1971年に実際に起きた”ベーカー・ストリート強盗”を基に製作された作品。 銀行の貸金庫強奪事件に隠されたイギリス王室のスキャンダル隠しの陰謀に巻き込まれる犯人達を描く、監督ロジャー・ドナルドソン、主演ジェイソン・ステイサム、サフロン・バロウズ他共演によるサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロジャー・ドナルドソン
製作
スティーヴン・チャスマン
チャールズ・ローヴェン
製作総指揮
ジョージ・マクインドゥ
ライアン・カヴァノー
クリストファー・マップ
脚本
ディック・クレメント
イアン・ラ・フレネ
撮影:マイケル・コールター
編集:ジョン・ギルバート
音楽:J・ピーター・ロビンソン
出演
テリー・レザー:ジェイソン・ステイサム
マルティーヌ・ラヴ:サフロン・バロウズ
ティム・エヴェレット:リチャード・リンターン
ケヴィン・スウェイン:スティーヴン・キャンベル・ムーア
デイヴ・シリング:ダニエル・メイズ
マイルズ・アークハート:ピーター・ボウルズ
ウェンディ・レザー:キーリー・ホーズ
ハキム・ジャマル:コリン・サーモン
マイケルX:ピーター・デ・ジャージー
ゲイル・ベンソン:ハッティ・モラハン
ガイ・アーサー・シンガー:ジェームズ・フォークナー
ソニア・バーン:シャロン・モーン
バンバス:アルキ・デヴィッド
フィリップ・リスル:アリスター・ペトリ
エディ・バートン:マイケル・ジブソン
イングリッド・バートン:ジョージア・テイラー
ルー・ヴォーゲル:デヴィッド・スーシェ
銀行員:ミック・ジャガー
イギリス/アメリカ 映画
配給 ライオンズゲート
2008年製作 111分
公開
イギリス:2008年2月28日
北米:2008年3月7日
日本:2008年11月22日
製作費 $20,000,000
北米興行収入 $30,028,590
世界 $64,822,800
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1970年、カリブ海。
男が、ある人物のスキャンダル写真を盗み撮りする。
1971年、イースト・ロンドン。
借金の取り立てに追われる中古車ディーラーのテリー・レザー(ジェイソン・ステイサム)は、元恋人マルティーヌ・ラヴ(サフロン・バロウズ)に誘われ、あるクラブに向かう。
3週間前。
左翼に”救世主”として支持される、ブラック・パワーの活動家マイケルX(ピーター・デ・ジャージー)は、麻薬の売人などをする悪党だったが、英王室のスキャンダル写真を公表するなどと言って刑を免れていた。
MI5(保安局)のティム・エヴェレット(リチャード・リンターン)は、上司のマイルズ・アークハート(ピーター・ボウルズ)から、その写真がベイカー・ストリートのロイズ銀行の貸金庫に預けられていることを知らされる。 エヴェレットは、最高機密事項として、その写真を手に入れることをアークハートに命ぜられる。 モロッコから帰国したマルティーヌは、麻薬所持でで捕まるが、友人のエヴェレットに連絡を入れて釈放される。 クラブでマルティーヌに会ったテリーは、ロイズ銀行を襲う話を持ち掛けられるが、危険すぎるため、それを受けるか即答を避ける。 マルティーヌは、その場のバーにいたエヴェレットに指示されてた通り話を進めたことを伝えるが、テリーが帰り際にそれを目撃する。 テリーは、それを友人のケヴィン・スウェイン(スティーヴン・キャンベル・ムーア)とデイヴ・シリング(ダニエル・メイズ)に話す。 同僚エディ・バートン(マイケル・ジブソン)の結婚式で顔を合わせたテリー、ケヴィン、デイヴ、マルティーヌは、銀行襲撃を実行することを決めて、下見をすることになる。 テリーは、マルティーヌの宝石(偽者)を確認する目的で、ロイズ銀行の貸金庫に向かう。 その後、近所に借りる予定のテナントを確認したテリー、マルティーヌ、ケヴィン、デイヴは入念な計画を立る。 バンバス(アルキ・デヴィッド)の手を借り、その場所から銀行まで、地下にトンネルを掘り貸金庫に向かう方法を彼らは考える。 テリーは、テナントを借りる代表者としてガイ・アーサー・シンガー(ジェームズ・フォークナー)を仲間に引き入れる。 妻のウェンディ(キーリー・ホーズ)と食事をしたテリーは、仕事に行き詰まっていることを伝え、家族のためにある危険な仕事をすることを話し理解を求める。 ポルノ映画の帝王ルー・ヴォーゲル(デヴィッド・スーシェ)に接触したマイケルXは、マリファナの密売などの話を持ち掛け、自分が検挙されない”秘密”を隠してることを伝える。 テリーは、詐欺師であるガイを仲間に紹介して計画を進める。 エヴェレットは、作戦が順調だということをアークハートに伝え、スパイのゲイル・ベンソン(ハッティ・モラハン)をマイケルXに近づけるため、彼を支持する活動家ハキム・ジャマル(コリン・サーモン)の愛人になったことを報告する。 テリーらは行動を開始して地下を掘り始め、騒音などの苦情を受けながら作業を続け、監視役のエディも仲間に入れる。 休息でパブに向かったマルティーヌは、その場にいたエヴェレットに経過などを聞かれるが、現れたテリーに、誰かと話していたことで疑われる。 ゲイルに会ったエヴェレットは、マイケルXが隠してあるネガや証拠を破棄して逃げるよう指示する。 トンネルは掘り進められ、テリーがその下にあった地下道に落下し、彼らはそれを利用して銀行に近づく。 貸金庫の床下に達したテリーらはそれを破ろうとするが、監視役エディの無線が、アマチュア無線家に傍受されて警察に通報される。 警察は、録音されたその内容を聞き、どこの銀行が襲われるかを特定しようとする。 床のコンクリートを破壊し終わり、睡眠をとることにしたテリーらだったが、マルティーヌが貸金庫に向かう。 それを追ったテリーは、なぜ自分達に話しを持ちかけたかをマルティーヌに問い、二人は昔を思い出しその場で愛し合う。 夜が明け、テリーらは貸金庫の現金や宝石を奪い、ある金庫を開けたマルティーヌが中を確認しようとする。 テリーは、その中のマーガレット王女のスキャンダル写真を見て驚く。 警官が銀行に現れて金庫をチェックしようとするが、日曜のために、タイマー・ロックで翌日まで開けることはできなかった。 警察は、その様子を伝える犯人の無線を傍受するが、場所は分からない。 その後、警察の囮で現れた救急車に気づいたエディは、テリーに連絡を入れようとするものの、無線機を屋上から落としてしまう。 テリーは、エディの応答がないために危険を感じて引き上げようとする。 その時点で警察は、ロイズ銀行が事件現場だと特定できない。 エヴェレットは、テリーらを監視していた部下に、彼らの車を追跡させる。 しかし、テリーはその車を囮に使い、他の車で逃走する。 エヴェレットは、テリーらが証拠と共に消えてしまったことでアークハートに非難される。 しかしエヴェレットは、マルティーヌが必ず連絡してくるはずだと答える。 テリーらは車の解体工場で奪った金品を分けて、議員のスキャンダル写真なども確認する。 例の写真についてマルティーヌに説明を求めるテリーは、麻薬密輸を放免にしてもらうために、MI5の局員から頼まれたことだったことを知らされる。 翌日になっても、被害に遭った銀行は特定できないまま新聞に事件が報道される。 その後、銀行はようやく被害に気づき警察が駆けつける。 マルティーヌは、テリーの指示でエヴェレットに連絡を入れ、彼と待ち合わせる。 事件捜査はMI5が仕切ることになり、警察は排除される。 ヴォーゲルは、ロイズ銀行が襲われたことを知り、警官に渡していた賄賂を記録していた帳簿を預けてあったことで焦る。 トリニダード・トバコ。 エヴェレットと接触したテリーは、仲間達全員の安全と国外脱出を条件に、写真を渡すことを約束する。 テリーは、議員らがソニア・バーン(シャロン・モーン)の娼館で、SM行為などを楽しむ写真を見せてエヴェレットを脅す。 アークハートは、エヴェレットからその写真を渡されるが、自分もその娼館を利用していたために動揺する。 ヴォーゲルは、自分が製作したポルノ映画に出演していたデイヴから、銀行の前で声をかけられたことを思い出して、彼を警察に逮捕させる。 デイヴを拷問したヴォーゲルは仲間達のことを聞き出し、警察はエディを捕まえる。 傍受した犯人達の無線がラジオで流され、それを聞いたウェンディは、テリーからの連絡を受ける。 心配いらないことをウェンディに伝えたテリーは、その後、エディが捕まったことを、事務員でエディの妻イングリッド(ジョージア・テイラー)から知らされる。 ヴォーゲルは、王室のスキャンダルを隠そうとして、MI5が仕組んだ強盗の目的が写真だったことをマイケルXに伝え、自分も窮地に立たされたことで彼を責める。 その頃、マイケルXと同行していたゲイルは、彼の所持しているはずの写真やネガを捜す。 ソニアは、金庫に預けていた実演フィルムなどがあることを議員に伝え、アークハートの写真もその場にあったことを伝える。 テリーは、指定された場所に電話をかけてヴォーゲルと話し、代わったエディの目の前でデイヴが射殺されたことを知り、帳簿を渡すよう脅される。 テリーは、奪った物の中からヴォーゲルの帳簿を見つけ、悪徳警官に払った賄賂などを確認するが、MI5を敵に回すかエディを助けるかで迷う。 アークハートの元に向かった議員は、既に”D通告”(国防機密報道禁止令)が発令されたことを知らされる。 テリーは、写真と帳簿をスコットランド・ヤードに送ると言ってヴォーゲルを脅し、エディを連れてパディントン駅に来るよう指示する。 その間、バンバスやガイらは居場所を知られて殺される。 ウェンディの元に向かったテリーは、大金を渡し、自分に何かあった場合は、国外に逃れるよう指示する。 テリーが、マルティーヌと関係したことを知ったウェンディは憤慨する。 言い訳できないテリーは、ウェンディや子供達への愛を伝える。 その後テリーは、エヴェレットに自分達のパスポート用の写真を渡し、パディントン駅で取引することを伝える。 トリニダード・トバコ。 事件を担当する刑事が、汚職警官でないことを知ったテリーは、ケヴィンをその刑事の元に向かわせる。 ケヴィンは、汚職警官に興味がある場合はパディントン駅に来るよう刑事に伝え、帳簿の一部を渡す。 パディントン駅。 MI5は、女王の代理としてマウントバッテン卿を駅に送り、ヴォーゲルと汚職警官はエディを連れて現れる。 ヴォーゲルらはMI5に気づいてその場を離れ、テリーは、現れたマウントバッテン卿に自分達の新しい身元と起訴しないことを約束させる。 パスポートを受取ったテリーはマウントバッテン卿に写真を渡し、ヴォーゲルを追い痛めつける。 テリーはエディを助けるものの、現れた警官に逮捕され、ヴォーゲルも連行される。 ケヴィンの姿と、その場の刑事が汚職警官でないことに気づいたテリーは、彼がエヴェレットに指示を受けたことを確認する。 刑事は汚職警官を逮捕し、テリーを釈放してヴォーゲルの帳簿を受取る。 エヴェレットに、コピーがないことを確認されたテリーらはその場を去る。 トリニダード・トバコ。 デイヴの追悼パーティーが開かれ、マルティーヌは、迷惑をかけたことでウェンディに謝罪するが、金持ちにはなれたと皮肉を言われる。 借金も返したテリーは、エディとイングリッドに店を譲ることを伝える。 マルティーヌは、テリーを誘ったものの、彼がそれに応じなかったことをウェンディに伝える。 ウェンディに再び謝罪したマルティーヌは、テリーに愛を告げてその場を去る。 クルーザーを購入したテリーは、家族との幸せな生活を始める。 事件後、スコットランド・ヤードは汚職警官を一掃して、ソニアの娼館に出入りした政府高官の数名が辞職した。 1975年、マイケルXは、ゲイル殺害の罪で絞首刑になる。 ヴォーゲルは、複数の罪で8年間服役した。 1973年、ハキムはボストンで殺害され、ガイらの殺害 銀行から奪われた総額は400万ポンド以上で、その被害 貸金庫の借主100人以上が、被害内容の申告を拒否した。
...全てを見る(結末あり)
祖国に帰っていたマイケルXは、銀行が襲われたことを知らされ、ヴォーゲルは犯人らを始末することを伝える。
ゲイルが写真を奪いに来たことに気づいたマイケルXは、彼女を殺す。
到着したテリーは、マルティーヌをエヴェレットの元に向かわせる。
エヴェレットはマイケルXを捕え、ゲイルの遺体を確認して家を焼き尽くし証拠を消す。
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彼の資料は、国立公文書館で2054年1月まで機密扱いとなる。
事件は未解決のままである。
額は”大列車強盗”を上回る。
*(簡略ストー リー)
借金の取り立てに遭う中古車ディーラーのテリー・レザーは、元恋人のマルティーヌからロイズ銀行の貸金庫襲撃の話を持ち掛けられる。
友人ケヴィンやデヴィッドと共にその話に乗ったテリーは計画を進め、銀行の近くのテナントから貸金庫室まで地下にトンネルを掘ろうと考える。
計画は実行され、テリーらは金庫の金品を奪うことに成功する。
しかしこれは、イギリス王室のスキャンダルを隠すための、MI5が絡んだ秘密作戦で仕組まれた事件だった・・・。
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地下から銀行を狙う計画、活動家組織が絡む陰謀、それを防ごうと、国家の威信のために陰で動く政府機関、また、警察の汚職なども含めた複雑な事件をスリリングに描いた、ロジャー・ドナルドソンの演出手腕は見事だ。
トンネルを使った銀行強奪事件は他にもあるが、実際に起きた事件であり実在の人物の登場で、物語に説得力があり観る者を引き付ける。
ハリウッド作品とは一味違う雰囲気、イギリス独特のユーモアなども実に興味深い。
肉体派ジェイソン・ステイサムが、彼の個性を生かしながらの、知能戦による駆け引きの面白さも注目。
主人公の元恋人で、MI5との取引で犯行を実行するサフロン・バロウズ、彼女を操るMI5の局員リチャード・リンターン、主人公の友人で犯行に加わるスティーヴン・キャンベル・ムーアとダニエル・メイズ、MI5の高官ピーター・ボウルズ、主人公の妻役キーリー・ホーズ、活動家マイケルX役のピーター・デ・ジャージー、その支持者のハキム・ジャマル役のコリン・サーモン、MI5のスパイであるゲイル・ベンソン役のハッティ・モラハン、犯行に加わる仲間ジェームズ・フォークナーとアルキ・デヴィッド、娼館の女主人役シャロン・モーン、主人公の同僚マイケル・ジブソンと妻ジョージア・テイラー、MI5局員アリスター・ペトリ、ポルノ映画の帝王デヴィッド・スーシェ、そして銀行員でミック・ジャガーがカメオ出演している。