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それでも、愛してる The Beaver (2011)

重い鬱病の夫、父を支えきれない家族が崩壊の危機に直面しながら絆を取り戻すまでを描く、監督、出演ジョディ・フォスター、主演メル・ギブソンアントン・イェルチンジェニファー・ローレンス他共演のヒューマン・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■
監督:ジョディ・フォスター

製作総指揮
ジェフ・スコール

モハメッド・ムバラク・アル・マズルーイ
ポール・グリーン
ジョナサン・キング
ジョディ・フォスター
製作
アン・ルアーク

スティーヴ・ゴリン
キース・レドモン
脚本:カイル・キレン
撮影:ハーゲン・ボグダンスキー
編集:リンジー・クリングマン
音楽:マーセロ・ザーヴォス

出演
ウォルター・ブラック:メル・ギブソン

メレディス・ブラック:ジョディ・フォスター
ポーター・ブラック:アントン・イェルチン
ノラ:ジェニファー・ローレンス
ヘンリー・ブラック:ライリー・トーマス・スチュワート
モーガン・ニューウェル:チェリー・ジョーンズ

アメリカ 映画
配給
サミット・エンターテインメント

ミラマックス
2011年製作 91分
公開
北米:2011年5月20日
日本:2012年6月23日
製作費 $21,000,000
北米興行収入 $970,820
世界 $6,370,820


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
玩具会社”ジェリー”のCEOウォルター・ブラック(メル・ギブソン)は、妻のメレディス(ジョディ・フォスター)と二人の息子ポーター(アントン・イェルチン)とヘンリー(ライリー・トーマス・スチュワート)と共に何不自由ない生活を送っていた。

しかしウォルターは、ある日、突然、鬱病となり、あらゆる治療を試すものの効果はなかった。

一日中ほとんど寝るようになったウォルターは、父親から受け継いだ事業に関心もなくなり、家族も崩壊寸前だった。

ヘンリーは学校で孤立し、父親にも無視されて心を痛め、ポーターは、ウォルターのようになることを恐れて、彼との類似点を探し、それを消し去ろうとしていた。

エンジニアのメレディスは仕事に没頭し、ウォルターの症状に気付きながら、妻として向き合うことをしなかった。

家族はウォルターの回復を願うものの、その可能性がないことを悟った彼は家を出る決心をする。

しかし、メレディスはそれを止めようとしなかった。

レポートの代筆をして金を稼いでいるポーターは、心を寄せるノラ(ジェニファー・ローレンス)から、体育館で会いたいというメモを受け取る。
...全てを見る(結末あり)

メレディスは、ヘンリーが学校で疎外され、ウォルターが去ったことで悩んでいることを気にする。

酒を買い込んだウォルターは、トランクが荷物で一杯なことに気づき、テニス・ラケットなどを捨てる。

ウォルターは、ゴミ箱に捨ててあったビーバーのパペットが気になり、それを持ち帰る。

ホテルの部屋で酒を煽っていたウォルターは、バスルームで首つり自殺を図るが失敗する。

バルコニーに向かい飛び降りようとしたウォルターだったが、手に付けていたビーバーに声をかけられて、驚いた拍子に部屋で倒れ、テレビの下敷きになってしまう。

翌朝、目覚めたウォルターは、自分が話しているのだが、左腕のビーバーに、”全てを最初からやり直せ、お前を救うために来た”と言われる。

その日の午後、ヘンリーを迎えに行ったメレディスは、彼をウォルターが迎えにきたことを知らされ、急いで自宅に戻る。

ビーバーを片手に、それを介して会話をするウォルターに驚くメレディスだったが、彼から、主治医の治療の一環であるとも言われ、ヘンリーが喜んでいることから、一応それを受け入れる。

体育館でノラを待っていたポーターは、成績優秀な彼女から卒業生総代のスピーチの代筆を頼まれるが、それを断ろうとする。

怠慢なだけだと言われたノラは憤慨し、500ページ以上も書いた原稿をポーターに渡して立ち去る。

帰宅したポーターは、ウォルターが、人形を手にヘンリーとはしゃぐを見て動揺し、まともに対応しようとしない。

メレディスは、料理まで作ったウォルターの急変に驚き、接し方に戸惑いながらも、久し振りに家族で楽しい時間を過ごす。

原稿に目を通したポーターはノラに電話をして、金額的な交渉を済ませて、翌日、彼女の家に行く約束をする。

ビーバーを手に、見違えるように活動的になったウォルターは、身なりを整えて出社する。

9時に会議を招集したウォルターは、驚く副社長のモーガン・ニューウェル(チェリー・ジョーンズ)ら社員を前に、ビーバーを介して、今後の経営方針と自分に2週間の猶予を与えて欲しいことを伝える。

ノラの部屋で話を聞いたポーターは、放校になったことがある彼女に、その理由である”タギング”の絵を見せられる。

その素晴らしさに驚いたポーターは、ノラをに対して違った感情を抱くようになる。

見違えるような日々を送るようになったウォルターは、相変わらずポーターとは打ち解けることはできなかった。

しかし、ヘンリーが木工細工に異常なほど興味を持ったことであることが閃き、それをモーガンに伝える。

ウォルターの、ビーバーの木工セットの発想をモーガンも気に入り、早速、製品化されることになる。

結局、最初の2週間で会社を辞めた者はなく、ウォルターは、メレディスとの愛も取り戻す。

しかしメレディスは、ウォルターが、結婚記念日の食事にまでビーバーを持参しようとすることに反対する。

ノラをデートに誘ったポーターは、彼女に”タギング”をさせようとするが、自分が描いてみるように言われる。

ポーターは、薬物使用で亡くなった、ノラの兄ブライアンが、安らかに眠るようにと壁に書くが、彼女はそれを見て気分を害する。

ノラがスピーチで語りたいことだと言うポーターに、彼女は干渉し過ぎだと伝えて怒りを露わにするが、そこに警察が現れる。

ビーバーを隠しながら食事をしたウォルターは、メレディスとヘンリーが作った木箱の中の、家族の思いでの写真を見て動揺する。

そして、ビーバーを取り出したウォルターは、自分がこうなった原因は過去にあると言って興奮する。

それでも、ヘンリーの生まれたばかりの写真を見せて、過去に戻るべきだとウォルターに伝えるメレディスだったが、彼はそれを受け入れることができずに席を立つ。

警察からの連絡を受けたメレディスは、ウォルターと共にポーターを迎えに行く。

ウォルターは、母親に引き取られたノラにビーバーとして話しかけ、それを見ていたポーターは愕然とする。

ポーターに、話し合おうと声をかけたウォルターだったが、ビーバーを奪い取られそうになったために暴力を振るってしまう。

一方、木工セットは大ヒットして、傾きかけていた会社は復活する。

取材も殺到しているウォルターは、テレビ番組に出演して、ビーバーが本物で、生きていることを証明するとモーガンに伝える。

ビーバーが、専門医の指示だと言っていたウォルターの言葉が嘘だったことを知ったメレディスは、それを彼に問い詰める。

薬や治療が最善であるのかを伝えたウォルターは、この状況が正常なのかと言うメレディスに、”二人”の奇跡についてを語る。

このまま、おかしくなっていく父親を見せたくないと言うメレディスは、子供達を連れて家を出る。

ウォルターのテレビ出演は反響を呼び、”ビーバー”は一大ブームになる。

ポーターは、ノラと話をしようとするが、彼女に拒絶されてしまう。

当初は同一だった人格だったが、ビーバーがウォルターから離れ暴走し、彼は混乱してしまう。

ウォルターは、ビーバーを葬ることを決めて、左腕を丸鋸で切断してしまう。

メレディスは、電話で動揺していた、ウォルターの様子を見に行くようポーターに指示する。

ガレージで倒れていたウォルターを発見したポーターは、彼を病院に運ぶ。

その後、木工セットの人気はなくなり、信頼を失った会社は、モーガンがCEOとなり再建を目指す。

メレディスはウォルターに付き添い、ポーターは代筆がバレてしまい、”ブラウン大学”の入学を取り消される。

家に閉じ籠っていたポーターは、ノラからのメールを受けて、”タギング”をした場所に誘われる。

ポーターはノラの描いた絵に驚き、彼女は、”兄は死んだ”ことを知らせたかったことを伝える。

ノラは、スピーチ書くようポーターに約束させて、彼は、壁に貼ってあった絵を剥がして部屋に持ち帰る。

ポーターはノラのために原稿を書くが、スピーチの本番で、彼女は金を払い代筆してもらったことを語る。

本当に伝えたかったことは、”失われたものが戻らない現実を受け止めること、愛する兄は戻ってこない・・・しかし、皆、独りではない”。

ノラのスピーチを聞いたポーターは、病院のウォルターの元に向かい、父と向き合うことが必要だと言うことを理解し、父子は抱き合う。

その様子を見ていたメレディスは、安堵してその場を去る。

そして、ウォルター・ブラックは、彼自身を取り戻し、正常な生活を続ける。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
玩具会社”ジェリー”を経営するウォルター・ブラックは、妻のメレディスと二人の息子ポーターとヘンリーとで、何不自由ない生活を送っていた。
しかしウォルターは、突然、重度のうつ病になり、あらゆる治療も効果はなく、家庭は崩壊寸前となる。
幼いヘンリーは父親に無視されて傷つき、メレディスとポーターは、ウォルターを見捨ててしまう。
家を出たウォルターは、ゴミを捨てようとして、ビーバーのパペットを拾い持ち帰る。
ホテルの部屋で首吊り自殺をしようとしたウォルターは、それに失敗してしまう。
その後、飛び降り自殺を考えたウォルターだったが、持っていたビーバーに声かけられ、驚いた拍子に倒れて気を失ってしまう。
翌朝、目覚めたウォルターは、自分が話しているのだが、”全てをやり直せ、お前を救うために来た”と言われる。
生まれ変わったようなウォルターは、家族の元に戻り、会社に復帰し、ビーバーを介して発言して、活動的な生活を始めるのだが・・・。
__________

ジョディ・フォスターにとっては「ホーム・フォー・ザ・ホリデイ」(1995)以来16年ぶりの監督で、メル・ギブソンとは「マーヴェリック」(1994)以来の共演となる。

病人を抱える、ある家族の過酷な日々を生々しく描く作品ではあるが、どことなく穏やかな優しいタッチの演出にジョディ・フォスターの女性らしい感性が伝わる作品だ。

豪華スター競演にも拘らず、拡大公開もされずに、興行的に成功した作品とは言えない。

演出に偏らずに、出演場面も多いジョディ・フォスターは、鬱病の夫役を熱演するメル・ギブソンに引けを取らない、当然ではあるが、手抜きのない演技を見せてくれる。

もう一つのドラマを支える若い二人、同年の「今日、キミに会えたら」(2011)でも愛し合う者同士を演じていた、アントン・イェルチンジェニファー・ローレンス、実力派の二人の演技も注目だ。

主人公の息子ライリー・トーマス・スチュワート、玩具会社の副社長チェリー・ジョーンズなどが共演している。

その言葉自体は悪くはないが、なぜこのような邦題をつけるのか理解に苦しむ。
タイトルは”ビーバー”以外に考えられない。


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