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ザ・コンテンダー The Contender (2000)

急死した米国副大統領の後任として女性で初めて指名された上院議員の闘いを描く、製作、主演ゲイリー・オールドマンジョアン・アレンジェフ・ブリッジスクリスチャン・スレーターサム・エリオット共演の政治ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

ゲイリー・オールドマン / Gary Oldman / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ロッド・ルーリー

製作総指揮
ゲイリー・オールドマン

ライナー・ビンガー
製作
ジェームズ・スパイス

ダグラス・アーバンスキー
ウィリー・バー
マーク・フライドマン
脚本:ロッド・ルーリー
撮影:デニス・マロニー
編集:マイケル・ジャブロー
音楽:ラリー・グループ

出演
シェルドン・ラニヨン:ゲイリー・オールドマン

レイン・ビリングス・ハンソン:ジョアン・アレン
ジャクソン・エヴァンズ:ジェフ・ブリッジス
レジナルド・ウェブスター:クリスチャン・スレーター
カーミット・ニューマン:サム・エリオット
ジャック・ハサウェイ:ウィリアム・ピーターセン
ジェリー・トリヴァー:ソウル・ルビネック
オスカー・ビリングス:フィリップ・ベイカー・ホール
ウィリアム・ハンソン:ロビン・トーマス
シンシア・チャールトン・リー:マリエル・ヘミングウェイ
ペイジ・ウィルミナFBI特別捜査官:キャスリン・モリス
ルイス・ホリス:マイク・ビンダー
フィオナ・ハサウェイ:クリステン・ショー
マギー・ラニヨン:イリナ・ジーグラー

アメリカ 映画
配給 ドリームワークス・ピクチャーズ

2000年製作 121分
公開
北米:2000年10月13日
日本:2001年6月23日
製作費 $20,000,000
北米興行収入 $17,804,270
世界 $22,361,810


アカデミー賞 ■
第73回アカデミー賞

・ノミネート
主演女優賞(ジョアン・アレン
助演男優賞(ジェフ・ブリッジス


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ヴァージニア州知事ジャック・ハサウェイ(ウィリアム・ピーターセン)は、釣りをしている最中に、車が頭上の橋から落下してきたため、迷わず水中に飛び込む。

知事は、車の中にいた女性を助けようとするが、ドアを開けることに梃子摺り、彼女は溺死する。

その事件をきっかけに、ハサウェイの支持率は急上昇し、亡くなった副大統領の後任者として最有力となる。

ホワイトハウス
大統領ジャクソン・エヴァンズ(ジェフ・ブリッジス)は、首席補佐官カーミット・ニューマン(サム・エリオット)と共に、執務室でハサウェイを歓迎して、事件のことなどについてを聞く。

...全てを見る(結末あり)

ハサウェイの英雄的行為は認めたものの、エヴァンスとニューマンは、死亡者がでた事件だということに注目し、それが、”チャパキディック事件”と同じだと判断した上で、彼を副大統領に指名できないことを告げる。

ショックを隠せないハサウェイだったが、それに従うしかなく、大統領が指名した候補を支持することを伝える。

その後、報道官ジェリー・トリヴァー(ソウル・ルビネック)を呼び寄せたエヴァンスは、共和党から民主党に寝返った、上院議員で、女性のレイン・ハンソン(ジョアン・アレン)を指名する考えを伝える。

ハサウェイはマスコミの前で、知事の公約を果たすために、副大統領指名を辞退したことを発表する。

自宅に戻ったハサウェイは、納得できない妻のフィオナ(クリステン・ショー)から、共和党の保守派の大物であり、下院司法委員会の委員長のシェルドン・ラニヨン下院議員(ゲイリー・オールドマン)に連絡するよう言われる。

ハンソンは、夫ウィリアム(ロビン・トーマス)と法律顧問のルイス・ホリス(マイク・ビンダー)と共に、ホワイトハウスに呼び出される。

エヴァンスは、副大統領指名候補者としてハンソンの名前をあげることを彼女に伝える。

ハンソンは、ハサウェイとラニヨンが盟友であることから、自分が攻撃されることを予想し、それをエヴァンスに伝えるが、大統領は、”自軍の攻撃力”の方が上回っていると語る。

予定通り副大統領の使命を受けたハンソンは、ニューマンから、今後の対応を細かく伝えられ、FBIによって全てを調べられ、同時に司法委員会の審問があり、指名承認の詮議も始まることになる。

ニューマンとトリヴァーは、ラニヨンの元に向かい、承認について彼を牽制する。

しかしラニヨンは、女性が要職に就くことに触れて、それには”パーフェクト”である必要があることを伝え、ハンソンには、その資格がないと断言し、ハサウェイなら騒ぎ立てないことを約束する。

父親で、元オハイオ州知事である、共和党の大物オスカー・ビリングス(フィリップ・ベイカー・ホール)に会ったハンソンは、自分を指示しないという噂のあることを伝えて協力を求める。

ラニヨンは、司法委員会の委員のポストを求める、民主党の若手下院議員レジナルド・ウェブスター(クリスチャン・スレーター)が、ハサウェイの支持者だと知り気に入る。

ハサウェイを呼び出し、ウェブスターらとの話し合いを始めたラニヨンは、エヴァンスが、残りの人気を飾るために、史上初となる女性を指名したいだけだと語り、ハンソンを陥れる秘策を練る。

あるカフェに呼び出されたホリスは、ラニヨン側の知人から、ハンソンのセックスス・キャンダルに関する重大な情報資料を受取る。

ハンソンは学生時代に、酔っていたとはいえ、何人もの男性と汚れた行為をして、その証言と証拠写真もラニヨンは手に入れていた。

自宅に戻ったハンソンは、ウィリアムから、その資料を見せられて愕然とする。

ニューマンに呼ばれたハンソンは、それ自体を否定しないまま、内に秘める思いを語らずに、このまま引き下がるわけには行かないことだけを伝える。

ラニヨンを貶めるために手段を選ぼうとしないニューマンだったが、ラニヨン自身は、稀に見るクリーンな人物だった。

議長への儀礼として、ラニヨンとランチを共にすることになったハンソンは、彼に要職に就く資質がないことを断言されて、気分を害して席を立つ。

ホワイトハウス
エヴァンスに呼ばれたウェブウスターは、ハンソン攻撃を止めるよう半ば脅される。

FBI特別捜査官ペイジ・ウィルミナ(キャスリン・モリス)は、ハサウェイと面会して、調査のための事務的な質問を始める。

やや動揺しながら対応するハサウェイは、事故現場が、目的のバスではなく、カニの釣り場だったことを指摘されて戸惑う。

エヴァンスに呼ばれたハンソンは、スキャンダルのことを話すことを拒み、臆することなく司法委員会のメンバーに立ち向かえと、大統領に励まされる。

そして、準備を整えたラニヨン議長の下で司法委員会による聴聞会は始まる。

その間、ウィロミナは、ハンソンの交友関係や友人などと面会して調べ、情報を集めていた。

ラニヨンは、ハンソンの資料を見た妻マギー(イリナ・ジーグラー)から、その行いを非難されるが、彼女が国にとって害であると語る。

その頃、ハンソンのスキャンダル写真がネット上に流出するが、その件をラニヨンから質問されたハンソンは、発言を一切拒否する。

ラニヨンは、ハンソンが、セックス・パーティーの際に金を受取ったという疑惑も追及する考えがあり、それを知ったウェブスターは戸惑い始める。

ハンソンは、事件に関しては触れない約束で出演したテレビのインタビュー番組で、お構いなしにその件を聞かれてしまい、番組を中座してしまう。

聴聞会の場で、大統領になる可能性のある立場で、妊娠した場合の対応までハンソンに質問するラニヨンを見て、ついにウェブスターが横槍を入れてしまう。

その後もハンソンは、返答可能な質問には答えるが、攻撃はおろか反論もせず、それを問い質しに来たウェブスターに、私的な問題だと伝える。

ラニヨンの妻マギーはハンソンに会い、自分の考えを率直に伝え、夫の行為を非難するものの、偽善者でないことを伝える。

次の聴聞会で、ハンソンは、中絶擁護だということについての質問を受け、ラニヨンに激しく意見される。

ラニヨンの妻から、中絶をしたことを聞いていたハンソンは、夫が攻撃を仕掛けてきたら、それを材料に使うよう言われていた。

しかし、ラニヨン自身がそれを知らないことも知らされていたハンソンは、やはり反撃はしなかった。

聴聞会に、ハンソンの友人である、夫ウィリアムの元妻シンシア・チャールトン・リー(マリエル・ヘミングウェイ)が呼ばれる。

シンシアは、ハンソンが、妻帯者であるウィリアムと不倫した結果、今は夫婦になったことを証言する。

ハンソンは弁解をせずに、悪意はないにしても自分に非があったことを認める声明をだす。

しかし、ハンソンは数日前の聴聞会で、ラニヨンの質問に対して不倫はしていないと答えていたため、ニューマンは、それが偽証になると指摘する。

エヴァンスとニューマンは、戦い抜くことをハンソンに強要して、乱交があったことを認めるよう説得する。

ハンソンは、それは他人に指示されることではないと反論するが、ニューマンは、声を荒げて事態の重大さを知らせ、政権の安泰を優先して考えるように伝える。

しかし、指名を辞退する覚悟はあっても、プライバシーと過去は自分だけのものだと、ハンソンは涙しながら大統領に訴える。

大統領は、なぜ自分が指名されたのかを、最終答弁で国民に示すようハンソンに指示する。

翌日、ハンソンは聴聞会で、自分の人生と政治生命を懸けている、その考えを述べて答弁を終える。

ウェブスターは、事件の現場にいた人物から届いた手紙をハンソンに渡す。

ニューマンは、全ての調査を終えたウィロミナから資料を受取り、誰にも話していないことを確認して、彼女からハンソンを降ろすべきでないことを伝えられる。

ラニヨンに会ったエヴァンスは、ハサウェイ指示により、彼が納得して手を引くことを確認する。

エヴァンスは、翌日のホワイトハウスで開かれる晩餐会に、ハサウェイを連れて執務室に来ることと、その前に、共倒れする覚悟があると言って、公の場で彼への支持をするように命ずる。

翌日、ホワイトハウス
エヴァンスは執務室に、ハンソン、ラニヨン、ハサウェイを、ニューマンやトリヴァーRWと共に迎える。

ハンソンは、初対面のハサウェイと挨拶し、彼は、自分が国家の力となれる自信を大統領に伝える。

そしてエヴァンスは、FBIのレポートを取り出し、川での事件がハサウェイの仕組んだことだったことを暴露する。

ラニヨンは驚き、ハサウェイは弁明することを求めるが、エヴァンスは、彼に身の破滅を告げて、FBIに引き渡す。

自らの政治生命も絶たれるラニヨンは、エヴァンスのやり方を非難するが、大統領は、”自分の罪は認めるが責任はない”と、聴聞会で、ハンソンがラニヨンに語った言葉を返す。

その後、ハンソンと共に晩餐会を抜け出したエヴァンスは、彼女から、セックス・パーティがあったのは事実なのだが、結局は相手とは何もなかったことと、写真も自分ではない替え玉だということを伝える。

エヴァンスは、それが事実なら、なぜ否定をして自分に話さなかったのかをハンソンに問う。

ハンソンは、エヴァンスの指示を受ける事柄ではない、私的なことだと、再び先日と同じ答えを返す。

エヴァンスは、ウェブスター経由で手に入れた、何もなかったという当事者の宣誓書を読み上げ、記者会見を開くようハンソンに指示するが、彼女は信念を貫き、それを拒む。

アーリントン国立墓地
下院議会での、急遽決まった大統領演説が始まろうとしている頃、ハンソンは、夫ウィリアムに付き添われながらジョギングを始める。

議員達に拍手で迎えられ、壇上に上がったエヴァンスは、正義と真実を求める大義を裏切り、男女平等をという国家の夢を追う権利を奪おうとしたた者がいると、ラニヨンを指差しながら発言を始める。

エヴァンスは、立ち去るラニヨンに、自分や議会に背を向けても国民はは正義を知っていることを伝える。

そして、ハンソンの信念を知ったエヴァンスは、彼女の思いを代弁し、女性が行政のトップに就く時が訪れたことを告げる。

信念を持つ女性ハンソンこそが、その資質を持ち合わせた人物だと語り、彼女の指名辞退の申し出を受け入れられないことを伝え、エヴァンスは直ちに承認裁決を求めようとする。

大統領は、民主主義の栄光称えて演説を締めくくり、議員達は一斉に拍手を贈る。

そして、それをラジオで聴いていたハンソンは、ウィリアムと共に、新たなスタートを切る決意をする。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
副大統領が急死し、そのポストに最も近いと思われていたヴァージニア州知事ハサウェイは、英雄的行為を賞賛されるものの、死亡者を出した事件に関り、大統領エヴァンスから指名を受けられなくなる。
残りの任期を、無事に務め上げることを最優先に考えるエヴァンスは、史上初となる女性副大統領を誕生させるために、上院議員ハンソンを指名する。
しかし、共和党の保守派の大物、下院司法委員会の委員長シェルドン・ラニヨン下院議員は、候補が女性ということでその資質を疑い、ハンソン潰しを画策する。
国民は、行政のトップに女性が立つ可能性に期待するのだが、ラニヨンは、ハンソンの学生時代のセックス・スキャンダルを暴露し、容赦のない攻撃を始める・・・。
__________

優秀ではあるが、思わぬスキャンダル攻撃に遭った女性議員が、真っ向から戦いに挑む物語ではなく、自らの信念を貫き苦悩しながら、周囲の理解を得ていく姿を描きながら、国家を動かす者の資質を、観客に見定めさせるという演出が素晴らしい。

第73回アカデミー賞では、主演女優賞(ジョアン・アレン)、助演男優賞(ジェフ・ブリッジス)にノミネートされた。

ファースト・クレジットはゲイリー・オールドマンではあるが、エンディングにもあるように”娘たち”(女性)に捧げられた作品で、ラストのキャスト紹介では、ジョアン・アレンが最後を飾っている。

冒頭から、英雄行為を強調する州知事の行動は怪しい上に、注意して見ているとそのヒントが随所隠されているために、クライマックスで彼が受けるダメージは想像できる。
更に言えば、知事が仕掛けた事件が、それ以後も隠し通せるとは到底思えない。

細かいことは抜きにして、40代前半だったゲイリー・オールドマンは大胆なメイクでベテラン議員を熱演し、製作にも参加した意欲を見せてくれる。

清潔感のある才女という役柄が似合うジョアン・アレンが、セックス・スキャンダルで攻撃されるというショッキングな内容に驚くが、キャリア最高の演技で、アカデミー主演賞にノミネートされた。

やたらに食べ物に拘るところが興味深い、一見、冷めているようなところもあるが、人間味のある大統領をジェフ・ブリッジスが好演している。

若いことを強調されて描かれているものの、その純真さ故に指名候補の資質を見抜く若手議員のクリスチャン・スレーター、大統領補佐官を力強く演ずるサム・エリオット、英雄から奈落の底に落とされる州知事ウィリアム・ピーターセン、大統領報道官ソウル・ルビネック、指名候補の父親で元州知事のフィリップ・ベイカー・ホール、夫のロビン・トーマス、その元妻マリエル・ヘミングウェイ、堅実な調査をするFBI特別捜査官のキャスリン・モリス、指名候補の法律顧問マイク・ビンダー、州知事の妻クリステン・ショー、ラニヨン(G・オールドマン)の妻イリナ・ジーグラー等が共演している。


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