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ブラック・ダリア The Black Dahlia (2006)

1947年にロサンゼルスで実際に起きた猟奇殺人事件”ブラック・ダリア事件”を題材に、1987年に発表されたジェイムズ・エルロイの小説”The Black Dahlia”を基に製作された作品。
女優志願の女性惨殺事件を追うボクサー出身のエリート警官の捜査を描く、ブライアン・デ・パルマ演出、主演ジョシュ・ハートネットスカーレット・ヨハンソンアーロン・エッカートヒラリー・スワンク他共演の犯罪サスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

スカーレット・ヨハンソン / Scarlett Johansson / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ブライアン・デ・パルマ

製作総指揮
ロルフ・ディール

ダニー・ディムボート
ジェームズ・B・ハリス
製作
ルディ・コーエン

モシュ・ディアマント
アート・リンソン
原作:ジェイムズ・エルロイThe Black Dahlia
脚本:ジョシュ・フリードマン

撮影:ヴィルモス・スィグモンド
編集:ビリー・パンコウ
音楽:マーク・アイシャム

出演
ドワイト”バッキー”ブライカート:ジョシュ・ハートネット

ケイ・レイク:スカーレット・ヨハンソン
リー・ブランチャード:アーロン・エッカート
マデリン・リンスコット:ヒラリー・スワンク
エリザベス・アン・ショートミア・カーシュナー
ラス・ミラード:マイク・スター
エリス・レーウ:パトリック・フィスクラー
ラモーナ・リンスコット:フィオナ・ショウ
エメット・リンスコット:ジョン・カヴァノー
マーサ・リンスコット:レイチェル・マイナー
シェリル・サッドン:ローズ・マッゴーワン
ボビー・デウィット:リチャード・ブレイク
ローナ・マーツ:ジェミマ・ルーパー
ショート:ケヴィン・ダン
ボブ・デウィット:リチャード・ブレイク
ジョージー・ティルデン:ウィリアム・フィンレイ

アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ

2006年製作 120分
公開
北米:2006年9月15日
日本:2006年10月14日
製作費 $50,000,000
北米興行収入 $22,545,080
世界 $49,332,690


アカデミー賞 ■
第79回アカデミー賞
・ノミネート
撮影賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1946年、ロサンゼルス
かつてボクサーとして鳴らした、市警の警官ドワイト”バッキー”ブライカート(ジョシュ・ハートネット)とリー・ブランチャード(アーロン・エッカート)は、警察のPRのためにボクシングの試合をするよう命ぜられる。

リーの恋人ケイ・レイク(スカーレット・ヨハンソン)を紹介されたバッキーは、試合では彼に勝たせようと考えていた。

勝てばエリートの集まる特捜課に配属されることになっていたが、バッキーは、試合の払戻金で老いた父親を老人ホームに入れるつもりだった。

試合に負けたバッキーは、予定通り父親をホームに入れる。

その後、バッキーは負けたにも拘らず、リーから特捜課に誘われて、彼と組むことになる。
...全てを見る(結末あり)

リーの家での食事に誘われたバッキーは、彼と同棲するケイに迎えられ楽しい時を過ごす。

三人は意気投合して、何をするにも行動を共にする仲となった。

1947年1月15日。
婦女暴行殺人犯ナッシュの居場所を突き止めて張り込みをしていたバッキーとリーは、犯人ではない者と銃撃戦となる。

眠っていたバッキーは、危ないところで起こされリーは相手の男を射殺する。

その後、付近で惨殺体が発見され、殺人課の刑事ラス・ミラード(マイク・スター)は、口を耳まで裂かれて内臓を抜かれた、胴体切断死体を公表しないよう指示する。

リーは、銃撃戦で顔見知りの男を殺してしまいショックを受け、ケイは彼を気遣う。

かつて担当したボビー・デウィット(リチャード・ブレイク)が出所することになり、リーはその件も気にする。

ケイもデウィットを知っているということで、彼女の腰には、”BD”という刻印があった。

事件についてをリーは何も話そうとしないために、バッキーはその内容を調べる。

タレ込み屋がデウィットを売り、単なるポン引きだった彼は銀行強盗犯にされた。

デウィットは黙秘を通し、周囲が不利な証言をしたため彼は懲役刑となった。

そして、リーはケイトと関係を持つが、どちらから近づいたのか・・・。

リーはナッシュの件よりも惨殺事件を優先しようとするが、バッキーは、それが殺人課の担当であることを伝える。

捜査を続けるというリーは、殺人課と共に編成された特別捜査班で、バッキーと共に事件を追うことになる。

ナッシュが逃亡してしまったと報告したリーの考えに、バッキーは納得できない。

惨殺死体の被害者エリザベス・アン・ショート(ミア・カーシュナー)の検死が行われる。

バッキーとリーは、エリザベスの父親(ケヴィン・ダン)が経営するダイナーに向かい、彼から娘についての話を聞く。

厄介者だったというエリザベスは、ハリウッドの女優を目指していたということだった。

黒い服を着て通りを歩くというエリザベスが、あんな目に遭うのは当然だと父親は語る。

惹かれ合うようになっていたバッキーとケイだったが、彼はパートナーを裏切ることはできなかった。

エリザベスが、いつも黒の衣服を身につけていたため、映画「青い戦慄」(The Blue Dahlia)の女優のようだったという噂になり、世間はこの事件を”ブラック・ダリア”と名付けた。

バッキーはエリザベスの部屋を訪ねて、ルームメイトのシェリル・サッドン(ローズ・マッゴーワン)に会う。

シェリルから、エリザベスがスクリーン・テストを受けていたことを知ったバッキーは、フィルムを確認する。

捜査が進まずに苛立つリーは、バッキーにさらに詳しい調査を指示する。

レズビアン・クラブで、マデリン・リンスコット(ヒラリー・スワンク)を見かけたバッキーは、彼女が気になり車のナンバーをチェックする。

リーの家に向かったバッキーは、仕事を家に持ち込む彼を非難して取り乱すケイに同調する。

1週間待つとリーに約束したことを、バッキーはケイに伝えるものの、彼女はそれに納得しない。

銃撃事件から3日、デウィット出所まで3日、バッキーはマデリンに接触し、彼女がエリザベスに会ったことがあるかを尋ねる。

ハリウッドロングビーチなどを開発した大物エメリット・リンスコット(ジョン・カヴァノー)を父に持つマデリンは、世間を騒がしている事件に関わることを気にする。

エリザベスと話したことなどをバッキーに話したマデリンは、アリバイがあることを伝えて、自分のことを伏せる代わりに、翌日、付き合うことを彼に約束する。

リンスコット邸を訪ねたバッキーは、ボクサーだということでエメットが食事に招待される。

バッキーは、エメットと妻のラモーナ(フィオナ・ショウ)、マデリンの妹マーサ(レイチェル・マイナー)を紹介されて会話をする。

エメットから、ハリウッドの開発秘話などを聞かされたバッキーは、情緒不安定気味なラモーナや風変わりなマーサと共に食事をする。

その後、モーテルに向かったバッキーとマデリンは愛し合い、彼女は、エリザベスについて隠し事があると伝える。

自分に似ている女性がいると聞いたマデリンは、その後、エリザベスとルームメイトのローナ・マーツ(ジェミマ・ルーパー)に会ったことをバッキーに伝える。

ローナを署に連行したバッキーは、ミラードと共に彼女を尋問し、金のために、エリザベスと共に如何わしい映画に出演したことを聞き出す。

その映画を確認したバッキーらだったが、リーはその映像を観て居たたまれなくなり席を外す。

検事補エリス・レーウ(パトリック・フィスクラー)は、醜態をさらしたことで、リーを激しく非難する。

翌日、謝罪する約束も守らず姿を現さないリーに憤慨したレーウは、バッキーに任務に戻るよう命ずる。

署を出たバッキーは、ナッシュが強盗殺人事件を起こしたことを知り現場に急行する。

子供まで殺されたことでショックを受けたバッキーは、ナッシュの件を後回しにしたリーに怒りを感じて彼の元に向かう。

リーは謝罪するものの、怒りが収まらないバッキーは彼を叩きのめす。

マデリンに会ったバッキーは、彼女がエリザベスと寝たことがあることを知る。

バッキーは、マデリンが同性愛者だと考えてその場を去る。

デウィットが出所する日、リーの元に向かったバッキーは、彼には殺された妹がいて、事件が未解決だとケイから知らされる。

リーの居場所をケイから聞き出そうとするバッキーは、彼が”ベンゼドリン”を飲んでいるため、危険な状態だと彼女に伝える。

デウィットが、麻薬取引をするという情報を仕入れたリーが向かった場所へバッキーも向かう。

バッキーはデウィットに拳銃を向けて、ケイと寝たためにリーに恨まれていることを聞き出す。

しかし、現れた男にバッキーが声をかけられている隙に、デウィットはリーに射殺されてしまう。

リーも何者かに襲われ、もう一人の人物にナイフで切り付けられ、男と共に階下に落下して死亡する。

デウィットを含む裏社会が絡むために、リーは姿を消したということで葬り去られることになり、遺体は焼却炉で処分される。

リーに別れを告げたバッキーはケイの元に向かうが、彼女に何も伝えられない。

その後バッキーは、父の部屋を”ブラック・ダリア”の情報収集の場にリーが使っていたことを知り、それをミラードに報告し、彼が殺されて戻らないことも伝える。

ケイにそれを話すよう、ミラードに助言されたバッキーは、彼と組んで事件を解決することを提案される。

バッキーはケイの元に向かい、リーを救えなかったことを彼女に謝罪する。

ケイはバッキーに寄り添い、二人は激しく愛し合う。

バスルームのタイルを直してほしいとケイに頼まれたバッキーは、床下に隠された、銀行から盗まれた大金を見つける。

銀行強盗はデウィットがしたと言うケイは、彼から逃げようとしたが、売春のことを警察に通報されてリーと知り合ったことを伝える。

ケイは、”BD”の刻印のことや金の隠し場所をリーに話した。

リーがヤク中の男にゆすられていたことも、ケイはバッキーに伝える。

それが銃撃戦の時の男だと考えたバッキーは、リーがその男を射殺してデウィットも殺し、金を隠し通したことに気づく。

自分がその目撃者にされたことを知ったバッキーは、マデリンの元に向かい愛し合う。

その場に現れたケイは、マデリンが、エリザベスに似ている異常者であり、リーと同じ運命をたどるとバッキーに警告して立ち去る。

ハリウッドサイン”の下の土地に、住宅地を造成したというエメットの話を思い出したバッキーは、その場のある建物内で、エリザベスの映画が撮影されたことを知る。

裏に納屋を調べたバッキーは、血痕と頭髪、そして、リンスコット邸にも飾られていた絵を見つける。

リンスコット邸に侵入したバッキーは、マデリンを膝に抱くエメットに銃を向けて、エリザベスを殺して偽装したことを問い詰める。

知人のジョージー・ティルデン(ウィリアム・フィンレイ)がやったと言うエメットを擁護して、撮影を見た彼がエリザベスに惹かれたことを、マデリンはバッキーに伝える。

金目当てで電話をしてきたエリザベスに、エメットは、ジョージーを紹介するようマデリンに指示した。

高名な外科医の息子であるジョージーは、死んだ者に触れるのが好きだったともエメットは語る。

その場に現れたラモーナは、エメットがジョージーを傷つけて異常者にしたと言って夫を罵る。

ジョージーがマデリンの実の父親だと気づいたエメットが、彼の顔を傷つけこともラモーナは付け加える。

エメットはエリザベスとジョージーを引き合わせるが、殺したのはラモーナであり、彼女はそれを告白して自殺する。

富豪夫人が、銃の暴発で死亡したことは報道されるものの、”ブラック・ダリア”に関しては触れられていなかった。

エメットらは、財力でスキャンダルをもみ消したのだった。

その後バッキーは、マデリンのことをメモしたマッチをリーに貸したことを思い出す。

リーが、マデリンに会っていたことに気づいたバッキーは、彼女が男とモーテルに向かったことを知り、その場に向かう。

男を追い払ったバッキーは、リーが全てを掴んでいたことをマデリンに伝え、エメットをゆすった彼を尾行したのだと話す。

リーは、デウィットの待つ場所に向かい、彼を付けていたマデリンは、ナイフで切り付けて落下死させた。

そのお蔭で、ケイと愛し合えたと言うマデリンは、自分を撃てるはずがないとバッキーに言い放つ。

しかし、バッキーはマデリンを射殺し、ケイの元に向かう。

一瞬、エリザベスのことが脳裏を横切ったバッキーはケイに迎えられる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1946年、ロサンゼルス
ボクサーとして鳴らした、市警の警官ドワイト”バッキー”ブライカートとリーは、エリートの集まる特捜課に配属される。
バッキーは、リーと恋人ケイとでいつも行動する仲になっていた。
1947年1月15日、ある殺人犯を見張っていたバッキーとリーは、銃撃戦の直後、付近で女性の惨殺体が発見されたことを知る。
リーは、殺人犯の捜査を後回しにして惨殺事件を調べ始め、バッキーも納得できないままそれに従う。
被害者は女優志願のエリザベス・アン・ショートという女性で、彼女がいつも黒い服を着ていたことから、事件は”ブラック・ダリア”と呼ばれた。
エリザベスと接触した謎の女マデリン、懲役犯の出所を気にするリーとケイ、バッキーは混迷する事件の真相究明に梃子摺る・・・。
__________

アメリカ犯罪史上に残る未解決事件として知られる”ブラック・ダリア事件”を、ブライアン・デ・パルマの演出し、豪華スター共演ということで話題になった作品。

権力や財力が世の中を支配する仕組みや、裏社会が、都合の悪いことを手際よく処理する様子など、ジェイムズ・エルロイの原作がまずまず生かされた内容になっている。

しかし、途中で、これはブライアン・デ・パルマ作品だったと気づく程度の、彼にとっては平凡な作品とも言える。

マーク・アイシャムの音楽も、原作の姉妹作品「L.A.コンフィデンシャル」(1997)に似ているのが気になる。

とは言え、惨殺死体を発見する女性を映し出す、建物の屋上からの遠景のショットから、その後の、スローモーションを使った銃撃戦の緊迫感、暗闇で顔の見えない人物が持つ、光に反射するナイフなど、ブライアン・デ・パルマらしい映像も随所に見られる。

第79回アカデミー賞では、撮影賞にノミネートされた。

相棒や、その恋人の影の姿に戸惑いながらも、事件の真相を追う刑事ジョシュ・ハートネット、エリート刑事として裏で犯罪と関わるアーロン・エッカート、その恋人を怪しげに演じて熱演するスカーレット・ヨハンソン、富豪令嬢を謎めいた雰囲気で好演するヒラリー・スワンク、惨殺事件の被害者エリザベス・アン・ショート役のミア・カーシュナー、殺人課刑事マイク・スター、検事補役のパトリック・フィスクラー、開発業者ジョン・カヴァノー、その妻役のフィオナ・ショウ、娘のレイチェル・マイナー、被害者のルームメイト、ローズ・マッゴーワンジェミマ・ルーパー、懲役犯リチャード・ブレイク、被害者の父親ケヴィン・ダン、被害者に惹かれるウィリアム・フィンレイなどが共演している。


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