盗聴のプロの苦悩を描く、製作、監督、脚本フランシス・フォード・コッポラ、主演ジーン・ハックマン、ジョン・カザール、テリー・ガー、ハリソン・フォード、ロバート・デュヴァル共演による異色のサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:フランシス・フォード・コッポラ
製作:
フランシス・フォード・コッポラ
フレッド・ルース
脚本:フランシス・フォード・コッポラ
撮影:ビル・バトラー
編集
ウォルター・マーチ
リチャード・チュウ
音楽:デイヴィッド・シャイア
出演
ジーン・ハックマン:ハリー・コール
ジョン・カザール:スタン
アレン・ガーフィールド:ウィリアム・P・モラン
フレデリック・フォレスト:マーク
シンディ・ウィリアムズ:アン
マイケル・ヒギンズ:ポール
エリザベス・マックレイ:メレディス
テリー・ガー:エイミー・フレデリックス
ハリソン・フォード:マーティン・ステット
ロバート・デュヴァル:専務
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1974年製作 113分
公開
北米:1974年4月7日
日本:1974年11月
製作費 $1,600,000
北米興行収入 $4,420,000
■ アカデミー賞 ■
第47回アカデミー賞
・ノミネート
作品・脚本・録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
サンフランシスコ、ユニオンスクエア。
西海岸一の録音屋と言われる盗聴のプロ、ハリー・コール(ジーン・ハックマン)は、仲間のスタン(ジョン・カザール)やポール(マイケル・ヒギンズ)らと、依頼を受けたターゲットの若い男女マーク(フレデリック・フォレスト)とアン(シンディ・ウィリアムズ)の会話を盗聴する。
自分のアパートに誰も入らせない、異状に神経質なコールの唯一の楽しみは、一人でサックスを吹くことだった。
マークとアンの仕事を終わらせ、資料を依頼人に渡す予定をでいたコールは、恋人のエイミー・フレデリックス(テリー・ガー)に会いに行くが、自分の行動をあれこれ詮索されたために別れることになる。
翌日コールは、仕事の依頼人である大企業の専務の秘書マーティン・ステット(ハリソン・フォード)の出迎えを受けて、不在の専務に代わり、報酬1万5000ドルを渡される。 録音テープと資料を、直接専務に手渡す約束だと言い張るコールは、深入りするのは危険だというステットの忠告も聞かず、テープなどを渡さずにその場を立ち去る。 そしてコールは、社内でターゲットのマークとアンを目撃し、それを不審に思い、テープをもう一度調べることにする。 コールは、雑音に遮られたマークの言葉を解析して、この件に殺人が絡んでいることを知る。 録音保安技術の専門家が集まる見本市で、ステットを見かけたコールは、彼から、専務が直接会うということを約束される。 エイミーに連絡を入れたコールだったが、彼女の電話番号は抹消されていて、見本市で会ったポールと技術者のウィリアム・P・モラン(アレン・ガーフィールド)やスタンと共に、羽目を外すことになる。 当初は神経過敏だったコールは、エイミーと別れて気落ち気味でいたところに、モランのコンパニオン、メレディス(エリザベス・マックレイ)が近づき、久しぶりに陽気なところを見せる。 しかし、モランに仕掛けられたペン型の盗聴器で、コールはメレディスとの会話を録音されたことで憤慨し、彼女を残し他の者を追い出してしまう。 メレディスに癒されたコールだったが、悪夢にうなされて目覚めた時には、彼女と、マークとアンの録音テープが消えていた。 ステットに連絡を入れたコールは、盗撮写真と引き換えに専務が金を渡すという連絡を受ける。 妻アンの不貞を知った専務(ロバート・デュヴァル)に面会したコールは、専務から金を受け取り写真を渡す。 アンとマークのことを気にしながら、コールは二人の会話にあった待ち合わせ場所のホテルに向かい、彼女らが予約した隣の部屋にチェックインする。 コールはバスルームから隣の部屋を盗聴し、二人の危機を知りバルコニーに出ると、ガラス越しに殺害現場を目撃してしまう。 その後、コールは暫くしてから隣の部屋に侵入するが、殺害の痕跡が消されていることに気づく。 しかし、トイレから大量の血が噴出してくるのを見たコールは、動揺して専務の元に向かう。 コールは警備員に取り押さえられ、帰り際にリムジンに乗ったアンを目撃する。 そして、コールは専務が事故死したという新聞記事を目にし、会社に戻りマスコミに囲まれるアンと傍らにいるマークの様子を見て、専務がホテルで二人に殺されたことを知る。 自宅に戻りサックスを吹いていたコールは、ステットからの”これ以上深入りするな”という電話を受け、彼のサックスの演奏を盗聴したテープを聞かされる。 脅迫を受けたコールは、家中を調べ盗聴器を探そうとして、マリア像まで壊すが何も見つからず、荒れ果てた部屋で絶望しながらサックスを吹く。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
サンフランシスコ。
西海岸一の録音屋と言われる盗聴のプロ、ハリー・コールは、依頼を受けたターゲットの若い男女マークとアンの会話をで盗聴する。
極端に神経質なコールは、唯一の楽しみが、一人でサックスを吹くことで、恋人のエイミーが、自分の行動を詮索することを嫌い別れることになる。
男女の盗聴の依頼人である、大企業の専務の元に向かったコールは、秘書ステットの出迎えを受け、彼から報酬1万5000ドルを受け取る。
しかし、録音テープと資料は依頼人に直接渡すと言い張るコールは、深入りするのは危険だというステットの忠告も聞かずに立ち去る。
そしてコールは、社内でマークとアンを目撃し、不審に思いテープを調べ、この件に殺人が絡んでいることを知るのだが・・・。
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約10年前に思いついた発想を基に、コッポラが長年暖めていた企画であり、「ゴッドファーザー」(1972)の成功を機に映画化が決まった作品でもある。
「ゴッドファーザー」の記録的な大ヒットとは対照的に、興行的には全く失敗に終わった作品ではあるが、殺人事件に巻き込まれていく盗聴のプロの、心理描写にポイントを置いた、サスペンスの傑作として評価の高い作品。
第47回アカデミー賞では、作品、脚本、録音賞にノミネートされ、カンヌ国際映画祭でパルムドール受賞した。
同年、コッポラ自身の「ゴッドファーザーPARTⅡ」(1974)がアカデミー賞で作品、監督賞などを獲得し、本作の受賞を阻んでしまうという皮肉な結果に終わった。
1995年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
主人公の不安定な精神状態を表現するかのような、デイヴィッド・シャイアの音楽も印象に残る。
彼は、コッポラの妹ラリア・シャイアの当時の夫でもある。
主人公に予定していた「ゴッドファーザー」(1972)のマーロン・ブランドに、出演を拒否されたコッポラは、「フレンチ・コネクション」(1971)で、一躍スターダムにのし上がったジーン・ハックマンを起用した。
精神錯乱状態寸前に陥る主人公を演ずる、彼の迫真の演技が見ものだ。
主人公の相棒で、神経質な彼を一度は見限るジョン・カザール、主人公と手を組もうとする技術屋アレン・ガーフィールド、盗聴のターゲット、フレデリック・フォレストとシンディ・ウィリアムズ、主人公の相棒マイケル・ヒギンズ、依頼人の差し向けるスパイ、エリザベス・マックレイ、主人公の恋人テリー・ガー、そして、若き日のハリソン・フォードと、カメオ出演のロバート・デュヴァル等が共演している。