死んだはずの牧場主と瓜二つだったために悪党と争うことになった流れ者の戦いを描く、監督D・ロス・レダーマン、主演ティム・マッコイ、シャーリー・グレイ、ジョン・ウェイン、ウィーラー・オークマン、ウォルター・ブレナン他共演の西部劇。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:D・ロス・レダーマン
原作:ウィリアム・コールト・マクドナルド
脚本:ランドール・フェイ
撮影:ベンジャミン・H・クライン
編集:オットー・マイヤー
音楽:ミラン・ローダー
出演
”テキサス”グラント/ジム・ローリングス:ティム・マッコイ
ヘレン・ローリングス:シャーリー・グレイ
スティーヴ・ピケット:ジョン・ウェイン
ユタ・ベッカー:ウィーラー・オークマン
ニック・ロウラー:ウォーレス・マクドナルド
ウェッブ・オリヴァー:ジェームズ・ファーレイ
ジェイク・ファーウェル:ハリー・コーディング
ルー・コリンズ保安官:ウォルター・ブレナン
ケイティ:メアリー・ゴードン
ヘフティ:ヴァーノン・デント
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1932年製作 63分
公開
北米:1932年2月24日
日本:不明
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
アリゾナ州、スタンピード。
流れ者の”テキサス”グラント(ティム・マッコイ)は”ジム”と呼びかけられ、誰かと間違えているのだろうと思う。
町の住人は、グラントを見て”ジム・ローリングス”だと思い、銃を向ける者もいたが、彼は5年前に死んでいたはずだった。
その後もジムと呼びかけられたグラントは酒場に向かい、銃を抜こうとする男達を牽制しながら中に入る。
墓場から戻ったと言って驚くバーテンダーのヘフティ(ヴァーノン・デント)に、グラントは、自分は”ジム・ローリングス”ではなく、死んでもいないと言って、名前は”テキサス”グラントだと伝える。 ヘフティから、ジムに瓜二つだと言われたグラントは、ジムは善人で、殺されて皆、気落ちしたことを知らされる。 5年前に殺されたジムが現れたために、皆が驚いたことを知ったグラントは、その死を喜んだ者がいると聞いて、ヘフティから話を聞こうとする。 窓から覗いている男達に気づいたヘフティは、話し過ぎたと言って、ジムの敵は未だに多くいて、この町の死因のトップは射殺だと話す。 自分には関係ない話だと言って、テキサスの農場を売り旅をしているだけだと話すグラントは、ヘフティに別れを告げて旅立とうとする。 グラントを呼び止めたヘフティは、町にいる間はジムでいてほしいと言って頼み、悪党どもが驚く姿が見ものだと伝える。 話に乗ったグラントは、その気になって外に出て、ナイフを投げてきた男に襲い掛かり、格闘になって叩きのめす。 仲間の男が銃を抜いたために銃撃したグラントは、相棒と共に町を出ろと言って2人を追い払う。 町の住民はジムが戻ってきたとことに驚き、大事になってしまったグラントは、牧場が心配で戻って来たことにするようにとヘフティから言われる。 そこにルー・コリンズ保安官(ウォルター・ブレナン)が現れ、悪党を追い払ったグラントに感謝する。 向いの自分の酒場から出て来た町を牛耳る悪党のユタ・ベッカー(ウィーラー・オークマン)と牽制し合ったグラントは、彼を殴り倒す。 牧場に向かったグラントは、ジムの妻ヘレン(シャーリー・グレイ)に抱きつかれてキスされ、自分は”テキサス”グラントだと伝える。 相手が夫ではないことを知ったヘレンは気を失ってしまい、グラントは彼女を家の中に運ぶ。 使用人のケイティ(メアリー・ゴードン)にも自分がジムではないことを伝えたグラントは、嘘をついている顔ではないと彼女から言われて信じてもらえる。 ベッカーに牛を奪われ、牧場には金がないとケイティから言われたグラントは、小屋にいる牧童が働かないことも知らされる。 牧童がベッカーの手下だと言うケイティの話を聞いたグラントは、暫くの間ジムになるこをケイティに伝える。 牧童達の元に向かったグラントは、働く気のない男達に、自分は牧場主のジム・ローリングスだと伝える。 5年前に死んだはずだと言われたグラントは、その場にいた牧童頭のニック・ロウィアー(ウォーレス・マクドナルド)、ジェイク・ファーウェル(ハリー・コーディング)、ウェッブ・オリヴァー(ジェームズ・ファーレイ)の名前をチェックする。 もう一人の若者スティーヴ・ピケット(ジョン・ウェイン)から話を聞いたグラントは、牛泥棒は怖くはないが、ロウラーが自分を牧場の端に追いやる時に牛が盗まれると言われる。 スティーヴ以外の3人をクビにしようとしたグラントは、ロウラーに殴られてしまう。 2人は殴り合いになり、ロウラーを叩きのめしたグラントは、3人を牧場から追い出すようスティーヴに指示する。 ロウラーらをクビにしたことをヘレンに話したグラントは、自分の考えを彼女に理解してもらい食事をする。 町に現れたグラントに、牛泥棒と言いふらしていることで因縁をつけたベッカーは、一触即発になる。 その場では騒ぎを起こさなかったグラントは、スティーヴ以外の仲間を集めるようにとコリンズから言われ、そのつもりだと伝える。 テキサスに電報を打ったグラントは、仲間達を呼び寄せる。 牧場を見回っていたスティーヴは、牛を盗もうとしていたファーウェルとオリヴァーに気づき銃撃するものの、反撃されて銃弾を受ける。 スティーヴは、オリヴァーを射殺して気を失う。 テキサスの仲間達を呼び寄せて、この場を本物の牧場にするとヘレンに話したグラントは、スティーヴの馬が戻って来たために不思議に思う。 鞍の血に気づいたグラントは、スティーヴに何かあったと考えて、ヘレンと共に彼の元に向かう。 無事だったスティーヴから、ファーウェルとオリヴァーが牛泥棒だと知らされたグラントは、その場を任せたヘレンに町に向かうことを伝えてその場を去る。 ベッカーの元に向かったファーウェルは、スティーヴと撃ち合いになりオリヴァーが殺されたことを伝える。 医師に怪我人のことを話したグラントは、牧場に行くよう指示する。 暫く町を離れるようベッカーに指示されたファーウェルは、グラントが来たことを知り馬で逃げる。 それを追ったグラントは、ファーウェルを捕えて町に戻りコリンズに引き渡す。 定職を持たずベッカーの仕事をして金を受け取っていると男達のリストを作るようコリンズに指示したグラントは、それを利用してあることを考える。 数週間後。 講演当日。 テキサスから仲間達が到着し、グラントは、彼らとスティーヴと共に公会堂に向かう。 グラントらが到着したため話を始めたコリンズは、停職がないにも拘らず金を持っている者のリストを読み上げようとする。 名前を呼ばれた者は町から出て行くようにと言う、コリンズの話を聞く気のない男達は、その場から去ろうとするものの、グラントらが出口を塞いでいた。 銃を向けられた男達は席に戻り、名前を呼ばれた者は保安官補に銃を渡すよう指示される。 名前を呼ばれた11名以外の者を帰したグラントは、コリンズと共に町外れに向かい、徒歩で隣町に行くよう男達に指示する。 手下達が町を追い出されることを知ったベッカーは、直ぐに戻してやると言って、グラントの秘密を掴んだことをコリンズに伝える。 町に戻ったベッカーは、正体を知っていることをグラントに伝える。 ベッカーは、ヘレンを侮辱したためグラントに小突かれ、互いに銃を抜く。 町にはボスは一人で十分だと伝えたベッカーは、それならば出て行けと言われる。 午後4時に一対一の決闘を申し込んだベッカーは、自分の酒場で待っているとグラントに伝えてその場を去る。 ヘレンを侮辱されたことで苛立つグラントは、一緒に行くというスティーヴに、自分一人で行くと言い張る。 スティーヴの気持ちを察したグラントは冷静になり、彼に謝罪する。 4時が近づき、ロウラーだけを店に残したベッカーは、カウンターの影に隠れて、グラントが入ってきたら迷わず撃つようにと指示する。 何かあった場合のことをスティーヴに話し、ヘレンのことを任せたグラントは酒場に向かい、ベッカーとロウラーを射殺するものの銃弾を受ける。 一命を取り留めたグラントはヘレンに介抱され、頭が混乱して自分がジム・ローリングスか”テキサス”グラントか分からないと彼女に伝える。 うわごとで全て分かったと言うヘレンは、5年前にベッカーに頭を撃たれて捨てられ、その後テキサスに向かい、今は記憶が戻ったことを知らされる。 家に戻れて嬉しいと言うジムは、ヘレンを抱きしめる。
...全てを見る(結末あり)
コリンズは、日曜日の午後3時に公会堂で、「犯罪と法の執行」の演題で自分自身が講師となり、無料講演を開催するという貼り紙をする。
ロウラーらベッカーの手下が集まる中、コリンズは開演を待つ。
■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
アリゾナ州、スタンピード。
流れ者の”テキサス”グラントは町に着くのだが、”ジム・ローリングス”という男と間違われる。
5年前に悪党との争いで殺されたというジムを慕う人々は多くいたのだが、よく思わない者もいた。
ジムの振りをすることにしたグラントは、悪党を追い払い、町を牛耳るベッカーに因縁をつけられ、彼を殴り倒す。
ジムの牧場に向かたグラントは、彼の妻ヘレンにも夫と勘違いされるが、事情を話して納得してもらう。
牛をベッカーに盗まれ、牧童がグルだと言われたグラントは、信用できるスティーヴ以外をクビにする。
その後グラントは、テキサスの仲間達を呼び寄せ、スティーヴと保安官のコリンズと共に、ベッカー一味を倒そうとするのだが・・・。
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死んだはずの男と間違えられた流れ者が、ほんの遊び心からその男に成りすまし、町の人々のために悪党に立ち向かう姿を描く、正統派西部劇。
1930年代初頭に量産されていた西部劇の中の一作で、リアリズムなどを無視した見世物的な作りに徹する当時の映画製作現場のことなどを考えながら今観ると、味があり新鮮に思える作品。
主人公だけに許される、整った衣装やド派手なテンガロンハットとガンベルト、そして拍車など、不自然ではあるが、当時はこうあることが普通であり好まれたと思うと、実に愉快であり楽しい、良き時代だったことが窺える。
迫力ある馬の疾走やオーバーアクション気味の格闘シーンなども見応え十分で、この時代にして見事な美しい映像、そして音響技術なども素晴らしい、見所満載の作品に仕上がっている。
主演のティム・マッコイは、威厳があり他を圧倒する雰囲気のある主人公を熱演している。
何といっても注目は、まだ20代半ばのジョン・ウェインであり、主人公に協力する牧童を初々しく演じている。
この1932年だけで12作品に出演しているジョン・ウェインなのだが、後の大スターということで、どうしても贔屓目に見てしまうのだが、お世辞にも超大物になるような雰囲気は感じられないところが、逆に興味深い。
また、後にジョン・ウェインと「赤い河」(1948)や「リオ・ブラボー」(1959)などで名コンビとなるウォルター・ブレナンの共演も嬉しい。
老保安官を演ずる彼は、実はまだ30代後半であることに注目したい。
記憶を失っていた主人公の妻シャーリー・グレイ、町を牛耳る悪党のウィーラー・オークマン、その手下ウォーレス・マクドナルド、ジェームズ・ファーレイ、ハリー・コーディング、牧場の使用人メアリー・ゴードン、酒場のバーテンダーヴァーノン・デントなどが共演している。