戦乱の中国を舞台に、アメリカ人女性と軍を支配する将軍に芽生えるほのかな愛情を描く、製作ウォルター・ウェンジャー、監督フランク・キャプラ、主演バーバラ・スタンウィック、ニルス・アスター、ウォルター・コノリー他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:フランク・キャプラ
製作:ウォルター・ウェンジャー
原作:グレイス・ザリング・ストーン”The Bitter Tea of General Yen”
脚本:エドワード・E・パラモア
撮影:ジョセフ・ウォーカー
編集:エドワード・カーチス
音楽:W・フランク・ハーリング
出演
メーガン・デイヴィス:バーバラ・スタンウィック
イェン将軍:ニルス・アスター
ジョーンズ:ウォルター・コノリー
マー・リー:トシア・モリ
ロバート・ストライク博士:ギャヴィン・ゴードン
ジャクソン:ルシアン・リトルフィールド
リー大尉:リチャード・ロー
リード:ヘレン・ジェローム・エディ
ハークネス司教:エメット・コリガン
ジャクソン夫人:クララ・ブランディック
アメリア・ハンセン:エラ・ホール
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1933年製作 87分
公開
北米:1933年1月6日
日本:未公開
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1920年代後半、上海。
雨の中、街は避難民が溢れて混乱していた。
宣教師ジャクソン(ルシアン・リトルフィールド)の妻(クララ・ブランディック)は、結婚式の招待客を招き入れる。
アメリカの出版社の社長令嬢メーガン・デイヴィス(バーバラ・スタンウィック)と、幼馴染で彼女と3年ぶりに再会する宣教師ロバート・ストライク博士(ギャヴィン・ゴードン)の結婚式が行われようとしていた。
ジャクソンと共に結婚式に向かおうとしていたメーガンは、人を轢いた車から下りてきた軍人/イェン将軍(ニルス・アスター)を非難する。
混乱する世の中では死は幸運だと言うイェンの言葉を理解できないメーガンは、額を怪我している彼にハンカチを渡そうとする。
イェンは自分のハンカチで血をぬぐい、メーガンはジャクソンと共にその場を去る。
人力車に乗ったメーガンは、迎えに来た女性/情婦マー・リー(トシア・モリ)の車に乗り走り去ったイェンが気になる。 メーガンが到着し、ジャクソン夫人は出席者に彼女を紹介する。 メーガンは、立派な人物に思えた軍人/イェンのことを話すものの、ジャクソン夫人から中国人は信用できないと言われ、ロバートが着いたことを知る。 ロバートはメーガンと抱き合い、結婚式の前に施設の子供たちを助けたいことを伝えて、軍の支配者イェンに協力を求めようとする。 宣教師を追放しようとしたイェンを信用しないハークネス司教(エメット・コリガン)は、ロバートの考えに反対する。 考えを変えないロバートは、同行すると言うメーガンと共に施設に向かい、途中で軍の本部に寄る。 財務顧問であるアメリカ人ジョーンズ(ウォルター・コノリー)と過ごしていたイェンは、ロバートが訪ねて来たことを知る。 イェンは、自分が上海にいることが知られては困ると言うジョーンズの指示に従い、ロバートを追い払おうとする。 ロバートは、孤児のための通行証をイェンに求め、子供は放っておけと言う彼に、渡さなければ通報すると伝える。 漢字で書いた書面をロバートに渡したイェンだったが、内容はロバートの愚かさを記したもので、通行証ではなかった。 施設に着いたロバートは、責任者のリード(ヘレン・ジェローム・エディ)を捜すものの、兵士に制止される。 通行証を見せたロバートは兵士たちに笑われ、騒ぎになるのを恐れて建物に入る。 ロバートとメーガンは、その場にいたリードから6人の子供が残っていることを知らされ、車を奪われたために歩いて駅に向かう。 人力車を確保したロバートとメーガンは、混乱する人ごみの中で殴られて意識を失う。 列車の中で意識が戻ったメーガンは、マー・リーに介抱される。 その場にいたイェンと話したメーガンは、道路で会ったことを思い出し、騒ぎに巻き込まれそうなところを助けてくれたことを知る。 メーガンに休養するようにと伝えたイェンは、眠ることにする。 マー・リーは、イェンがメーガンに惹かれていることに気づく。 翌日イェンは、ジョーンズから軍資金が集まったことを知らされる。 イェンは、ロバートに渡した書面を持っていたメーガンが、彼の結婚相手だと分かったことをジョーンズに話す。 トラブルを避けたいジョーンズは、メーガンを上海に送り届けるようイェンに指示する。 銃声で目覚めたメーガンは、外で行われている処刑を見て、その残虐さにショックを受ける。 メーガンは、現れたマー・リーから、助けくれた男性が悪名高きイェンだと知らされて驚く。 部屋に現れたイェンは、銃声に怯えるメーガンのために、処刑場を移すよう部下に指示する。 飢饉に苦しむより死ぬ方が幸せだと言う、イェンの考えが理解できないメーガンは、上海に帰してほしいと伝える。 メーガンを帰すつもりがないイェンは、相手は白人だと言うジョーンズの忠告を聞かなかった。 その後、イェンとの食事を拒むメーガンは、マー・リーに指輪を渡して手紙を出してもらう。 イェンは、メーガンが再び食事を断ったことを知り苛立ち、マー・リーからロバート宛の手紙を受け取り、それを引き出しにしまうよう指示する。 その夜メーガンは、イェンに助けられて情熱的なキスをする夢を見る。 目覚めたメーガンはイェンがいることに気づき、上海に帰してほしいと伝えるものの、危険なので無理だと言う彼から食事に誘われる。 その後マー・リーは、恋仲のリー大尉(リチャード・ロー)に気づき合図をする。 それをメーガンに見られたマー・リーは、彼女にブレスレットを渡して、イェンには内緒にしてほしいと伝える。 イェンに話さないことを約束したメーガンはブレスレットを返し、マー・リーに、ここから出るための協力を求める。 食事にアメリカ人のジョーンズが来ることを知ったメーガンは、イェンの食事の誘いを受けることにする。 入浴して着飾ったメーガンは、夢のことを考えながら化粧をする。 食事に現れたメーガンを歓迎したイェンは、副官のリーとジョーンズを紹介する。 食事の最中にイェンは、マー・リーがリーと共に自分を裏切り、敵に情報を流したことに気づく。 食事は終わり、イェンはジョーンズとマー・リーと共にカードを始める。 イェンは、ジョーンズの話でマー・リーとリーの関係などを確信する。 マー・リーはそれに気づき、イェンに指輪などを外される。 それを渡されたメーガンは、侮辱されて去ったマー・リーを気の毒に思い、イェンを非難する。 メーガンは、リーと共にその場を去ったジョーンズを雇っている理由を尋ねる。 イェンは、西洋的な考えのジョーンズは儲かれば自分を裏切らないが、ロバートは信用できないとメーガンに伝える。 ロバートは損得に関係なく自分を裏切ると言われたメーガンは、イェンを批判し、指輪などを置いて立ち去る。 部屋に戻ったメーガンは、ハンカチに包まった指輪などが戻って来たため、それをマー・リーに返す。 イェンに捕らえられることを覚悟していたマー・リーは、指輪などを上海にいる両親に渡してほしいと言って、メーガンに住所を知らせる。 マー・リーを救おうとしたメーガンは、イェンの元に向かおうとする。 メーガンは、制止するジョーンズから、裏切ったマー・リーは罰を受けなければならないと言われるものの、納得できない。 何千年もの歴史がある中国を一夜で変えるのは不可能だと言うジョーンズは、夜中に彼の部屋に向かうのは危険だとメーガンに忠告する。 メーガンと話したイェンは、敵に情報を流したマー・リーは生かしておけないと伝える。 イェンは、何とかマー・リーを助けてほしいと涙しながら話すメーガンが、人質になる覚悟があることを知る。 マー・リーを呼んだイェンは、自分への忠誠を誓う条件で、メーガンが引き取ることを伝える。 イェンは、マー・リーは必ず裏切ると考えるが、メーガンは、自分に仕えると言う彼女を信じる。 その後マー・リーは、寺に行きたいと言ってメーガンに付き添ってもらい、許しを請う祈りを僧侶に渡す。 僧侶が読み上げた言葉は暗号で、敵にイェンの軍資金の隠し場所が伝わる。 ある夜ジョーンズは、軍資金が積まれた列車を移動させようとする。 列車は襲撃され、軍資金は強奪される。 逃げたマー・リーに再び裏切られたイェンとジョーンズは、何も知らないメーガンに、祈りの言葉が暗号だったことを話す。 ジョーンズは憤慨するが、責任を感じるメーガンをイェンは責めなかった。 イェンを最高の軍人にすることを諦めたジョーンズも、メーガンを恨むことなく、無事に返すことを彼女に約束する。 イェンに呼ばれたメーガンは、ジョーンズの制止を無視して彼の部屋に向かう。 メーガンはイェンが死を覚悟していることに気づき、マー・リーを引き取り代わりに命を捧げた自分を殺すこともできたと言われ、涙しながら自分が愚かだったと伝える。 イェンは、愛する者に裏切られるのが最も辛いことだと言いながら、メーガンを抱きしめる。 メーガンはその場を去り、使用人にも見捨てられたことを知ったイェンは、毒入りのお茶を飲もうとする。 そこに、着飾り化粧をしたメーガンが現れ、”もう離れられない、いつまでも一緒・・・”とイェンに伝える。 イェンは、シルクのハンカチでメーガンの涙を拭き、泣き崩れる彼女を見つめながらお茶を飲み、意識を失う。 その後、メーガンとジョーンズは船で上海に向かう。 ジョーンズはイェンの人生について語り、人間は死なずに姿を変えるだけだと言っていた彼の言葉を思い出す。 死んだらイェンがいる場所に行きたいと言うジョーンズは、そこに君もいるはずだとメーガンに伝える。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストーリー)
1920年代後半、上海。
アメリカ人のメーガン・デイヴィスは、宣教師のロバートとの結婚式を前に、施設の子供たちを助けようとする。
街が混乱する中、ロバートとメーガンは殴られて意識を失う。
軍を支配するイェン将軍の特別列車内で目覚めたメーガンは、彼の屋敷に連れて行かれて厚遇される。
上海に戻りたいメーガンは、イェンを警戒しながらも彼が気になる存在になる・・・。
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1930年に発表された、グレイス・ザリング・ストーンの小説”The Bitter Tea of General Yen”を基に製作された作品。
製作はウォルター・ウェンジャー、若くして映画界入りしてキャリを積んでいたフランク・キャプラが、1930年代に入りさらなる飛躍をしようとしていた頃の作品であり、彼がスターにしたと言っていい、相性のいいバーバラ・スタンウィックを主演に起用(4度目)して演出した作品。
本作は、1932年12月27日に開場した”ラジオシティ・ミュージックホール”で、最初に上映されて映画でもある。
戦乱の中国を舞台に、アメリカ人女性と軍を支配する将軍に芽生える、ほのかな愛情を描くドラマ。
宣教師の妻となる美しい女性が、極悪非道の軍の支配者であり策略家の将軍との生活の中で、彼の人間性や愛に対する考えに触れて次第に変化する女心を、繊細なタッチで描くフランク・キャプラの演出が見どころの作品。
主演のバーバラ・スタンウィックは、上記のように、フランク・キャプラと組んだ数作他で一気にスタートしての地位を築いた時期であり、心乱れる女性を見事に演じ、高い評価を得た。
美しいアメリカ人女性に惹かれ愛を貫き通す、軍を支配する将軍を好演するニルス・アスター、彼の財務顧問であり、ヒロインのことも気遣うアメリカ人ウォルター・コノリー、将軍の情婦でありながら敵に情報を流すトシア・モリ、その恋人であり、上官の将軍を裏切る大尉のリチャード・ロー、宣教師であるヒロインの婚約者ギャヴィン・ゴードン、同じく宣教師のルシアン・リトルフィールド、その妻クララ・ブランディック、その友人エラ・ホール、孤児院の責任者ヘレン・ジェローム・エディ、司教のエメット・コリガンなどが共演している。