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テス Tess (1979)

1891年に発表された、トマス・ハーディの小説”ダーバヴィル家のテス”を基に製作された作品。
家族のために自分を犠牲にする貧しい農夫の娘の波乱の人生を描く、製作、監督ロマン・ポランスキー、主演ナスターシャ・キンスキーピーター・ファースリー・ローソンジョン・コリン他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:ロマン・ポランスキー

製作:クロード・ベリ
製作総指揮:ピエール・グルンステイン
原作:トマス・ハーディダーバヴィル家のテス
脚色
ジェラール・ブラッシュ

ロマン・ポランスキー
ジョン・ブラウンジョン
撮影
ジェフリー・アンスワース

ギスラン・クロケ
編集
アラステア・マッキンタイア
トム・プリーストリー

衣装デザイン:アンソニー・パウエル
美術
ジャック・ステファンズ
ピエール・ギュフロワ

音楽:フィリップ・サルド

出演
テス・ダービフィールド:ナスターシャ・キンスキー

エンジェル・クレア:ピーター・ファース
アレック・ダーヴァヴィル:リー・ローソン
ジョン・ダービフィールド:ジョン・コリン
クレア牧師:デヴィッド・マーカム
ダービフィールド夫人:ローズマリー・マーティン
マーロット村の代理司教:リチャード・ピアソン
マリアン:キャロリン・ピックルズ
イズ・ヒュート:スザンナ・ハミルトン
ダーヴァヴィル夫人:シルヴィア・コーリッジ
マーシー・チャント:アリエル・ドンバール
クレア夫人:パスカル・ド・ボワッソン
下宿の女主人:パッツィー・ローランズ

フランス/イギリス 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ

1979年製作 186分
公開
フランス:1979年10月31日
イギリス:1981年4月9日
北米:1980年12月12日
日本:1980年10月25日
製作費 $12,000,000
北米興行収入 $20,093,300


アカデミー賞
第53回アカデミー賞
・受賞
撮影・美術・衣裳デザイン賞
・ノミネート
作品・監督・作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
19世紀、イングランドドーセット、マーロット村。
農夫のジョン・ダービフィールド(ジョン・コリン)は、歴史家の牧師トリンガムから声をかけられる。

トリンガムから、自分がウィリアム征服王に仕えた騎士”サー・ダーヴァヴィル”の末裔だと知らされたジョンは驚く。

夕暮れ時、野原でクラブ・ダンスを楽しんでいたジョンの娘テス(ナスターシャ・キンスキー)は、それ加わったある青年(ピーター・ファース)のことが気になる。

酔っている父ジョンが、馬車に乗り自分は高貴な身分だと言いながら通り過ぎる姿を見たテスは、疲れているのだろうと考える。

帰宅したテスは、母(ローズマリー・マーティン)から、自分達は良家の人間だったと言われたため、ジョンが騒いでいた訳を理解する。
...全てを見る(結末あり)

酒場にいるジョンの元に向かった妻は、テスを富豪のダーヴァヴィル家に向かわせて、親戚だと言わせることを提案する。

それに同意したジョンは、迎えに来たテスと共にその場を去る。

その件を母から聞き気乗りしないテスだったが、仕方なくダーヴァヴィル家に向かう。

屋敷に着いたテスは怖気づいてしまい戻ろうとするが、ダーヴァヴィル夫人の息子アレック(リー・ローソン)から声をかけられ、母は病気だと言われる。

遠慮しながら自分達が親戚だとアレックスに伝えたテスは、彼に気に入られて優しくされる。

数日後、ダーヴァヴィル家の養鶏場で働いてもらいたいという夫人からの手紙を受け取ったテスは、気が進まないものの、母から、相手は親族として迎えるつもりだと言われる。

手紙を確認したジョンは、自分が持っているスプーンの印章と同じものが印されていることに気づく。

旅立つテスに、落ちぶれたダービフィールド家の爵位を1000ポンドなら売ってもいいと伝えたジョンは、徐々に金額を下げる。

母、そして妹や弟に見送られたテスは、迎えに来たアレックの馬車で旅立つ。

馬車を飛ばしながら自分に迫るアレックを拒むテスは、わざと帽子を落として馬車を止めてもらい、そのまま歩き続ける。

養鶏場で働き始めたテスは、ダーヴァヴィル夫人が盲目で、夫が貫録を出すために家名を買ったことを知る。

ダーヴァヴィル夫人(シルヴィア・コーリッジ)の元に可愛がっていっる鶏を連れて行ったテスは、彼女から口笛を吹いてあげてほしいと言われる。

口笛がうまく吹けないテスにそれを教えたアレックは、吹けるようになった彼女に、母は変わり者だが鶏の世話を頑張れば好かれると伝える。

ある夜、ダンスに出かけたテスは、自分がアレックに気に入られていることに嫉妬する使用人と揉めてしまう。

現れたアレックから馬に乗るようにと言われたテスは、それに従う。

疲れていたために眠ってしまったテスは、目覚めた場所が森の中だと気づく。

アレックスの援助で父が馬を手に入れたことを知ったテスは、彼に感謝する。

好意を伝えられたテスは屋敷を去ることをアレックスに伝え、迫られたために彼を馬から突き落とす。

謝罪したテスは、アレックが怪我をしたことを知り動揺して涙する。

アレックにキスされたテスは、迫る彼を拒むものの強引に犯されてしまう。

使用人からアレックスの情婦となったテスは悩み、ある日、屋敷から逃げだす。

追ってきたアレックは、戻る気がないテスを馬車に乗せて家に送る。

生家のことを思い生まれてこなければよかったと考えるテスは、アレックから、その美しさを世間に知らせるべきだと言われる。

自分達はうまくいっていたと話すアレックスに、世間を見る目がなかったと伝えたテスは、女は皆そう考えると言われる。

気分を害したテスは、謝罪するアレックスに馬車を止めさせて降りる。

自分は悪い男だと言うアレックは、連絡をくれれば必ず助けると伝えて、もう一度、戻らないかとテスに尋ねる。

何も答えないテスは、荷物を持って家に向かう。

その後、アレックスの子供を産んだテスだったが、息子は病にかかり、彼女は祈ることしかできなかった。

代理司教(リチャード・ピアソン)の元に向かったテスは、自分で子供に洗礼を授けたことを伝える。

葬儀を執り行うことを頼まれた代理司教は、村全体の問題にかかわることになると言ってそれを断り、テスは彼を非難してその場を去る。

息子を埋葬した場所に向かったテスは、棒切れで作った十字を立てて、摘んできた花を手向ける。

家を出たテスは、働くことになっていた酪農場に着き、農場主のクリックに迎えられて、直ぐに乳しぼりを始める。

テスは、使用人仲間のマリアン(キャロリン・ピックルズ)から、乳しぼりの見習いをしている牧師の息子エンジェル・クレア(ピーター・ファース)のことを聞き、皆とは話をしないという彼に興味を持つ。

翌日、朝食の際に、魂を体から出す方法を知っていると言うテスの話に、エンジェルは耳を傾ける。

その日の夕方、エンジェルから話しかけられたテスは、多くを語ろうとしなかった。

マリアンやイズ・ヒュート(スザンナ・ハミルトン)ら使用人の女達は、皆、エンジェルに憧れていた。

教会に向かおうとしたマリアンらは、道路の水たまりを避けようとする。

そこに現れたエンジェルは、マリアンらを順番に抱きかかえて運んであげる。

最後のテスは動揺して断ろうとするが、エンジェルから、自分のために三人を運んだと言われる。

テスを抱いたエンジェルは彼女をマリアンらの元に運び、何も語らずにその場を去る。

その後、惹かれ合うテスとエンジェルは求め合い、彼は愛を伝える。

父クレア牧師(デヴィッド・マーカム)に会うために家族の元に戻ったエンジェルは、結婚を考えていることを父と母(パスカル・ド・ボワッソン)に話す。

教師のマーシー・チャント(アリエル・ドンバール)が相手だと思っていた両親だったが、エンジェルは”テス・ダービフィールド”という女性と結婚したいことを伝える。

両親もマーシーのことも尊敬しているが、自分の心は決まっていることをエンジェルは話す。

農場に戻ったエンジェルはテスに求婚し、受け入れたいものの無理だと答えたテスは、それ以上のことは語らずに彼を抱きしめる。

悲しむテスは母に手紙を書いて相談し、神の導きと考えて、相手には過去のことは決して話さないようにと助言される。

エンジェルと彼の両親の元に向かうテスは、家に着いたら結婚のことは話すと伝える。

駅で汽車を待つテスは、かつて、マーロット村の野原でダンスに誘ってくれなかったことをエンジェルに話す。

その時のことを思い出したエンジェルは驚き、彼女を抱きしめる。

マーロットで生まれたことなど身の上を話したテスは、学校ではよい教師になれると言われたものの、酒飲みで怠け者の父と母から、自分達は旧家のダーヴァヴィル家の人間だと知らされたことをエンジェルに伝える。

母の指示でダーヴァヴィル家に送り込まれたと話すテスは、エンジェルが旧家を嫌っていることを知っていたため、それを気にしていたと伝えるものの、全く問題ないと言われる。

再び求婚されたテスは、それを承諾してエンジェルを抱きしめる。

農場に戻ったテスは、もう一つの秘密である子供のことなどを手紙に書き、エンジェルの部屋に届ける。

翌朝、部屋から出てくるエンジェルを待っていたテスは、笑顔の彼に抱きしめられる。

エンジェルとの幸せな日々を過ごしていたテスは、彼の部屋の入口の敷物の下に手紙が隠れていたことに気づく。

手紙が読まれていないことを知ったテスは動揺し、その内容をエンジェルに話すことができなかった。

結婚式の直前、全てを告白しようとしたテスは、エンジェルから式が終わってから話してほしいと言われる。

教会で式は始り、牧師から、結婚に障害があるようなことがあれば告白するようにと言われたテスは、何も話さなかった。

式を終えた二人は、馬車で暮らすことになる屋敷に向かい、エンジェルは、家宝の宝石をテスに贈る。

それを身につけたテスの美しさに見とれるエンジェルは、告白することがあるとテスに伝える。

テスと出会う前にロンドンに滞在していた際、年上の女性と関係を持っていたことをエンジェルは話す。

問題ないことだと言うテスは、自分にも似たような告白があると伝える。

名家の家名を買ったダーヴァヴィル家のアレックの屋敷で、家族のために働くしかなかったと話すテスは、そんな自分の弱みに付け込んだ彼の情婦にされたことをエンジェルに伝える。

短期間で関係は断ち、アレックの子を身篭り出産したものの子供は直ぐに死に、出会うまでは暗闇の中で生きていたことを、テスはエンジェルに話す。

ショックを受けたエンジェルは、外に行くとテスに伝えて部屋を出る。

屋敷を離れ呆然として歩き続けるエンジェルを追ったテスは、許してもらえないのか尋ねる。

自分は許したと伝えたテスに、別人に見え始めたと伝えたエンジェルは笑いだす。

愛した女性ではなく、同じ姿の別人だと言われたテスは、自分は子供で男の人のことが分かっていなかったとエンジェルに伝える。

罪を犯したことは許すが、それがすべてではなく、貞操観念の低さは家が没落したせいで、衰退した貴族だとテスに伝えたエンジェルは、その場を去る。

その後、屋敷に戻ったエンジェルはテスとは別の部屋で過ごし、翌朝、朝食の用意ができたことを彼女に伝える。

朝食の際、テスから自分を捨てて離婚すればいいと言われたエンジェルは、単純で子供のような彼女を批判する。

本当の夫と言えるアレックが生きている限り愛することは無理であり、それでも残れと言うのかとエンジェルはテスに尋ねる。

言えないと答えるテスに、噂にならないようにどちらかが残らなければならないと伝えたエンジェルは、別れるなら実家に戻る考えの彼女に、そうするべきだと伝える。

馬車でテスを送ったエンジェルは、今の自分には耐えられないだけであり、その気持ちが変われば迎えに来ると伝え、彼女から待っていると言われる。

それまでは会いに来ないようにと言われたテスは納得し、病気や必要なものがある時の手紙はエンジェルに許可されて、馬車に乗りその場を去る。

屋敷に戻ったエンジェルは、空虚な日々を過ごす。

ある日、家に帰る途中に訪ねて来たイズは、エンジェルがブラジルに向かうことを知る。

テスに会いに来たイズだったが彼女は不在で、エンジェルだけが先に行くと言われる。

マリアンが酒に溺れて農場をクビになったことを知ったエンジェルは、イズから、自分がいなくなったので寂しいと言われる。

その場を去ったイズを追ったエンジェルは、ブラジルに同行する気はあるか彼女に尋ねる。

もちろんだと答えるイズに、テスよりも自分を愛せるか尋ねたエンジェルは、夫に人生を捧げた彼女の真似はできないと言われる。

それに対して何も語らないエンジェルは、その場を去る。

野宿をしながら道を歩くテスは、馬車に乗る農場主のグロービーから声をかけられ、乗るようにと言われる。

ダーヴァビルの情婦だど気づいたグロービーは、テスを侮辱して走り去る。

マリアンの家を訪ねたテスは、優しくしてくれる彼女に死にたいと伝える。

励まされたテスは、食事を与えてくれたマリアンに感謝して抱きしめる。

マリアンと働き始めたテスは、そこがグロービーの農場だと知り、再びからかわれる。

その後、アリアンの家を去ったテスは、エンジェルの実家を訪ねるものの不在だったために教会に向かい、クレア牧師らに声をかけられずに引き返す。

グロービーの農場に戻ったテスは、現れたアレックスと話し、母から事情を聞いたと言われる。

相談しなかった理由をアレックから訊かれたテスは、助けは不要だと答える。

つまらない自尊心で意地を張っていると言われたテスは、自分の名誉にかけて子供の責任はとったと話す、アレックの言葉が気になる。

惨めな生活を選ぼうとするテスの考えが理解できないアレックは、自分と暮らす提案をして、病気の父親が亡くなれば家族は家を追い出されると言われる。

アレックスから、助けてあげられると言われたテスは、夫のことも訊かれたために答える気になれず仕事に戻る。

夜まで作業をしたテスは、その様子を見ていたアレックから、この仕事が好きか訊かれる。

偽のダーヴァヴィルだが先祖より頼りになると話すアレックは、こんな生活とろくでなしの夫は捨てろとテスに伝える。

アレックを殴ったテスは、一度、餌食になれば一生続くと伝えるものの、彼から、他の男の妻でも自分のものだと言われる。

その後、エンジェルに手紙を書いたテスは、望みは会うことであり、戻って救ってほしいと伝える。

父が亡くなり家を追い出された家族の元に戻ったテスは、再び援助を申し出るアレックスを相手にしない。

住む場所がない母親は教会の前に荷物を降ろし、その場で寝泊まりしようとする。

教会に入ったテスは、ダーヴァヴィル家の先祖がその場に眠っていることを知る。

帰国して両親の元に向かったエンジェルは、テスの手紙を読み静養する。

返事がないためにテスが自分を見限ったことを知ったエンジェルは、マーロット村を訪ねて、彼女と初めて会った野原を見つめる。

ダービフィールド家に向かったエンジェルは、そこに家族が住んでいないことを知る。

エンジェルは代理司教から、亡くなったジョンが、ウィリアム征服王に仕えた騎士であるダーヴァヴィルの直系の子孫だったという話を聞く。

代理司教は、トリンガム牧師は余計なことを話すべきではなかったとエンジェルに伝える。

テスの母が暮らす家を訪ねたエンジェルは、テスの居場所は知らないと言う彼女に、自分は夫だと伝える。

十分に苦しんだテスに構わないでほしいと言う母親は、彼女は会う気はないとエンジェルに伝える。

孤独で哀れな自分に居場所を教えてほしいと母親に伝えたエンジェルは、テスがサンドボーンにいることを知る。

サンドボーン。
ある下宿屋に向かったエンジェルは、”ダーヴァヴィル夫人”の名で下宿しているテスと再会し、迎えに来たと伝える。

遅過ぎたと伝えるテスは、今回の件で苦しんだエンジェルから、許してほしいと言われる。

許すが遅過ぎると言うテスは、待ち焦がれ手紙を書いたにも拘らず返事もなかったため、アレックの元に戻り彼の援助で家族も救われたと伝える。

アレックは2階にいると言うテスは、二度と来ないでほしいと伝えて部屋に戻り、失意のエンジェルはその場を去る。

部屋に戻ったテスは泣き崩れ、愛のないアレックの言葉に耐えるしかなかった。

テスが出て行った後、下宿の女主人(パッツィー・ローランズ)は、血のような天井のシミに気づく。

駅に向かったテスは、汽車に乗るエンジェルを見つけて車両に乗り、アレックを殺したことを伝える。

乱暴された時から思っていたことを実行したと話すテスは、エンジェルから、何があっても守り抜くと言われる。

処刑されるかもしれないと考えるテスは、エンジェルから、次の駅で降りて歩いて北に向かい国外に逃亡することを提案される。

汽車を降りたエンジェルとテスは、ある村で空き家に侵入し、ようやく安らぎを得る。

翌日、屋敷の管理人の女性に気づかれたエンジェルとテスは、その場を離れる。

歩き続ける二人は”ストーンヘンジ”に到着し、怯えるテスはエンジェルと夜を明かす。

現われた警官から、国中が追っているので逃げられないと言われたエンジェルは、テスにそれを伝える。

覚悟を決めたテスは、エンジェルと共に連行される。

ダーヴァヴィル家のテスは、ウェセックスの首都だったウィントンセスター(ウィンチェスター)で絞首刑となった。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
19世紀、イングランドドーセット、マーロット村。
貧しい農夫のジョン・ダービフィールドは、歴史家の牧師から、自分が、ウィリアム征服王に仕えた騎士”サー・ダーヴァヴィル”の末裔だと知らされて驚く。
美しい娘のテスをダーヴァヴィル家に向かわせて親戚だと言わせることにしたジョンと妻は、気が進まないテスを指示に従わせる。
家主のダーヴァヴィル夫人には会えなかったテスは、息子のアレックに気に入られ、その後、屋敷内の養鶏場で働くことになる。
テスの体が目的だったアレックは、彼女を強引に犯して情婦にしてしまう。
屋敷から逃げ出したテスは実家に戻り、身籠っていたアレックの子を産むものの、息子は直ぐに病死してしまう。
その後、酪農場で働き始めたテスは、牧師の息子でありながら酪農を学ぶエンジェルと出会い、互いに惹かれ合うようになるのだが・・・。
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イギリスの作家トマス・ハーディの原作を基に、1970年代に入り「チャイナタウン」(1974)などでも高い評価を得ていたロマン・ポランスキーが製作を兼ねて監督した作品。

この時期ロマン・ポランスキーは、1977年に起きたジャック・ニコルソン邸での少女への淫行容疑で逮捕された事件で世間を騒がせ、フランスに移り市民権を得て本作の撮影に入った経緯がある。

アメリカ本土でそんな事件を起こしながら、ロマン・ポランスキーは、本作の主演者ナスターシャ・キンスキーが15歳の時から性的関係を持っていたというのも事実だ。

そんな彼のプライベートは別として、芸術性の高い甘美なドラマとして本作も高く評価された。

第53回アカデミー賞では、撮影、美術、衣裳デザイン賞を受賞し、作品、監督、作曲賞にノミネートされた。

若くて美しいものの、貧しい農夫の娘に生まれたために家族の犠牲になる、幸薄い波乱の人生を送る少女を演ずるナスターシャ・キンスキーが世界的な知名度を得た作品であり、ゴールデングローブ賞で新人賞を受賞した。

撮影当時17~18歳のナスターシャ・キンスキーの完璧で清楚な美に対し、その生き様や生活環境があまりにも哀れであり、健気に生きる少女を好演した彼女は、世界中のファンの心を捉えた。

ゆったりとした崇高な雰囲気が漂う物語の中で、ロマン・ポランスキーがこだわった映像の美しさも必見だ。

牧師の息子でありながら酪農を学び、その農場で主人公に出会い結婚するピーター・ファース、少女である主人公をたぶらかす貴族のリー・ローソン、主人公の父親ジョン・コリン、母親ローズマリー・マーティン、エンジェルの両親である牧師のデヴィッド・マーカムパスカル・ド・ボワッソン、ダーヴァヴィル夫人のシルヴィア・コーリッジ、マーロット村の代理司教リチャード・ピアソン、主人公の親友であり彼女を気遣う使用人仲間のキャロリン・ピックルズスザンナ・ハミルトン、エンジェルと親しかった教師のアリエル・ドンバール、下宿の女主人パッツィー・ローランズなどが共演している。


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