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アーティスト The Artist (2011)

サイレントからトーキーに変わる時代、偶然出会ったハリウッドのスターと女優志願の女性との関係を描く、監督、脚本ミシェル・アザナヴィシウス、主演ジャン・デュジャルダンベレニス・ベジョジョン・グッドマンジェームズ・クロムウェル他共演。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト ■
監督:ミシェル・アザナヴィシウス

製作:トマ・ラングマン
脚本:ミシェル・アザナヴィシウス
撮影:ギョーム・シフマン
編集
アン=ソフィー・ビオン

ミシェル・アザナヴィシウス
美術・装置
ローレンス・ベネット

ロバート・グールド
衣装デザイン
マーク・ブリッジス

音楽:ルドヴィック・ブールス

出演
ジョージ・ヴァレンティン:ジャン・デュジャルダン

ペピー・ミラー:ベレニス・ベジョ
ジャック:アギー
アル・ジマー:ジョン・グッドマン
クリフトン:ジェームズ・クロムウェル
コンスタンス・グレイ:ミッシー・パイル
ドリス・ヴァレンティン:ペネロープ・アン・ミラー
執事役の老人:マルコム・マクダウェル
ノーマ:ビッツィー・トゥロック

ペピーのメイド:ベス・グラント
ペピーの最初の運転手:エド・ローター
見物人:ジェン・リリー
見惚れる女性:ニーナ・シマーシュコ
フラッパー・スターレット:ジュエル・シェパード
競売人:ベイジル・ホフマン
キャスティング・アシスタント:ベン・カーランド
質屋:ケン・デイヴィシャン

フランス 映画
配給
ワーナー・ブラザーズ(フランス)
ワインスタイン・カンパニー(北米)
2011年製作 100分
公開
フランス:2011年10月12日
北米:2011年11月23日
日本:2012年4月7日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $44,667,100
世界 $133,432,860


アカデミー賞 ■
第84回アカデミー賞

・受賞
作品・監督
主演男優(ジャン・デュジャルダン
衣装デザイン・作曲賞
・ノミネート
助演女優(ベレニス・ベジョ
脚本・撮影・編集・美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1927年、ハリウッド
大スター、ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)は、新作「ロシアン・アフェア」で共演した愛犬のジャック(アギー)と共に、ステージの裏で舞台挨拶のために待機する。

上映は終わり、観客の大喝采を確認してステージに向かったヴァレンティンは、声援に応え、共演者コンスタンス・グレイ(ミッシー・パイル)をさて置き、ジャックを紹介して芸を見せて大いに受ける。

コンスタンスはステージ登場するものの、脇に戻り憤慨して引き上げてしまい、キノグラフ・スタジオ社長のアル・ジマー(ジョン・グッドマン)は頭を抱える。

劇場の外でもファンやマスコミが殺到し、ヴァレンティンはそれに対応するが、手帳を落とした女性(ベレニス・ベジョ)がそれを拾おうとして、彼を突き飛ばしてしまう。

一瞬、周囲は静まり返るが、ヴァレンティンはそれを笑い飛ばし、女性は調子に乗って彼にキスしてしまう。

翌日、その写真入りの記事は”ヴァラエティ”に掲載されてしまい、ヴァレンティンの妻ドリス(ペネロープ・アン・ミラー)は呆れるだけだった。

スターを目指す写真の女性ペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)は、記事に満足しながらキノグラフに向かい、エキストラのオーディションを受けようとする。
...全てを見る(結末あり)

ペピーは、その場にいた執事役の老人(マルコム・マクダウェル)に記事を見せて自慢をするが、彼は、”この女性は誰?”の見出しを指さして皮肉を言う。

キャスティング・アシスタント(ベン・カーランド)に、ダンスができる者と言われて、名乗りを上げたペピーは気に入られ、老人に、”私はペピー・ミラーよ”と言って自信を見せる。

付き人兼運転手のクリフトン(ジェームズ・クロムウェル)と共にスタジオ入りしたヴァレンティンは、新聞記事のことでジマーに小言を言われるが気にしない。

そんなヴァレンティンは、スタジオにいたペピーに気づき驚くが、記事のことで憤慨するジマーに、彼女は追い出されそうになる。

しかし、ヴァレンティンがペピーを呼び止めたため、不満ではあったものの、ジマーはその場を去る。

そして、ヴァレンティンの新作”ジャーマン・アフェア”の撮影は始り、彼はペピーと踊るシーンで、思わず本気になってしまう。

テイクを何度繰り返しても、ヴァレンティンはペピーと踊るシーンでカットとなってしまう。

何んとかそのテイクを終えて、ペピーはヴァレンティンの楽屋に忍び込む。

そこにヴァレンティンが現れ、”女優を目指すなら、目立つ特徴がないと”と言って、アイライナーで、彼女の口元にホクロを描く。

二人はいいムードになるのだが、クリフトンが入って来たためにペピーは部屋を出る。

その後ペピーは、様々な端役、踊り子、メイド、そしてようやくセルフのある役につけるようになる。

1929年。
意欲的に作品に出演していたヴァレンティンは、ある日ジマーに呼ばれ、コンスタンスのサウンド・テストを見せられる。

ヴァレンティンは、それを利用したトーキー映画に興味を示さず、将来性を語るジマーの意見を聞き入れようともしない。

楽屋に戻ったヴァレンティンは、一抹の不安を抱えながら、その後の日々を過ごして、ジマーから、サイレント作品の製作中止と、その時代が終わったことを告げられる。

ヴァレンティンは、自分のやっていることこそが”芸術”だと言い切り、サイレントを作り続けることを伝えてジマーと決別する。

ペピーに出くわしたヴァレンティンは、彼女が、スタジオのニュー・ファイスとして売り出され、契約したことを知る。

希望に燃えるペピーは、ヴァレンティンと再び仕事ができるだろうと伝え、連絡先を渡してその場を去る。

ヴァレンティンは資材を費やし、自らの製作と監督で、「愛の涙」という作品の撮影を始める。

長引く撮影に出費は膨らむものの、何んとか作品は完成して、ペピーの初主演作品と同じ日の公開となる。

公開を控えたペピーの人気は急上昇し、ヴァレンティンは、自らを”アーティスト/芸術家”だと言って自信を見せるものの、心穏やかではなかた。

その頃、会話もないヴァレンティンとドリスは、離婚についての話し合いにもならない状態だった。

公開日前日、クリフトンと食事をしていたヴァレンティンは、その場に取材で現れたペピーが、自分達が過去のものだと言って記者達に語るペピーの会話を聞いてしまう。

ショックを受けたヴァレンティンは席を立ち、ペピーに、”席は譲った”と言ってその場を離れ、彼女は発言を後悔する。

公開当日、前日の株式市場で株価が暴落して、破産を覚悟したヴァレンティンは、映画のヒットに期待するしかなかった。

しかし、ヴァレンティンは公開された自分の作品の失敗を知り、それを劇場で観ていた、ペピーの作品には人々が群がっている現実を目の当たりにする。

帰宅したヴァレンティンはドリスにも見限られ、ペピーの作品を観るべきだと、皮肉も付け加えられたメッセージを受け取る。

その後、失言を詫びようとペピーが話をしに現れるが、ヴァレンティンは、道を譲るべきだと言って、彼女が正しいと言葉を返す。

近いうちに連絡することを伝え、ペピーは失意の内にその場を離れる。

ペピーは着実にスターの道を歩み始め、トレードマークとなったホクロを付ける度にヴァレンティンを思い出す。

1931年。
ただの人となってしまったヴァレンティンは、酒のために、身の回りのものを質屋に入れるような生活をしていた。

当然、クリフトンの給料も払えないヴァレンティンは、彼の今後を考えてクビにして、車は譲り仕事を見つけるよう伝える。

ヴァレンティンを慕うクリフトンは、その場を去る気になれずに、長い時間、車と共に通りにいるのだが、翌朝、姿を消していた。

所有品をオークションで売却したヴァレンティンだったが、ペピーは、運転手(エド・ローター)をそれに参加させていた。

1932年。
ペピーの活躍に頬を緩ませるヴァレンティンだったが、酒の量は増えて、自暴自棄になり、大切なフィルムを燃やしてしまう。

愛犬ジャックが主人の危機に気づき、家を飛び出して警官を呼び、その間に正気に戻ったヴァレンティンは、ある一本のフィルムを抱いて気を失ってしまう。

ヴァレンティンは警官に助け出され、やじ馬は、運び出されたのが、大スターだった”ヴァレンティン”だと気づく。

撮影中だったペピーは、新聞記事で火事のことを知り、スタジオを飛び出して病院に向かう。

ヴァレンティンが無事だと知ったペピーは安堵し、彼が抱えていたというフィルムを確認する。

それは、ペピーが端役としてヴァレンティンの相手をして、何度もテイクをやり直した作品の「ジャーマン・アフェアだった。

ペピーは、医師の許可を得てヴァレンティンを屋敷に連れて行き介抱する。

スタジオに向かったペピーは、自分とヴァレンティンの共演作を作ることをジマーに提案する。

ペピーは、それに難色を示すジマーに対し、実現できなければ役を降りると言って彼を脅す。

ジマーは仕方なくそれを承知して、ヴァレンティンに脚本を渡すよう指示する。

今ではペピーの運転手になっていたクリフトンは、屋敷で静養中のヴァレンティンに脚本を渡す。

それを素直に喜べないヴァレンティンは、プライドを捨てて、ペピーの善意を受け入れるべきだとクリフトンに助言される。

ペピーが、自分の所有品をオークションで手に入れていたことを知ったヴァレンティンはショックを受け、ジャックと共に屋敷を去る。

街を通り抜けて家に着いたヴァレンティンは、焼けた部屋の中でたたずむ。

ヴァレンティンが去ったことをメイド(ベス・グラント)に知らされたペピーは、自分で車を運転して彼の家に向かう。

その頃ヴァレンティンは、拳銃を手にして口にくわえ、引き金を引こうとする。

ペピーは、ヴァレンティンの家の前で、車を木に衝突させてしまう。

無事だったヴァレンティンに、役に立ちたかっただけだと伝えたペピーは、安心したと同時に、涙と笑いを抑えきれなくなる。

拳銃を暴発させてしまったヴァレンティンにも笑顔が戻り、二人は抱き合う。

ヴァレンティンは、過去の男の話す声など、誰も聞きたがらないと言うのが、ペピーは、彼に考えがあることを伝えて自信を示す。

その後、二人は、ジマーの前で華麗なステップを踏んで彼を納得させる。

そしてヴァレンティンとペピーは、ミュージカルを製作するためにテイクを重ねる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1927年、ハリウッド
大物スターのジョージ・ヴァレンティンは、新作プレミアで、ある女性ファンにキスされ記事にされてしまう。
所属するキノグラフ・スタジオ社長ジマーに小言を言われたヴァレンティンはそれを気にせず、スタジオに女優志願だったキスの相手の女性ペピーがいることに気づく。
ヴァレンティンは、端役として起用されるペピーがなぜか気になる。
その後、時代はサイレントからトーキーとなり、それに関心のないヴァレンティンは、ジマーと意見が合わずに決別する。
その間ペピーは、脇役からセリフのある役、そしてヒロインを演ずる女優に成長する。
自分こそが”アーティスト/芸術家”だと自信を見せるヴァレンティンはサイレントにこだわり、私財を投じて映画を製作するのだが・・・。
__________

まず、サイレント映画にフランス人スタッフが挑戦した勇気に拍手を贈りたい、その雰囲気やセット、衣装など、ほぼ完璧に当時の様子を再現した、アメリカ人以外の仕事は見事としか言いようがない。
*もちろんアメリカ人スタッフも参加している。

サイレントからトーキーに変わる時代に、出会った男女の、凋落と手にする栄光を対照的に描き、古典的なラブ・ロマンス、そして、コメディの要素を取り入れたミシェル・アザナヴィシウスの軽快な演出は実に小気味よい。

但し、事前の予備知識もほとんどなく、製作者の考えを全て知った上での意見ではないが、映画を愛するミシェル・アザナヴィシウスが、それへの賞賛とオマージュを込めて手がけた作品と考えながら観れば納得できるが、世界中で大絶賛されたほど、私自身は好意的に観れた作品でもなく評価もできない。

パロディであれば・・・と思えるほどの、どこを見ても、ある作品の引用のような展開が常に気になり、それほど楽しめない。

問題になった、クライマックスでの、アルフレッド・ヒッチコック作品「めまい」(1958)の有名な曲である、バーナード・ハーマン作曲の音楽が流れ始めた時には興醒め唖然というのが正直なところだ。

どうして、その曲をそのまま使わなければならないのか、ルドヴィック・ブールスの他の素晴らしい挿入曲が台無しであり、いくら、ヒッチコックに敬意を表している製作者の考えを言われても「めまい」をイメージしたいシーンではない。

めまい」の出演者キム・ノヴァクが、この件で激怒したことは知られているが、私も彼女とほぼ同意見であり、そのように思う方と、そうでない方では、本作に対する考えが変わると思う。

とは言え、第84回アカデミー賞では作品賞以下10部門にノミネートされ、作品、監督、主演男優(ジャン・デュジャルダン)、衣装デザイン、作曲賞を受賞した。
・ノミネート
助演女優(ベレニス・ベジョ
脚本・撮影・編集・美術賞

北米興行収入は約4500万ドル、全世界では約1億3300万ドルのヒットとなった。

ステップも華麗で、ややジーン・ケリー風?の役柄も好感が持てる主人公のジャン・デュジャルダン、成功者の要素を持った雰囲気でヒロインを熱演するベレニス・ベジョ、演技賞ものの主人公の愛犬アギー、スタジオの社長を印象深く演ずるジョン・グッドマン、主人公の理解者で、彼を支える付き人兼運転手ジェームズ・クロムウェル、女優ミッシー・パイル、主人公の妻ペネロープ・アン・ミラー、執事役の老人マルコム・マクダウェル、主人公が製作する作品の女優ビッツィー・トゥロック、ヒロインのメイド、ベス・グラント、最初の運転手役のエド・ローターなど、アメリカ他のベテラン個性派俳優が脇を固めているのも注目だ。


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