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声をかくす人 The Conspirator (2010)

アメリカ大統領”エイブラハム・リンカーン暗殺事件”の共謀者の弁護を任された弁護士の苦悩を描く、製作、監督ロバート・レッドフォード、主演ジェームズ・マカヴォイロビン・ライトエヴァン・レイチェル・ウッドトム・ウィルキンソンケヴィン・クラインダニー・ヒューストン他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

ジェームズ・マカヴォイ / James McAvoy / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・レッドフォード

製作
ロバート・レッドフォード

グレッグ・シャピロ
ビル・ホールダーマン
ブライアン・フォーク
ロバート・ストーン
製作総指揮
ジョー・リケッツ
ジェレマイア・サミュエルズ
ウェブスター・ストーン
原案
ジェームズ・ソロモン
グレゴリー・バーンスタイン
脚本:ジェームズ・ソロモン
撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル

編集:クレイグ・マッケイ
音楽:マーク・アイシャム

出演
フレデリック・エイキンジェームズ・マカヴォイ

メアリー・サラットロビン・ライト
ニコラス・ベイカー:ジャスティン・ロング
アンナ・サラット:エヴァン・レイチェル・ウッド
ジョン・サラットジョニー・シモンズ
ジョン・ウィルクス・ブーストビー・ケベル
リヴァーディ・ジョンソントム・ウィルキンソン
ルイス・ペインノーマン・リーダス
サラ・ウェストン:アレクシス・ブレデル
エドウィン・スタントンケヴィン・クライン
ジョセフ・ホルトダニー・ヒューストン
ジョン・M・ロイドスティーヴン・ルート
ルイス・ウェイクマンジョナサン・グロフ
アンドリュー・ワイリー判事:ジョン・カラム
ダンドレアリ卿:ブレント・F・G・フィーゼル
エドマン・スパングラー:カーク・スパークス
デイビッド・ハンターコルム・ミーニイ

コッティンガム:シェー・ウィガム
ウィリアム・トーマス・ハミルトンジェームズ・バッジ・デール
ウォルター神父:デヴィッド・アンドリュース
ジョン・ハートランフトジム・トゥルー=フロスト
エイブラハム・リンカーン:ジェラルド・ベストロム

アメリカ 映画
配給
Lionsgate
ロードサイド・アトラクションズ
2010年製作 123分
公開
北米:2011年4月15日
日本:2012年10月27日
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $11,538,200
世界 $15,478,800


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1863年、南北戦争下。
戦場で負傷した北軍の大尉フレデリック・エイキンジェームズ・マカヴォイ)は、友人のニコラス・ベイカー(ジャスティン・ロング)と共に救出される。

1865年4月14日、ワシントンD.C.
終戦を迎え祝賀パーティーに出席したエイキンと友人のウィリアム・トーマス・ハミルトンジェームズ・バッジ・デール)そしてベイカーは、上院議員のリヴァーディ・ジョンソントム・ウィルキンソン)に声をかけられる。

三人は戦争の英雄としてジョンソンに称えられ、エイキン陸軍長官エドウィン・スタントンケヴィン・クライン)を紹介される。

リンカーン大統領は現れないことをエイキンに伝えたスタントンは、軍人より芝居が好きだと冗談を言いながら席を外す。

その後エイキンは、恋人のサラ・ウェストン(アレクシス・ブレデル)を誘い表の空気を吸いながら語り合う。

その頃、ある計画が進められ、馬車の事故に遭い静養していた国務長官ウィリアム・スワードが、侵入したルイス・ペインノーマン・リーダス)にナイフでめった刺しにされる。
...全てを見る(結末あり)

フォード劇場
南部連合の支持者である俳優ジョン・ウィルクス・ブーストビー・ケベル)は、桟敷席で観劇中の大統領エイブラハム・リンカーン(ジェラルド・ベストロム)を銃撃して逃亡する。

騒ぎに気づいたエイキンは大統領が銃撃されたことを知り、その様子を見守る。

駆けつけたスタントンは大統領の様態を確認し、犯人が役者達の顔見知りであったブースだと知らされ、共犯者がいるはずだと指摘し閣僚の所在などを調べさせる。

翌日、大統領は死亡し、ブースや共犯者の逮捕に10万ドルの賞金がかけられる。

スタントンワシントンD.C.を封鎖し、下宿屋のメアリー・サラットロビン・ライト)ら8名の共犯者は次々と逮捕される。

陸軍に追跡され追い詰められたブースは、農場の納屋で銃撃されて翌朝に死亡する。

リンカーンの葬儀は行われ、棺は特別列車に乗せられて北部の各都市を回りその後、永眠する。

ジョンソンに呼ばれたエイキンは、メアリーの弁護を依頼された彼の補佐として法廷に向かうことになる。

ブースの共犯者であるメアリーの弁護に疑問を持つエイキンだったが、ジョンソンは、市民をスタントン主導で行われる軍法会議で裁くことに納得できなかった。

大統領軍事委員会の裁判長デイビッド・ハンター少将(コルム・ミーニイ)は、7人の共犯者を前にメアリーに有罪か無罪かを問う。

無罪を主張するメアリーの発言直後、ジョンソンは弁護側の準備不足を指摘して休廷を求める。

それに異議を述べる検察官のジョセフ・ホルト准将(ダニー・ヒューストン)とハンターに対し、民間人を軍法会議で裁くことは違法だとジョンソンは指摘する。

国民の悲しみを優先させるべきだと言うハンターだったが、ジョンソンは弾圧だと反論する。

休廷後、南部人の自分では無理があると考えたジョンソンは、メアリーの弁護をエイキンに任せようとする。

エイキンは弁護を拒むものの考えを変えてそれを引き受け、そのことを知ったサラやハミルトンは驚く。

刑務所に向いメアリーに面会したエイキンは、ジョンソンに代わり自分が弁護することになったことを伝える。

エイキンの若さや経験不足に不安を感じるメアリーは、ブースらにアジトとして提供していた下宿屋のことから質問される。

ブースとの関りを否定しないメアリーは、家族を養うために部屋を貸しただけだと答え、逃亡中の息子ジョンジョニー・シモンズ)の所在を知らないことを伝える。

軍に牛耳られている裁判への疑問を訴えながら、メアリーから心配な娘に会ってほしいと頼まれたエイキンはその日の話を終える。

メアリーの家に向かったエイキンは娘のアンナ(エヴァン・レイチェル・ウッド)に会い、弟ジョンの部屋を調べる。

ルイス・ウェイクマン”というジョンの友人だった人物の存在とリッチモンド行きの列車のチケットを確認したエイキンは、隠してあった下宿人名簿をアンナから渡される。

エイキンジョンの居場所も隠していないかをアンナに問うが、何者かが部屋に石を投げ込んだため彼女は動揺する。

法廷に向かったエイキンは、ベイカーやハミルトン、そしてサラまでが傍聴席にいることを知る。

メアリーにアンナのことを伝えたエイキンは、検察側の証人としてウェイクマンジョナサン・グロフ)が現れたためその理由を考える。

ウェイクマンは、メアリーの下宿人だったことを認めてジョンブースとの関係や密会についてを話す。

ウェイクマンが仲間であることを否定したため、陸軍と関係がある立場で長官にその件を伝えるべきではなかったかとエイキンは尋ねる。

大尉には話したというウェイクマンに、エイキンは、南部連合の首都であるリッチモンド行きの名前入りのチケットを見せる。

チケットが自分のものであることを認めたウェイクマンは、神学を学ぶためだと答えるが、リッチモンドに神学校がないことを指摘するエイキンは、他に理由があったのではないかと問う。

陸軍の協力者であったことをウェイクマンに認めさせたエイキンは、南部で計画されていた反乱を知っていた可能性を尋ねる。

証人を裁く場ではないとハンターに指摘されたエイキンは、ジョンと同室で南部にも行っていたことで、常識的に考えれば、ウェイクマンが大統領暗殺計画を知っていたはずだと答える。

自分の質問は適切であると言い切るエイキンは着席する。

メアリーが暗殺を知っていたことに疑いが持てないエイキンは、彼女を弁護し切れないとジョンソンに伝える。

有罪の証拠もないというジョンソンは、それを証明したら弁護を降りていいとエイキンに伝える。

メアリーと面会したエイキンは、下宿人ではなかったブースが頻繁に家に出入りしていた理由を聞く。

ブースが息子ジョンの友人だったと言うメアリーだったが、エイキンは、家族のことは調べ尽くしたため嘘をつけば分かると伝える。

南部の敗戦に落胆したため、息子達の計画後の逃走に協力しとたという考えをメアリーは語る。

暗殺当日にカナダモントリオールからジョンの手紙が届いたと言うメアリーは、息子の事件関与を否定し目的は誘拐だったと話す。

ブースジョンらは、リンカーンを誘拐して南軍の捕虜と交換しようと考えていたことを語るメアリーは、あくまで息子が殺人者ではないと言い張るが、エイキンは聖書に誓わせようとする。

敗戦後も南部のために戦おうとするジョンを止められなかったメアリーは、息子が犯行に加わったことは分からいと言って、自分が無実であることだけは確かだと付け加える。

アンナに会ったエイキンは、誘拐計画に加わったジョンについてなどを尋ね、弟が家を出たことを証明できると言う彼女に、メアリーを救うための協力を求める。

法廷でメアリーの家を調べた少佐が証言台に立ち、ブースを崇拝することを示す証拠の写真などを提出する。

連行されるメアリーが、訪ねて来た男と面識がないと言ったにも拘わらず、それが共犯者のペインだということをホルトは少佐に確認させる。

下宿人であり国務長官を刺した男を、メアリーが知らないと言ったことを確認したホルトは質問を終える。

ペインが偽名で牧師を装い下宿していたことを名簿を見せてハンターらに確認させたはエイキンメアリーの視力の悪さを指摘し見間違える可能性を少佐に認めさせる。

ジョンソンに会ったスタントンは、彼に手を引くようにと言って牽制する。

あくまで法を順守する考えを貫くジョンソンに対し、エイキンと共に多くの敵を作ることになると言ってスタントンは警告する。

監禁状態のメアリーは食事をとることを拒んだため体調を崩し、スタントンに待遇改善を求めるエイキンは、対応したホルトにそれを訴える。

エイキンメアリーが正気を失う可能性を指摘し、それを聞き入れたホルトの計らいで、彼女は監禁状態を解かれる。

依然として食事を拒むメアリーは、ジョンの居場所をエイキンに聞かれるものの、話すことはこれ以上ないと答える。

メアリーの無実の確証に疑問を持つハミルトンから、勝っても負けても立場は悪くなると忠告されたエイキンは考えを巡らせる。

ジョンの責任を証明できればメアリーは救われることになるとジョンソンに言われたエイキンは、難しい問題だと答える。

証言台に立った居酒屋の主人ジョン・M・ロイドスティーヴン・ルート)は、ブースのものである双眼鏡をメアリーウェイクマンから渡され、火器を用意してブースに渡すよう彼女から指示されたことを証言する。

憤慨したメアリーは嘘だと言ってそれを否定する。

ライフル銃とウイスキー二本を、共犯者の一人と知らない男に渡したと言うロイドは、二人が急いでその場を去ったと話す。

ジョンロイドの居酒屋に火器を持ち込んだことを確認したエイキンは、メアリーに罪がないことを主張する。

しかし、メアリーは発言を止めるようエイキンに求め、彼女に罪があるとすればジョンの母親だったことだと語ったエイキンは席に着く。

ホルトは、メアリーが火器とウイスキーを用意するよう指示したとロイドに認めさせて質問を終え、被告の有罪を主張する。

ロイドが受け取ったと思われる賄賂を追及するエイキンだったが、ハンターにそれを制止される。

弁護側の証人としてコッティンガム大尉(シェー・ウィガム)が証言台に立ち、暗殺後に聞き込みをしたロイドの件についてをエイキンに質問される。

ところが、前日に話した内容を覆し、コッティンガムは、メアリーロイドに指示したと証言する。

困惑するエイキンだったが、コッティンガムは前日の話は嘘だったと答える。

エイキンは絶句して席に戻り、ホルトは反対尋問の必要がないことを裁判長に伝えて休廷する。

納得いかないエイキンは、裏で操作して裁判を仕切る軍を批判するが、ハンターは法廷侮辱罪を適応すると言って警告する。

その後、エイキンは会員制クラブの資格をはく奪され、裁判に心を傾け過ぎることを批判するサラは彼の元を去る。

現れたスタントンを呼び止めたエイキンは裁判を批判するが、大統領が暗殺された重要性を考えると、誰かが責任を取らなければ国民が納得しないと言われる。

それならばメアリーではなくジョンを裁くべきだと伝えたエイキンだったが、自分としてはどちらでも構わないとスタントンは答えてその場を去る。

アンナを訪ねたエイキンは、ジョンの責任を追及するための証人になってほしいことを伝える。

エイキンはアンナを証人として法廷に呼び、メアリーは動揺する。

メアリーの前には兵士が立ち、母の姿が見えないままアンナは宣誓する。

ブースジョンの関係を聞き、家族を犠牲にしても南部のために協力したのは弟であり母メアリーでないことを、エイキンはアンナに証言させる。

メアリーに会うことを許されないまま、アンナは退廷させられる。

少しの間だけでも母娘を会せてあげてほしいというエイキンからの要望をハンターは聞き入れる。

その夜、家の前で待っていたアンナは、なぜブースの写真を持っていたのかをエイキンに話す。

ブースが家族をトラブルに巻き込む男だとジョンに言われたアンナだったが、彼の正体を知らないまま惹かれたため写真を捨てずにいたのだった。

ジョンなしでメアリーが救えるかを問うアンナに、エイキンは無理だと答える。

メアリーと面会しているウォルター神父(デヴィッド・アンドリュース)に会ったエイキンは、アンナから聞いたと言ってジョンの居場所を聞く。

手紙が来るだけだと言う神父は、信者がジョンを匿っているらしいということだけをエイキンに伝える。

暗殺の共犯者を匿うのは法律に反すると言われても聖書に従うと答える神父だったが、自首しなければ母親が処刑されるというジョンへの伝言をエイキンから伝えられる。

最終弁論が始まり、メアリーが問われている罪は犯罪ではなく、誰もが犯す可能性があることだとエイキンは語る。

証人となったロイドウェイクマンこそが罪を他人負わせたのであって、メアリーが告発された理由は息子のジョンのためであり、彼が罰を受けるべきだとエイキンは主張する。

こんなことで母親が罪を負うなら誰もが有罪であり、復讐の思いでメアリーを罰することで法を傷つけないでほしいと伝えてエイキンは席に戻る。

ホルトの弁論も終わり裁判官の審議に入り、監房でその様子をエイキンから聞いたメアリーは、立派に育ってほしかったジョンが犯した罪を嘆く。

裁判官の意見は一致し、メアリー以外の被告人ルイス・ペインデヴィッド・ヘロルドジョージ・アツェロットを死刑に処すことをハンターは決定する。

しかし、全員を処刑しなければ納得しないと言うスタントンは、メアリーに同情して終身刑を望む裁判官の考えを改めさせて判決を変えるようホルトに命ずる。

大統領暗殺、副大統領と国務長官暗殺未遂の罪でメアリーは有罪を言い渡され、絞首刑に処するという判決が下る。

エイキンメアリーの死刑判決の号外を手にし、アンナとジョンもそれを知らされる。

諦めずにメアリーを救う方法を考えるエイキンだったが、ジョンが自首するしかなかった。

ベイカーとハミルトンに忠告されながらも、エイキンは不当裁判だと言う考えを変えない。

処刑を翌日に控え、アンドリュー・ワイリー判事(ジョン・カラム)の屋敷に向い人身保護令状への署名を頼んだエイキンは、判決の問題ではなく正義を示すことが重要だと語る。

7月7日。
署名された礼状をエイキンから渡されたスタントンは、憲法を順守しても国が倒れたら意味がないことを伝え、史上最悪の暗殺集団一味のメアリーは処刑すると言い切る。

正午前にメアリーを通常の裁判所に移送するよう要請したエイキンはその場を去る。

それをメアリーとアンナに伝えたエイキンだったが、窓から見える処刑台に用意された4本のロープを気にする。

現れたジョン・ハートランフト准将(ジム・トゥルー=フロスト)はメアリーの刑の執行の準備をしようとするが、エイキンは人身保護令状があることを伝える。

しかし、大統領命令を渡されたエイキンは、何とかしてほしいと言うアンナにどうすることもできないと伝える。

母娘が引き裂かれる姿を目の前にしたエイキンは、戦時には法は沈黙し、そしてコンゴが平和になるとホルト言われる。

処刑台に連れて行かれたメアリーは、ペインヘロルドアツェロットと共に靴を脱がされて腕を後ろで縛られる。

首にロープをかけられるメアリーは、目の前のエイキンを見つめながら布袋を被せられる。

そして刑は執行される。

16か月後。
逮捕されたジョンと面会したエイキンは、母メアリーに尽くしてくれたことで感謝される。

メアリーの遺品を渡そうとしたエイキンだったが、自分の方が良い”息子”であったと言われ、それを受け取ってほしいと言われる。

お礼を言ったエイキンはその場を去る。
__________

メアリー・サラットの処刑から一年後、最高裁は、戦時でも民間人を軍法会議で裁くことを禁じた。

ジョン・サラットの判決で、北部と南部双方から成る陪審員は合意に至らず、彼は釈放された。

弁護士を辞めたフレデリック・エイキンは、”ワシントン・ポスト”の初代社会部長になった。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1865年4月14日、ワシントンD.C.
アメリカ大統領エイブラハム・リンカーン暗殺事件が起き、主犯ジョン・ウィルクス・ブースは逃亡する。
その後、陸軍長官スタントンの指示により、下宿屋の女主人メアリー・サラットら8人の共犯者が逮捕される。
メアリーの弁護を依頼された上院議員ジョンソンは、軍主導の軍法会議で裁かれることを非難し、弁護をフレデリック・エイキンに任せる。
北部のために戦ったエイキンは、大統領暗殺者の弁護に疑問を感じながらもそれを受けて、メアリーの罪に対する検証を始めるのだが・・・。
__________

国家の威信や国民への信頼を得るための権力が示す考えと、法律家としてそれに抵抗する者の闘いを描くことで、現在にも通ずるアメリカの傲慢さを描こうとしているとも思える、社会派としても知られるロバート・レッドフォードの意欲が感じられる力作。

アメリカ陸軍の持つ権限を、大統領暗殺を利用して最大限に生かし、それを更に絶対権力化しようとする様子を重点に描き、誘拐犯から暗殺集団に変貌してしまった若者達が、その生贄のように扱われる描写も恐ろしい。

国家を守り大きく変化させる場合に必要な犠牲者は、いつの時代にもいるのだということを痛感させてくれる作品でもある。

北部のために命を懸けて戦った末に、敗戦に不満を抱く南部の支持者を弁護しなければならない辛い立場の青年フレデリック・エイキンを、実力派らしくジェームズ・マカヴォイ熱演し、彼の尽力により救われたと感じることも理解しながら処刑される、メアリー・サラットを演ずるロビン・ライトの好演も見逃せない。

メアリー・サラットの娘エヴァン・レイチェル・ウッド、主人公の友人ジャスティン・ロング、同じくウィリアム・トーマス・ハミルトンジェームズ・バッジ・デール上院議員リヴァーディ・ジョンソントム・ウィルキンソン陸軍長官エドウィン・スタントンケヴィン・クライン、その部下である検事ジョセフ・ホルトダニー・ヒューストン、裁判長デイビッド・ハンターコルム・ミーニイ、暗殺の主犯ジョン・ウィルクス・ブーストビー・ケベル、共犯者ジョン・サラットジョニー・シモンズルイス・ペインノーマン・リーダス、主人公の恋人アレクシス・ブレデル、居酒屋の店主ジョン・M・ロイドスティーヴン・ルート、検察側の証人ルイス・ウェイクマンジョナサン・グロフ、弁護側の証人シェー・ウィガム、神父デヴィッド・アンドリュースアンドリュー・ワイリー判事のジョン・カラムメアリー・サラットを処刑台に導くジョン・ハートランフト准将のジム・トゥルー=フロストなどが共演している。


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