身寄りのないホームレス寸前の少年が裕福な家庭に家族として迎えられアメリカを代表するフットボール・プレイヤーになるきっかけを掴むまでを描く、監督、脚本ジョン・リー・ハンコック、主演サンドラ・ブロック、クィントン・アーロン、ティム・マッグロウ、キャシー・ベイツ他共演による実話を基にした感動のドラマ。 |
・サンドラ・ブロック / Sandra Bullock 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・リー・ハンコック
製作総指揮
ティモシー・M・ボーン
モリー・スミス
アーウィン・ストフ
製作
ブロデリック・ジョンソン
アンドリュー・コソボ
ギル・ネッター
原作:マイケル・ルイス
脚本:ジョン・リー・ハンコック
撮影:アラー・キヴィロ
編集:マーク・リボルシー
音楽:カーター・バーウェル
出演
リー・アン・テューイ:サンドラ・ブロック
マイケル・オアー:クィントン・アーロン
ショーン・テューイ:ティム・マッグロウ
スー:キャシー・ベイツ
コリンズ・テューイ:リリー・コリンズ
S・J・テューイJr.:ジェイ・ヘッド
バート・コットン:レイ・マッキノン
ボズウェル:キム・ディケンズ
デニス・オアー:エイドリアン・レノックス
本人(LSUコーチ):ニック・セイバン
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
2009年製作 129分
公開
北米:2009年11月20日
日本:2010年2月27日
製作費 $29,000,000
北米興行収入 $255,950,380
世界 $309,208,310
■ アカデミー賞 ■
第82回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(サンドラ・ブロック)
・ノミネート
作品賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
テネシー州、メンフィス。
父親の顔も知らず、母親はコカイン中毒である、アフリカ系で一際大柄な17歳の少年マイケル・オアー(クィントン・アーロン)の運動能力が、私立ウィンゲート・クリスチャン・スクールのフットボール・コーチ、バート・コットン(レイ・マッキノン)の目に留まる。
学力に問題のあるマイケルに、学校の教師らは彼を入学させるのをためらうが、熱心なコットンの説得で入学が許可される。
学校には通うものの、学習意欲も他の学生との交流もないマイケルは、心を閉ざしてしまう。
インテリア・デザイナーのリー・アン・テューイ(サンドラ・ブロック)と、夫でファスト・フード店のオーナー、ショーン(ティム・マッグロウ)は、最近よく見かけるマイケルが気になる。 住む家もなく、世話になっていた家の迷惑を考えたマイケルは、ある寒い夜、薄着で町を歩いていた。 それを見たリー・アンは、マイケルが寝る場所もないことを知り、彼を自宅に連れて行き泊めることにする。 マイケルは、思いもよらぬ豪邸の生活に驚き、リー・アンとショーンは、不安も抱えながら夜を過ごす。 翌朝、ソファーの毛布をたたみ、何も言わずに屋敷を後にしたマイケルを、リー・アンは引き止める。 マイケルは、感謝祭を祝うリー・アンとショーン、長女コリンズ(リリー・コリンズ)と長男S・J(ジェイ・ヘッド)と共に、遠慮なく食事をするよう言われる。 リー・アンは、食堂で物静かに食事をする礼儀正しいマイケルに感心してしまう。 それを見たリー・アンは、テレビやゲームをする家族を食堂に呼び、マイケルと共に祈りを捧げ食事を始める。 ポロシャツ一枚のマイケルに、リー・アンは洋服を買ってあげようとするが、彼はそれを遠慮して母親の家に向かおうとする。 同行したリー・アンは、劣悪な生活環境を見て驚き、母親は退去させられていたことにマイケルはショックを受ける。 その後、マイケルはビッグ・サイズのラガー・シャツを買ってもらい、それを着て学校に通う。 リー・アンは、マイケルにこのまま屋敷に住みたいかを問い、彼がそれを望んでいることを知り部屋を用意する。 マイケルが、初めてベッドで眠ることを知ったリー・アンは、彼の辛い過去を思い心が沈む。 学校では、マイケルに潜在的学習能力があることを知った担任のボズウェル(キム・ディケンズ)が、彼に献身的に接して指導を続ける。 やがて、マイケルの成績は徐々に上がり、フットボール部の入部試験も受けられることになる。 そのお祝いで食事に出かけたリー・アンの一家は、レストランで働くマイケルの兄の存在を知る。 リー・アンは、マイケルに兄を紹介するよう伝えるが、彼は殆ど一緒に生活もしたこともない兄の家すらも知らないということだった。 帰宅したリー・アンは、マイケルのお陰で新しい幸せを手に入れた気持ちになり、それを夫ショーンに伝える。 リー・アンはマイケルを家族として扱うが、その行動に理解を示さない周囲の人々がいた。 マイケルの身の上を知らずに、自分のしていることを批判する仲間達に反論したリー・アンは、自分を変えてくれた彼に感謝するとまで言い切る。 コリンズも、クラスメイトなどにマイケルと暮していることを奇異な目で見られるが、それに気を使う彼に自ら歩み寄る。 その後マイケルは、ルールも何も知らないままフットボールのチームに入ることになる。 ある日、身分証明書もないマイケルは、運転免許を取りたいとリー・アンに相談する。 リー・アンは、マイケルの後見人になることを考えショーンにそれを伝え、意外にも容易にそれが叶うことを知る。 マイケルが州の保護下にあるため、母親の許可も必要なく後見人なれるということだった。 それに抵抗を感じるリー・アンは、人として筋を通すために、マイケルの母親デニス(エイドリアン・レノックス)を捜し、彼女に後見人の件を告げる。 そして、リー・アンと家族は、正式にマイケルを家族として迎えることになり、彼は運転免許を取得し、夫妻からピックアップ・トラックをプレゼントされる。 その後、S・Jを車に乗せたマイケルは事故を起こしてしまい、幸い二人は軽傷で済む。 それを知ったリー・アンは事故現場に駆けつけ、S・Jのような小さな子供には、危険な物に成りかねないエアバッグを、腕を怪我をしながらマイケルが止めたことを知る。 リー・アンは、フットボールのルールが飲み込めないマイケルに、危険地域で自分を、そして事故の時S・Jを守った時のことを参考にプレーをするよう助言する。 マイケルはリー・アンの指示に従い、”家族”を守るようにプレーし、見違えるような成果を上げる。 そして、マイケルのデビュー戦を迎えるが、彼は実線の複雑そして、各大学のコーチは集結し、マイケルのプレーを確認して、彼の争奪戦が始まる。 マイケルのフットボールの実力は評価されたが、努力はしているものの、大学に入るにはGPA(成績評価点)が低過ぎた。 そこでリー・アンは、教育者スー(キャシー・ベイツ)を家庭教師に雇い、マイケルに奨学金を取らせるための勉強を始めさせようとするが、彼女は民主党指示だという断りを入れる。 そんな時、ルイジアナ州立大学のフットボール・コーチ、ニック・セイバンがマイケルを訪ねてくる。 その後も、各名門大学のコーチが直々にマイケルを訪ね、交渉には弟のS・Jが同席する。 リー・アンは、夫ショーンと共に卒業したミシシッピ大へのマイケルの進学を望んでいた。 テネシー大に興味を示していたマイケルは、遺体の死亡時刻を調べる研究をFBIとしている同大学が、その遺体の各部を”ニーランド・スタジアム”の地下に保管してあるという話をスーから聞かされる。 そして、マイケルはミシシッピ大を選ぶのだが依然GPAが足りず、彼は最後の小論文に全てを賭けることになる。 努力したマイケルは、規定の評価点をもらい卒業するが、NCAA(大学体育協会)に呼び出されてしまう。 ミシシッピ大の出身であり、後援者でもあるマイケルの後見人リー・アンとショーンが、その影響力を利用して、母校に有力選手を送り込んだのではないかを調べるのがその目的だった。 リー・アンとショーンが私利私欲のために、マイケルに手を差し伸べたと言う者もいることを知った彼は、それを知り動揺してしまう。 そのことを、リー・アンに問い詰めたマイケルは、その場から立ち去り姿を消す。 母親の元に向かおうとしたマイケルは、昔の仲間にリー・アンらを侮辱されトラブルを起こしてしまう。 翌日、リー・アンはマイケルを捜しだし、話し合った結果、彼の望む道を歩むことで二人は納得する。 マイケルは結局、家族の出身校であるミシシッピ大を選び、大学で入学準備を済ませる。 スーの指導は続くことになり、リー・アンは軽い言葉を交わしマイケルと別れようとする。 辛い別れを嫌い、車に戻ってしまったリー・アンを追い、マイケルは彼女にハグを求め、二人は堅く抱き合う。 マイケル・オアーは、学生時代にオール・アメリカンと学業優秀者に選ばれ、2009年のNFLドラフトでボルチモア・レイブンズに1位指名される。
...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
父親の顔も知らず、コカイン中毒の母親から引き離された少年マイケル・オアーは、住む場所もなくなり路頭に迷う。
偶然マイケルを見かけた街の名士で、富豪のリー・アン・テューイは、彼を自宅に連れて行く。
リー・アンは礼儀正しいマイケルを気に入り、夫のショーンの理解も得て、彼をそのまま滞在させることにする。
マイケルは、スポーツの素質で入学を認められたミッション・スクールにリー・アンの子供達と通うのだが、読み書きもまともに出来ない彼は苦悩する。
しかしマイケルは、リー・アンの家族や教師達の励ましに見守られながら、その並外れた体格を生かして、フットボールの才能を開花させていく・・・。
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NFLのボルチモア・レイブンズのプレイヤー、マイケル・オアーが、フットボールの才能を開花させるきっかけとなった当時のエピソードを基に、2006年に発表された、マイケル・ルイスの著書”The Blind Side: Evolution of a Game”の映画化。
純粋な心で手を差し伸べる行為が相手に伝わった時に得られる、人間の幸福感を伝えるジョン・リー・ハンコックの押し付けがましくない演出により、心温まる感動の物語となった。
初めてベッドに寝るという、少年の言葉に絶句する主人公、気丈な彼女を気遣う少年、彼を家族として迎え保守的な土地柄の中で、人種的偏見も根強い周囲の目線を気にせずに接する長女などを描写するシーンは、アメリカの良心や勇気を描きつつ涙を誘う。
奇跡のサクセス・ストーリーは、この後に展開するという、2009年のNFLドラフトの実際の様子で締めくくられ、本人や関係者が登場するエンディングも爽やかだ。
コーエン兄弟作品の常連である、カーター・バーウェルの音楽も注目だ。
批評家の評価は低かったものの、北米のみで約2億5600万ドルという興行収入を記録して、全世界では3億ドルを超す大ヒットとなった。
第82回アカデミー賞では、念願の主演賞をサンドラ・ブロックが受賞した。
・ノミネート
作品賞
あらゆる年代層、男女の区別なく愛され人気の高いサンドラ・ブロックが、ついにオスカーを獲得し全世界から絶賛された作品で、40代も半ばを迎えた彼女の、進歩し続ける演技は輝きを増している。
心に閃いた言葉をストレートに口にする歯切れの良さ、対照的に表情や仕草だけで感情を表現す演技も素晴らしい。
実際のマイケル・オアーも193cm、142キロの巨漢ではあるが、2mを超す長身のクィントン・アーロンの体格は際立ち、体に似合わず繊細で、劣悪な生活環境で育ったにも拘らず礼儀正しい純朴な青年を好演している。
献身的に妻を支える主人公の夫ショーン・テューイ役のティム・マッグロウ、長女のリリー・コリンズ、長男ジェイ・ヘッド、家庭教師キャシー・ベイツ、フットボール・コーチレイ・マッキノン、高校教師のキム・ディケンズ、マイケル(Q・アーロン)の母親役のエイドリアン・レノックス、そして、ルイジアナ州立大学のニック・セイバンら、フットボールの名門大学の有名コーチ達が本人役で登場する。