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テトロ Tetro (2009)

消息を絶っていた兄を訪ねた男の知られざる家族の秘密を探る旅を描く、製作、監督、脚本フランシス・フォード・コッポラ、主演ヴィンセント・ギャロアルデン・エーレンライクソフィア・ガラクラウス・マリア・ブランダウアー他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:フランシス・フォード・コッポラ

製作総指揮
アナヒド・ナザリアン

フレッド・ルース
製作:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:フランシス・フォード・コッポラ
撮影:ミハイ・マライメアJr.
編集:ウォルター・マーチ
音楽:オスバルド・ゴリホフ

出演
アンジェロ”テトロ”テトロチーニ:ヴィンセント・ギャロ

ベンジャミン/ベニー:アルデン・エーレンライク
ミランダ:マリベル・ベルドゥ
アローン:カルメン・マウラ
カルロ/アルフィー・テトロチーニ:クラウス・マリア・ブランダウアー
アベラルド:マイク・アニゴレナ
ホセフィナ:レチシア・ブレディス
マリア・ルイーザ:ソフィア・ガラ

アメリカ/イタリア/スペイン/アルゼンチン 映画
配給
Alta Films
American Zoetrope

2009年製作 126分
公開
北米:2009年6月11日
日本:2012年1月7日
製作費 $5,000,000
北米興行収入 $518,520
世界 $2,852,920


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ブエノスアイレス
18歳の誕生日が近づく船員ベンジャミン/ベニー(アルデン・エーレンライク)は、異母兄のアンジェロ・テトロチーニ(ヴィンセント・ギャロ)の滞在先訪れ、彼の恋人ミランダ(マリベル・ベルドゥ)に迎えられる。

”テトロ”と呼ばれている兄は、部屋に引き篭もり、彼が家族には会いたがらないことを、ベニーはミランダから知らされる。

結局その夜は、アンジェロと再会することなく、ベニーは、その場に泊まることになり、兄からの、”必ず迎えに行く”という手紙を読みながら涙する。

翌朝、素っ気無い態度で起きてきた、足を怪我しているアンジェロは、ベニーと簡単な会話を交わして、二人は散歩に出る。

ベニーに、故障している船の修理が終わったら出て行くようにと伝え、”アンジェロ”は死に今は”テトロ”だと弟に念を押す。
...全てを見る(結末あり)

カフェに寄った二人だったが、家族のことなどを隠しておきたいと言うテトロは、知人には、ベニーを友達と言って紹介し、その傲慢な態度に彼は反論する。

テトロのギブスがとれて、作家志望だった彼に、執筆活動を始めるのかと尋ねたベニーだったが、テトロはそれをやめたと言いながら、考えている物語を語る。

その後、母親が、自分の車の運転中に事故死したことなど、家族と縁を切ったと言っているにも拘らず、ベニーが話をするため、テトロは部屋に閉じ篭ってしまう。

それを見ていたミランダは、”ラ・コリファタ”という施設の医師だった彼女が、書いた原稿を抱えて、情緒不安定な様子のテトロと出会った時のことをベニーに話す。

施設で、テトロがようやく口にした、父親の話が嘘だと思ったミランダだったが、彼女はテトロに恋をしてしまった。

テトロが留守の間に部屋を調べたベニーは、母親の写真や拳銃、そして、文章が全て反転している小説の原稿を見つける。

カフェで、ベニーの誕生パーティーが開かれることになり、テトロも含めて楽しい時を過ごす。

翌日、韻文劇の舞台の照明を担当したテトロは、本番中に演出家アベラルド(マイク・アニゴレナ)と口論になる。

そこに、テトロのかつての恩師、文芸批評家のアローン(カルメン・マウラ)が現われる。

その後、ミランダは、テトロとベニーの父が、著名な音楽家であるカルロ・テトロチーニ(クラウス・マリア・ブランダウアー)だと知り驚き、施設に行くと言って、彼女は外出する。

テトロは、父親のことをミランダに教えたことでベニーを責め、船に戻るべきだと言って彼を追い払おうとする。

ベニーは、自分に送ってきた、”必ず迎えに行く”というテトロの手紙を読んで聞かせるが、彼はその場を立ち去る。

大量の原稿を調べ、テープを聴いたベニーは、兄が、小説家になりたいことを父カルロに伝えるが、それに反対された上に嫌味まで言われ、家族との関係を絶ち執筆のため旅立ったことなどを知る。

ベニーは船に戻ることになるが、テトロが預かっていた子犬を散歩させようとして、道路でスクーターと激突し病院に運ばれる。

船は出港してしまい、テトロはベニーを見舞い、自分の家に滞在するよう優しく伝える。

そんな時、ニューヨークから、父カルロが心臓発作で倒れたという連絡があり、テトロは、帰る気がないことをベニーに伝える。

ミランダから受取ったテトロの原稿を、ベニーは病室のベッドの上で清書する。

それがテトロに見つかってしまい、彼は憤慨して、自分についてを知りたかったというベニーとミランダを罵倒して病室から出て行ってしまう。

その後テトロは、アベラルドの世話になっていたベニーの物語が、劇になることを知る。

激怒したテトロは、盗作だといってベニーに言い寄るが、それを読んでいたアローンが、傑作だと言ってテトロを絶賛する。

素直に喜べないテトロだったが、ミランダは自信を取り戻すチャンスだと言って彼を励ます。

劇の発表のために、パタゴニア・フェスティバルに向ったテトロら一行だったが、途中、カルロの容態が悪化しているという連絡が入る。

その夜、ホテルに宿泊することになり、ベニーは、役者ホセフィナ(レチシア・ブレディス)と姪のマリア・ルイーザ(ソフィア・ガラ)と同じ部屋になり、初めて女性を知ることになる。

翌朝、ミランダは、テトロがいなくなったことをベニーに伝え、その後、一行は会場に到着する。

フェスティバルは始まり、テトロとベニーの共同作品が上演される。

その時、会場にテトロが現われ、実は自分が兄ではなく父親であることをベニーに告白する。

自分を殺すようにと伝えたテトロだったが、動揺するベニーは無言のままたたずむ。

劇は終わり、観客から喝采を受け、アローンはテトロの元に歩み寄る。

アローンは、劇作家としての頂点に立ったことをテトロに伝え賞を渡そうとする。

しかし、テトロは、アローンの意見を必要としないことを伝え、気分を害した彼女はその場を立ち去る。

連絡を受けたミランダは、テトロに、父カルロが亡くなったことを知らせる。

カルロの葬儀の際、現われたテトロは、棺に置かれていたタクトを、伯父のアルフィー(クラウス・マリア・ブランダウアー)に渡す。

その後、家族の前に現われたベニーは、カルロが祖父だったことを話し、ミランダは、テトロが彼の父親だったことを知り驚く。

その場にいた家族に、カルロに母親を奪われたと言いながら、放心状態のベニーは外に向かい道路に出て歩き出す。

車に轢かれそうなベニーを見たテトロは、息子であり家族だと言って彼を抱きしめ、二人は親子の絆を確かめる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ブエノスアイレス
18歳になる船員のベニーは、作家志望であり、ある理由で執筆の旅に出たという兄アンジェロ・テトロチーニを訪ねる。
アンジェロの恋人ミランダに迎えられたベニーだったが、その晩は兄に会うことができなかった。
過去と家族を捨てたアンジェロは”テトロ”と名乗り、追い払うように、ベニーに素っ気無く接する。
かつて、情緒不安定な状態だった、施設にいたテトロと出会った医師のミランダは、その場で彼に恋してしまったことをベニーに語る。
その後ベニーは、テトロが大量の原稿を書き記していることに気づく。
そしてベニーは、全て反転して書かれている原稿を読み、そこに、テトロの過去や家族の秘密が隠されていることを知るのだが・・・。
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活動が減っていたフランシス・フォード・コッポラが、「コッポラの胡蝶の夢」(2007)に続き商業映画路線を逸脱した考えで製作、脚本を兼ねて挑んだ野心作。

小作ではあるが、フランシス・フォード・コッポラの、映画製作へのこだわりが感じられる作品に仕上がっている。

現実のモノクロ映像と、過去や幻想のカラー映像による刺激的な手法、当然のごとく、手抜きや表現に荒さをがない、洗練された映像感覚は見事で、芸術的美しさを感じる。

崩れかけていた人生、家族の絆が、柔らかな雰囲気の中で修復する姿も、押し付けがましくなく描かれている。

マット・ディロンの予定から主演に抜擢されたヴィンセント・ギャロは、緊迫感も感じさせるモノクロ映像の中で、生気が感じられない不健全なイメージの主人公を好演している。

かつてのレオナルド・ディカプリオを髣髴させる、期待の新鋭アルデン・エーレンライクは、主人公以上の存在感を示す役柄を熱演して今後が非常に楽しみな逸材だ。

主人公の恋人マリベル・ベルドゥ、著名な文芸評論家カルメン・マウラ、主人公の父親と伯父の二役を演ずるクラウス・マリア・ブランダウアー、舞台演出家のマイク・アニゴレナ、役者レチシア・ブレディス、その姪役ソフィア・ガラなどが共演している。


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