バーで男達にレイプされた女性と彼女の支えとなり犯罪を追及する検事補の闘いを描く、監督ジョナサン・カプラン、主演ケリー・マクギリス、ジョディ・フォスター他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョナサン・カプラン
製作
スタンリー・R・ジャッフェ
シェリー・ランシング
脚本:トム・トーパー
撮影:ラルフ・D・ボード
編集
ジェラルド・B・グリーンバーグ
O・ニコラス・ブラウン
音楽:ブラッド・フィーデル
出演
キャサリン・マーフィー:ケリー・マクギリス
サラ・トバイアス:ジョディ・フォスター
ケネス”ケン”ジョイス:バーニー・コールソン
クリフ”スコーピオン”アルブレクト:レオ・ロッシ
サリー・フレーザー:アン・ハーン
ポール・ルドルフ検事:カーメン・アルジェンツィアノ
ボブ・ジョイナー:スティーヴ・アンティン
ラリー:トム・オブライエン
ポールセン弁護士:ピーター・ヴァン・ノーデン
ダンカン警部補:テリー・デヴィッド・マリガン
ダニー:ウッディ・ブラウン
ベン・ウェンライト弁護士:スコット・ポーリン
カート:キム・コンドラショフ
アメリカ 映画
配給パラマウント・ピクチャーズ
1988年製作 110分
公開
北米:1988年10月14日
日本:1989年2月18日
製作費 $6,000,000
北米興行収入 $32,078,320
■ アカデミー賞 ■
第61回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(ジョディ・フォスター)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
バー”ミル”から飛び出してきた青年ケネス”ケン”ジョイス(バーニー・コールソン)に続き、衣服を剥がされ叫び声をあげる女性サラ・トバイアス(ジョディ・フォスター)が裸足で店を出て路上の車を止め助けを求める。
ケンは、レイプ事件が起きたことを公衆電話で警察に通報する。
病院に向かったサラは体の傷などのチェックを受け、駆けつけた地方検事補キャサリン・マーフィー(ケリー・マクギリス)が被害者についての報告を受ける。
アルコールやマリファナが検出されたことを知らされたキャサリンはサラに質問を始め、ダンカン警部補(テリー・デヴィッド・マリガン)も到着する。
キャサリンは、犯人を挙げるために必要だと言ってサラを連れてミルに向かい、その場にいた加害者カート(キム・コンドラショフ)とダニー(ウッディ・ブラウン)を確認する。 動揺しながら店を出たサラは、加害者の大学生と友人で店のウエイトレスのサリー・フレーザー(アン・ハーン)がいなかったことをキャサリンに伝える。 キャサリンに家まで送られたサラは、同棲相手ラリー(トム・オブライエン)に慰められるものの落ち着かない。 母親に電話をして訪ねたいことを伝えたサラだったが、旅行に出かけると言われてしまう。 翌日、サラが確認した大学生は容疑者として逮捕されるが保釈されてしまう。 サラのトレーラーハウスに向かったキャサリンは、事件の夜の飲酒や挑発的な服装などについてを質問する。 動揺するサラは、コカイン所持などの前歴を調べてあることをキャサリンから知らされ、裁判になれば男性遍歴なども追及されると言われる。 ミルに向かいサラから話を聞いたキャサリンは、その場にいた男のサソリの刺青や、サラがかなり酔っていたことを知る。 ミュージシャンでドラッグの売人でもあるサラの恋人ラリーの情報も入手したキャサリンはオフィスに戻る。 キャサリンは、サラが法廷で勝ち目がないことをポール・ルドルフ検事(カーメン・アルジェンツィアノ)に伝える。 ルドルフは、容疑者を有罪にするための方法を考えるようキャサリンに指示する。 弁護士側との協議に入ったキャサリンは妥協案を拒み、過失傷害の裁定でそれを受け入れる。 納得いかないサラはキャサリンの家に押し入り、裁定について不満をぶつける。 家に戻り髪の毛をカットしてしまったサラは、事件を忘れるべきだというラリーを追い出してしまう。 翌日サラは、自分をからかう男クリフ”スコーピオン”アルブレクト(レオ・ロッシ)のピックアップトラックに車で体当たりする。 病院に向かったキャサリンは、傷の手当てを受けたクリフの腕のサソリの刺青に気づく。 キャサリンは病室のベッドで放心状態のサラに話しかけ、全て自分のせいだと言われて心を痛める。 病室を出たキャサリンはクリフに話を聞き、事件現場にいたという彼から、それがレイプではなくサラが楽しんでいたと言われる。 困惑するキャサリンはオフィスに戻り、事件を目撃して通報した青年の録音テープを繰り返し聴く。 夜通し資料や事例を調べたキャサリンは、サラをレイプし、はやし立てた者達を厳しく追及することを誓い、それをルドルフに伝える。 取引ではあったが予想通り犯人は懲役刑になったことで満足しているルドルフに、キャサリンは気が済まないことを伝える。 キャサリンは、将来を無駄にするなというルドルフの忠告を聞かずに徹底的に戦うことを伝えて席を立つ。 サラの元に向かったキャサリンは、自分が間違っていたことを伝え、取引の前に相談すべきだったと言って謝罪する。 キャサリンは、レイプ事件として告発すれば犯人の前の刑は無効になることを伝え、サラは、今回は取引をしないことを確認し心を決める。 サリーの家を訪ねたキャサリンは彼女に協力を求め、クリフとら三人が事件の夜、店にいたことを確認する。 その後、サラと共にオフィスに現れたサリーに質問したキャサリンは、サラが、店にいた大学生ボブ・ジョイナー(スティーヴ・アンティン)と寝たいと冗談を言ったことを知らされる。 サリーは席を立ち、外で待っていたサラを呼んだキャサリンは、ボブのことについて彼女に問い質す。 キャサリンは冗談だったというサラに、サリーが反証人になる可能性があることを伝え他に隠し事がないか尋ねる。 何もないと答えながら気分を害したサラはその場を去るが、キャサリンを頼るしかない彼女は謝罪する。 ミルに向かったキャサリンは、事件の夜、テレビゲームでハイスコアを出した”ケン”という人物に注目する。 学生名簿を調べたキャサリンは、ケネス・ジョイスがケンだと確信し、彼に会い通報の録音テープを聴かせて協力を求める。 裁判は始まり、証言台に座ったサラはキャサリンの質問に答えて事件の夜のことを話す。 サラは、ダニーとボブと酒を飲みマリファナも吸ったことなどを話す。 その後、ダニーとダンスを踊ったサラは、迫られて抵抗できず、周囲の男達にはやし立てられた彼やボブそしてカートにレイプされたと証言する。 キャサリンに続き、クリフらの弁護士ベン・ウェンライト(スコット・ポーリン)がサラに質問する。 ウェインライトは、抵抗しながら目を閉じていた状況で男達がはやし立てるのを確認できたのかをサラに問う。 レイプ犯三人以外の客は無関係ではないかと言うウェインライトは、暴行を受けるサラが飲酒とマリファナで判断能力を失っていたのではないかということを彼女に確認して質問を終える。 涙ながらにそれを認めるしかなかったサラは、もう一人の弁護士ポールセン弁護士(ピーター・ヴァン・ノーデン)から、その場で助けを求めたのか質問される。 キャサリンは、それを証明できないと答えたサラに、暴行を受けている間、どんな言葉が頭に浮かんだかを問う。 サラが”やめて”と考えたと答えたため、キャサリンは席に戻る。 裁判長は証言台から下がるようサラに指示し、彼女は法廷を去る。 受刑中のボブに面会したケンは、店にいた男達がはやし立てたことを証言することを伝える。 責任を感じているケンに、酔って何も覚えていないと証言するようボブは迫る。 翌日キャサリンは、訪ねて来たサラを前にして、現れたケンが記憶が定かでないため、証言を撤回することをルドルフから知らされる。 サラはケンを責めるが、彼も辛い立場にいることを悟り自分も同じだと答える。 法廷の証言台に座ったケンは、事件の夜のことを語り始める。 ボブとミルで楽しんでいたケンは、セクシーなサラが現れ、クリフやダニーもその場にいたことを話す。 サラはサリーと話をしていたが、ケンといるボブが気になり、ラリーの前で寝てみたいと冗談を言う。 ダニーがサラに近づき、彼女を誘い奥のゲームルームに向かう。 ボブも加わりサラはピンボールを始め、マリファナを吸った彼女はダニーと踊り始める。 ケンもその場にいて、カートやクリフも彼女に注目する。 ダニーはサラに迫り、クリフらははやし立て、彼女はピンボール台で抑え込まれレイプされる。 クリフはボブに続くよう指示し、ケンはその様子に驚きながら何もできず、からかわれたカートがサラをレイプする。 サリーは奥の騒ぎに気づくが、クリフに次はお前かと脅されて店を出る。 いたたまれなくなったケンは店を飛び出し、カートの指を噛んだサラは隙を見てその場から逃げ去る。 キャサリンは、サラが完全に被害者だということをケンに確認する。 法廷を出たキャサリンは、有利な証言と不利なものもあり、勝算は五分五分だとサラに伝える。 翌日、ポールセン弁護士は、被告人クリフら客はレイプ犯ではなく、罪の意識が強すぎるケンの証言が正しいか判断することが必要だと陪審員に訴える。 キャサリンは、レイプという行為がどれだけ重大な犯罪かを語り、見ていた者が無関係なのか、それが被害者サラにとってどういうことなのかを陪審員に語る。 弁護人がケンだけがレイプと認識していたということについて、キャサリンは、彼が特別な感性を持つ違った人物に見えたかも陪審員に語りかける。 その場にいた者達がレイプを見ていただけでなく、煽るはやし立てる行為は教唆罪であり、それが許されることであるかも問う。 別の部屋で判決を待つキャサリンは、今まで興味を示さなかったサラの星占いの話を聞き彼女への友情を示す。 それを悟ったサラは、キャサリンに感謝する。 審議は二日目に入り、陪審員はクリフら被告人の有罪を告げ、キャサリンはサラの笑顔を確認する。 キャサリンとサラは、満足した表情のケンに感謝する。 法廷を出たキャサリンとサラは報道陣に囲まれる。 アメリカ国内でのレイプ事件は6分に1件発生し、4件に1件は複数犯による犯行である。
...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
バー”ミル”で男達にレイプされたサラ・トバイアスは病院に運ばれ、現れた検事補キャサリン・マーフィーに事件の内容を話す。
事件の際、飲酒やマリファナを吸っていたサラは動揺しながらキャサリンとミルに向かい犯人二人を確認する。
その後、二人とその場にいなかった大学生ボブは逮捕されるものの保釈されてしまう。
サラの前歴を考えると裁判になっても勝ち目がないと判断したキャサリンは、弁護側との協議で過失傷害で罪を問うことで取引してしまう。
納得できないサラは、事件現場にいた男にからかわれて問題を起こして負傷する。
全て自分のせいだとサラに言われたキャサリンは心を痛め、彼女のために、レイプをはやし立てた男達を有罪にすることを誓うのだが・・・。
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アメリカの大きな社会問題であるレイプについて深く考えさせられる作品として公開当時話題になり、レイプ犯をはやし立てた周囲の者達の責任を追及する教唆罪を問うことで、問題の大きさを痛感させられる内容となっている。
しかし、その問題を考える上で、やや押しつけがましいジョナサン・カプランの演出が気になり、作品自体の評価はそれほど高くない。
真面目で無抵抗な女性が被害者であるパターンとは違い、本作の被害者はふしだらな女性に近いところがポイントで、それが原因で孤独の闘いを覚悟しなければならない厳しい現実が切実に描かれている。
その主人公に手を貸す、序盤はやや日和見的な敏腕検事が、被害者の心に触れながら考えを変え、アメリカの正義の象徴のように描かれているところも注目だ。
迫真の演技により第61回アカデミー賞で主演女優賞を受賞した、ジョディ・フォスターの体を張った熱演は見ものだ。
しかし、年齢や貫録などを考えるとジョディ・フォスターよりも存在感があるケリー・マクギリスの役柄を重視して描いているのも注視するべきで、ファーストクレジットは彼女である。
事件を目撃して通報する青年バーニー・コールソン、バーの客で教唆罪に問われるレオ・ロッシ、主人公の友人アン・ハーン、検事カーメン・アルジェンツィアノ、レイプ犯の大学生スティーヴ・アンティン、主人公の恋人トム・オブライエン、弁護士ピーター・ヴァン・ノーデンとスコット・ポーリン、警部補テリー・デヴィッド・マリガン、レイプ犯ウッディ・ブラウンとキム・コンドラショフなどが共演している。