が立ち直ったことを知る。

それを見ていたバーニーは、潔くジョージーに別れを告げ、彼女は、その場を去っていたエルジンを追う。

バーニーは、舞台の批評が掲載されている新聞を受け取り、ジョージーがエルジンに駆け寄る姿を見守りながら、記事に目を通す。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ブロードウェイの若手演出家バーニー・ドッドは、新しい舞台に、自分が憧れた往年のミュージカル・スター、フランク・エルジンを起用しようとする。
プロデューサーのクックは、酒に溺れ、落ちぶれたエルジンの起用を渋るが、バーニーはそれを押し切る。
テストを受けたエルジンは、自分が主演だと聞き怖気づいてしまいう。
エルジンの家に向かい、彼の妻ジョージーに会ったバーニーは、どこか支配的な彼女の態度を気にする。
エルジンは、ジョージーの説得で出演を決めるものの、満足できる稽古が出来ずにいた。
バーニーは何とか舞台を成功させるのだが、妻ジョージーが、エルジンの演技の障害になっているものと決め付けてしまう・・・。
__________

本作は、不幸な事故で子供を亡くしたアル中の役者が、献身的な妻と野心のある演出家の支えで立ち直るという、よくありがちな単純な物語ではない。

年の釣り合わない夫婦の心の葛藤や、やがて惹かれ合うようになってしまう、その妻と演出家の複雑な人間関係など、ジョージ・シートンの深みのある脚本と演出が見所でもある。

第27回アカデミー賞では、主演女優(グレイス・ケリー)、脚本賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
主演男優(ビング・クロスビー
撮影(白黒)・美術(白黒)

舞台劇の映画化らしい、主演の三人の演技のぶつかり合いが、非常に見応えある。

落ちぶれた役者を演じたビング・クロスビーは、彼には珍しく笑いを誘うような場面は殆どない、シリアスな演技に徹している。
ビング・クロスビーらしくないとも言えなくもないが、唄も披露してくれるし、苦しみぬく役者役は、彼の演技者としてのベストに近いパフォーマンスとも言える。

グレイス・ケリーも、クライマックス以外は、苦悩しながら夫の支えとなる、やつれた妻役という彼女としては異質とも言える役柄を演じて、アカデミー主演賞を受賞した。

ウィリアム・ホールデンは、信念を貫く野心家として、堂々と役者の妻グレイス・ケリーを奪おうとする。
最後にはそれを潔く諦めるという、厳しい世界に生きる演出家らしい人物を見事に演じきっている。

主人公の才能を、最後の成功まで認めないステージ・プロデューサーのアンソニー・ロスジョージ・チャキリスがダンサーとして端役で、本作の音楽担当ヴィクター・ヤングが、主人公がスタジオ録音する際の指揮者役で登場する。


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