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ボーダー The Border (1982)

メキシコからの不法入国者を取り締まる国境警備員が不正に立ち向かう姿を描く、監督トニー・リチャードソン、主演ジャック・ニコルソンハーヴェイ・カイテルヴァレリー・ペリンウォーレン・オーツエルピディア・カリロ他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

ジャック・ニコルソン / Jack Nicholson 作品一覧
ジャック・ニコルソン / Jack Nicholson / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:トニー・リチャードソン

製作:エドガー・ブロンフマンJr.
製作総指揮:ニール・ハートレイ
脚本:
デリック・ウォッシュバーン
ウォロン・グリーン
デヴィッド・フリーマン
撮影:リック・ウェイト
編集:ロバート・K・ランバート
音楽:ライ・クーダー

出演
チャーリー・スミス:ジャック・ニコルソン
キャット:ハーヴェイ・カイテル
マーシー・スミス:ヴァレリー・ペリン
レッド:ウォーレン・オーツ
マリア:エルピディア・カリロ
ビーフ:ダーク・ブロッカー
フアン:マニュエル・ビエスカス
J.J.:ジェフ・モリス
マヌエル:マイク・ゴメス
サヴァンナ:シャノン・ウィルコックス

アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1982年製作 109分
公開
北米:1982年1月29日
日本:1982年6月12日
製作費 $22,000,000
北米興行収入 $6,118,680


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
メキシコフアレス
子供の洗礼式を行っていたマリア(エルピディア・カリロ)は、大地震が起きたため教会から脱出しようとする。

瓦礫の下敷きになった夫は亡くなり、子供を抱いたマリアは、弟のフアン(マニュエル・ビエスカス)と共に被害に遭った町の中を当てもなく歩く。

ロサンゼルス
出入国管理局の捜査官チャーリー・スミス(ジャック・ニコルソン)は、仕事を終えてトレーラーハウスの自宅に向かう。

浪費家の妻マーシー(ヴァレリー・ペリン)から、テキサスエルパソに住む友人サヴァンナ(シャノン・ウィルコックス)の隣りの家が空いていると言われたチャーリーは、そこを買うつもりの彼女にそんな金はないと伝える。

物事は前向きに考えるようにとチャーリーに伝えたマーシーは、彼を説得する。

野宿をして一夜を明かしたマリアは、子供を抱きフアンと共に町を離れ国境に近づく。

結局、家を購入したチャーリーは、マーシーと共に車でテキサスに向かう。
...全てを見る(結末あり)

エルパソ
サヴァンナに迎えられたマーシーは、チャーリーを紹介する。

チャーリーは、サヴァンナの夫キャット(ハーヴェイ・カイテル)と息子のティミーに挨拶する。

サヴァンナに促され、マーシーを抱いて新居に入ったチャーリーは、小さいながらもプールもある家に満足して感激する彼女と共に喜ぶ。

その後、キャットの紹介で彼が働く国境警備隊員になったチャーリーは、相棒のホーカーと共に警備を始める。

夜になり、不法入国者の逮捕現場からある場所に向かったチャーリーは、ホーカーが銃撃されたために驚く。

呼びかけてもホーカーが返事をしないために、チャーリーは本部に連絡し、暫くしてキャットが駆け付けて銃撃戦になる。

ホーカーが死んでいることを確認したキャットは、チャーリーと共に本部に戻る。

隊長のレッド(ウォーレン・オーツ)を紹介されたチャーリーは、彼に挨拶して歓迎される。

その後、ホーカーの葬儀が行われ、チャーリーらも参列する。

国境のリオ・グランデ川にいたマリアに声をかけたチャーリーは、フアンに車のホイールを盗まれてしまう。

フアンを叱ったマリアは、ホイールをチャーリーに返す。

マリアに感謝したチャーリーだったが、彼女は姿を消してしまう。

帰宅したチャーリーは、マーシーがウォーターベッドを買ったことを知り、金額を気にする。

後払いなので心配いらないと言うマーシーは、チャーリーを誘い、ベッドで愛し合おうとする。

チャーリーは、1,589ドルという値札を確認する。

翌日、キャットと共に不法入国者を見つけたチャーリーは、逃げた男を追い捕える。

男が隠していた麻薬を見つけたキャットは、チャーリーに逮捕させる。

車に乗せられるマリアに気づいたチャーリーは、彼女に唾を吐かれ罵倒される。

本部に戻ったチャーリーは、捕えた男を留置場に入れる。

メキシコ側の協力者マヌエル(マイク・ゴメス)をキャットから紹介されたチャーリーは、連行されたマリアとフアンのことが気になる。

強制送還しても、こちら側の金持ちがまた川を渡らせるとチャーリーに話すキャットは、人生には努力しても無駄なことがあると伝える。

いい暮らしをするための方法があると言われたチャーリーは、興味がないと伝えてその場を去る。

帰宅したチャーリーは、テレビに出演したいと言うマーシーに、馬鹿げた話だと伝える。

休日に国境に向かったチャーリーは、川を渡ってメキシコ側の様子を見て回り、先日捕えた男の死体を見つける。

誕生パーティーが行われているレッドの家に向かい、キャットに死体の件を知らせたチャーリーは、男はマヌエルに引き渡したと言われる。

麻薬の運び屋だった男は彼らの掟に従い殺されたので、自分たちには関係ないと言うキャットは、珍しいことではないとチャーリーに伝える。

その件を知ったレッドは、テキサス・レンジャーに通報したと言うチャーリーに、何をしてきたのか尋ねる。

トラブルを避けるために、自分の部下にはメキシコ側に行ってほしくないと言うレッドは、楽しむようにとチャーリーに伝える。

バースデーケーキが運ばれ、レッドはロウソクを吹き消す。

数日後、同僚達と共に貨物列車に乗り込む不法入国者を取り締まったチャーリーは、マリアから離れて逃げようとして列車の下敷きになりそうなフアンを助ける。

本部に連行されたマリアらはを拘束され、マヌエルは彼女に目をつける。

マリアに声をかけた女は、彼女が顔を洗う間に子供を預かり、マヌエルの指示でその子を連れ去る。

レッドと話したチャーリーは、この場では大金が動いているので、要領よく行動するようにと言われる。

息子がいないことに気づいたマリアは取り乱し、それを知ったフアンらは、フェンスをよじ登り騒ぎになる。

それを知ったレッドは外に出て、メキシコ人をバスに乗せて強制送還する指示を出し、騒ぎを鎮める。

マリアらは無理矢理にバスに乗せられ、メキシコに向かう。

マヌエルが子供を誘拐したことを知ったキャットは、彼と話しその件を非難する。

白人の金持ちに買われた子供は何不自由なく暮らせると、マヌエルはキャットに話す。

密入国者に関わるだけで、子供や麻薬にまで手を広げる気のいないキャットは、問題を起こすなら砂漠に葬ると言ってマヌエルを脅す。

キャットは、マヌエルから商売敵の存在を知らされる。

その後も続くマーシーの浪費に、我慢の限界に達したチャーリーは、意見する彼女を殴ってしまう。

マーシーに謝罪したチャーリーはバーに向かい、先日の件を考えてもいいとキャットとに伝える。

チャーリーを連れて待合所に向かったキャットは、不法入国者の仲介者J.J.(ジェフ・モリス)を紹介する。

J.J.に母親を侮辱されたチャーリーは苛立つが、彼に銃を向けられ、キャットになだめられる。

チャーリーが気に入らないJ.J.は、警戒するようにと忠告し、キャットに現金を渡す。

その後、マーシーを満足させる生活ができるようになったチャーリーは、自宅でバーベキュー・パーティーを開く。

悪酔いしているサヴァンナを家に帰そうとしたキャットだったが、それに逆らう彼女は騒ぎを起こす。

料理を担当するチャーリーは、マーシーに指図されてウンザリしてしまう。

数日後、国境付近を監視していたチャーリーは、キャットの指示であるトラックを追う。

チャーリーが捕らえたのが商売敵だと知ったキャットは、彼を連れてその場を去る。

暫くして銃声が聴こえたため、チャーリーはキャットが男を殺したと考える。

本部に戻ったチャーリーは、その件でキャットと口論になる。

相手が銃を隠し持っていたと言われたチャーリーは、それを見逃したことを、キャットに責められる。

キャットから、ビジネスを守るためには必要だと言われたチャーリーは納得できず、絶対に殺しには関わらないと伝えて考えを変えない。

結婚した当時とは変わってしまったと言って、チャーリーの話をして嘆くマーシーは、サヴァンナに励まされる。

バーで飲んでいたチャーリーは、外にいたフアンに気づき、マリアのことを尋ねて5ドルで案内させる。

クラブに案内されたチャーリーは、マリアが、子供のために仕方なく働いていることをフアンから知らされる。

子供は浚われて、金を払えば返すと言われていることを知ったチャーリーは、店のオーナーであるマヌエルに声をかけられる。

マリアと話したチャーリーは、邪魔をしたら店を叩き壊すと言ってマヌエルを脅し、彼女を連れてその場を去ろうとする。

男たちに襲われたチャーリーは叩きのめされ、店から放り出される。

翌日、昨夜のチャーリーの件をマヌエルから知らされたキャットは、手を打たなければ問題になると言われたため、自分に任せろと伝える。

キャットの計画とは知らずに、ある男を捕らえたチャーリーは、本部に戻り、同僚のビーフ(ダーク・ブロッカー)から、男が何人連れていたか訊かれる。

車は空だったと答えたチャーリーは二人いたと言われ、現場に戻りそれを確認する。

荷台の惨殺死体を確認したチャーリーは嘔吐してしまい、ついて来たキャットは彼を気遣う。

車は確かに空だったと言うチャーリーに、死体があるのは確かであり、今回は庇ってやるので今後は自分に従えと伝えたキャットは、車を川に沈めるよう指示する。

それに従ったチャーリーは、帰宅するものの朝まで眠れず、起きて来たマーシーは彼のことを心配する。

その後、フアンを捜したチャーリーは、マリアの元に案内させる。

マリアと話したチャーリーは、国境を越えさせると言って金を渡し、案内人の住所を教える。

体で恩返ししようとするマリアに、その必要はないと伝えたチャーリーは、助けてくれる理由を訊かれる。

いい人間でいたい時もあり、子供を捜すのも手伝いたいと言うチャーリーは、意味が分かっていない彼女に微笑んで安心させ、感謝される。

翌日、本部で待機していたチャーリーは、キャッと共に川に向かう。

別の場所で、川を渡る不法入国者の取り締まりが始まるが、キャットは対岸に合図する。

マリアとフアンらは川を渡り、チャーリーはそれを監視する。

J.J.の元に向かったキャットとチャーリーは、メキシコ人の到着を待つ。

現れたマリアらはトレックに乗せられ、J.J.から金を受け取ったキャットは、彼女らを気にするチャーリーと共にその場を去る。

残したフアンらが怪しいと言うマヌエルから、それを知らされたJ.J.は、麻薬を隠していた彼らを銃撃する。

逃げたフアンはメキシコ側に向かうものの、J.J.に銃撃される。

同僚がトラックを追跡するという無線を聴いたチャーリーは、金は受け取ったので気にすることはないと言うキャットと共に本部に戻る。

キャットと別れたチャーリーは、トラックの追跡現場に向かう。

ビーフらも駆け付けて追跡に加わり、ハンドルを誤ったトラックは横転してしまう。

トラックから降ろされた、怪我をしたマリアを気遣うチャーリーは、フアンがいないことに気づく。

マリアを自宅に連れて行ったチャーリーは、彼女の傷の手当てをする。

フアンを待つことにしたチャーリーは、マーシーにマリアを任せて出かける。

銃弾を受けたものの無事だったフアンは、川を渡りメキシコに戻る。

J.J.の元に向かったチャーリーは、レッドの車に気づく。

今回の事件は運が悪かったとJ.J.に伝えたレッドは、手数料が減ったことで納得いかないと言われる。

その場に侵入して二人に銃を向けたチャーリーは、J.J.にフアンのことを訊き、メキシコに逃げたと言われる。

家に戻ったチャーリーは、メキシコにいるフアンの元にマリアを連れて行こうとする。

自分とマリアの関係を気にするマーシーに、必ず戻って来ると伝えたチャーリーは、その場を去る。

家に戻ったマリアは、その場で倒れていたフアンが亡くなっていることを知り悲しむ。

チャーリーは、フアンのために祈りを捧げるマリアを見守る。

現れたマヌエルとJ.J.に気づいたチャーリーは、発砲してきた彼らに反撃する。

脚を撃たれたJ.J.は、躓いた拍子にショットガンで自分の頭部を吹き飛ばしてしまう。

マヌエルを見つけて銃を向けたチャーリーは、子供の居場所を訊き案内させる。

子供はいい金になると言うマヌエルから、手を組むことを提案されたチャーリーは、それを無視して子供の元に向かう。

ある家に案内されて押し入ったチャーリーは、マヌエルに逃げられる。

洗濯カゴの中で泣く子供を見つけたチャーリーは、車に乗せてマリアの元に向かう。

マヌエルは、公衆電話からキャットに電話をする。

レッドとマヌエルと共にチャーリーを待ち伏せしていたキャットは、現れた彼の車を銃撃する。

車を降りたチャーリーは反撃し、レッドとマヌエルの乗った車は横転して炎上する。

チャーリーに話しかけたキャットは、ブルドーザーのタイヤを撃ち抜かれ、車体が沈んだために下敷きになり死亡する。

国境に向かいマリアの元に戻ったチャーリーは、彼女に子供を渡す。

感謝されたチャーリーは、子供を抱きながら涙するマリアを見つめながら微笑む。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス
入国管理局捜査官チャーリー・スミスは、浪費家の妻マーシーに説得され、テキサス在住の彼女の友人サヴァンナに勧められた家を購入する。
エルパソの新居に引っ越したチャーリーとマーシーは、隣りに住むサヴァンナと夫のキャットに歓迎され、新生活を始める。
キャットの紹介で国境警備隊員になったチャーリーは、国境付近にいる、赤子を連れた貧しいメキシコ女性マリアと弟フアンの存在が気になる。
その後、後を絶たない不法入国者をビジネスにしている者達と手を組み、警備隊員が大金を手にしていることを知ったチャーリーは、キャットや隊長のレッドから誘われても頑なにそれを断るのだが・・・。
__________

若くして才能を発揮し、「トム・ジョーンズの華麗な冒険」(1963)でアカデミー賞の作品、監督賞を受賞し活躍していたイギリス人監督のトニー・リチャードソンが、ハリウッドを代表する演技派となったジャック・ニコルソンと組んだ作品。

人生の岐路に立つ中年男性の心の内を描くような内容で始まる物語は、アメリカが抱える不法入国者問題と、それを利用した不正を描く社会派ドラマに進展していく。

浪費癖のある妻との生活に辟易しながら、入国を望む貧しいメキシコ人姉弟の姿に安らぎを感じる主人公の姿が、ヒューマン・タッチで描かれている。

また、主人公が、姉弟と子供のために、命まで懸けて戦うサスペンスに発展していくクライマックスは、アクションをまじえてまずまず盛り上がる。

その人間味のある主人公を演ずるジャック・ニコルソンの深い演技や、個性的な脇役陣も注目の作品ではあるが、いまいちパンチに欠けるトニー・リチャードソンの演出が物足りない気がする。

主人公の隣人で同僚であり、彼を不正に巻き込む国境警備隊員のハーヴェイ・カイテル、主人公を悩ませる浪費家の妻ヴァレリー・ペリン、不正で私腹を肥やす警備隊長のウォーレン・オーツ、主人公が助ける貧しいメキシコ人女性エルピディア・カリロ、その弟マニュエル・ビエスカス、警備隊員のダーク・ブロッカー、不正入国者の仲介者ジェフ・モリス、警備隊と組んで不正をするメキシコ側の協力者マイク・ゴメス、キャット(ハーヴェイ・カイテル)の妻シャノン・ウィルコックスなどが共演している。


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