謎の大富豪ハワード・ヒューズの”飛行家”としての夢を描く、監督マーティン・スコセッシ、製作、主演レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ブランシェット、ケイト・ベッキンセイル、アレック・ボールドウィン、ジュード・ロウ他共演によるヒューマン・ドラマの超大作。 |
・レオナルド・ディカプリオ / Leonardo DiCaprio 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーティン・スコセッシ
製作総指揮
クリス・ブリガム
レオナルド・ディカプリオ
リック・ヨーン
ハーヴェイ・ワインスタイン
ボブ・ワインスタイン
リック・シュワルツ
コリン・コッター
製作
マイケル・マン
グラハム・キング
サンディ・クライマン
チャールス・エヴァンスJr.
脚本:ジョン・ローガン
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:セルマ・スクーンメイカー
美術・装置
ダンテ・フェレッティ
フレンチェスカ・ロ・シアヴォ
衣装デザイン:サンディ・パウエル
音楽:ハワード・ショア
出演
ハワード・ヒューズ:レオナルド・ディカプリオ
キャサリン・ヘプバーン:ケイト・ブランシェット
エヴァ・ガードナー:ケイト・ベッキンセイル
オーウェン・ブリュースター上院議員:アラン・アルダ
ホアン・トリップ:アレック・ボールドウィン
フィッツ教授:イアン・ホルム
エロール・フリン:ジュード・ロウ
ジーン・ハーロウ:グウェン・ステファニー
ノア・ディートリッヒ:ジョン・C・ライリー
ジャック・フライ:ダニー・ヒューストン
ローランド・スイート:ウィレム・デフォー
ジョニー・マイヤー:アダム・スコット
グレン・オディカーク:マット・ロス
ヘプバーン夫人:フランセス・コンロイ
ルイス・B・メイヤー:スタンリー・デサンティス
ロバート・E・グロス:ブレント・スピナー
フェイス・ドマーク:ケリー・ガーナー
ココナッツ・グローブの歌手:ルーファス・ウェインライト
アメリカ 映画
配給
ワーナー・ブラザーズ
ミラマックス
2004年製作 170分
公開
北米:2004年12月25日
日本:2005年3月26日
製作費 $110,000,000
北米興行収入 $102,593,530
世界 $213,741,460
■ アカデミー賞 ■
第77回アカデミー賞
・受賞
助演女優賞(ケイト・ブランシェット)
撮影・編集・美術・衣装デザイン賞
・ノミネート
作品・監督
主演男優(レオナルド・ ディカプリオ)
助演男優(アラン・アルダ)
脚本・録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1914年。
9歳のハワード・ヒューズは、潔癖症の母親に体を洗われながら伝染病の危険性を知らされ、”あなたは安全ではない”と言われて育つ。
1927年、ハリウッド。
19歳で孤児となったヒューズは、父親の石油掘削機企業を引継ぎ膨大な遺産を相続し、その資金を惜しみなく映画製作につぎ込んでいた。
「地獄の天使」を撮影していた22歳のヒューズ(レオナルド・ディカプリオ)は、”ヒューズ・ツール”の財務担当と経営全般を任せるためノア・ディートリッヒ(ジョン・C・ライリー)を雇い入れる。
撮影のためのカメラが足りないヒューズは、MGMのルイス・B・メイヤー(スタンリー・デサンティス)にカメラを借りようとする。 しかし、メイヤーはハリウッドが甘くないことをヒューズに忠告し彼を追い払う。 仕方なくヒューズは、広報担当のジョニー・マイヤー(アダム・スコット)に、他社からカメラを借りるか盗んでくるよう命ずる。 ヒューズの傍若無人ぶりは次第にエスカレートして行き、撮影に雲が必要になったため、UCLAの気象学者のフィッツ教授(イアン・ホルム)を雇い、映画のための雲を探すよう指示する。 その雲を見つけられないまま、撮影は8ヶ月も延期され2年目に入ってしまう。 何とか雲を探し撮影も無事終了したヒューズは、盛大な完成記念パーティーを催すが、製作費は200万ドルという桁外れの金額に達してしまう。 しかし、ヒューズは「ジャズ・シンガー」のヒットを見てサイレントが時代遅れだと判断し、「地獄の天使」をトーキーで取り直すため、170万ドルの追加資金をディートリッヒに用意させようとする。 そして、撮影は3年目に入り、ディートリッヒは運営資金の限界をヒューズに伝えるが、彼は会社の全資産を抵当に入れるよう命じ、映画製作を諦めようとしない。 1930年5月27日。 そして、作品は絶賛され大ヒットするが、製作費を回収することは出来なかった。 それを気にする間もなく、ヒューズは新鋭女優のキャサリン・ヘプバーン(ケイト・ブランシェット)と親交を深め、彼女の奔放な性格に惹かれていく。 1935年。 ヘプバーンと食事に行った先で、人気俳優のエロール・フリン(ジュード・ロウ)と出くわしたヒューズは、彼が触れたステーキを食べるのを止めてしまう。 その後、ヘプバーンと自家用機で夜間飛行を楽しむヒューズは、彼女が口を付けたミルクは飲み、そして二人は自宅で愛し合う。 9月13日。 その後エンジンが停止し、ヒューズは畑に不時着して周囲を驚かせ、ヘプバーンの元に向かい記録樹立を報告する。 1938年。 その頃、パンアメリカン航空社長ホアン・トリップ(アレック・ボールドウィン)は、ヒューズについて詳細に調べるよう部下に命令する。 ヘプバーンの実家に招待されたヒューズは、飛行記録になど興味のない、気取った家族の態度に気分を害してしまう。 ヒューズは食事の最中に席を立ってしまうが、ヘプバーンに慰められる。 第二次大戦が勃発し、Uボートに沈められる輸送船被害を知ったヒューズは、世界最大の輸送機を作る計画があることを、エンジニアのグレン・オディカーク(マット・ロス)に伝える。 1943年。 それと同時に、ヒューズは軍を巻き込み、巨大飛行艇”ヒューズH-4 ハーキュリーズ”を完成させようとする。 同じ頃、他の女優とのゴシップや、飛行機のことしか頭にないヒューズから、ヘプバーンの心は離れていく。 そんなヒューズは、フライが連れてきたロッキード社長ロバート・E・グロス(ブレント・スピナー)に、スパイ偵察機”XF-11”を披露する。 ヘプバーンに別れ話を切り出されたヒューズは、彼女の好きにさせて、衣服を燃やし新たな生活を始めようとする。 新人女優フェイス・ドマーク(ケリー・ガーナー)をパートナーにしたヒューズは、あるナイトクラブでパンナムのトリップと同席し、ヨーロッパ路線の計画を話してしまう。 ヒューズは政府への根回しを始め、パンナムのヨーロッパ路線独占を阻止しようとする。 同じ頃ヒューズは、記者ローランド・スイート(ウィレム・デフォー)を買収し、ヘプバーンとスペンサー・トレーシーのゴシップ写真が世に出ないようにする。 トリップは、オーウェン・ブリュースター上院議員(アラン・アルダ)を抱き込み、コミュニティ・エアライン法案を成立させようとする。 ヒューズは、エヴァ・ガードナー(ケイト・ベッキンセイル)との関係、”The Outlaw”の上映の件、”ハーキュリーズ”の製造などの他、法案阻止のために、再選を控える議員達を買収しようとする。 そして、全ての問題が解決しないまま、精神的に限界に達したヒューズは、発作のような症状が起きてしまう。 1946年7月7日。 ヒューズは一命を取り留めるが重傷を負い、終戦に伴い”ハーキュリーズ”は軍から契約を破棄されてしまう。 ”ハーキュリーズ”建造を続行させたヒューズだったが、”コンステレーション”が墜落事故を起こし運行停止処分を受けてしまう。 ヒューズは、TWAの全資産を担保にして、4000万ドルの融資を受けるようディートリッヒに指示を出す。 回復したヒューズは、エヴァの家に盗聴器を仕掛け監視していたことがばれてしまい、彼女に化け物呼ばわりされ追い払われ、自宅の屋敷にはFBIの捜査が入る。 その後、ヒューズはブリュースター議員の元を訪れ、法案に賛成すれば、捜査の結果による公聴会が開かれることを阻止することを約束される。 しかし、ヒューズはそれを拒み、ブリュースターとトリップに戦いを挑もうとする。 それを受け立ったブリュースターは、早速、ヒューズが政府の金を騙し取ったとして攻撃を仕掛け、”ハーキュリーズ”のことを”スプルース・グース”(木のガチョウ)と皮肉る。 その頃から、試写室に閉じこもり始めたヒューズは、写真のことで感謝するヘプバーンと会うのも拒んでしまう。 ヒューズは、TWAを買収しようと現れたトリップの提案を退けるが、公聴会出席に備え帰宅する。 その後、エヴァがヒューズの屋敷を訪れ、荒れ果てた彼の部屋に驚きながらも、彼を風呂に入れて身なりを整えさせる。 母親の影響で、必要以上に菌を気にするヒューズを安心させたエヴァは、彼に感謝されてその場を立ち去る。 1947年8月6日、ワシントンD.C.。 そして、ヒューズはブリュースターを論破し、傍聴席から拍手も受け、その様子をテレビで見ていたトリップは負けを認める。 1947年11月2日。 ”ハーキュリーズ”の機体は浮かび上がり、飛行が成功したら国を去らないとブリュースターに豪語したヒューズは、見事に目的を果たす。 その後ヒューズは、祝福に現れたエヴァをTWAのヨーロッパ路線でパリに誘う。 そしてヒューズは、新たなアイデアと構想が浮かんだことをディートリッヒとオディカークに伝える。 しかし、”未来への道”を切り開くと言葉を発した直後、再び発作が起きたヒューズは、鏡に映る自分を見つめながらそれを繰り返す。
...全てを見る(結末あり)
製作費400万ドルをかけた、空前の超大作「地獄の天使」のプレミアが行われ、ヒューズは主演女優である新人のジーン・ハーロウ(グウェン・ステファニー)を伴い会場に現れる。
ヒューズは”ヒューズ・ エアクラフト”を設立し、自分が開発した航空機を飛ばすために、TWAを買収する計画を社長ジャック・フライ(ダニー・ヒューストン)に伝える。
機体のリベットを平らにして、空気抵抗を極限までなくした新型機”ヒューズ H-1”で、ヒューズは飛行速度記録に挑戦し、566キロの世界記録を作る。
4日間で世界一周することにも成功したヒューズは、勇敢な”飛行家”(アビエーター)、そしてヒーローとして脚光を浴びる。
ヒューズは、ジェーン・ラッセルが出演する”The Outlaw”を製作し、映画協会から上映禁止を言い渡されるが、フィッツ教授を数学者と偽り反撃する。
グロスは、大陸横断を無着陸で飛行できる航空機” コンステレーション”の模型をヒューズに見せ、彼は資財を投入しTWAに40機を導入することを決める。
”XF-11”テスト飛行の日、自ら操縦したヒューズは順調な飛行を続けるが、エンジンの故障で民家に墜落してしまう。
ブリュースターの公聴会に現れたヒューズは、カメラを気にしながら議員とパンナムの謀略を訴える。
ヒューズは、完成した”ハーキュリーズ”の滑水テストの日を迎え、自ら操縦桿を握りエンジンを全開させる。
*(簡略ストー リー)
10代で莫大な遺産を相続したハワード・ヒューズは、映画産業に進出して巨費を投じ、「地獄の天使」を完成させる。
映画は大ヒットしたものの、天文学的金額の製作費は回収できぬまま、ヒューズは”飛行家”としての夢を実現するため航空産業に乗り出す。
新鋭女優キャサリン・ヘプバーンの生き様に惚れ込んだヒューズは、彼女との愛を深める一方、TWAを買収し、軍に接近して自社開発の航空機を売り込もうとする。
また、航空界で世界に羽ばたくことも考えるヒューズにパンナムのトリップ社長と癒着議員ブリュースターが立ちはだかる。
更にヒューズは、世界最大の飛行艇”ハーキュリーズ”まで建造しようとする。
やがて、潔癖症で完全主義者でもある、全てを背負ったヒューズの精神状態は、極限に達してしまう・・・。
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莫大な遺産を親から譲り受ける話は数あれど、これほどのスケール、傍若無人、破天荒な人物がこの世にいたこと自体が信じられないというのが実感であり、その描かれ方は人間を超越していると思えるほどだ。
とは言うものの、ハワード・ヒューズ晩年の1966年、ラスベガスのデザート・インを買収し、スイートルームを完全に除菌し、殆ど外出せずに亡くなる間近までその生活を続けたという、後日談は描かれていないのだから、その凄まじいばかりの人生は、凡人には理解できない。
鬼気迫る演技で全編を圧倒する、貫禄さえ備わったレオナルド・ディカプリオの熱演に尽きる作品ではあるが、その桁外れスケール感を見事に映像化した、マーティン・スコセッシ渾身の作品でもある。
個人的には、演技者としては見事であったケイト・ブランシェットのキャサリン・ヘプバーンと、ケイト・ベッキンセイルのエヴァ・ガードナーが、どうも本人のイメージからかけ離れている感じがするあたりが不満で、いかにその二人の大女優が、当時、偉大な存在であったかを再確認できる。
クライマックスで”ハーキュリーズ”が滑水テストをする場面や、序盤の複葉機による空中撮影シーンなど、迫力の映像も圧巻だ。
製作費は1億1000万ドル、北米興行収入は約1億ドル、全世界では約2億1400万ドルのヒットとなった。
第77回アカデミー賞では作品賞以下11部門にノミネートされ、助演女優賞(ケイト・ブランシェット)、撮影、編集、美術、衣装デザイン賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
主演男優(レオナルド・ ディカプリオ)
助演男優(アラン・アルダ)
脚本・録音賞
公聴会を開きながらヒューズに圧倒されるパンナムとの癒着議員オーウェン・ブリュースターのアラン・アルダ、彼と組む社長ホアン・トリップ役のアレック・ボールドウィン、気象学の教授イアン・ホルム、端役出演に終わるのが残念なエロール・フリンのジュード・ロウ、ジーン・ハーロウ役のグウェン・ステファニー、
ヒューズの右腕ノア・ディートリッヒのジョン・C・ライリー、TWAの社長ジャック・フライ役のダニー・ヒューストン、ヒューズの部下で広報担当アダム・スコット、技術者グレン・オディカークのマット・ロス、K・ヘプバーンの母親役フランセス・コンロイ、ルイス・B・メイヤー役のスタンリー・デサンティス、ロッキード社長ロバート・E・グロスのブレント・スピナー、記者のウィレム・デフォー、フェイス・ドマークのケリー・ガーナー、そして、クラブ”ココナッツ・グローブ”の歌手ルーファス・ウェインライトなどが共演している。