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天使の分け前 The Angels’ Share (2012)

ウイスキーの利き酒の才能があることに気づいた青年の成長を描く、ケン・ローチ演出、出演ポール・ブラニンガンジョン・ヘンショウ他共演のコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト ■
監督:ケン・ローチ

製作:レベッカ・オブライエン
製作総指揮
パスカル・コシュトゥー

ヴァンサン・マラヴァル
脚本:ポール・ラヴァーティ
撮影:ロビー・ライアン
編集:ジョナサン・モリス
音楽:ジョージ・フェントン

出演
ロビー・エマーソン:ポール・ブラニンガン

ハリー:ジョン・ヘンショウ
アルバート・リドリー:ガリー・メイトランド
モー:ジャスミン・リギンズ
ライノ:ウィリアム・ルアン
タデウス・マロニー:ロジャー・アラム
アンガス・ドビー:デヴィッド・グッドール
レオニー:シボーン・ライリー
クランシー:スコット・カイル
駅のアナウンサー:フォード・キアーナン

イギリス/フランス/ベルギー/イタリア 映画
配給 Entertainment One

2012年製作 101分
公開
イギリス:2012年6月1日
北米:2013年4月12日
日本:2013年4月13日
北米興行収入 $346,670
世界 $7,034,010


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
スコットランドグラスゴー
敵対勢力と暴力沙汰を起こした青年ロビー・エマーソン(ポール・ブラニンガン)は、起訴は免れるものの300時間の社会奉仕活動を命ぜられて釈放される。

恋人レオニー(シボーン・ライリー)との間に子供が生まれるロビーは、これを機に心を入れ替えようと考える。

ロビーは、アルバート・リドリー(ガリー・メイトランド)やライノ(ウィリアム・ルアン)、モー(ジャスミン・リギンズ)らと共に、指導者であるハリー(ジョン・ヘンショウ)の下で奉仕活動を始める。

作業中にレオニーが産気づいたことを知らされたロビーは、ハリーと共に病院に向かう。
...全てを見る(結末あり)

ところが、待ち構えていたレオニーの叔父達がロビーを痛めつけ、彼女と子供に近づくなと言って脅しをかける。

興奮するロビーを落ち着かせたハリーは、住む場所もない彼を家に連れて行く。

ロビーは、クラブ経営者で金持ちの父親に嫌われていることをハリーに話す。

そこにレオニーからの連絡が入り、ロビーは男の子が生まれたことを知らされる。

それを聞いたハリーは喜び、ウィスキーで子供の誕生を祝う。

警告を無視して病院に向かったロビーは、レオニーと子供に会う。

ロビーは、子供の成長は親次第だと言うレオニーの意見を聞き入れる。

その後ロビーは、危害を加えた被害者とその家族に会うべきだと言うレオニーの指示に従う。

相手と面会したロビーは、痛めつけられて後遺症の残る被害者から話を聞き、母親に罵られて大きなショックを受ける。

辛い思いをしたロビーは、子供が同じようなことをされた場合のことを考え二度と同じ過ちを犯さないと誓う。

ロビーは、それを必ず守ることをレオニーに約束し、彼女は、それを破った場合は自分一人で子供を育てると伝える。

ある日、ウイスキー愛好家のハリーは、課外授業だと言ってロビーらを蒸留所に連れて行く。

施設内を見学したロビーらは、樽に入ったウイスキーが、毎年2%空中に蒸発してしまい、それを”the angels’ share“(天使の分け前)と言うことを学ぶ。

ロビーはその言葉の響きが気に入り、ウィスキーに興味を持ち始める。

ハリーからいろいろ教わったロビーは、自分の臭覚が意外にも優れていることに気づく。

ある日、敵対勢力のクランシー(スコット・カイル)に襲われそうになったロビーは、その場を逃れレオニーの父親に救われる。

ロビーが娘を幸せにできると思えない父親は、彼に街を離れるよう強要するが、彼はそれに従おうとはしない。

その後ロビーは、ハリーからウイスキーの会が開かれるエジンバラに誘われ、仲間達と共に現地に向かう。

会場で銘柄当てに選ばれたロビーは健闘して、ウィスキー・コレクターのタデウス・マロニー(ロジャー・アラム)に目を付けられる。

レオニーの知り合いに家を貸してもらえることになったロビーだったが、自分を付けていたクランシーの仲間を脅す。

再び暴走しそうな予感を感じるロビーは、その不安をハリーに語り、レオニーの父親の指示に従い、5000ポンドを受け取ってロンドンに向かうことを考える。

それについてハリーに意見されたロビーは、希少価値のある”モルト・ミル”を手に入れる計画をアルバートらと練る。

少しでも信用を得るためキルト姿で北部に向かったロビーらは、”モルト・ミル”がある蒸留所に向かう。

支配人アンガス・ドビー(デヴィッド・グッドール)に迎えられたロビーらは、”モルト・ミル”を手に入れる計画を立てる。

仲間達とオークション会場に入ることを許されたロビーは、タデウスと顔を合わせる。

その場に潜んだロビーは夜を待ち、”モルト・ミル”の樽を開けてチューブで中身を抜き取り、外にいたアルバートらがそれを瓶に移す。

人の気配に気づいたロビーは、作業を中止して身を隠し、現れたタデウスがアンガスを買収して”モルト・ミル”を手に入れようとする会話を聞いてしまう。

その後ロビーは、他の樽の中身を”モルト・ミル”の樽に入れる。

翌日、オークションは始まり、”モルト・ミル”はなんと115万ポンドで落札される。

落札者がその場で試飲して満足したため、ロビーらは安堵する。

パブにいたタデウスの元に向かったロビーは、大金を捨てずに済んだと言って持参したウイスキーを渡す。

タデウスはそれが”モルト・ミル”だと気づき、20万ドルでそれを売ると言うロビーと後日、話をすることを約束する。

帰り道で警官に呼び止められたロビーらだったが、所持していた酒瓶を疑われることはなかった。

ところが、アルバートが誤って自分とモーの瓶を割ってしまう。

ロビーとライノは落胆して批判するが、アルバートは、数が減っただけ価値が上がると言って言い訳する。

数日後、タデウスに会ったロビーは10万ポンドを受け取り、蒸留所での働き口を紹介される。

仲間達の元に戻ったロビーは喜びを伝え、タデウスに売ったのは1本で、もう1本はある人物に渡そうとする。

帰宅したハリーは、ロビーの感謝の気持ちと共に”天使の分け前”だと言って、瓶に入った”モルト・ミル”が置かれていることに気づく。

ハリーは、100万ポンド以上で落札された”モルト・ミル”の樽と共に写っているロビーらの新聞記事と写真を見て驚く。

手を震わせながら瓶を手にしたハリーは興奮する。

その後、バンを手に入れたロビーは、レオニーと息子と共に蒸留所巡りをするため、仲間達に別れを告げて旅立つ。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
スコットランドグラスゴー
度重なる暴力沙汰で刑務所行きも覚悟する青年ロビー・エマーソンは、起訴を免れ社会奉仕活動をすることを命ぜられる。
恋人レオニーとの間に子供も生まれるロビーは、それを機に心を入れ替えることを考える。
ロビーは、指導者ハリーの下でアルバート、ライノ、モーらと共に奉仕活動を始める。
子供が生まれたロビーは、ウイスキー愛好家のハリーに祝ってもらい、その後、蒸留所見学でウイスキーに興味を持つ。
意外にも利き酒の才能があることに気づいたロビーは、ハリーの協力でウィスキーについての勉強を始める。
その後、敵対勢力に襲われる危機となったロビーは、街を離れることも考える。
そんな時ロビーは、100万ポンド以上の希少価値がある”モルト・ミル”を手に入れる計画を思いつき、仲間達とその計画を実行するのだが・・・。
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名匠ケン・ローチの快心作で、生活環境に恵まれない若者達の悲哀を描きながら、些細なことから生きる道を見つける、人間の逞しさなどを教えてくれる作品。

ケン・ローチは、綱渡り状態で生きている若者達の生活をリアルに描きながら、押しつけがましくない人情ドラマとしても楽しめる作品に仕上げている。

第65回カンヌ国際映画祭では、ケン・ローチが審査員賞を受賞した。

荒れた生活から一転、子供が生まれると同時に奥深いウィスキーの世界に魅了される青年を好演するポール・ブラニンガンはデビュー作でもあり、スターらしくないところが実にいい。

主人公ら犯罪者の若者達を見下すことなく温かい目で見守るウイスキー愛好家の指導者ジョン・ヘンショウ、主人公の仲間達ガリー・メイトランド、ジャスミン・リギンズ、ウィリアム・ルアン、ウィスキー・コレクターのロジャー・アラム、蒸留所支配人デヴィッド・グッドール、主人公の恋人シボーン・ライリー、駅構内のアナウンサー、フォード・キアーナン等が共演している。


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