通商交渉のため元に向かったベニスの貿易商の息子マルコ・ポーロの活躍を描く、製作サミュエル・ゴールドウィン、主演ゲイリー・クーパー、ベイジル・ラスボーン、シグリッド・ガリー他共演、監督アーチー・メイヨによる冒険ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督
アーチー・メイヨ
ジョン・クロムウェル(クレジットなし)
製作:サミュエル・ゴールドウィン
原作:N・A・ポグソン
脚本:ロバート・E・シャーウッド
撮影
ルドルフ・マテ
アーチー・スタウト
編集:フレッド・アレン
音楽
アルフレッド・ニューマン
ヒューゴ・フリードホーファー
出演
マルコ・ポーロ:ゲイリー・クーパー
クカチン王女:シグリッド・ガリー
アーメド:ベイジル・ラスボーン
クビライ・ハーン:ジョージ・バービア
ナザマ:ビニー・バーンズ
ビングッチオ:アーネスト・トラエックス
カイドゥ:アラン・ヘイル
チェン・ツゥー:H・B・ワーナー
侍従:ロバート・グレイグ
バヤン:スタンリー・フィールズ
トクタイ:ハロルド・ヒューバー
ニコロ・ポーロ:ヘンリー・コルカー
モンゴル護衛兵:ウォード・ボンド
モンゴルの戦士:リチャード・ファーンスワース
メイド:ラナ・ターナー
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1938年製作 100分
公開
北米:1938年4月15日
日本:1939年3月
製作費 $2,000,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
13世紀、ヴェニス。
貿易商ニコロ・ポーロ(ヘンリー・コルカー)は、遥か東方の元との貿易に興味を示す。
冒険心とロマンを兼ね備え女性の心を掴む素質がある息子のマルコ・ポーロ(ゲイリー・クーパー)ならば、その地に向かえるとニコロは信じていた。
ニコロに呼ばれたマルコは、貿易の仕方が違う東洋人と交渉し、自分達の船が入港できるようにすることを指示される。
アシスタントのビングッチオ(アーネスト・トラエックス)に同行するよう伝えたニコロは、クビライ・ハーン(ジョージ・バービア)への手紙と宝の袋をマルコに渡し、大都に向かうよう伝える。
船で旅立ったマルコとビングッチオは、嵐に遭いながらもペルシャに着き砂漠を東に向かう。 そこでも激しい砂嵐に遭った二人は、チベットを越えて旅を続け遂に大都に到着する。 疲労困憊のビングッチオは弱音を吐くが、マルコは哲学を教えるチェン・ツゥー(H・B・ワーナー)と出会い、家に招かれて食事を共にする。 食卓に出された”スパゲット”という食べ物に興味を持ったマルコは、ゆでる前の麵を譲ってもらい宝の袋にしまう。 物騒な町の様子を気にするマルコは、善良なクビライがサラセン人の国務大臣アーメド(ベイジル・ラスボーン)に操られていることをチェン・ツゥーから知らされ、警戒するよう助言される。 ピングッチオが子供達に爆竹で脅かされ、マルコは花火職人でもあったチェン・ツゥーからその仕組みを教えてもらい、戦いにも使えそうだと考える。 その考えが恐ろしいことだと言われたマルコだったが、爆竹も持ち帰ることにする。 ピングッチオと共に宮殿に向かったマルコは、護衛兵から既に監視されていることを知らされて驚き、一応は歓迎され部屋に案内される。 軍の合流を確認したクビライは臣下達を集め、自ら指揮を執り日本に侵攻する考えを伝え、例外を除き遠征に同行するよう命ずる。 アーメドに西の情勢を聞いたクビライは、タタール人の首長カイドゥ(アラン・ヘイル)の軍隊にスパイを潜入させるよう指示するが、既に手配済みだと知らされる。 カイドゥの件は心配には及ばないことを伝えたアーメドは、日本侵略についてを語る。 その後クビライは、ベニスから来たマルコ・ポーロら謁見を希望する者達に会う。 ペルシャ大使から国王に嫁がせるはずの王女クカチン(シグリッド・ガリー)の件を尋ねられたクビライは、約束は果たすと答える。 その頃、部屋のバルコニーから見えたクカチンの美しさに惹かれたマルコは、彼女の元に向い話しかける。 マルコの甘い言葉を聞いたクカチンは、彼に心を奪われる。 侍従(ロバート・グレイグ)に呼ばれたマルコは、クビライに謁見してアーメドを紹介される。 そこに現れたクカチンが王女だと知ったマルコは驚いてしまう。 クカチンがマルコと話をしたことを知ったクビライは、彼が既に”見聞”を広めていると言って満足する。 美女を集めた侍女選びが始まり、アーメドの提案でマルコが選ぶ役目を任される。 テストを始めたマルコは女性達を振り分け、カミツキガメの歯が何本かを質問したことをクビライに伝える。 三組に分けたマルコは、答えが分からないと正直に答えた女性達をクビライに推薦する。 クビライに感謝されたマルコは、宮殿内をアーメドに案内される。 ピングッチオと共に塔に向かったマルコは、アーメドと牽制し合い、彼の部下バヤン(スタンリー・フィールズ)トクタイ(ハロルド・ヒューバー)を紹介される。 バヤンとトクタイが連行したカイドゥのスパイを、アーメドは容赦なく処刑する。 1週間が経ち、クカチンがペルシャ王と結婚することを知ったマルコは、生まれてすぐにそれが決まり会ったこともない相手と結婚して幸せになれると思うかを彼女に尋ねる。 7月に嫁ぐと伝えたクカチンは、自分がペルシャ王なら待ちきれないとマルコに言われて動揺する。 愛していない相手と結婚するのかをマルコに問われたクカチンは、愛は育つと答える。 クカチンの美しさを伝え別れのキスの許可を得たマルコは、その意味も知らない彼女に手ほどきをする。 そしてマルコにキスされたクカチンは、自分からすることも試してみるが、それをバヤンが目撃する。 アーメドはカイドゥ抹殺を企み、それらがうまくいけばクビライを失脚させて自分が皇帝になるとトクタイに伝える。 そこに現れたバヤンは、クカチンがペルシャ王との結婚の件をマルコに話したことをアーメドに伝える。 更にバヤンは、二人が互いの唇を合わせていたことを話し、トクタイを相手に実演して見せる。 その意味を理解していたアーメドは憤慨し、クビライの元に向いマルコを呼び出す。 クビライは、カイドゥの軍隊に潜入することをマルコに命じ、スパイと合流後にカイドゥを抹殺させようとする。 マルコは躊躇するが、戻った際には通商協定を結ぶことを検討するとクビライに言われる。 断れる立場でないマルコはそれに従うことを伝え、眠っていたピングッチオを起こして旅立とうとする。 そこに現れたクカチンは、マルコを恐れるアーメドの陰謀だと伝える。 しかしマルコは、無事に戻れば結ばれる可能性があることをクカチンに伝え抱き寄せる。 アーメドに準備が整ったことを知らされたマルコは、クカチンに別れを告げて旅立つ。 カイドゥの領地。 護衛のバヤンらと別れたマルコとピングッチオは、カイドゥの部下に捕えられてしまう。 傲慢で非情なカイドゥだったが、妻ナザマ(ビニー・バーンズ)には頭が上がらなかった。 カイドゥの元に連れて行かれたマルコは、ベニスの商人であると伝えるが拷問されることになる。 マルコに魅力を感じたナザマは、彼がスパイではないという考えをカイドゥに伝える。 納得したカイドゥはマルコと話し、ナザマを魅了する男を探していたことを伝えて彼女を誘惑するよう命ずる。 クカチンに別れを告げたクビライは、日本遠征に向けて出発する。 アーメドは、遠征が失敗し皇帝が戻らない可能性を語り、マルコが死亡したという報告を受けながらクカチンを見つめる。 ナザマのメイド(ラナ・ターナー)と密会したいたカイドゥは、マルコを利用していたのだった。 ナザマの部屋から戻ったマルコは、石炭という燃える石に興味を持ちそれを持つ帰ることと、大都に戻る方法を考える。 その頃、クビライの船団が大敗したことを知らされたアーメドは、玉座の座り心地を確かめる。 7月が1週間後に迫り、婚礼の件を話しクカチンへの王からの贈り物を届けたペルシャ大使は、アーメドの命令により抹殺される。 アーメドはクビライが死んだ可能性をクカチンに語り妻となるよう強要し、皇帝として自分が帝国を治めることを伝える。 クカチンは鷲を使いマルコに手紙を出し、カイドゥがそれを手に入れる。 手紙を渡されたマルコはクカチンの危険を知り、自分を解放するようにとカイドゥに迫るものの認められない。 同じ頃、クビライの帰還を知らされたアーメドは、彼を抹殺せずに迎えようとする。 アーメドはクビライに対し、自分を皇位継承者と認めクカチンとの結婚を認める書にサインさせようとする クビライはそれを拒むが、捕えられたクカチンがハゲワシの餌食になると脅されたため仕方なくサインする。 その場から逃れることを考えたマルコは、カイドゥを殺す役目のトクタイからアーメドとクカチンの結婚を知らされる。 マルコは、カイドゥ暗殺の件でトクタイに協力すると見せかける。 夜の憩いの席でトクタイの行動を阻止したマルコは、カイドゥに感謝される。 カイドゥもアーメドに敵意を持っていることを知ったマルコは、軍を率いた急襲を提案する。 皇帝の座を狙うアーメドの企みを知らされたカイドゥは、手引きをするというマルコの言葉を信じて、彼を解放し大都に向かわせる。 ナザマにはマルコが脱走したため追跡すると伝え、カイドゥも大軍を率いて大都に向かう。 その頃、アーメドとクカチンの結婚の準備が進められていた。 式の祝いのため花火を用意していたチェン・ツゥーの元に現れたマルコは、彼の協力を得て宮殿に侵入する。 命を絶つ決意をしたクカチンを助けたマルコは、カイドゥの軍が到着したことを知る。 カイドゥの軍に気づいたアーメドは、彼を城内に入れて罠にかけようとする。 できるだけ婚礼を引き延ばすようにとマルコに言われたクカチンはアーメドの元に向かう。 門が閉められ攻撃を受けたカイドゥは、マルコに裏切られたと思い込む。 現れたチェン・ツゥーの火薬を利用し、マルコは門を破壊しようとする。 アーメドとクカチンの結婚式は始まるが、彼女は誓いの言葉で先祖の名前を長々と語り始める。 火薬の準備をしたマルコはカイドゥの元に向かい、反撃することを指示する。 火薬に着火して門を破壊したマルコは、カイドゥの軍隊と共に宮殿内に突撃する。 式場に押し入ったマルコは、アーメドと格闘となり彼を倒す。 その後、カイドゥを歓迎したクビライは宮殿の美女を授ける。
...全てを見る(結末あり)
送り込まれるアーメドのスパイに気づいていたカイドゥは、それを一掃しようとする。
*(簡略ストー リー)
13世紀。
ヴェニスの貿易商の息子マルコ・ポーロは、元との通商交渉を父ニコロに命ぜられ、ピングッチオを助手にして旅立つ。
苦労して元の首都大都に着いたマルコは、皇帝クビライ・ハーンに謁見し、彼を操っているのがサラセン人の国務大臣アーメドだと知り警戒する。
そんなマルコは、クビライの娘である美しい王女クカチンに惹かれてしまう。
ペルシャ王に嫁ぐことになっていたクカチンもマルコに心奪われる。
それを知ったアーメドは、マルコをタタール人の首長カイドゥの軍隊へのスパイとして派遣させる。
また、アーメドがクビライを失脚させてクカチンを妻にし国を治めようとしている陰謀を知ったマルコは、カイドゥの協力を得てそれを阻止しようとするのだが・・・。
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冒険家でもあったマルコ・ポーロの活躍を描くドラマは、遥か東方の異国の地”元”が舞台であるため、西洋人が東洋人を演ずる独特の雰囲気で展開する。
1930年代末の作品であることと、リアリズムを追及するドラマでもなくコメディ・タッチでもあるため許せるが、仕上がりは悪くはないセットや衣装も西洋的で、やや陳腐に思えてしまうのは致し方ないところだろうか。
現在では疑わしいという説で一致しているマルコ・ポーロがスパゲッティの基となるものに接し、花火、石炭などに興味を抱くシーンなどが面白い。
当時はそれほど違和感がなかったと思うが、あまりマルコ・ポーロのイメージでないゲイリー・クーパーが適役だったのかも考えさせられる。
それはともかく、好奇心旺盛な冒険家でもあり女性の心も捉える魅力的な男性をゲイリー・クーパーは熱演している。
クビライ・ハーン(ジョージ・バービア)の娘である王女シグリッド・ガリー、雰囲気ある演技を見せる皇帝失脚を画策する国務大臣をベイジル・ラスボーン、人間味のあるタタール人の首長アラン・ヘイルの妻ビニー・バーンズ、主人公の助手アーネスト・トラエックス、哲学者で花火職人でもあるH・B・ワーナー、皇帝の侍従ロバート・グレイグ、アーメド(ベイジル・ラスボーン)の部下スタンリー・フィールズとハロルド・ヒューバー、マルコ・ポーロの父親ニコロ・ポーロのヘンリー・コルカー、モンゴル人の護衛兵ウォード・ボンド、戦士リチャード・ファーンスワース、そしてまだ10代のラナ・ターナーが、ナザマ(ビニー・バーンズ)のメイド役で出演している。