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三つ数えろ The Big Sleep (1946)

1939年に発表された、レイモンド・チャンドラーの小説”大いなる眠り”を基に製作された作品。
脅迫の調査を依頼された私立探偵フィリップ・マーロウが真相を突き止めるまでを描く、巨匠ハワード・ホークスとはまり役を演ずるハンフリー・ボガートが手を組み、ローレン・バコールドロシー・マローン共演による犯罪サスペンスの傑作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

ハンフリー・ボガート / Humphrey Bogart / Pinterest
ローレン・バコール / Lauren Bacall / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ハワード・ホークス

製作:ハワード・ホークス
原作:レイモンド・チャンドラー大いなる眠り
脚本
ウィリアム・フォークナー

リイ・ブラケット
ジュールス・ファースマン
撮影:シドニー・ヒコックス
編集:クリスチャン・ネイビー
音楽:マックス・スタイナー

出演
フィリップ・マーロウ:ハンフリー・ボガート

ヴィヴィアン・スターンウッド・ラトレッジ:ローレン・バコール
エディ・マース:ジョン・リッジリー
カルメン・スターンウッド:マーサ・ヴィッカーズ
本屋の店員:ドロシー・マローン
アグネス・ロージャー:ソニア・ダーリン
バーニー・オールズ:レジス・トゥーミイ
スターンウッド/将軍:チャールズ・ウォルドロン
ラッシュ・カニーノ:ボブ・スティール
モナ・マーズ:ペギー・クヌードセン
ハリー・ジョーンズ:エリシャ・クックJr.
ジョー・ブロディ:ルイス・ジーン・ヘイト

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ

1946年製作 114分
公開
北米:1946年8月23日
日本:1955年4月20日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ロサンゼルス
私立探偵フィリップ・マーロウ(ハンフリー・ボガート)は、”将軍”と呼ばれる大富豪スターンウッド(チャールズ・ウォルドロン)の屋敷を訪れる。

ホールで待っていたマーロウは、スターンウッドの次女カルメン(マーサ・ヴィッカーズ)に声をかけられ、躾の悪さを執事に指摘する。

スターンウッドに温室に呼ばれたマーロウは、1年前にも脅されたカルメンが、再び古書商のアーサー・グウィン・ガイガーから、借金の返済を迫る手紙が届いたことを知らされる。

カルメンの姉ヴィヴィアン(ローレン・バコール)のことなども聞いたマーロウは、ギャンブルの借金だという借用書zサインがあるため、それを払うことをスターンウッドに助言する。
...全てを見る(結末あり)

納得しないスターンウッドは、ガイガーを追い払うことをマーロウに依頼し、仕方なく彼はそれを引き受ける。

ヴィヴィアンに呼ばれたマーロウは、1月前に姿を消した、スターンウッドに雇われていた”ショーン・リーガン”を捜すことを頼まれる。

しかし、ヴィヴィアンの不躾な態度などが気に入らないマーロウは、力になれないことを伝えて立ち去る。

その後マーロウはガイガーの店に向かい、店員アグネス・ロージャー(ソニア・ダーリン)に探りを入れる。

アグネスに追い払われたマーロウは、向かいの本屋の経営者(ドロシー・マローン)に、ガイガーについてを聞く。

その場でガイガーの店の様子を窺うことにしたマーロウは、彼が現れたため車で後をつける。

ガイガーの家に着き、カルメンが現れたことに気づきその場で待機していたマーロウは、悲鳴と銃声を聞く。

家に向かったマーロウは、誰かが車で逃げ去るのを目撃しながら、窓から中に侵入する。

そこには、酔ったカルメンが放心状態で、ガイガーが殺されていた。

隠しカメラを見つけたマーロウは。フィルムが抜かれていることに気づき、スターンウッドについて書かれた手帳を持ち去り、カルメンを連れてその場を離れる。

カルメンを屋敷に連れて行き、そこにいたことにするようヴィヴィアンと執事に指示したマーロウは、ガイガーの家に戻り、彼の死体が消えていることに気づく。

オフィスに向かったマーロウは、現れた刑事バーニー・オールズ(レジス・トゥーミイ)から、スターンウッドの車が港で見つかったことを知らされて現場に向かう。

海から引き上げられた車から、事故死と思われる運転手の死体だけが見つかった。

翌朝マーロウは、オフィスで待っていたヴィヴィアンから、カルメンの写真とネガがあり、5000ドルを要求する手紙と電話を受けたことを知らされる。

ヴィヴィアンはこの件を父には話さず、ギャングのエディ・マース(ジョン・リッジリー)に相談することをマーロウに伝える。

リーガンは、マースの妻モナ(ペギー・クヌードセン)と駆け落ちしたこともヴィヴィアンは話す。

その後マーロウは、再びガイガーの店に行き様子を窺い、出て行こうとする男達を付ける。

あるアパートに、ギャンブラーのジョー・ブロディ(ルイス・ジーン・ヘイト)が住んでいることをマーロウは確認する。

ガイガーの家に向かったマーロウは、その場にいたカルメンから、ブロディがガイガーを殺した話を聞く。

そこにマースが現れ、カルメンは帰るよう言われて、彼とマーロウは牽制し合う。

オフィスに戻り、金が用意できたというヴィヴィアンからの電話を受けたマーロウは、向かった場所で、彼女がブロディと会っていることを確認する。

ブロディの部屋に行ったマーロウは、銃を向けられるものの、その場にいたアグネスとヴィヴィアンに出て来るよう伝える。

マーロウは、スターンウッドを脅したブロディがガイガーを殺し、死体を隠したことを追求するものの否定される。

そこにカルメンが現れ、ブロディに銃を向けて写真を渡すよう要求する。

しかし、マーロウがその銃を奪い、ブロディから写真のネガを渡され、ヴィヴィアンにカルメンを連れて帰るよう指示する。

マーロウは、ブロディに写真を盗んだことを白状させて、死んだ運転手がガイガーを殺し、海に車ごと突き落とされたという話を聞く。

そこに男が現れ、入り口を開けたブロディは射殺されて、マーロウが逃げた男を追う。

男を捕えたマーロウは、ガイガーの家に向かい彼の死体が隠されていたため、オールズに連絡を入れて男を引き渡す。

クラブでヴィヴィアンと会ったマーロウは、ガイガーの件で彼女に感謝され報酬を受け取る。

リーガンと関係のあったマースの妻モナが、この件に絡んでいると考えるマーロウだったが、ヴィヴィアンはそれを聞き動揺する。

マースのクラブに向かったマーロウは、ギャンブルの客であるヴィヴィアンと目を合わせる。

マーロウはマースに会い、妻モナとリーガンの居所などを聞き出そうとするが無駄だった。

ヴィヴィアンに呼ばれたマーロウは、勝っていたにも拘らず、さらに勝負を続けた彼女を不審に思いながら誘う。

マースの部下に襲われそうになったヴィヴィアンを助けたマーロウは、彼女を乗せて車を出す。

マーロウは、マースに何を要求されたかを聞き出そうとしながら、ヴィヴィアンに好意を持っていることを伝えてキスをする。

しかし、ヴィヴィアンがマースのことを話そうとしないため、マーロウは彼女を屋敷に送り届ける。

帰宅したマーロウは、その場にいたカルメンから、マースがヴィヴィアンに何度も電話をしてきたことだけを聞き追い払う。

翌日、オールズに呼び出されたマーロウは、ヴィヴィアンと話し合った検事の要請で、スターンウッドの件から手を引くようにと言われる。

マーロウは、ヴィヴィアンがマースと関係していることを話し、彼が、ガイガーの店の家主であることもオールズに伝える。

ヴィヴィアンとマースは関係ないように装っているものの、リーガンが絡んでいるらしいこともマーロウは話す。

オールズを納得させたマーロウは、スターンウッドに会おうとするもののそれを拒まれる。

電話に出たヴィヴィアンは、リーガンがメキシコにいることが分かったことをマーロウに伝える。

その後、自分をつけていたハリー・ジョーンズ(エリシャ・クックJr.)の車を確認したマーロウは、マースの部下に叩きのめされる。

現れたジョーンズは、マーロウを介抱してオフィスに向かい、アグネスと関係のある彼は、リーガンの手掛かりを売ろうとする。

ジョーンズの200ドルの要求を渋るマーロウは、アグネスがモナの居所を知っていることを聞き、それには金を払うことで同意する。

待ち合わせ場所に向かったマーロウは、ジョーンズが、マースの部下ラッシュ・カニーノ(ボブ・スティール)に脅されてアグネスの居場所を吐き、毒殺されるのを目撃する。

マーロウは警察を装い、ジョーンズが話した場所に連絡をするが、アグネスはその場にはいなかった。

そこにアグネスから電話があり、マーロウは、ジョーンズが彼女を助けようとしたものの死んだことを伝え、用意した金を渡すことを告げて会う約束をする。

アグネスに会ったマーロウは200ドルを渡し、モナの居場所を聞きその場に向かう。

マーロウは、そこにいたカニーノに殴られて拘束される。

意識の戻ったマーロウは、モナと共にいるヴィヴィアンから、なぜ手を引かなかったのかを問われる。

ヴィヴィアンはマーロウを逃がし、彼は車に向かい銃を手にする。

戻ってきたカニーノが、ヴィヴィアンを連れて家を出てきたところで、マーロウは彼を射殺する。

その場を離れた二人だったが、ヴィヴィアンは、リーガンを殺したのは自分だとマーロウに伝え、お互いの愛を確かめる。

ガイガーの家に向かった二人は、マースに連絡を入れてその場に呼び出す。

現れたマースに銃を向けたマーロウは、リーガンを殺したのはヴィヴィアンではなく、カルメンだと伝える。

好意を寄せるリーガンが、マースの妻モナと関係していたため、嫉妬したカルメンは彼を殺し、マースが、その死体を隠してヴィヴィアンをゆすったことを確認したマーロウは彼を脅す。

マーロウはマースを銃撃して表に出るよう命じ、彼は、入り口を出た者を撃てと指示してあった部下に射殺されてしまう。

オールズに電話をしたマーロウは、マースが殺されたことと、彼がリーガンを殺したことも伝える。

マーロウは、カルメンの件については黙っていることをヴィヴィアンに伝え、妹は医師の治療を受けるべきだと助言する。

ヴィヴィアンは、自分のことも考えるようマーロウに告げて彼に寄り添う。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス
私立探偵フィリップ・マーロウは、“将軍”と呼ばれる大富豪スターンウッドから、娘のカルメンが脅迫されている件で調査を依頼される。
気乗りしないマーロウだったが、カルメンの姉であるヴィヴィアンからも、姿を消した使用人を捜すことを依頼される。
不躾なヴィヴィアンにそれを断ったマーロウは、早速、カルメンが要求される借金の相手、古書商のガイガーを調べ始める。
ところがガイガーは、カルメンが家に現れた直後に何者かに殺されてしまう。
その後、スターンウッドの運転手が、車で海に落ちて死亡し、更にマーロウは、カルメンが淫らな写真を撮られて再び脅されたことを、ヴィヴィアンから知らされる・・・。
__________

1939年に発表された、レイモンド・チャンドラーの小説”大いなる眠り”を基に製作された作品。
彼の処女長編であり、映画化された初めての作品。

レイモンド・チャンドラーの原作は、ウィリアム・フォークナーリイ・ブラケットジュールス・ファースマンという大物により、綿密に練られた構成で見事な脚本に仕上り、ハワード・ホークスの骨太の演出も光る見応えある作品。

複雑で理解し難いという意見もあるが、謎めいた内容から気をそらすことなく鑑賞すると、味わい深い、サスペンスとしての醍醐味を満喫できる素晴らしい作品だ。

第二次大戦終結直後の時代背景などを考えながら観ると、大胆ではないがエロチシズムを感じる微妙な表現などが印象的で、荒っぽい世界に生きる男達を、大袈裟でなく端的に伝える描写など注目すべき点が多い。

1997年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

マックス・スタイナーらしいダイナミックな音楽もドラマを盛り上げる。

日本公開は、北米公開から9年後の1955年なのだが、雰囲気を出そうとして付けた邦題は頂けない。

脱出」(1944)の共演をきっかけに、親子程の年齢差も話題になりながら結婚したハンフリー・ボガートローレン・バコール夫妻出演も注目。
惹かれ合う雰囲気を維持しつつもぶつかり合い、ドラマの進行の妨げにならないよう、ロマンスは控えめに描かれているなど心憎い演出だ。

大富豪、美女、悪党、そして警察、全てに対し、アウトロー的な自らの考えで、物事に体当たりしていく雰囲気、オーラを感じる魅力的な主人公を演ずるハンフリー・ボガート、彼に一歩も引けを取らない、20代前半とは思えない貫録さえ感じる富豪令嬢ローレン・バコール、小悪魔のようなその妹マーサ・ヴィッカーズ、ギャングのボス役ジョン・リッジリー、その妻役のペギー・クヌードセン、妙に印象的な古書店の経営者役ドロシー・マローン、事件に絡む古書店の店員ソニア・ダーリン、彼女の恋人エリシャ・クックJr.、刑事のレジス・トゥーミイ、大富豪のチャールズ・ウォルドロン、ギャング役のボブ・スティール、ギャンブラーのルイス・ジーン・ヘイト等が共演している。


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