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真夜中のパーティー The Boys in the Band (1970)

1968年にオフ・ブロードウェイで上演された、マート・クロウリー原作”The Boys in the Band”を基に製作された作品。
友人の誕生パーティーを催したゲイ仲間達の一晩の出来事を描く、監督するウィリアム・フリードキンケネス・ネルソンクリフ・ゴーマン他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:ウィリアム・フリードキン

製作総指揮
ドミニク・ダン

ロバート・ジラス
製作:マート・クロウリー
原作:マート・クロウリーThe Boys in the Band
脚本:マート・クロウリー

撮影:アーサー・J・オーニッツ
編集
ジェラルド・B・グリーンバーグ

カール・レーナー
音楽:チャールズ・フォックス

出演
マイケル:ケネス・ネルソン

ドナルド:フレデリック・コムズ
エモリー:クリフ・ゴーマン
ハンク:ローレンス・ラッキンビル
ラリー:キース・プレンティス
アラン・マッカーシー:ピーター・ホワイト
バーナード:ルーベン・グリーン
カウボーイ・テックス:ロバート・ラ・トゥールノウ
ハロルド:レオナルド・フレイ

アメリカ 映画
配給 National General Pictures

1970年製作 119分
公開
北米:1970年3月17日
日本:1972年2月5日
製作費 $5,500,000
北米興行収入 $2,700


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1960年代末、ニューヨークアッパー・イースト・サイド
マイケル(ケネス・ネルソン)のアパートを訪ねた、ゲイである友人のドナルド(フレデリック・コムズ)は、同じく友人ハロルド(レオナルド・フレイ)の誕生パーティーの準備を始める。

そこに、マイケルの学生時代の親友で弁護士のアラン・マッカーシー(ピーター・ホワイト)から電話が入る。

アランは会いたいことを伝えるのだが、マイケルは先約があり集まりがあることを彼に告げる。

しかし、アランが涙しながら深刻な悩みを抱えていることを知ったマイケルは、彼に招待することを伝える。

育ちのいい、ストレートで堅物のアランが来ることとなり、マイケルはやや不安を抱えながら、それをドナルドに知らせる。
...全てを見る(結末あり)

そこに来客があり、アランだと思ったマイケルであったが、エモリー(クリフ・ゴーマン)、カメラマンのラリー(キース・プレンティス)とそのパートナーで数学教師のハンク(ローレンス・ラッキンビル)らだった。

マイケルは、集まった友人達にストレートのアランが来るため、それなりの対応をとってほしいことを伝える。

その後、黒人のバーナード(ルーベン・グリーン)が現れ、マイケルは、来られなくなったというアランからの連絡を受ける。

パーティーは始り、一同は楽しい時を過ごしながらハロルドを待つ。

そこに、来れないと連絡しながら、実は近くから電話をしていたと言うアランが訪ねて来る。

マイケルは驚くが、とりあえず彼を友人達に紹介して、約束を守らずに、ゲイそのものの態度で彼に接するエモリーを別室に連れて行き非難する。

アランは、突然現れたことをハンクに謝罪するが、ラリーは、ハンクに話しかける彼に迷惑そうな顔をする。

戻ったマイケルも加わり、ハンクと家族の話などをしていたアランは、彼が離婚調停中であり、ラリーと暮らしていることを知る。

動揺したアランは、事情を話そうとするマイケルに、スコッチを飲んだら帰ることを伝える。

アランに皮肉を言うラリーに、ハンクは自分に対する嫉妬だと言ってそれを非難する。

マイケルと話をしたアランは、情況を理解するものの、エモリーだけは我慢できないことを伝える。

仲間達のことをとやかく言われ、電話で泣いていた理由もまともに話さないアランの態度に、マイケルは次第に苛立ち始める。

雨が降り始め、二人以外も険悪なムードになりかけた時に、エモリーのハロルドへのプレゼントのカウボーイ・テックス(ロバート・ラ・トゥールノウ)が現れる。

アランは帰ることになり、彼は、一同に声をかけて立ち去ろうとするが、エモリーが嫌味を言ったために、二人は争いになる。

殴り合いが始まり騒動となるが、その時ハロルドが現れる。

ハロルドの登場でその場の雰囲気は一変し、彼はプレゼントのカウボーイを、外見だけは気に入るものの、知性のなさを指摘して相手にしない。

マイケルは、約束の時間に来ないハロルドが、マリファナを吸いながら気に障る態度で話すのに嫌気がさす。

二人はいがみ合うのだが、ケーキが運ばれてきたためにその場は盛り上がり、彼にプレゼントも渡される。

マイケルから、文字入りの彼の写真を贈られたハロルドは彼に例を言う。

気まずい気分のマイケルは、ラリーからダンスを誘われるもののそれを断り、ハンクもパートナーを無視する。

雷雨となり、一同は部屋の中に入り、マイケルは、帰ろうとするアランを引き止めてゲームを始めようとする。

アランも納得して残ることになり、マイケルは、電話で愛する者に告白してポイントを争うゲームを提案する。

それを聞いたアランは気が変わり、ハンクを連れてその場を去ろうとする。

マイケルは、ハンクがラリーと愛し合う仲だということをアランに知らせる。

ハンクが既婚者であることを聞いていたアランだったが、マイケルは、彼がバイセクシャルであることを伝える。

マイケルはハロルドに電話を渡すが、彼はそれを拒み、バーナードが最初に電話をすることになる。

電話をしたバーナードは、妻が出たために何も伝えられず、相手がデートで出かけていることを知り、連絡したことを後悔する。
次にエモリーが、小学生の頃から好意を持つ、現在は歯科医になった相手の電話番号を調べる。

エモリーは相手のことを語り、周囲に自分の気持ちが知られて侮辱を受けた、辛い思い出を話して涙する。

バーナードは、心を許すエモリーが傷つくと考え、電話をすることを止めさせようとする。

しかし、マイケルが、黒人のバーナードに人種問題を絡めて意見したため、二人は諍いとなる。

エモリーは電話をかけるものの相手が話し中で、マイケルは、後回しにすると言ってラリーに電話機を渡す。

それを不満に思うエモリーは電話機を奪い、マイケルに促されて電話をかける。

エモリーは、相手と簡単な会話をするものの、名前も伝えないうちに、間違い電話だと言われて切られてしまう。

次に、ハンクが電話をかけ、嫉妬するラリーは心穏やかでない。
しかしハンクは、電話代行でラリーに愛を告げてポイントを稼ぎ、バーナードとエモリーを上回る。

アランがハンクの気持ちを疑ったため、妻子まで捨ててゲイに目覚めた時のことをハンクは語る。

干渉され過ぎることを嫌うラリーは、愛に迷い苦悩しながらハンクと妥協策を考えるが、愛を伝えながら浮気も必要だと言って譲らない。

マイケルが、それを告白だと認めないため、ラリーは別の電話機からその場に電話をかける。

二人は愛を確認して、ラリーがゲームの勝者だということになるが、マイケルがアランに電話をかけさせようとする。

カウボーイは、マイケルはゲームをしないのかを問うが、ハロルドは、愛した相手などいないと言って彼を皮肉る。

ユダヤ人のハロルドを罵倒するマイケルは、ラリーがその場を離れようとしたため、再度の参加は認めないことを伝える。

しかし、ラリーはそれを無視して、二階の部屋に行ったハンクの元に向かう。

マイケルは、ラリーとハンクがすることをアランに伝えようとするが、ハロルドが口を出す。

それを遮ろうとしたマイケルだったが、逆にハロルドに言い返されてしまう。

苛立つマイケルは、アランに、友人と関係したことがあるゲイだと認めさせようとする。

アランはそれを否定して、相手の作り話だと言うのだが、納得しないマイケルは電話をかけようとする。

電話機を奪い自分で相手にかけたアランは、愛を告白することをマイケルに強要される。

アランは相手に愛を告げて、興奮するマイケルは満点だと言って受話器を奪いうが、会話の相手はアランの妻だった。

マイケルは動揺しながら話をして受話器をアランに渡し、彼は、妻に再び愛を告げて翌朝帰ることを伝える。

電話を切ったアランは、マイケルに感謝してその場を去って行く。

勝負の行方を眠っていたカウボーイに聞かれたドナルドは、引き分けだと伝える。

惨めさを感じて呆然とするマイケルに、ゲイであることから逃れられないと、ハロルドは、容赦なく言葉を浴びせるて、カウボーイを連れてその場を引き上げる。

帰り際にハロルドは、笑させてもらったことをマイケルに感謝し、翌日に電話すると言って立ち去る。

エモリーもバーナードと共に帰り、ショック状態に近い取り乱すマイケルは、ドナルドの名を叫びながら泣き崩れる。

ドナルドに薬をもらい落ち着いたマイケルは、ミサに行って祈りを捧げようとする。

アランが、なぜ電話で泣いたのかを尋ねるドナルドに、マイケルは、妻との不仲が原因だろうと伝える。

そしてマイケルは、父親が死に際に言った言葉をドナルドに伝える。

”人生は何一つ理解できない・・・”

ボトルを空けて帰るというドナルドに、電気を消して行くよう伝えたマイケルは部屋を出る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1960年代末、ニューヨーク
アッパー・イースト・サイドのアパートで暮らすゲイのマイケルは、友人ドナルドと共にハロルドの誕生パーティーの準備を始める。
そこに、マイケルの学生時代の友人で弁護士のアランから連絡が入る。
会いたいというアランに、先約との集まりがあることを伝えたマイケルだったが、泣きながら話す彼が心配になりその場に招待する。
友人達、エモリー、カップルのハンクとラリー、そしてバーナードも現れ、一同は楽しい夜を過ごそうとする。
そこに、一度は行けなくなったと連絡をよこしたアランが現れる。
マイケルは、アランが、自分達とは違うストレートだったために、それなりの対応を友人達に求めてあった。
しかし、アランは、その場の者達の様子に気づき嫌悪感を抱く。
エモリーに皮肉を言われたアランは彼を殴り騒動となるが、そこにハロルドが現れ、その場の雰囲気は一変する・・・。
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映画史上に残る傑作「フレンチ・コネクション」(1971)と「エクソシスト」を直後に監督するウィリアム・フリードキン作品として注目すべき一編。

今でこそ違和感なく観れるが、激動の1960年代末、その時代としては衝撃の異色作とも言える、この種の作品の先駆けとなった。

街を行く登場人物達(ゲイ)は、人々に奇異な目な目で見られながら、自分達の世界であるアパートの一室で楽しもうとする。
しかし、その場に現れた異質(ストレート)な人物の登場で、一気に状況は急展開する。
そこは、怒りや嫉妬、疎外、嫌悪、孤独感に苛まれる混迷の空間に変貌し、ショック状態とも言える状況を生々しく描く、若きウィリアム・フリードキンの力感ある演出手腕を高く評価したい。

舞台で演じた役者が映画でも同じ役を演じ、実際にゲイであった何人かはAIDSなどで亡くなっている。

アパートの住人であるパーティーの主催者ケネス・ネルソン、その友人フレデリック・コムズクリフ・ゴーマン、カップルのローレンス・ラッキンビルキース・プレンティスルーベン・グリーンレオナルド・フレイ、男娼役のロバート・ラ・トゥールノウ、マイケル(K・ネルソン)の学友ピーター・ホワイトなどが共演している。


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