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カンパニー・メン The Company Men (2010)

リストラされたエリート・ビジネスマンが窮地に立たされながら人間性を求める姿を描く、製作、監督、脚本ジョン・ウェルズ、主演ベン・アフレックトミー・リー・ジョーンズクリス・クーパーケビン・コスナーローズマリー・デウィットマリア・ベロクレイグ・T・ネルソン他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

トミー・リー・ジョーンズ / Tommy Lee Jones / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ジョン・ウェルズ
製作総指揮:バーバラ・A・ホール
製作
ジョン・ウェルズ

ポーラ・ワインスタイン
クレア・ラドニック・ポルスタイン
脚本:ジョン・ウェルズ

撮影:ロジャー・ディーキンス
編集:ロバート・フレイゼン
音楽:アーロン・ジグマン

出演
ボビー・ウォーカー:ベン・アフレック

ジーン・マクラリー:トミー・リー・ジョーンズ
フィル・ウッドワード:クリス・クーパー
ジャック・ドラン:ケビン・コスナー
マギー・ウォーカー:ローズマリー・デウィット
サリー・ウィルコックス:マリア・ベロ
ジェームズ・サリンジャー:クレイグ・T・ネルソン
シンシア・マクラリー:パトリシア・カレンバー
ダニー:イーモン・ウォーカー
ダイアン・リンドストローム:ナンシー・ヴィローン
コナル・ドハーティ:トム・ケンプ
ディードレ・ドーラン:ダナ・エスケルソン
ジョアンナ:キャディ・ハフマン
ドリュー・ウォーカー:アンソニー・オリアリー
カーソン・ウォーカー:アンジェラ・レッツァ
ハーブ・リテノール:ケント・ショックネック
ジョイス・ロバートソン:トニー・パタノ
カレン:キャシー・ハルム
ディック・ランドリー:ランス・グリーン
ローナ・ウッドワード:マリアン・プランケット
サラ・ウッドワード:サーシャ・スピルバーグ

アメリカ 映画
配給 ワインスタイン・カンパニー

2011年製作 105分
公開
北米:2011年1月21日
日本:2011年9月23日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $4,441,270
世界 $8,087,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
2008年9月15日。
投資銀行”リーマン・ブラザーズ”が破綻し、世界的金融危機の引き金とる。

ボストン
総合企業”GTX”のエリート社員ボビー・ウォーカー(ベン・アフレック)は、郊外の邸宅に妻マギー(ローズマリー・デウィット)と、息子ドリュー(アンソニー・オリアリー)と娘カーソン(アンジェラ・レッツァ)と共に何不自由なく暮らしていた。

その日も、愛車のポルシェで出勤した販売部長のウォーカーは、業績不振の社が赤字の造船部門を閉鎖し、鉄道部門との統合を決め、社内リストラを始めたことを知り驚く。

人事部長サリー・ウィルコックス(マリア・ベロ)に呼ばれたウォーカーは、勤続12年を考慮された上で、雇用手当ての12週間分を言い渡されて解雇される。

憤慨したウォーカーは、造船部門のトップである副社長のジーン・マクラリー(トミー・リー・ジョーンズ)のオフィスに向うが、彼はシカゴに出張中だった。

ウォーカーの解雇を知った重役フィル・ウッドワード(クリス・クーパー)は、彼を気遣う。
...全てを見る(結末あり)

造船現場の作業員から、30年かけて現在の地位にまでなったウッドワードは、他人事でないと考え不安が募る。

社に戻ったマクラリーに会ったウッドワードは、サリーが大量の社員を解雇したことを伝えて、自分がクビになるなら銃を乱射するとまで言って息巻く。

会議中だった、CEOジェームズ・サリンジャー(クレイグ・T・ネルソン)の元に向ったマクラリーは、相談なしに部下を解雇したことで、社員より株主を優先する彼を非難する。

帰宅したウォーカーは妻マギーに、解雇されたことと再就職するまで、そのことを内緒にして欲しと伝える。

その後ウォーカーは、仲が悪い義兄ジャック・ドラン(ケビン・コスナー)の妻ディードラ(ダナ・エスケルソン)の誕生パーティーに、気が進まないまま加速と共に向う。

その夜、サリンジャーの表彰式が開かれ、スピーチしたマクラリーは、ウッドワードらが見守る中、複雑な気持でサリンジャーへの賛辞を述べる。

翌日から職探しを始めたウォーカーは、自分にとっては馬鹿げているとしか思えない、就職支援センターの説明会に参加する。

ジョアンナ(キャディ・ハフマン)の”宗教”のような講習を受けたウォーカーは、その場にいた職を探すダニー(イーモン・ウォーカー)と知り合う。

マクラリーにランチに誘われたウォーカーは、彼に面接先を紹介されるものの、食欲が失せたと言って席を立つ。

帰宅したウォーカーは、今後の生活に不安を抱えるマギーに、心配いらないと伝えるしかなかった。

その頃サリンジャーは、マクラリーに、自分への全面的な支援を確認し、否定はされなかった。

帰宅したマクラリーは、妻シンシア(パトリシア・カレンバー)から、買い物とゴルフに、社のプライベート・ジェットを使っていいかを訊かれるものの、返事をする気になれない。

諦めたシンシアにマクラリーは、ウォーカーが不満を抱いていることを話し、株価が上がったため、自分の持ち株が50万ドル増えたことを彼女に伝える。

マギーは、家を売る査定だけでもしたいとウォーカーに提案する。

世間の目などを気にするウォーカーは、強がりを言って面接に向う。

ジョイス・ロバートソン(トニー・パタノ)の面接を受けたウォーカーは、勤務先の問題やGTXの年収12万ドル+αとは余りにもかけ離れた条件を聞き、苛立ち退席する。

サリーと関係を持っていたマクラリーは、人員削減の担当者の彼女の前では、不思議に笑みがこぼれる。

ドリューが夫婦の問題に気づき、正直に会社を解雇されたことを伝えたウォーカーは、それを離婚と勘違いしていた彼を安心させて抱きしめる。

その後、ある投資家がGTXの改革に乗り出し、株主に経営陣を非難する手紙を出すとという報道がされる。

さらに、買収で傘下の会社を失い、それをウッドワードから知らされたマクラリーは、危機感を感じる。

マギーの実家の食事に招待されたウォーカーは、建築業者であるジャックに、サリンジャーの高給について嫌味を言われる。

ジャックから、肉体労働なら仕事はあると言われて誘われたウォーカーだったが、それを受ける気はなかった。

対策会議の席でマクラリーは、体裁だけを繕い具体案を出せないサリンジャーに、医療部門か新社屋を売却するべきだと提案する。

何も売却しないと言張るサリンジャーは、人事部に、次の解雇リストを作らせるよう指示を出し、それに反対するマクラリーの意見を聞き入れない。

マギーは、家を売却して実家に引っ越すことをウォーカーに提案する。

それにも賛成できないウォーカーは不安を抱え、マギーと愛し合う気にもなれない。

ウォーカーからの伝言を何度も受けていたサリーは、マクラリーから解雇リストの件について訊かれたために、気分を害してしまう。

趣味のゴルフに出かけたウォーカーは、会費滞納でコースから締め出されてしまい、病院で働くマギーにそのことを追求する。

現実を受け入れようとしないウォーカーが、尚も失業したことを隠していたいなどと言っているため、マギーは呆れてしまうものの、彼は理解しようとしない。

家に戻り不用品を売ろうとしたウォーカーは、3ヶ月職を探しても相手にされない自分に絶望しかけるが、支えることを伝えたマギーは彼を励ます。

その後ウォーカーは、年収9万ドルとボーナスである企業に就職が決まりそうになるが、結局はその話はなくなり、ついにポルシェを手放すことになる。

その頃、ウッドワードがサリーに解雇され、それを知ったマクラリーは彼女を呼び出す。

サリーから解雇通知を渡されたマクラリーは、ウッドワードと共に会社を去る。

マクラリーは帰宅するものの、浪費家の妻シンシアの顔を見ずにサリーの元に向かい、彼女に微笑む。

ウッドワードは、ウォーカーと同じ就職支援センターに向い、担当者のジョアンナに、様々な指示をされてうんざりする。

住宅ローンの返済は滞ってしまい、ドリューの態度に憤慨したウォーカーだったが、マギーから、子供なりに家族の窮地を考えていることを知る。

そして、ウォーカーはジャックの元に向かい、雇って欲しいことを伝えて、翌日から建設作業員として働くことになる。

しかしウォーカーは、肉体的に辛いだけの仕事に満足できるはずもなく、相変わらずジャックと打ち解けることができない。

その後マクラリーは、サリーの家に滞在して何もせずに過ごし、ウッドワードは地道に就職活動を続ける。

愛想がないジャックは多くを語らず、ウォーカーには余分に給料を渡す。

実家に引っ越したウォーカーは、現場では資材運びからようやく道具を持たせてもらえるようになる。

バーでウッドワードに会ったマクラリーは、就職支援センターには行っていないことを知らされる。

ウッドワードは、経済紙の年収ランキングで、サリンジャーが17位に入ったことで皮肉を言いながら、昔の話をしてマクラリーと楽しい時間を過ごす。

ある日ウォーカーは、シカゴでの面接の連絡を受けて、意気込んでその場に向う。

しかし、担当者は出張中で予定変更となり、企業に振り回される自分に嫌気が差す。

経験は豊富だが60歳手前のウッドワードは就職先が見つからず、その不満をマクラリーに訴える。

娘サラ(サーシャ・スピルバーグ)の学費、住宅ローン、妻ローナ(マリアン・プランケット)が気にする近所の目、行き詰まったウッドワードは自ら命を絶つ。

葬儀でウォーカーと話したマクラリーは、かつてウッドワードと共に働いた、今は廃墟となった造船工場に彼を連れて行く。

手で触れられる実のあるものを造り働いた30年の誇りを全て失ったことを、マクラリーはウォーカーに淡々と語る。

帰宅したウォーカーは、自分を見失っていたことをマギーに謝罪し、2人は愛を確かめる。

マクラリーは、ウッドワードの葬儀にも顔をださなかったサリンジャーの元に向かい、社員全員でこの会社を支えたことを伝える。

しかし、サリンジャーは会社経営は慈善事業でないと言い切り、会社の売却で自分の持ち株が6億ドルになったことを伝えて、マクラリーの持分も尋ねて立ち去る。

子供たちとの触れ合いを優先に考え始めたウォーカーは、会社を立ち上げ、元部下らを雇おうとしているマクラリーからの誘いを受ける。

そのことをジャックに伝えたウォーカーは、建築作業員には向かない、その仕事に就け言われて励まされる。

オフィスの準備を始めていたマクラリーは、サリーの訪問を受ける。

サリーのランチの誘いを断ったマクラリーは、彼女との関係を断とうとする。

そしてウォーカーは、マギーに送られて廃墟の造船所にある部署に向かい、元同僚らと共に仕事を始める。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
ボストン
総合企業GTXの幹部社員ボビー・ウォーカーは、業績不振による部門統合でリストラされてしまう。
ウォーカーは妻マギーにそれを伝えるものの、エリートの彼は世間体を気にして、生活レベルを落とさないように考えながら再就職先を探す。
閉鎖された部門の責任者で副社長のマクラリーは、自分の知らぬ間に部下が解雇されたことに心を痛めると共に、CEOのサリンジャーに不満を訴える。
工員からのたたき上げで30年会社に尽くし、今は重役になったウッドワードは、自分の首も危うい状況となり、ウォーカーの解雇を知り彼を気遣いマクラリーに怒りをぶつける。
その後、職探しが難航するウォーカーは、一気に窮地に立たされる。
そんなウォーカーは、プライドを捨てて不仲の義兄ジャックや実家の世話になることを提案する、マギーの意見を退けてしまう・・・。
__________

テレビ界の大物ジョン・ウェルズが製作、脚本を務めた監督デビュー作であり、彼の下に集結した、ハリウッドを代表するスター豪華競演も話題になった作品。

路頭に迷うリストラ社員よりも株主を優先し、解雇を事業運営の犠牲と割り切り処理し、上辺の業績修正だけしか視野にない企業の体質など、現代社会が抱える問題を鋭く描く、ジョン・ウェルズの脚本と演出手腕が見どころの作品。

富を求めた者の凋落の惨めさ、地道な生活や家族の幸せを中心に考えた人生の尊さなど、説教じみていない、シンプルに人間の歩むべき姿を追及したテーマは心を打つ。

豪華スター競演にも拘らず、拡大公開もされなかった(北米277館)のは残念だ。

主人公のベン・アフレックは、エリートではあるが、体裁ばかりを考える会社意外では人付き合いもよくない、意外に不器用な男性を好演し、上司を演ずるトミー・リー・ジョーンズの圧倒的な存在感、微妙な対場である重役を演ずるクリス・クーパーの確かな演技も見応えある、一見の価値ある作品だ。

主人公の義兄であり、平凡な労働者を演ずるケビン・コスナー、その妹で主人公を支える妻のローズマリー・デウィット、マクラリー(トミー・リー・ジョーンズ)との関係が興味深い人事部長のマリア・ベロ、ビジネス優先で人の道を感じさせないCEOクレイグ・T・ネルソン、マクラリーの浪費家の妻パトリシア・カレンバー、主人公が就職支援センターで出会うイーモン・ウォーカー、同じくナンシー・ヴィローン、トム・ケンプ、ジャック(ケビン・コスナー)の妻ダナ・エスケルソン、就職支援センターの職員キャディ・ハフマン、主人公の息子アンソニー・オリアリー、娘のアンジェラ・レッツァ、重役のケント・ショックネック、主人公の面接を担当するトニー・パタノ、社員のランス・グリーン、ウッドワード(クリス・クーパー)の娘サーシャ・スピルバーグスティーヴン・スピルバーグケイト・キャプショーの娘)、妻マリアン・プランケットなどが共演している。


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