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黒船 The Barbarian and the Geisha (1958)

日本の消極的な態度に苦慮しながらも日米修好通商条約を締結したアメリカの外交官タウンゼンド・ハリスと下田芸者唐人お吉の物語。
監督ジョン・ヒューストン、主演ジョン・ウェイン安藤永子サム・ジャッフェ山村聡他共演。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(歴史劇)

ジョン・ウェイン / John Wayne 作品一覧
ジョン・ウェイン / John Wayne/Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・ヒューストン
製作:ユージン・フランク
原作:エリス・セント・ジョセフ
脚本:チャールズ・グレイソン
撮影:チャールズ・G・クラーク
編集:スチュアート・ギルモア

音楽:ヒューゴ・フリードホーファー

出演
ジョン・ウェインタウンゼント・ハリス
安藤永子お吉
サム・ジャッフェヘンリー・ヒュースケン
山村聡:田村左衛門守

アメリカ 映画
配給 20世紀 FOX
1958年製作 104分
公開
北米:1958年9月30日
日本:1959年2月3日
製作費 $3,500,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1856年8月21日、伊豆の下田。
”盆踊り”で賑わう小さな漁村に、芸者お吉(安藤永子)の姿があった。

その時、”黒船”と呼ばれる航洋船が現れ、外国人襲来に驚く村人達は動揺し、下田奉行・田村左衛門守(山村聰)にそれが知らされる。

田村はお吉の後見人でもあり、芸者修行の費用も彼が負担していた。

船は一晩停泊し、翌朝、アメリカの外交官タウンゼンド・ハリス(ジョン・ウェイン)が、秘書兼通訳のヘンリー・ヒュースケン(サム・ジャッフェ)を伴い上陸しようとする。

田村はそれを制止しようとするが、ハリスは2年前にマシュー・ペリーが結んだ、”日米和親条約”に基づく行動だと主張し、強引に上陸してしまう。

そして、航洋船が礼砲を放ったため、村人は驚き逃げ出してしまう。

ハリスは、両国の一方が必要とした場合、下田に領事を置くことが許されていることを確認するが、田村はそれを認めなかった。
...全てを見る(結末あり)

宿舎を要求するハリスに対し、田村は私人として彼らを受け入れ粗末な住居を提供する。

翌日、ハリスは住居に星条旗を掲げてしまい、田村はそれも認めずに降ろさせる。

村人から歓迎されないハリスは、それが田村の意向だと察し、彼に待遇改善を求める。

日本が、外交を好まないことをハリスに伝えた田村だったが、ハリスは、あくまで領事としての扱いを要求して、幕府宛の信書を田村に預ける。

ハリスの、物怖じしない態度に困惑した田村は、幕府にお伺いを立てる。

江戸幕府の中では鎖国と開国の論争が絶えず、ハリスも一応歓待せよとの命令が田村に届く。

5ヶ月が過ぎ、依然、自分の信書が幕府に届かないことに焦りを見せ始めたハリスだったが、ある日、田村から食事の招待を受ける。

宴が始まり、ハリスは、芸者お吉の魅力に心惹かれる。

住居に戻ったハリスは、田村の言い付けで自分達の世話をすることになったお吉に迎えられる。

お吉を帰そうとしたハリスだったが、自分も田村も情報を入手できると判断して、彼女の同居を許可する。

翌日、お吉ハリスの住居内の様子などを田村に伝えるが、彼はハリスの機嫌をとって監視をすることに専念するよう命ずる。

ハリスヒュースケンお吉との親交を深めるが、村人は相変わらずハリス達を野蛮人扱いし、お吉に対しても嫌がらせを始める。

ある時、別の船が来航したため、ハリス星条旗を掲げるが、田村は船に砲撃を加える準備をしていることを告げて警告する。

ハリスは大砲の前に立ちはだかり、船を寄港させて単身近づこうとする。

しかし、船内ではコレラが発生していて、船員が泳いで村に上陸してしまい、病気を蔓延させてしまう。

ハリスは責任を感じ、昼夜を通して村人のために尽くすが、村人は祈りや神頼みをするばかりで、ハリスの気持ちは一向に通じなかった。

お吉も過労で倒れてしまい、ハリスは村を焼き払うが、田村や村人の怒りを買い、彼らは監禁されてしてしまう。

結局はこれが功を奏してコレラを撲滅するが、ハリスは志半ばで、故郷に帰る決断をする。

それを知ったお吉は悲しむのだが、村人は村を救ってくれたハリスに感謝し、ようやく彼を受け入れる。

村人の姿に感極まり涙するハリスを、田村が訪ねて彼に感謝し、今までのことを謝罪する。

さらに田村は幕府への手配を整え、ハリスは江戸に向かう準備を始める。

出発の日、村人に見送られたハリスヒュースケン、そしてお吉は、田村の好意でお供を従え颯爽と江戸に向かう。

江戸に到着したハリスらは、宿舎での歓迎を受ける。

1857年12月、江戸城
田村の案内で大広間に通されたハリスは、第13代将軍徳川家定に謁見し、日本の将来のため開国の必要性を説き、日米修好通商条約を交わすよう提案する。

幕府内の意見は二分し、鍵を握る閣老の一人が、流鏑馬の最中に暗殺されてしまう。

田村は条約の締結がないことと、危険が迫っていることをハリスに告げ、下田に帰るよう彼を説得する。

しかし、閣老の決定はハリスを支持し、彼はヒュースケンお吉と祝杯を挙げる。

その頃、田村は反対派からハリス暗殺の命を受け、お吉を巻き込むが、彼女は心が痛む。

ハリスは一旦帰国して再び日本に戻った後は、お吉と共に過ごそうと彼女に提案する。

お吉の合図で、ハリスの宿舎に侵入した田村だったが、目印の部屋には、ハリスの身代わりになろうとしたお吉がいた。

田村はお吉を殺すことが出来ず、出くわしたハリスを見逃して自害する。

そして、同胞を裏切ったお吉も、別れを表す櫛と魂の象徴の手鏡を残し、ハリスの元を去る。

1858年7月29日。
ハリスの熱意が報われ、日米修好通商条約が結ばれることになる。

届かぬ人となった、調印に向かうハリスを見送るお吉の目には涙が光っていた。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1856年8月21日、伊豆の下田。
”盆踊り”で賑わう小さな漁村に、”黒船”と呼ばれる航洋船が現れ、外国人襲来に驚く村人達は動揺し、それが、下田奉行・田村左衛門守に知らされる。
その田村は、芸者お吉の後見人でもあり、芸者修行の費用も彼が負担していた。
翌朝、アメリカの外交官タウンゼンド・ハリスが、秘書兼通訳のヒュースケンを伴い上陸しようとするが、田村はそれを制止する。
しかしハリスは、2年前にペリーが結んだ”日米和親条約”に基づき、強引に上陸してしまう。
ハリスは、下田に領事を置こうとするが、田村はそれを認めず、彼らを私人として受け入れ粗末な住居を提供する。
星条旗を掲げることも許されず、村人から歓迎されないハリスは、田村に待遇改善を求める。
田村は、江戸幕府にお伺いを立て、鎖国と開国の論争が絶えない中、ハリスを歓待せよとの命令を受ける。
その後、ハリスお吉を気に入ったことを確認し、田村は彼女を住居の世話係にして、彼の動向を探ろうとする・・・。
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日本に5ヶ月滞在して撮影した、巨匠ジョン・ヒューストンの意欲作ではあるが、外交官には見えないジョン・ウェインの高圧的な態度などは、西部劇の彼がそのまま登場しているようでもあり、ファンであっても、どうも好感が持てない。

もちろん、ウェインの巨体を見せるための作品ではないのだが、舞台が日本ということもあり、何もしなくても、ウェインの大きさが強調されてしまうところが興味深い。

当時の日本家屋の構造からして、鴨居の高さがウェインの肩位のはずなのだが、セットでは、そこまでする訳にもいかない努力が窺える。

ジョン・フォード作品等で、ウェインの巨体がさらに大きく見える工夫がされているのに比べると、やや控えめでもある。
これ以上追求するとくどいので、そのあたりは「捜索者」(1956)を参考にして下さい。

また、サム・ジャッフェのたどたどしい日本語は許せるが、日系人役者が演ずる侍の”おかしな日本語”は見ていてかなり滑稽だ。

山村聰の下田奉行や、安藤永子の”日本を背負って・・”という感じの演技も肩が凝ってしまう。

ウェインが日本滞在中に、ステーキの美味さに驚き毎日食べ続け、一晩でマティーニを何十杯もがぶ飲みしたなどという裏話が、当時は話題にもなった。


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