1948年に発表された、推理作家スタンリー・エリンの小説”Dreadful Summit”の映画化。 父親を目の前で痛めつけられた青年が殺す目的で犯人を捜し回る一夜を描く、監督、脚本ジョゼフ・ロージー、主演ジョン・ドリュー・バリモア(ドリュー・バリモアの父親)、プレストン・フォスター他共演によるフィルム・ノワールの秀作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョゼフ・ロージー
製作:フィリップ・A・ワックスマン
原作:スタンリー・エリン
脚本
ジョゼフ・ロージー
スタンリー・エリン
撮影:ハル・モーア
編集:エドワード・マン
音楽:リン・マーレイ
出演
ジョージ・ラ・メイン:ジョン・ドリュー・バリモア
アンディ・ラ・メイン:プレストン・フォスター
アル・ジャッジ:ハワード・セント・ジョン
ロイド・クーパー博士:フィリップ・ボーンニーフ
マリオン・ロスティナ:ジョーン・ロリング
ジュリー・ロスティナ:ドロシー・カミンゴア
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1951年製作 75分
公開
北米:1951年11月13日
日本:未公開
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
気の弱い少年ジョージ・ラ・メイン(ジョン・ドリュー・バリモア)は、17歳の誕生日に、普段無愛想なバーを営む父アンディ(プレストン・フォスター)からバースデー・ケーキをプレゼントされる。
その時、突然、現れたコラムニストのアル・ジャッジ(ハワード・セント・ジョン)が、アンディを痛めつけて帰っていく。
無抵抗な父親を見てショックを受けたジョージは、店のレジの中にあった拳銃を見つける。
身なりを整えたジョージは拳銃を持参し、アンディと行く約束をしていた、ジャッジがいるはずのボクシング会場に向かう。
アンディの分のチケットを、ロイド・クーパー(フィリップ・ボーンニーフ)に転売したジョージは、詐欺師にその金を奪われてしまう。 その後、観客席でクーパーと再会したジョージは、彼が大学でジャーナリズム教えていることを知り、リングサイドにいたジャッジを監視する。 試合後、クーパーとジャッジの後を追ったジョージは、あるクラブに連れて行かれる。 ジョージは、クーパーの恋人で、美しい女性のジュリー・ロスティナ(ドロシー・カミンゴア)を紹介される。 大人の世界を満喫して酔ってしまったジョージは、ジュリーのアパートに向かう。 ジュリーの妹マリオン(ジョーン・ロリング)は、ジョージが寝ている間に彼の拳銃を隠してしまう。 目が覚めたジョージは、自分によくしてくれるクーパーを、マリオンが嫌っていることを知る。 ジョージはマリオンが拳銃を隠したことに気づき、それを見つけて憤慨する。 しかしマリオンは、拳銃が物事の解決策にはならないことと、それをジョージに使わせたくなかったことを訴える。 マリオンの気持ちを知ったジョージは、彼女にキスをするが、そこにクーパーとジュリーが現れ、ジョージは部屋を飛び出してしまう。 新聞社でジャッジの行き先を聞いたジョージは、彼の居場所が父アンディの恋人のアパートだということを知る。 ジャッジはその女性の兄で、アンディに結婚できないと言われ自殺した妹の復讐のため、彼を痛めつけたことをジョージに伝える。 握っていた拳銃を捨てて帰宅しようとしたジョージだったが、ジャッジが彼に銃口を向け、アンディをさらに陥れようとする。 揉み合いになったジョージとジャッジだったが、拳銃が暴発してジャッジは倒れ、ジョージはその場から逃げ去る。 ジュリーのアパートに向かったジョージは、ジャッジを殺したことをマリオンに話す。 それを知ったクーパーは、自分が利用されたと思い込み、ジョージをアパートから追い出してしまう。 街をさ迷ったジョージは翌朝帰宅するが、事情を知った父アンディが、罪を被って警察に逮捕されてしまう。 アンディを救おうとしたジョージは、警察に自分の犯行だと告白し、ジャッジがかすり傷だということを知らされる。 大人達の話が信じられないジョージは、拳銃で自殺すると言い出すが、アンディは、恋人と結婚できなかった理由を息子に話し始める。 実は死んだはずのジョージの母親は生きていて、子育てに疲れ、男を作り姿を消したというのだ。 アンディは、そんな妻でも未練があったことと、ジョージに母親を憎んでほしくなかったことを伝え、息子を納得させる。 そして、2人は警察に連行されていく。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
気の弱い少年ジョージ・ラ・メインは、17歳の誕生日に、バーを営む父親アンディに祝ってもらう。
その直後、コラムニストのジャッジが突然、現れアンディを痛めつけて帰っていく。
ショックを受けたジョージは、店にあった拳銃を手に取り、父と行く約束をしていた、ジャッジがいるはずのボクシング会場へと向かうのだが・・・。
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当時吹き荒れていた”赤狩り”の影響をまともに受け、国を追われることになるジョゼフ・ロージーの、ハリウッド最後の作品。
17歳になったばかりの少年がドラマの主人公という異色のサスペンスで、殺人を目的にして行動する内に、世の中や大人の世界を知っていくという、複雑な心中を生々しく描き、ラストでは親子愛で締めくくられる物語。
主演は、偉大なる父ジョン・バリモア(当時既に他界)の面影を残すジョン・ドリュー・バリモアで、厳しい世間の現実を体験し、一夜にして大人へと成長する少年を好演している。
映画史上に残る名優の父とその一族”バリモア家”の一員として有名な彼の娘はドリュー・バリモアである。
”ジョン・バリモアの息子、ドリューの父親”と言われるのが気の毒だが、日本で紹介されている作品は少なく、本作は貴重な映像とも言える。
息子のためを思い、母親の秘密を隠していた主人公の父親プレストン・フォスター、彼のせいで自殺した妹の敵を討つ著名なコラムニスト、ハワード・セント・ジョン、主人公を気に入る学者フィリップ・ボーンニーフ、その恋人ドロシー・カミンゴアと妹のジョーン・ロリングなどが共演している。