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トコリの橋 The Bridges at Toko-Ri (1955)

ピューリッツァー賞受賞作家ジェームズ・A・ミッチェナーが1953年に発表した同名小説を基に製作された作品。
朝鮮戦争下、重要な攻撃任務を控えるアメリカ海軍ジェットパイロットの家族や同僚との関係を描く、監督マーク・ロブソン、主演ウィリアム・ホールデングレイス・ケリーフレドリック・マーチミッキー・ルーニー共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(戦争)


スタッフ キャスト ■
監督:マーク・ロブソン
製作
ウィリアム・パールバーグ
ジョージ・シートン
原作:ジェームズ・A・ミッチェナー
脚色:ヴァレンタイン・デイヴィース
撮影:ロイヤル・グリグス
空中撮影:チャールズ・G・クラーク
編集:アルマ・マックローリー
音楽:リン・マレー

出演
ウィリアム・ホールデン:ハリー・ブルーベイカー大尉
グレイス・ケリー:ナンシー・ブルーベイカー
フレドリック・マーチ:ジョージ・タラント提督
ミッキー・ルーニー:マイク・フォーニー
アール・ホリマン:ネスター・ギャミッジ
チャールズ・マッグロー:ウェイン・リー中佐
ロバート・ストラウス:ビア樽
淡路恵子:キミコ

アメリカ 映画
配給 ラマウント・ピクチャーズ
1955年製作 102分
公開
北米:1955年1月20日
日本:1955年2月27日


アカデミー賞 ■
第28回アカデミー賞
・ノミネート
編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
朝鮮戦争の最中、朝鮮近海で演習するアメリカ海軍第77機動部隊ジェットパイロット、ハリー・ブルーベイカー大尉(ウィリアム・ホールデン)は、 燃料切れで海上に不時着する。

報告を受けたジョージ・タラント提督(フレドリック・マーチ)は、ブルーベイカーの安否を気遣う。

ブルーベイカーは、救援ヘリコプターのマイク・フォーニー(ミッキー・ルーニー)と、同僚ネスター・ギャミッジ(アール・ホリマン)に救助される。

編隊長ウェイン・リー中佐(チャールズ・マッグロー)は、医務室に運ばれたブルーベイカーを見舞い、タラント提督の元に向かうよう彼に伝える。

ブルーベイカーは第二次大戦に従軍したものの、職業軍人ではなく弁護士出身の民間人だった。
...全てを見る(結末あり)

タラント提督は、敵陣の要所”トコリの橋”の爆撃任務が控えていることをブルーベイカーに伝える。

戦争に対して懐疑的であり、軍人としては精神的な弱さがあるブルーベイカーのことが、タラント提督は気にかかっていた。

空母が横須賀に寄港し、艦長が、プロペラ機のエンジンを全開にして、艦を埠頭に近づけようとしていることを知ったリー中佐は、タラント提督にそれを報告して抗議する。

しかし、プロペラ機の使用が適当な判断だと提督に言われたリーは、引き下がってしまう。

上級訓練官への昇進の話も出ていたリーが、自分の意見で簡単に主張を変えた姿を見たタラント提督は、彼の昇進を見合わせる決断をする。

ブルーベイカーは、タラント提督から、日本に妻子が来ていることを知らされ、迎えに来た妻ナンシー(グレイス・ケリー)との一年ぶりの再会を喜ぶ。

また、フォーニーも日本人女性キミコ(淡路恵子)の出迎えに感激する。

ホテルで子供達の歓迎を受けたブルーベイカーだったが、フォーニーが東京で喧嘩をして問題を起こしたため、身柄を引き取りにいかなければならなくなる。

ナンシーはそれを引き止めるが、命の恩人を見捨てるわけにはいかないブルーベイカーは東京に向かう。

同席していたタラント提督は、恩人を助けようとするブルーベイカーの気持ちをナンシーに伝え、軍人の妻としての心構えを、実体験を基に助言する。

ブルーベイカーは、ギャミッジと共にフォーニーを引き取り、二人に横須賀に戻るようよう指示を出す。

しかしフォーニーは、喧嘩の原因である、他の男に心変わりしたキミコに会って欲しいと、ブルーベイカーを説得する。

キミコのいるナイトクラブに向かったブルーベイカーだったが、彼女の気持ちは変わらず、再びフォーニーが癇癪を起して暴れだそうとする。

ギャミッジがフォーニーを殴り、彼を気絶させて店から連れ出し、二人は横須賀に、ブルーベイカーはホテルに戻る。

ブルーベイカーを待っていたナンシーは、家族の様子などを話し始めるが、夫の任務の不安が過ぎり、思わずその内容を聞こうとする。

それを正直に答えたブルーベイカーに、ナンシーは支えとなることを告げる。

家族とのひと時を過ごしたブルーベイカーは、出航を前にナンシーを空母に連れて行く。

キミコの相手を見つけたフォーニーは、再び喧嘩を始めるが空母は出航となる。

ブルーベイカーはナンシーとの別れを惜しみ、そして空母は横須賀を出航する。

朝鮮最大の軍事拠点”トコリの橋”爆破作戦実行のため、リー中佐は、ブルーベイカーを伴い偵察飛行に向かうことになる。

ブルーベイカーは、リー中佐と”F9F-2 Panther”で空母を飛び立ち、目的地で激しい敵の砲撃に遭いながらも、任務を終えて空母に向かう。

リー中佐が着艦に失敗したため、ブルーベイカーが着陸できず、彼は再び海面への着水の不安が過ぎる。

着艦か着水かの選択で、着艦を選んだブルーベイカーは、ビア樽(ロバート・ストラウス)の誘導で何とか着陸に成功する。

その後、軍医に休養を取るよう言われたブルーベイカーは、フォーニーとギャミッジが移動になったことを知らされてショックを受ける。

フォーニーとギャミッジに別れを告げたブルーベイカーは、攻撃編隊の作戦会議に参加するが、リー中佐が撮影した橋の上空のフィルムなどを見て、精神的なダメージを受ける。

部屋に戻ったブルーベイカーは、不安を抱えながら覚悟を決めナンシーに手紙を書く。

リー中佐がブルーベイカーを気遣い、部隊全体の危険も考慮し、彼に任務を降りることも提案する。

ブルーベイカーは、悩んだ末に予定通り任務を遂行することを決めて空母を飛び立つ。

3編隊での攻撃は、第一波では壊滅的な打撃は与えられず、第二波攻撃で全ての橋梁を破壊する。

第二目標地点を爆撃した編隊の中で、ブルーベイカーの機は損傷し、リー中佐が彼を援護して海に向かい、救援ヘリの出動を要請する。

フォーニーとギャミッジが現場に向かうが、ブルーベイカーの機は燃料が切れて平地に不時着する。

機体から脱出したブルーベイカーは、友軍機の援護射撃で敵兵から逃れる。

そこに、フォーニーのヘリが現れて着陸するものの、ギャミッジは敵の銃弾に倒れ命を落とす。

迫る敵に二人は勇敢に立ち向かうが、フォーニーは手榴弾で爆死し、ブルーベイカーも銃撃を受けて死亡する。

タラント提督は、ブルーベイカーら3名の戦死の報告を情報部から受ける。

ブルーベイカーを見捨てたリー中佐を、タラント提督は責めるが、「最善を尽くし任務は成功した」とリーは返答する。

世界や国家間の戦略を、前線で任される責任ある立場の自分が、個人的な私情は抑えるべきだと痛感したことを理解した、リー中佐の指揮官としての資質をタラント提督は評価する。

そしてタラント提督は、戦争による犠牲の尊さを実感する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1952年11月。
朝鮮戦争の最中、アメリカ海軍の第77機動部隊ジェットパイロット、ハリー・ブルーベイカー大尉は、タラント提督に呼ばれる。
ブルーベイカーは、敵陣の要所”トコリの橋”の爆撃任務が待ち構えていることを知らされる。
弁護士であり職業軍人でないブルーベイカーが、戦争に対して懐疑的で、軍人として精神的な弱さがあることを提督は懸念する。
その後、空母は横須賀に寄港し、妻ナンシーや子供達が来ていることを知ったブルーベイカーは、家族との再会を喜ぶ。
また、訓練中ブルーベイカーを救助した、ヘリコプターの救援部隊員フォーニーも、日本人女性キミコの出迎えに感激する。
休暇を終えた、ブルーベイカーらを乗せた空母は出航し、朝鮮最大の軍事拠点”トコリの橋”爆破作戦実行のため、リー中佐はブルーベイカーを伴い、偵察飛行に向かうことになる・・・。
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まず、冒頭でもあるように、アメリカ海軍の全面協力による、”空母オリスカニー”艦上のロケやジェット戦闘機の”F9F-2 Panther”などの空中撮影は、当時としては画期的な映像であり迫力満点だ。

マーク・ロブソンは、戦意高揚的内容を、押し付けがましくなく無難に描いている。

第28回アカデミー賞では、編集賞にノミネートされた。

戦争に懐疑的な主人公ウィリアム・ホールデンが、家族との幸せなひと時を過ごした直後に戦死するという悲劇を描きつつ、ラストはそんな犠牲を伴うのが戦争だという、正当性を強調するところがいかにもアメリカ映画らしい。

大々的に行われ、話題にもなった日本ロケも、当時は、国辱的と捉えた人々が多かったらしい。

当時、全盛期のウィリアム・ホールデンと、翌年モナコ王妃になるために引退する妻役グレイス・ケリー、さらには提督役のベテラン、フレドリック・マーチという、豪華な顔ぶれも注目だ。

また、子役時代から一世を風靡した青年期を過ぎ、一気にスランプに陥ったこともあるミッキー・ルーニーも、喧嘩っ早い救難兵を好演している。

救難兵アール・ホリマン、終盤指揮官としての資質を発揮する編隊長チャールズ・マッグロー、彼にしてはあまり存在感を発揮しない誘導兵ロバート・ストラウス、フォーニー(M・ルーニー)の元恋人役の淡路恵子などが共演している。


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