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ボディ・スナッチャー/恐怖の街 Invasion of the Body Snatchers (1956)

1955年に発表された、ジャック・フィニイのSF小説”The Body Snatchers”を基に製作された作品。
異星生物に襲われた人間の恐怖を描く、製作ウォルター・ウェンジャー、監督ドン・シーゲル、主演ケヴィン・マッカーシーダナ・ウィンターラリー・ゲイツ他共演のSFホラーの名作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー


スタッフ キャスト
監督:ドン・シーゲル

製作:ウォルター・ウェンジャー
製作総指揮:ウォルター・ミリッシュ
原作:ジャック・フィニイThe Body Snatchers
脚本:ダニエル・メインウェアリング
撮影:エルズワース・フレデリックス
編集:ロバート・S・アイゼン
音楽:カーメン・ドラゴン

出演
マイルズ・ベネル医師:ケヴィン・マッカーシー
ベッキー・ドリスコル:ダナ・ウィンター
ダン・カウフマン医師:ラリー・ゲイツ
ジャック・ベリチェック:キング・ドノヴァン
テディ・ベリチェック:キャロリン・ジョーンズ
ウィルマ・レンツ:ヴァージニア・クリスティーン
アイラ・レンツ:トム・ファデン
サリー・ウィザーズ:ジーン・ウィルズ
ヒル医師:ウィット・ビッセル
チャーリー:サム・ペキンパー

アメリカ 映画
配給 アライド・アーティスト・ピクチャーズ
1956年製作 80分
公開
北米:1956年2月5日
日本:未公開
製作費 $416,911
北米興行収入 $3,000,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
カリフォルニア
救急病院に呼ばれた精神科医のヒル(ウィット・ビッセル)は、取り乱している医師マイルズ・ベネル(ケヴィン・マッカーシー)から話を聞く。

先週の木曜、サンタ・ミラ。
学会から戻ったべネルは、迎えに来た助手のサリー・ウィザーズ(ジーン・ウィルズ)から、患者が殺到していると言われる。

サリーから、町の人々の様子がおかしいと言われたべネルは、診療所に向かう途中、いきなり道路に飛び出してきた少年ジミーに驚く。

午前の診療を終えてランチに向かおうとしたべネルは、現れた元恋人のベッキー・ドリスコル(ダナ・ウィンター)から、いとこのウィルマ・レンツ(ヴァージニア・クリスティーン)が妄想にとり憑かれていると言われる。

おじアイラ(トム・ファデン)のことをそっくりの偽者だとウィルマが言っているというのだが、ベッキーはおじに変化はないと思ったと話す。
...全てを見る(結末あり)

離婚手続きのためイギリスから戻ったベッキーは、べネルも数か月前に離婚していたことを知る。

その日の診察を終えて帰ろうとしたべネルは、朝、道路に飛び出した少年ジミーが祖母と現れ興奮しているために、彼を落ち着かせる。

ジミーが娘を母親ではなく偽者だ言っていると祖母から知らされたべネルは、その日は家に泊めて薬を飲ませ、翌日、様子を診させてほしいと伝える。

ベッキーの話を思い出したべネルはウィルマの家に向い、彼女から、見かけは変わらないのだが、おじアイラの感情がなくなったと言われる。

動揺するウィルマを落ち着かせたべネルは、友人の精神科医ダン・カウフマン(ラリー・ゲイツ)を紹介することを伝え、その場にいたベッキーに送ると言って去ろうとする。

芝を刈っていたアイラに声を変えたべネルは、本人だと思い疑いを持てなかった。

心配するベッキーに、専門家に任せるべきだと伝えたべネルは、彼女を夕食に誘う。

レストランの駐車場でカウフマンに出くわしたべネルは、診てほしい患者がいることを伝える。

父親や姉を偽者という患者だろうとカウフマンに言われたべネルは、この2週間に、町で奇妙な伝染病とも言える”集団ヒステリア”が発生していることを知らされる。

翌日のウィルマの診察をカウフマンに頼んだべネルは、ベッキーとレストランに入る。

そこに、サリーから緊急の電話が入り、べネルは、ジャック・ベリチェック(キング・ドノヴァン)の家に至急行くようにと言われる。

べネルは、食事は取り止めてベッキーと共にベリチェックの家に向かい、彼と妻テディ(キャロリン・ジョーンズ)に迎えられ、ビリヤード台の上に横たわる男を見せられる。

それが誰かは不明で、べネルは、死体でもないと言いながら、男の指紋がないことを確認する。

べネルは、今回のことが町で起きている”集団ヒステリア”と関係あるのではないかと考える。

ベッキーのおじのことなどを話したべネルは、男が未完成のベリチェックのようだと話し、朝まで様子を見て何もなければ警察を呼び、何かあった場合は自分を呼ぶよう指示する。

その場を去ったべネルは、ベッキーを家に送り帰宅する。

眠らずに起きていたテディは、横たわっている男が目を開け、夫が怪我しアた傷と同じ手のひらから出血していることに気づき、ベリチェックと共にべネルの家に向かう。

男がベリチェックと同じになったと言うテディの話を聞いたべネルは、カウフマンに電話をして、来てもらうことにする。

テディにベッキーのことを聞かれたべネルは不安になり、彼女の家に向かう。

地下室の窓ガラスを割り忍び込んだべネルは、未完成のベッキーを発見し、父親が寝ていることを確認する。

眠っているベッキーを抱きかかえて車に運び家に戻ったべネルは、その場に来ていたカウフマンやベリチェック夫妻に、ベッキーの体があったことを話す。

それを見てみたいとカウフマンに言われたべネルは、ベッキーとテディを残してベリチェックの家に向かう。

ベリチェックの体は消えていたため、カウフマンはべネルの話を疑い、ベッキーの家に向い、その場にあったという体を確かめようとする。

そこにも体がなかったために、カウフマンは、”集団ヒステリア”を目の当たりにして、現実ではないものを心で見たのではないかと話す。

そこにベッキーの父親スタンリーが銃を持って現れ、警官を呼んだとべネルらに伝える。

警察署長も現れたため、カウフマンは死体が消えたと伝える。

しかし署長は、ベリチェックの家にあった体と同じ、指紋がない死体が火事現場から運ばれ、遺体安置所にあったと知らせる。

帰るようにと署長に指示されたべネルは、仕方なくその場を去る。

翌朝、朝食の支度をしてくれていたベッキーに感謝するべネルは、何者かの気配を感じる。

それがガス会社のチャーリー(サム・ペキンパー)だと知ったべネルは安心し、泊まっていたベリチェックから暫く泊めてもらいたいと言われる。

診療所に向かう途中でウィルマに会ったべネルは、気分が良くなったので精神科の診察は必要ないと言われ、ベッキーが自分の家にいると伝える。

ウィルマは、その場にいたスタンリーに、ベッキーがべネルの家にいることを知らせる。

診療所に着いたベネルは、ジミーが母親と仲良くする姿を確認し、ウィルマの不安が急に消え去ったことも疑問に思う。

その夜、帰宅したべネルは、温室のサヤのような植物の異変に気づき、何かが這い出して来るのを目撃し、ベリチェックは、それが例の体に成長するのではないかと考える。

テディは、入れ替わった場合には気づくかとべネルに尋ね、父スタンリーが入れ替わったのを知っていたことをベッキーが話す。

体を地下室に置いたのがスタンリーだったことに気づいたべネルは、町中の家や住民を調べる必要があるとベリチェックらに伝える。

ロサンゼルスFBIに電話をしようとしたべネルは、今回の事件の原因が、化学物質が生物に与えた影響か、エイリアンや突然変異かもしれないと考える。

温室の物体は、次第に人間の姿に変わり、それをベリチェックとテディは確認する。

全回線が不通で連絡が取れず、ベリチェックとテディに助けを呼びに行かせたべネルは、ベッキーと共に連絡を取ると言われた交換手の電話を待つ。

温室の変化した体を熊手で刺したべネルは、交換手の連絡を待たずに、信頼できるサリーの元に電話しようとする。

ガソリンスタンドで電話をしようとしたべネルは、店主が車のトランクに何かを入れるのを目撃してその場を離れる。

トランクに入れられていたサヤを出したべネルは、それに火を点けてサリーの家に向かう。

車が何台も止まっていたため、べネルはベッキーを車に残し、警戒して家の中を探る。

スタンリーやサリーが替わってしまっていることに気づいたべネルは、仲間だった署長を殴り倒してその場から逃れる。

ベネルとベッキーは指名手配され、二人の捜索に警官が総動員される。

診療所に向かったベネルとベッキーは、現れた警官に見つからず、ベリチェックが戻るのを待つため、眠気を抑える薬を飲む。

朝になり、外の様子を窺うベネルは、いつもと同じ土曜日だとベッキーに伝える。

時間が早いのに多くの人が集まり、農場から例のサヤを積んだトラックが現れ、各自がそれを持ち帰る。

ベネルは、この町から全国に被害が広がると考え、それを阻止しようとするが、そこにベリチェックとカウフマンと署長が現れる。

既に仲間となっていたカウフマンらは、町全体がよりよく変化したことをベネルとベッキーに伝える。

宇宙から飛来した種子が農場に撒かれ、育ったサヤはあらゆる生命体に姿を変えることができるということだった。

眠っている間に全てが変わり、トラブルのない世界が創られると言うカウフマンは、生き残った者達が自分達を滅ぼすとベネルに警告される。

明日になれば仲間となり、ベッキーへの愛もいらなくなり、シンプルな人生を送れると言われたベネルだったが、彼はそれを断る。

選択肢はないと言われたべネルは、二人が隣の部屋に行ったため、何か方法がないかを考える。

睡眠薬を注射器に注入したベネルは、カウフマンとベリチェックを誘き出し、格闘になりながらそれを打って眠らせる。

外にいた警官が押入るが、ベッキーが注射を打って眠らせる。

仲間になった振りをして外に出たベネルとベッキーは、警官に声をかけられるものの、その場を逃れる。

不審に思った警官は診療所に向かい、署長らが倒れていたために、ベネルとベッキーが逃げたことを署に知らせる。

警官や住民達に追われながら、廃坑に向かったベネルとベッキーは身を潜める。

追っ手は去り、ハイウェーに向かおうとしたべネルは、聴こえてきた歌声を調べようとして、ベッキーをその場に残し、それを確認しに行く。

そこはサヤを育てていた農場で、廃坑に戻ったベネルは、睡魔に襲われたベッキーを抱きかかえて、その場から逃げようとする。

しかし、ベッキーが仲間になったことを知ったベネルは、彼女を置き去りにして一人でハイウェーに向かう。

車を止めようとしたべネルは誰にも信じてもらえず、トラックの荷台に乗ろうとするものの、そこにはサヤが積まれていた。

人々に警告しながらさ迷っていたベネルは、保護されて病院に連れて行かれたのだった。

ヒル医師らに信じてもらえないベネルは、絶望してうなだれる。

席を外したヒルは、ベネルの話が悪夢なのか考えるのだが、そこに、トラックが横転し、奇妙なサヤの下から助け出された怪我人が運び込まれる。

それが巨大なサヤのような植物で、トラックはサンタ・ミラから来たと知ったヒルは、その場にいた警官に、緊急体制を敷き、ハイウェーを封鎖し警官を集めるよう指示する。

交換台に電話をしたヒルはFBIにつなぎ、緊急事態を伝える。

ベネルは、今後の事態を心配しながらも、信じてもらえたことで安堵する。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
カリフォルニア、サンタ・ミラ。
学会から戻った医師マイルズ・ベネルは、助手のサリーから町の異変を知らされる。
元恋人のベッキーに会ったベネルは、いとこのウィルマが、おじが偽者だと言っていると知らされ、同じようなこと訴える少年も診察する。
ウィルマが気になり話を聞いたべネルは、おじに感情がなくなったと言われるが、思い違いだと考える。
その後ベネルは、サリーからの緊急連絡を受けてベリチェックの家に向い、その場で未完成に見える人間の体を確認する。
それがベリチェックになろうとしている体に思えたベネルは、ベッキーと共に警戒する。
やがて、体はベリチェックに変わり、家に送ったベッキーが心配になったベネルは、彼女の元に向かう。
地下室でベッキーになろうとしている体を確認したベネルは、彼女を連れて家に戻る。
そしてベネルらは、サヤのような植物から這い出した物体が、人間に変化していく異常事態に遭遇する・・・。
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SF映画の古典的な名作として評価は高く、その後3度リメイクされている。
・「SF/ボディ・スナッチャー」(1978)
・「ボディ・スナッチャーズ」(1993)
・「インベージョン」(2007)

1994年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

既に10年以上のキャリアがあったドン・シーゲルの作品であり、軽快で切れ味鋭い演出は注目で、彼の作品で助監督なども担当している弟子のサム・ペキンパーが、主人公の家を訪ねるガス会社の社員役で出演している場面も見逃せない。

異星からの侵略を描く作品なのだが、機械技術の攻撃ではなく、撒かれた種子から成長した植物が、人間のクローンを生み出していくという発想が実に興味深い。

侵略とは書いたが、変化した者達は、より良い世界を創りだすために生まれ変わると信じているところがポイントで、戦後の混乱から抜け切ろうとしていた、冷戦下の混沌とする社会情勢に警鐘を鳴らしているようにも思える。

物語の中で度々登場する”集団ヒステリア”の原因である、周囲の人々が全く同じ容姿の人物に入れ替わってしまう妄想を抱く精神疾患”カプグラ症候群”の恐ろしさも見事に描かれている。

異星からの侵略から世界を守ろうする医師を熱演するケヴィン・マッカーシー、その元恋人で彼と行動を共にするダナ・ウィンター、主人公の友人である精神科医ラリー・ゲイツ、異星植物の恐怖に怯える夫婦キング・ドノヴァンキャロリン・ジョーンズ、ベッキー(ダナ・ウィンター)のいとこヴァージニア・クリスティーン、そのおじトム・ファデン、主人公の助手ジーン・ウィルズ、混乱する主人公の話を聞く精神科医ウィット・ビッセル、主人公の家に現れるガス業者サム・ペキンパーなどが共演している。


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