第一次大戦で生き残った兵士が軍曹として従軍した第二次大戦で4人の兵士と共に戦い抜く姿を描く、監督、脚本サミュエル・フラー、主演リー・マーヴィン、マーク・ハミル、ロバート・キャラダイン他共演の戦争ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:サミュエル・フラー
製作:ジーン・コーマン
脚本:サミュエル・フラー
撮影:アダム・グリーンバーグ
編集:モートン・チューバー
音楽:ダナ・カプロフ
出演
軍曹:リー・マーヴィン
グリフ二等兵:マーク・ハミル
ザブ二等兵:ロバート・キャラダイン
ヴィンチ二等兵:ボビー・ディ・シッコ
ジョンソン二等兵:ケリー・ウォード
シュローダー軍曹:ジークフリート・ラウヒ
ワルーン:ステファーヌ・オードラン
アメリカ 映画
配給
ワーナー・ブラザーズ(初公開)
ユナイテッド・アーティスツ(再公開)
1980年製作 113分 再公開版162分(2004)
公開
北米:1980年7月18日
日本:1981年1月31日
製作費 $4,000,000
北米興行収入 $7,206,200
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1918年11月、第一次大戦下、フランス。
アメリカ陸軍・第1歩兵師団の二等兵(リー・マーヴィン)は、小銃を馬に踏みつけられる。
二等兵は、終戦だと言って近づいて来たドイツ兵をトレンチナイフで刺し殺す。
塹壕に戻った二等兵は、馬に小銃を踏みつけられたことを大尉に話す。
殺した敵兵の帽子に付いていた赤い帯を奪ってきた二等兵は、それが”第1歩兵師団”の記章に使えるのではないかと大尉に伝える。
1時間前に殺したと知った大尉は、4時間前に休戦になったことことを二等兵に知らせる。
その赤い線は、第1歩兵師団の記章”ザ・ビッグ・レッド・ワン”となる。
1942年11月、北アフリカ。
アメリカ陸軍・第1歩兵師団は、上陸地点に向かう。
第16連隊第1小隊第1分隊の軍曹(リー・マーヴィン)は、射撃の名手グリフ二等兵(マーク・ハミル)、農家出身のジョンソン二等兵(ケリー・ウォード)、サックス奏者のヴィンチ二等兵(ボビー・ディ・シッコ)、ヘミングウェイ気取りのザブ二等兵(ロバート・キャラダイン)らと、ビシー政権下のフランス軍の出方などを考える。 上陸用舟艇に乗り込んだ兵士達は海岸に向い、部隊は、フランス軍に撃つなと警告する。 フランス軍の指揮官は発砲しないようにという指示を出すが、上官は彼を射殺して射撃しようとする。 他の兵士に撃たれた上官は、機関銃の引き金を握ったまま意識を失い銃弾は乱射される。 アメリカ軍は反撃するが、怯えるグリフは銃弾を外してしまう。 指揮官が死んだために、フランス軍は白旗を掲げて降伏する。 味方だと言われたフランス兵はアメリカ兵を歓迎して抱き合う。 しかし、恐怖で怯えるグリフだけは喜ぶ気になれなかった。 その後、グリフは仲間達を避けるようになり、殺人は嫌だという彼に、軍曹は”殺す”と考えることだと伝える。 ドイツ軍のシュローダー軍曹(ジークフリート・ラウヒ)は、カセリーヌ峠に向かうことを部下に伝える。 それを拒みヒトラーを否定する兵士を、シュローダーは容赦なく射殺する。 ロンメル軍団を確認した軍曹は、逃げきれないと考え、地面を掘って身を隠す。 何人かが戦車に押しつぶされ、穴から這い出したグリフらは敵に見つかり攻撃が始まる。 負傷した軍曹は、チュニスの病院に運ばれて治療を受ける。 カセリーヌ峠での敗北後、味方がエルゲタールで敵を撃退したことを知った軍曹は、部隊に戻り、生き残っていたグリフら4人に再会する。 1943年7月、シチリア。 補充兵はたちまち命を落としてしまうが、軍曹と4人は無傷のままだった。 洞窟で小休止していた部隊は、その場をドイツ軍が通過していくのを見守る。 砲撃が始り、洞窟に逃げ込んでくる敵兵を次々と殺した小隊は、敵が全滅したため無線で本部に連絡する。 アメリカ海軍の巡洋艦の砲撃で助かったことを知った軍曹は、それを部下に伝える。 ある町で、母親の死体を埋葬しようとする少年に出会った軍曹は、彼が自走砲の場所を知っていると言うため、墓地に遺体を運ぶ条件でそれを教えることを約束させる。 戦車を確認した軍曹らはその場に近づき、監視兵を射殺する。 ドイツ兵から解放された人々に歓迎された部隊は、50歳過ぎの女性ばかりではあったが、食事や酒で持て成される。 軍曹は、遺体を運ぶ車と棺が用意されることを少年に伝えるよう、ヴィンチに指示する。 少年は軍曹に感謝して、小隊はその場を離れることになる。 輸送船で移動する部隊は、上陸作戦に備えてイギリスに向かう。 1944年6月6日、ノルマンディー、オマハ・ビーチ。 爆薬で壁を爆破する計画を実行する軍曹は、部下を現場に向かわせるものの次々と戦死する。 グリフの順番になり、途中で怯んだ彼に向かって、軍曹が容赦なく発砲する。 壁に向かったグリフは筒状の爆薬をその場に設置し、爆破に成功して突破する。 内陸に進み、第一次大戦で戦った地に近づいた軍曹は無口になる。 軍曹は、当時戦った第1歩兵師団の記念碑付近で斥候を出すが、シュローダーの部隊が待ち構えていた。 戻った斥候からドイツ軍が全滅していると報告された軍曹は、そのまま前進する。 現場に向かった軍曹は、戦車内で倒れている兵士の記章の色に気づき、死んでいる振りをしている歩兵3人を殺す。 待機しようとした軍曹は上官に連絡するものの、その場に迎えないと言われ、仕方なく後方に戻ろうとする。 軍曹は、部下に見張られていると言いながら警戒し、直後に攻撃を受ける。 部隊は反撃し、軍曹は、戦車の機関銃で攻撃する。 敵の銃撃が止まり調べさせた軍曹は、サイドカーで現れた負傷した男が妊婦を連れていることに気づく。 妊婦を戦車の中に連れて行った軍曹は、ジョンソンに出産を任せる。 軍曹とグリフに手伝ってもらったジョンソンは、無事に男の子を出産させることができる。 十字架に隠れていたシュローダーは、諦めてその場を去る。 1944年9月、ベルギー。 ワルーンの協力で、部隊はドイツ兵を全滅させる。 1944年12月、ドイツ。 アルデンヌの森でドイツ軍の反抗作戦が始り、部隊は一旦フランスに退却するもののベルギーを奪還する。 1945年5月、チェコスロバキア。 グリフはショックを受け、収容者を焼却する窯に潜んでいたドイツ兵を射殺し、無数の銃弾を浴びせる。 生存者の少年を救い出した軍曹は、彼を民家のベッドに寝かせて話しかける。 何も答えない少年は食べものも口にせず、軍曹は彼を連れて歩き始める。 落ち着いた少年は、果物を食べながら笑みを漏らす。 軍曹は、背負った少年が亡くなったことに気づくが30分も歩き続け、彼を森に埋葬する。 その後、終戦だと言いながらシュローダーが近づくが、軍曹は彼を刺殺する。 現れた部下から、4時間前に終戦協定が結ばれたと言われた軍曹は、その場を去ろうとする。 シュローダーがまだ生きていることをグリフから知らされた軍曹は、手当てをして部下と共に彼を野営地に運ぶ。
...全てを見る(結末あり)
部隊は上陸し、軍曹らは狙撃兵を警戒しながら町に入る。
大量の戦死者を出しながら生き残った軍曹の部隊は、その後、身動きができなくなる。
障害者がいる修道院にワルーン(ステファーヌ・オードラン)という名のレジスタンスがいることを部下に伝えた軍曹は、その場を占領しようとする。
森の中で小休止していた小隊は攻撃を受ける。
強制収容所を解放した部隊は、その悲惨な状況に驚く。
*(簡略ストー リー)
1918年11月第一次大戦下、フランス。
アメリカ陸軍・第1歩兵師団の二等兵は、終戦を知らずに敵兵を殺してしまう。
1942年11月、北アフリカ、第1歩兵師団の軍曹は、24年前の終戦の日を想いながら、部下グリフら若い4人の兵士達と共に上陸して戦う。
戦闘は殺人だと言うグリフに対し、”殺す”という考えに徹することだと諭す軍曹は、その後も部下と共に戦いを続ける。
チュニジアで負傷し病院に収容され部隊に戻った軍曹は、生き残った部下達と再会する。
1943年、シチリアに上陸し、補充兵はたちまち命を落とすものの、軍曹と4人の兵士は奇跡的に生き残る。
1944年、ノルマンディー上陸作戦の激戦地オマハ・ビーチでも部下と共に生き残った軍曹は、第一次大戦で終戦の日を迎えた戦地に向かう・・・。
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第二次大戦で従軍し、北アフリカからヨーロッパ戦線で戦ったサミュエル・フラー自身の体験を基に、彼の脚本により製作された作品。
物語の主人公達が所属するアメリカ陸軍・第1歩兵師団に配属されて戦ったサミュエル・フラーは、”シルバースター”、”ブロンズスターメダル”、”パープルハート”などの勲章を受勲した英雄であり、クライマックスで描かれる、チェコスロバキアの強制収容所”Falkenau concentration camp”が1945年5月6日に解放された日にも部隊の一員としてそれに参加している。
厳しい戦闘場面だけでなく、各地で起きるエピソードでは愉快な出来事もあり、現地の人々との交流なども感動的に描かれている。
優秀ではあるが、初めて戦闘に参加した兵士が怯えてしまう心境を理解しながらも、”殺人”と”殺す”ことは別だと諭す上官の立場を厳しく描き、戦場では、生きることこそ勝利であると訴える、サミュエル・フラーの力強く、また様々な思いが込められたメッセージが伝わる見事な演出が光る作品。
原題の”The Big Red One”は、言うまでもないが、アメリカ陸軍・第1歩兵師団の記章を意味し、師団そのものを指す呼称となっている。
第一次大戦を生き残り、第二次大戦でも再び同じ戦地に戻り、自らの体験を生かした考えと行動で、奇跡的に部下と共に生き延びて終戦を迎える古参兵の軍曹を演ずる、リー・マーヴィンの重厚な演技は印象的だ。
優秀な狙撃兵でありながら、戦闘の恐怖に怯えてしまう兵士マーク・ハミル、作家気取りの兵士ロバート・キャラダイン、イタリア系兵士のボビー・ディ・シッコ、農家出身の衛生兵ケリー・ウォード、ドイツ兵の軍曹ジークフリート・ラウヒなどが共演している。