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ザ・ブルード The Brood (1979)

病気の妻にある治療をする心理療法士の秘密を探ろうとする男性の行動を描く、監督、脚本デヴィッド・クローネンバーグ、主演オリヴァー・リードサマンサ・エッガーアート・ヒンドル他共演のサイコロジカル・ホラー

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー


スタッフ キャスト
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
製作
クロード・エロー
ピエール・デヴィッド
脚本:デヴィッド・クローネンバーグ
撮影:マーク・アーウィン
編集:アラン・コリンズ
音楽:ハワード・ショア

出演
ハル・ラグラン博士:オリヴァー・リード
ノーラ・カーヴェス:サマンサ・エッガー
フランク・カーヴェス:アート・ヒンドル
ジュリアナ・ケリー:ナーラ・フィッツジェラルド
ルース・メイヤー:スーザン・ホーガン
マイク・トレラン:ゲイリー・マッキーハン
キャンディス・カーヴェス:シンディ・ハインズ
バートン・ケリー:ハリー・ベックマン
クリス:ニコラス・キャンベル
警部:マイケル・マギー
ジャン・ハートグ:ロバート・A・シルヴァーマン

カナダ 映画
配給 ニューワールド・ピクチャーズ
1979年製作 92分
公開
カナダ:1979年6月1日
北米:1979年5月25日
日本:1987年6月6日
製作費 CAD 1,400,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
カナダトロント
ソマフリー医療施設を運営する心理療法士のハル・ラグラン博士(オリヴァー・リード)は、精神障害患者の感情を引き出す”サイコプラズミックス”と呼ばれる療法を行っていた。

ラグランが患者のマイク・トレラン(ゲイリー・マッキーハン)との公開治療を行う様子を見たフランク・カーヴェス(アート・ヒンドル)は、施設に収容されている妻ノーラ(サマンサ・エッガー)のことが気になる。

施設でノーラと過ごしていた娘のキャンディスを家に連れ帰ったフランクは、彼女の背中の傷に気づき驚く。

ラグランの元に向かったフランクは、ノーラとの面会を求めるが、集中治療中だと言われて断られる。

キャンディスを会わせたのは治療に必要だからだと言われたフランクは、苛立っている理由を訊かれて、娘がノーラから虐待を受けているとラグランに伝える。

ノーラには二度とキャンディスに会わせないと言うフランクに、今、娘を取り上げれば最悪の事態を招くと伝えたラグランは、ノーラの状態が改善しないことを追及される。

法的には母と娘を離せないと伝えたラグランは、裁判なら勝てる自信があると言うフランクに、キャンディスのことを思うならやめるべきだと忠告する。

来週もキャンディスを連れて来るようにと言われたフランクは、納得できないままその場を去る。

助手のクリス(ニコラス・キャンベル)に連絡したラグランは、今夜、ノーラに新しいを治療をすることを伝える。
...全てを見る(結末あり)

弁護士に相談したフランクは、ラグランとの関係を修復しなければ、法律は母親に有利なのでキャンディスを取り上げられると言われる。

ラグランが危険人物だという証拠を探すつもりのフランクは、来週、キャンディスをノーラの元に連れて行くまでの間に手がかりをつかむ必要があった。

幼稚園にキャンディスを迎えに行ったフランクは、保母のルース・メイヤー(スーザン・ホーガン)から、キャンディスのことで話をする時間を作ってほしいと言われる。

ノーラの母ジュリアナ・ケリー(ナーラ・フィッツジェラルド)の家に向かったフランクは、キャンディスを預ける。

その夜、ノーラの治療を始めたラグランは、彼女が母親に虐待されていたことを知る。

ノーラが子供時代に病院に入院した際の写真について、ジュリアナと話したキャンディスは、母の体に大きなデキモノができたと言われる。

キッチンの物音に気づいたジュリアナは、その場が荒らされていることに気づき、何者かに襲われる。

様子を見に行ったキャンディスは、ジュリアナが殴り殺されていることと階段の人影に気づく。

建築業者であるフランクは現場に向かい、警察からの電話を受けて呼び出される。

警部(マイケル・マギー)から、侵入者に襲われたジュリアナが殺されたことを知らされたフランクは、キャンディスは何事もなかったように落ち着いていると言われる。

犯人に心当たりがないフランクは、ジュリアナと離婚した夫バートン(ハリー・ベックマン)は政府の仕事をしていると警部に伝える。

精神科医のバーキンから、キャンディスは、事件を目撃した衝撃で精神障害が起きて何も覚えていないと言われたフランクは、彼女を連れて家に帰る。

何も話そうとしないキャンディスを寝かせたフランクは、かかってきた電話にでるものの切れてしまう。

家に電話をしたノーラは、禁止されていると言うクリスに受話器を取り上げられる。

自分が母ジュリアナのようになり、キャンディスに悪影響を与えるとフランクが思い込んでいると考えるノーラは、それをクリスに話す。

現れたラグランに誰だと尋ね”父親”だと言われたノーラは、彼にもフランクの考えを伝える。

フランクは父親として娘を守ろうとしていると言うラグランに、ノーラは、自分を守る立場だったのにそうしてくれなかったと、涙しながら”父”(ラグラン)を責める。

母が自分を殴った時に何もしてくれなかったと言って”父”(ラグラン)を非難したノーラは、自分を愛していたか尋ねる。

翌日、キャンディスの背中の傷の写真を撮ったフランクは、到着したバートンを迎えに行く。

その後、元ソマフリーの患者でだったジャン・ハートグ(ロバート・A・シルヴァーマン)に会ったフランクは、ラグランのせいでリンパ腫になり自分は死ぬと言われる。

それを法廷で立証するのは無理だと言うジャンだったが、訴えるのはラグランへの復讐であり、負けてもサイコプラズミックスが世間の話題になるとフランクに伝える。

ラグランに会ったバートンをは、ノーラに母親の死を知らせたいと伝えるものの、その必要はないと言われる。

憤慨したバートンは、受付に電話番号を残したので、明日までにノーラから電話がなければ迎えに来るとラグランに伝えてその場を去る。

幼稚園にキャンディスを迎えに行ったフランクは、彼女に促されてルースを食事に誘い、娘の話しもしたいと伝える。

食事の際にルースは、二人になるとキャンディスは自分に母親役をやらせるとフランクに伝える。

キャンディスには母親が必要だと言われたフランクは、時々悩むが、精神障碍者と結婚したのだから仕方がないとルースに伝えて、かかってきた電話に出る。

家にいると言うバートンからの電話で、昼間ノーラとの面会を断られたので、これから向かうつもりだと言われたフランクは彼に同行することになり、ルースに45分で戻ると伝えて出かける。

酔ったバートンはジュリアナの死を悲しみ、寝室のベッドに横たわる。

ベッドの下に隠れていた小人はバートンに襲い掛かり、スノーボールで彼を殴り殺す。

ジュリアナの家に着いたフランクは、二階の物音に気づいて寝室に向かい、バートンが死んでいたために驚く。

現れた小人を追ったフランコは、バスルームにいた小人を見つけるものの、苦しみながら息を引き取る。

警察署で警部と話したフランクは、奇形児を産んだジュリアンが屋根裏部屋に隠していたのだろうと言われる。

ノーラからの電話を受けたルースは、フランクとの関係を疑われて罵倒される。

ルースは、その直後にかかってきた電話にはでなかった。

小人の検死に立ち会ったフランクは、肩甲骨の間のコブが空だったことを知る。

検視官から、そこにあった栄養素がなくなったために死んだと言われたフランクは、へそがないので、通常のお産によって生まれた人間ではないことが分かる。

ラグランをルースと思いながら話すノーラは、皆の幸せのためにフランクと結婚すると言われ、夫に構わないでほしいと伝えて苛立つ。

帰宅したフランクは、何度も電話したのに出なかったとルースに伝える。

ルースから、ノーラからの電話があったので出なかったと言われて驚いたフランクは、彼女を見送る。

キャンディスの様子を見に行ったフランクは、怖い夢を見たので眠れないと言う彼女に、祖母を襲った者は死んだと伝えて安心させる。

ケリー家で起きた二件目の殺人事件を知ったラグランは、患者を全員退院させることをクリスに伝える。

患者のマイクは動揺するものの、クリスに説得されて施設を離れる。

ジャンに呼ばれたフランクは、ソマフリーの患者のマイクを紹介され、ノーラは女王蜂でラグランのお気に入りだと言われる。

公開治療でマイクを知っていたフランクは、ジャンから、施設が閉鎖されたものの、ノーラだけが残ったと言われる。

その理由を知ろうとするフランクにマイクは、ラグランがノーラと二人きりになりたいからだと伝える。

施設の裏にある納屋に向かったラグランは、二階の窓が破られていることを知り、銃を手にして警戒する。

フランクに送ってもらい幼稚園でルースに迎えられたキャンディスは、教室に現れた二人の小人に部屋の外に出される。

小人達はルースに襲い掛かり、一人の子供が外に出てフランクに助けを求める。

教室に向かったフランクは、ルースが殺されていることを知り、姿が見えないキャンディスを捜す。

眠っていたノーラを起こしたラグランは、彼女とルースの話をする。

ノーラが入院する前にキャンディスと暮らしていた部屋を確認したフランクは、小人が娘を連れ去ったと考える。

その後、キャンディスの捜索願を出したフランクは、現れたマイクから、ラグランが納屋にいる異様な子供を使ってある計画を考えていると言われる。

施設に向かい、納屋から出てきたラグランにルースが殺されてことを知らせたフランクは、驚く彼にキャンディスを返すようにと伝える。

小人が連れて行ったとしたら二階にいるはずだと言われたフランクは、その場に向かおうとするものの、ラグランに銃を向けられる。

キャンディスも同類なので渡さないと言われたフランクは、ノーラが小人達の産みの親だと知らされて驚く。

それはノーラの怒りの産物であり、先週、彼女がキャンディスを叱った際、その”ブルード/同腹児”が彼女を傷つけ、両親への怒りで二人も殺したことを、ラグランはフランクに話す。

ルースも殺されたために、今度は君か自分かもしれないと言うラグランは、ノーラは正気ではないと伝える。

キャンディスを連れ戻したいと言うフランクに、ノーラと話し、やり直したいと伝えるようにとラグランは指示する。

ノーラが落ち着けばブルードも平静になるので、その隙に屋根裏部屋に行きキャンディスを連れ出すと言うラグランを、フランクは信用できなかった。

それしか方法がないと考えたフランクは納屋に入り、治療中は会えないと言うその場にいたノーラと話をする。

ルースのことで誤解をしていると言うフランクは、永遠に愛し続けると伝えるものの、ノーラに信じてもらえない。

二階に向かったラグランは、内部を調べてキャンディスを捜す。

フランクに説得されるものの、今の自分は特別な人間だと伝えたノーラは、それでも一緒に生きていきたいと言われたために下腹部を見せる。

袋状のようなものを確認したフランクは驚く。

眠っていたキャンディを起こしたラグランは、両親が下で話をしていると伝える。

ノーラが、袋から胎児を取り出す姿を見たフランクは動揺する。

フランクがキャンディスを連れ戻しに来ただけだと考えたノーラは、彼を責める。

キャンディスに部屋から出るよう指示したラグランは、ブルードに襲われ、銃を発砲して抵抗する。

連れて行く気ならキャンディを自分で殺すと、ノーラはフランクに伝える。

ラグランを殺したブルードに迫られたキャンディスは、部屋を出て鍵を閉める。

キャンディスの叫び声を聞いたフランクは、君しか止められないとノーラに伝える。

ノーラが納得しないために仕方なく彼女を殺したフランクは二階に向かい、ブルードとラグランが死んでいることを確認する。

キャンディスを助け出したフランクは車に向かい、家に帰ろうと伝える。

放心状態のキャンディスの腕には、デキモノができていた。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
カナダトロント
ソマフリー医療施設を運営する心理療法士のハル・ラグラン博士は、精神障害患者の感情を引き出す”サイコプラズミックス”と呼ばれる療法を行っていた。
収容されている患者である妻のノーラが、一緒に過ごした娘キャンディを傷つけた疑いを持ったフランクは、彼女に会わせようとしないラグランの治療の危険性を証明しようとする。
その後、キャンディスを預けた義母ジュリアナが何者かによって殺害される事件が起きたために、フランクは動揺する。
ジュリアナと離婚したバートンは、葬儀のために街に到着するが、娘のノーラとの面会を断られ、家に潜んでいた小人”ブルード”に殺される。
事件を知ったフランクはブルードの検死に立ち会い、それが人間でないことを知る・・・。
__________

短編を含めると既に10年以上のキャリアがあった、デヴィッド・クローネンバーグの脚本を兼ねた作品。

子供に扮する謎の小人”ブルード”の異様な雰囲気、終盤にかけては、ボディ・ホラーの特徴を生かしたデヴィッド・クローネンバーグの特異な演出など、初期の彼の作品の中で「ラビッド」(1977)、そして「スキャナーズ」(1981)と共に注目したい作品。

最先端技術を駆使した現代の作品とは比較にならない、”手作り”感覚がまた新鮮でもあり、謎めいた雰囲気の心理療法士オリヴァー・リードと、その実験台になる患者を演ずるサマンサ・エッガーの熱演にも注目したい。

心理療法士の治療の危険性を疑い、患者である妻の秘密を知ろうとするアート・ヒンドル、その娘シンディ・ハインズ、その祖父母でブルードに殺されるハリー・ベックマンとナーラ・フィッツジェラルド、同じく殺される保母のスーザン・ホーガン、精神患者のゲイリー・マッキーハン、主人公の助手ニコラス・キャンベル、警部のマイケル・マギー、主人公に助言をする元患者のロバート・A・シルヴァーマンなどが共演している。


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