人生や仕事に行き詰った劇作家が本来の自分を表現する壮大な構想を実現しようとする姿を描く、製作、監督、脚本チャーリー・カウフマン、主演フィリップ・シーモア・ホフマン、サマンサ・モートン、ミシェル・ウィリアムズ、キャサリン・キーナー、エミリー・ワトソン、ダイアン・ウィースト、ジェニファー・ジェイソン・リー他共演のドラマ。 |
・ドラマ
・エミリー・ワトソン / Emily Watson / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:チャーリー・カウフマン
製作総指揮:ウィリアム・ホーバーグ他
製作
チャーリー・カウフマン
スパイク・ジョーンズ
シドニー・キンメル
脚本:チャーリー・カウフマン
撮影:フレデリック・エルムズ
編集:ロバート・フレイゼン
音楽:ジョン・ブライオン
出演
ケイデン・コタード:フィリップ・シーモア・ホフマン
ヘイゼル:サマンサ・モートン
クレア・キーン:ミシェル・ウィリアムズ
アデル・ラック:キャサリン・キーナー
オリーブ:ロビン・ワイガート
オリーヴ(幼少期):セイディ・ゴールドスタイン
タミー:エミリー・ワトソン
ミリセント・ウィームズ:ダイアン・ウィースト
マリア:ジェニファー・ジェイソン・リー
マドレーヌ・グラヴィス:ホープ・デイヴィス
サミー・バーナサン:トム・ヌーナン
フランセスを演ずる女優:アリス・ドラモンド
エレンの母:ディアドラ・オコネル
アメリカ 映画
配給 ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
2008年製作 124分
公開
北米:2008年10月24日
日本:2008年11月14日
製作費 $21,000,000
北米興行収入 $3,081,930
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
劇作家ケイデン・コタード(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、画家である妻アデル(キャサリン・キーナー)と娘オリーヴ(セイディ・ゴールドスタイン)とで郊外に暮していた。
ある朝、洗面台の水道の蛇口が額に当たり、ケイデンは怪我をしてしまう。
外科医から眼科へ行くよう言われたケイデンは、さらに検査のために神経科を勧められる。
体調不良を抱えていたケイデンは、鬱病にもなりかけていた。
新しい舞台が上演されたケイデンは、自分の演技に満足出来ず、気落ちする出演女優のクレア・キーン(ミシェル・ウィリアムズ)を慰める。
ケイデンは、劇場の切符売り場で働くヘイゼル(サマンサ・モートン)が、自分に好意を持っていることを知りつつも、 それを受け入れることが出来ない。 初演は見れなかったものの、ケイデンの舞台を見たアデルは、無気力な内容に失望し、個展のために向かうベルリンにオリーヴを連れて行くことを伝える。 少しの間、離れて暮らすべきだとケイデンに提案するアデルは混乱して、仕方なくすることだと言って彼の元を去る。 失意のケイデンは、精神科医マドレーヌ・グラヴィス(ホープ・デイヴィス)のセラピーを受るものの、激しい発作に見舞われたりもする。 アデルのことが頭から離れないまま、ヘイゼルに誘われて彼女の家に向ったケイデンは、結局は愛し合うことも出来ずに、愛想を尽かされてしまう。 そんな時ケイデンは、”マッカーサー・フェローシップ/天才賞”受賞の報せを受ける。 高額な賞金を受けることになったケイデンは、自分の本来の姿を投影する舞台をつくる考えをグラヴィスに語り、気まずい思いをしたヘイゼルを助手に誘ったりもする。 ケイデンの、新構想の説明を受けたクレアは胸を打たれ、やがて二人は愛し合うようになり結婚する。 クレアとの間に子供も生まれたケイデンだったが、オリーヴが全身に刺青をされたことが心配でベルリンに向かう。 現地に着いたケイデンは妻子に会えずにいたが、クレアの親友で、彼女と同居しているマリア(ジェニファー・ジェイソン・リー)に会うことが出来る。 ケイデンは、マリアが自分の作品としてオリーヴに刺青をしたことを知り、憤慨して彼女を痛めつけようとするが逃げられてしまう。 帰国したケイデンはクレアと別居し、ある日、偶然に街角でヘイゼルに出会う。 結婚して子供も生まれたヘイゼルの、幸せそうな姿を見たケイデンは、自分が惨めになり自殺まで考える。 そんな時、クレアと娘が戻って来るが、ケイデンは父親の死を知らされる。 再びベルリンに向かったケイデンは、 全身の刺青を見世物にしているオリーヴを見てショックを受ける。 そして、舞台の構想から17年が経ち、未だに上演の目処が立たないケイデンは、自分自身も劇中に登場させようとする。 相変わらずヘイゼルと連絡を取っていたケイデンは、仕事を世話して欲しいと頼まれ、彼女を助手にする。 その後ケイデンは、サミー・バーナサン(トム・ヌーナン)を採用して、舞台で自分を演じさせようとする。 ケイデンについて調べ尽くしているサミーは、アデルがニューヨークにいることとアパートの場所を知らせる。 アデルの個展を見に行ったケイデンは、その後、彼女のアパートに向かい、部屋の掃除などをして帰宅する。 クレアとの息がいまいち合わないまま、サミーは舞台の稽古を続け、彼はヘイゼルの登場をケイデンに提案し、その役を女優タミー(エミリー・ワトソン)に任せる。 役の中でサミーが語ったセリフを、現実のケイデンが言ったものと混同したクレアはそれが気に食わない。 役を降りたクレアは、ケイデンにアパートを出て行くよう伝えて立ち去ってしまう。 その後もアデルのアパートに通い続け、掃除婦に成りすまし、不在の彼女とのメモのやり取りをしていたケイデンは、娘のオリーヴが病気だということを知る。 死を前にしたオリーヴに面会したケイデンは、彼女を捨てたことで許しを請うよう強要されてしまう。 益々大規模になるケイデンの舞台セットに、彼はアデルのアパートまで作ろうとする。 掃除役の”エレン”を選ぶためにミリセント・ウィームズ(ダイアン・ウィースト)と面接したケイデンは、彼女にその役を与える。 ケイデンの母親が亡くなり、彼は、葬儀に出席したクールなタミーと親密になり、ベッドを共にする仲になる。 その後、現実と芝居が入り乱れる内容は複雑化し、ヘイゼルと付き合っていたサミーは混乱し、セットの屋上から身投げしてしまう。 ケイデンとヘイゼルは慰め合い、そして二人は初めて愛し合うことが出来るが、翌朝、彼女は息を引き取ってしまう。 それでも稽古は続き、ケイデンは自分の役が必要なことに気づき、ミリセントがそれに志願する。 ケイデンは、長年の創作活動での気分転換にと、掃除人のエレンを演ずることを周囲に勧められたりもする。 そして、年老いたケイデンは死を前に、巨大な倉庫内の朽ち果てたセットに唯一人とり残される。 エレンの夢で母親役を演じた女優(ディアドラ・オコネル)を見つけたケイデンは、ソファに座り彼女の方に頭をもたれる。 ケイデンは、新しいアイデアが浮かんだことをつぶやくが、その時、ディレクターの声が彼に最後のキューを出す。 ”死んで・・・”
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
働き盛りの劇作家ケイデンは、体調不良などもあり覇気のない毎日を送る。
ケイデンの新作舞台を見た画家でもある妻アデルは、彼の現在をそのまま物語ったような内容に失望して、個展のために向かうベルリンに娘を連れて行く。
夫婦別居状態となったケイデンはショックを受け、彼に言い寄る、劇場で働いているヘイゼルの誘いにも気乗りしない。
そんな時ケイデンは、”マッカーサー・フェローシップ/天才賞”を受賞して大金を得ることになる。
そこでケイデンは、自分の真の姿を投影する、新作舞台作りの構想を思いつくのだが・・・。
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「マルコヴィッチの穴」(1999)、「アダプテーション」(2002)、「エターナル・サンシャイン」(2004)など、奇想天外な脚本で注目をのチャーリー・カウフマンの監督デビュー作品。
構想と現実の生活、そして人間関係が複雑化していく後半は、限りなく広がる発想が予想不可能に発展していくストーリーで、いかにもチャーリー・カウフマン作品らしい仕上がりとなっている。
壮大なプロジェクトが進められる、現場となる採算を度外視した巨大倉庫のセットなども圧巻で、演技派、実力派スター競演のキャストも注目だ。
夫婦間を含めた最悪な人間関係と健康状態、そして、無気力感から鬱病寸前の劇作家を演ずるフィリップ・シーモア・ホフマンの、感性が伝わる確かな演技力は見ものだ。
結局は他の男性と結婚するものの、主人公を想い長い付き合いとなり、彼の傍らで息を引き取るサマンサ・モートン、主人公に励まされる立場の女優から妻になるミシェル・ウィリアムズ、先妻で序盤のみの出演となるキャサリン・キーナー、娘役のロビン・ワイガート、同じく幼少期セイディ・ゴールドスタイン、舞台の中でヘイゼル(S・モートン)を演ずる、個性派女優エミリー・ワトソン、同じく女優のダイアン・ウィースト、先妻(C・キーナー)の友人の芸術家役ジェニファー・ジェイソン・リー、セラピストのホープ・デイヴィス、舞台で主人公を演ずるトム・ヌーナン、掃除人を迎える女優アリス・ドラモンド、掃除人の母役の女優ディアドラ・オコネルなどが共演している。