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サイダーハウス・ルール The Cider House Rules (1999)

1985年に発表された、ジョン・アーヴィングの小説”The Cider House Rules”を基に製作された作品。
外の世界を知らない孤児院で育った青年と彼を育てた医師との親交と大人へと成長していく心の動きを描く、監督ラッセ・ハルストレム、主演トビー・マグワイアマイケル・ケインシャーリーズ・セロンデルロイ・リンドポール・ラッドキャシー・ベイカー他共演による感動のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

シャーリーズ・セロン / Charlize Theron 作品一覧


スタッフ キャスト
監督:ラッセ・ハルストレム
製作:リチャード・N・グラッドスタイン
原作:ジョン・アーヴィングThe Cider House Rules
脚本:ジョン・アーヴィング
撮影:オリヴァー・ステイプルトン
編集:リサ・ゼノ・チャージン
美術・装置
デヴィッド・グロップマン
ベス・A・ルビーノ
音楽:レイチェル・ポートマン

出演
トビー・マグワイア:ホーマー・ウェルズ
マイケル・ケイン:ウィルバー・ラーチ
シャーリーズ・セロン:キャンディ・ケンドール
デルロイ・リンド:アーサー・ローズ
ポール・ラッド:ウォリー・ワージントン
キャシー・ベイカー:アンジェラ
ジェーン・アレキサンダー:エドナ
エリカ・バドゥ:ローズ・ローズ
キーラン・カルキン:パスター
J・K・シモンズ:レイ・ケンドール
ケイト・ネリガン:オリーヴ・ワージントン
K・トッド・フリーマン:マディ
エヴァン・パーク:ジャック
スカイ・マッコール・バートシアク:ヘイゼル
エリック・パー・サリヴァン:ファジー・ストーン
パス・デ・ラ・ウエルタ:メアリー・アグネス
ヘヴィー・D:ピーチス
アニー・コーレイ:カーラ

アメリカ 映画
配給 ミラマックス
1999年製作 125分
公開
北米:1999年12月10日
日本:2000年7月1日
製作費 $24,000,000
北米興行収入 $57,536,360
世界 $88,545,090


アカデミー賞
第72回アカデミー賞

・受賞
助演男優(マイケル・ケイン
脚色賞
・ノミネート
作品・監督・編集・作曲・美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ニューイングランドメイン州、セント・クラウズ。
孤児院で生まれ育ったホーマー・ウェル(トビー・マグワイアズ)は、引き取り先が見つからず、ウィルバー・ラーチ院長(マイケル・ケイン)は、彼の将来のために医術を教えてきた。

助産医のラーチは、恵まれない子供を救うために、禁止されていた堕胎手術を行っていたが、ホーマーはその道を拒んだ。

1943年3月。
エーテル中毒のラーチを気遣いながら、助手として彼を支えるホーマーは、人の役に立つと考えるラーチから堕胎処置を行うように言われても、それだけには従わなかった。

ラーチから、技術的には立派な産婦人科医だと言われたホーマーは、看護師のアンジェラ(キャシー・ベイカー)とエドナ(ジェーン・アレキサンダー)らと共に働きながら、バスター(キーラン・カルキン)や心臓の弱いファジー・ストーン(エリック・パー・サリヴァン)ら子供達の世話もした。
...全てを見る(結末あり)

ある日ホーマーは、堕胎手術のために訪ねて来た、キャンディ・ケンドール(シャーリーズ・セロン)と恋人で陸軍少尉のウォリー・ワージントン(ポール・ラッド)を迎える。

キャンディの処置は無事に終わり、外の世界を見たいと考えたホーマーは、一緒に乗せて行ってほしいことをウォリーに伝える。

構わないとウォリーから言われたホーマーは、その件をラーチに話す。

ラーチから厳しい現実が待っていると言われたホーマーは、心臓が悪い自分のレントゲン写真を渡される。

別れが辛いラーチは苛立つものの、ホーマーの将来を考えるべきだとアンジェラから言われる。

ホーマーに好意を抱く少女メアリー・アグネス(パス・デ・ラ・ウエルタ)は、彼が去ることを知り悲しむ。

アンジェラとエドナ、そして子供達との別れを惜しみながらホーマーは旅立つ。

ラーチは、エーテルを吸って悲しみを堪える。

ウォリーとキャンディと共に夜通し車で走ったホーマーは、朝になり、生まれて初めて海を見る。

まだ傷が痛むキャンディを気遣いながら、軍隊の話などしたホーマーは、ウォリーから母親のリンゴ園で仕事をすることを勧められる。

キャンディを漁師の父レイ(J・K・シモンズ)が住む港町に送ったウォリーは、ホーマーを連れて実家に向かい、母オリーヴ(ケイト・ネリガン)を紹介する。

早速リンゴ園に向かったウォリーは、季節労働者であるリンゴの収穫主任アーサー・ローズ(デルロイ・リンド)の娘ローズ(エリカ・バドゥ)にホーマーを紹介して、今日からこの場に住むことを伝える。

アーサーから全てを教わるようにと言われたホーマーは、労働者の宿舎サイダーハウスで暮らすっことになる。

字が読めない労働者のジャック(エヴァン・パーク)から、壁の貼り紙を呼んでほしいと言われたホーマーは、それを読み始める。

そんなルールはどうでもいいとアーサーから言われたホーマーは、読むのを止める。

ウォリーはビルマ戦線に向けて旅立ち、ホーマーは、仕事には厳しいが情のあるアーサーから様々なことを学ぶ。

その頃、助手を探すよう理事会から指示されていたラーチは、ホーマーの医師資格証書や大学の卒業証書を偽造し、彼を助手にする考えをアンジェラとエドナに伝える。

キャンディの体調を気遣いながら仕事にも慣れたホーマーは、彼女の家の食事に招かれる。

エビ漁師のレイとキャンディとの食事を楽しんだホーマーは、彼女に送ってもらい、町で映画”嵐が丘”を観る。

キャンディと親交を深めたホーマーは、ローズらからその仲を疑われて冷やかされる。

理事会でラーチは、ホーマーに興味がないような振りをして、理事達に経歴に問題ない彼を認めさせて、思惑通り彼を助手にできると確信する。

サイダー作りを始めたアーサーは、タバコの吸い殻を樽に捨てたジャックを注意する。

それに逆らうジャックはナイフを手にして襲い掛かるが、ナイフのプロだと言うアーサーに傷つけられ、仕方なく指示に従う。

キャンディから車の運転を教わり、灯火管制のため閉鎖されているドライブイン・シアターに向かったホーマーは、孤児院のことを想いながら話をする。

ホーマーが可愛がっていた病気の少年ファジーが亡くなり、ラーチは、ファジーは養子にもらわれたことにするとバスターに伝える。

こちらの様子が気になれば連絡を寄こすだろうとバスターに伝えたラーチは、ホーマーには教えないことにする。

それを子供達に伝えるバスターの話を聞きながら、ラーチは涙する。

やがて、ホーマーとキャンディは自然に愛し合うようになる。

一人ぼっちが嫌いなのを知っているにも拘らず、自分を置いて志願して戦場に向かったウォリーを恨むキャンディは、ホーマーとのことを後悔しなかった。

リンゴの収穫が終わったアーサーは、仲間を連れて次の収穫地に向かうが、ホーマーは残ることにする。

ラーチから診察カバンを受け取っていたホーマーは手紙を書き、今のところその使い道がないことを伝える。

果樹園やエビ漁をする日々がとても楽しいと付け加えたホーマーは、この場に残ることを書き綴る。

ウォリーがいない寂しさを紛らすために、キャンディはホーマーと行動を共にして愛を深める。

遅い思春期を迎えているだけだというラーチは、このままでは理事会に解任されてしまうため、後を引き継ぐのはホーマーしかいないという、愛を込めた手紙を送る。

ラーチの気持ちを痛いほど感じるホーマーだったが、帰るつもりにはなれなかった。

その文面から、ホーマーが大人になり巣立ってしまったことを察したラーチは、寂しい気持ちをアンジェラに伝える。

リンゴ園に再び収穫の時期が訪れ、アーサー達が戻ってくるが、ホーマーは、ローズの様子がおかしいことに気づく。

ローズの妊娠に気づいたホーマーは、それを認めた彼女の力になろうとする。

しかし、ローズは心を閉ざしてしまい、キャンディが彼女の相談に乗り、自分も1年前に妊娠したことを伝える。

ローズの相手が父アーサーだということを知ったキャンディは、それをホーマーに伝えて動揺する。

その件をアーサーに確かめたホーマーは、恩人のウォリーを裏切っていると言われて、他人に口出しができる立場かと責められる。

自分の娘に手を出したことを非難するホーマーは、お腹の子供のこと考えろとアーサーに伝えてその場を去る。

その後、ウォリーが戦地で搭乗した軍機が墜落し、命は助かるものの、彼がB型脳炎にかかり下半身不随になったことを知らされたキャンディとオリヴィアは愕然とする。

1か月以内にウォリーが帰って来ることも分かり、キャンディの支えになろうとしたホーマーだったが、彼女は何もせずにただウォリーを待ちたいと伝える。

何もしようとしないことをがよい考えではないと言うホーマーは、戸惑うキャンディに、自分のことを話したと謝罪する。

リンゴ園に戻ったホーマーは、ローズと揉めているアーサーに声をかけるが、口出しするなと言われる。

自分は医者だと言って力になれると伝えたホーマーは、ラーチから送られてきた医療器具を使い、アーサーの手を借りてローズの堕胎手術をする。

雨の中、外に出たアーサーは、自分の過ちを悔やむ。

処置を終えたローズを、経験者としてキャンディが介抱する。

改めて壁に貼ってあるルールを読んだホーマーは、大した内容でないとローズから言われる。

どうでもいいルールだと言う仲間のマディ(K・トッド・フリーマン)とピーチス(ヘヴィー・D)に、ここに住んでない者達が決めたものだと伝えたアーサーは、ルールは自分達が作るべきだと考える。

ルールが書かれた貼り紙を燃やしてしまうようにとマディらから言われたホーマーは、それをストーブの火に入れてしまう。

キャンディと共に車でドライブイン・シアターに向かったホーマーは、自分を愛し必要あったと彼女から言われる。

今度はウォリーが君を必要としていると伝えたホーマーは、これで待ち続けずに済み、海も見られたことで満足だと話す。

翌日、リンゴ園に戻り、マディからローズが姿を消したことを知らされたホーマーは、彼女にナイフで刺されたアーサーから話を聞く。

手に触れようとして誤解され、ローズに刺されたと話すアーサーは、警察に事情を聞かれたら、娘を失ったことに堪えられず自殺したことにしてくれとホーマーとマディに言い残して息を引き取る。

その後、預かってきた手紙をキャンディから渡されたホーマーは、ウォリーが帰った後も心配いらないと彼女に伝える。

アンジェラからの手紙を読んだホーマーは、ラーチが亡くなったことを知る。

ラーチは、エーテルの過剰摂取で息を引き取ったのだった。

リンゴ園を去ろうとするホーマーは、戻って来たウォリーを労わるキャンディの姿を見詰めながら、行く場所があることをマディらに伝える。

孤児院に戻ったホーマーは、アンジェラとエドナ、そしてバスターやメアリー・アグネスら子供達に迎えられる。

バスターらが荷物から出したレントゲン写真が、ファジーの写真だったことをアンジェラから知らされたホーマーは、自分の心臓は悪くないと言われる。

徴兵されないようにラーチが嘘をついていたとエドナから言われたホーマーは、彼がどれだけ自分のことを愛してくれていたかを知る。

ホーマーは、ラーチの遺志を継ぎ、孤児院や子供達に一生を捧げることを決心する。

就寝時間となり、かつてのように子供達に本を読んであげたホーマーは、毎晩、ラーチが部屋を出る際に伝えた言葉を口にする。

”おやすみ、メインの王子達、ニューイングランドの王達よ”

子供達は、この上ない幸せを感じながら眠りに就く。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
孤児院で生まれ育ったホーマー・ウェルズは、引き取り先が見つからず、彼の将来を考えたラーチ院長は医術を教えてきた。
助産医のラーチは、恵まれない子供を救うため、禁じられていた堕胎手術を行っていたのだが、ホーマーはそれだけは拒んだ。
その後ホーマーは、外の世界を見るために、堕胎手術を受けに来たキャンディと恋人ウォリーと共に、孤児院を出る決意をする。
ウォリーの母親のリンゴ園で仕事をすることになったホーマーは、宿舎のサイダーハウスで暮らし始める。
仕事には厳しいが情のあるリンゴの収穫主任アーサーは、新入りのホーマーに仕事を教え込む。
軍人のウォリーは戦場に戻り、仕事にも慣れたホーマーは、キャンディとの親交を深め、やがて愛し合うようになるのだが・・・。
__________

スウェーデン出身のラッセ・ハルストレムの、 詩の朗読を聴いているかのような繊細な演出は出色だ。

落ち着いた雰囲気のニューイングランドの風景と、美しいレイチェル・ポートマンのテーマ曲が実に心地よい。

第72回アカデミー賞では、助演男優(マイケル・ケイン)、脚色賞を受賞した。
・ノミネート
作品、監督、編集、作曲、美術賞

主演のトビー・マグワイアは、世間知らずで物静かだが、好奇心旺盛な青年役を見事に演じ、本作が彼の出世作となった。

子供達の未来を心配し、最も手をかけた主人公の青年が巣立ったのを知り、やがて悲しい死を迎えるマイケル・ケインの、燻し銀の演技 も秀逸だ。

特に、心臓病の幼い子供を亡くした際、子供達の話を聞きながら涙するシーンは印象に残る。

ヒロイン役のシャーリーズ・セロンは、恋人が傍にいない寂しさと、新たな恋の狭間で揺れ動く女心を見事に演じている。
港町の漁師の娘とは思えない美しさが際立つ彼女の、この後、演技派として活躍する確かな実力も窺える。

収穫労働者のリーダーで、娘を傷つけてしまい不幸な死を迎えるデルロイ・リンド、キャンディ(シャーリーズ・セロン)の気のいい恋人ポール・ラッド、孤児院で献身的に働く看護師キャシー・ベイカージェーン・アレキサンダー、父親(デルロイ・リンド)に傷つけられるエリカ・バドゥ、キャンディの父親J・K・シモンズ、ウォリー(ポール・ラッド)の母親ケイト・ネリガン、主人公を慕う孤児キーラン・カルキン、心臓病で亡くなる少年エリック・パー・サリヴァン、孤児スカイ・マッコール・バートシアク、主人公に惹かれる孤児院の少女パス・デ・ラ・ウエルタ、収穫労働者のK・トッド・フリーマンエヴァン・パークヘヴィー・D、堕胎手術を受ける女性アニー・コーレイなどが共演している。


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