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悪魔スヴェンガリ Svengali (1931)

1894年に発表された、ジョルジュ・デュモリエーの小説”Trilby”を基に製作された作品。
催眠術を使う声楽教授の若い女性に対する恋を描く、監督アーチー・メイヨ、主演ジョン・バリモアマリアン・マーシュドナルド・クリスプブラムウェル・フレッチャー他共演のホラー・タッチのドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー


スタッフ キャスト ■
監督:アーチー・メイヨ

原作:ジョルジュ・デュモリエー”Trilby”
脚本:J・グラッブ・アレクサンダー

撮影:バーニー・マッギル
編集:ウィリアム・ホームズ
美術・装置:アントン・グロット

出演
スヴェンガリ:ジョン・バリモア

トリルビー・オファーレル:マリアン・マーシュ
レアード:ドナルド・クリスプ
ビリー:ブラムウェル・フレッチャー
タフィ:ラムスデン・ヘイア
オノレイ夫人:カーメル・マイヤーズ
ゲッコ:ルイ・アルバーニ
ヴィナード:エイドリアン・ダンブリクール

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ

1931年製作 81分
公開
北米:1931年5月22日
日本:1931年10月


アカデミー賞 ■
第4回アカデミー賞
・ノミネート
撮影・美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
パリ
貧しい声楽教授でピアニストでもあるスヴェンガリ(ジョン・バリモア)は、バイオリニストのゲッコ(ルイ・アルバーニ)と暮らしていた。

訪ねて来たオノレイ夫人(カーメル・マイヤーズ)にレッスンしたスヴェンガリは、自分に好意を持つ彼女が夫と別れたことを知る。

夫人の金を当てにしていたスヴェンガリは、彼女が夫の金を受け取らなかったことを聞きショックを受ける。

その様子を見た夫人は、世界の舞台で歌えると約束したスヴェンガリが失望している恐ろしい形相に気づき、叫び声をあげながらその場を去る。
...全てを見る(結末あり)

その後、外出から戻ったゲッコは、オノレイ夫人が川に身を投げて死んだことをスヴェンガリに知らせる。

それを気にしないスヴェンガリは、家賃を催促されているとゲッコに言われるが、空腹だと答えるだけで外出しようとする。

これ以上借金はできないと言うゲッコに、スヴェンガリは、街に来たばかりのイギリス人画家達をカモにすればいいと、物事は楽観的に考えるようにと言って部屋を出る。

イギリス人の部屋に向かったスヴェンガリは、勝手にピアノを弾き始め、それに気づいた入浴中だったレアード(ドナルド・クリスプ)は、財布を隠すようタフィ(ラムスデン・ヘイア)に指示する。

長い間、風呂に入っていないと言うスヴェンガリに襲いかかったレアードとタフィは、彼を裸にして浴槽に押し込め衣服を奪って部屋を出る。

同じイギリス人画家のビリー(ブラムウェル・フレッチャー)にそれを知らせたレアードとタフィは、画学生にスヴェンガリの裸を描かせようという案に賛成する。

スヴェンガリはタフィの洋服と金を奪い、現れたゲッコはそれを見て驚く。

そこに、モデルだと言う若い女性トリルビー・オファーレル(マリアン・マーシュ)が現れ、スヴェンガリは彼女に惹かれる。

タフィらが戻るとゲッコから聞いたスヴェンガリはその場を離れ、走り去る彼らを嘲り笑うレアードは、自分の財布が奪われたことを知らされる。

レアードとタフィの部屋に向かったビリーはトリルビーと出会い、スヴェンガリが画家だと思っている彼女に声楽の教師だと知らせ、自分が画家だと伝える。

そこにレアードとタフィが戻り、ビリーはトリルビーに二人を紹介する。

数週間後。
レアードとタフィはトリルビーを描くが、彼女に心惹かれるビリーは、答えをもらえるまで描かないことを伝える。

トリルビーは、自分も同じ気持ちだったことをビリーに伝える。

遠慮なしにその場に現れたスヴェンガリは、頭痛が治らないと言うトリルビーに催眠術をかけて、それを治してしまう。

ビリーらは催眠術を疑いトリルビーを心配するが、スヴェンガリは気にせずにその場を去る。

その夜、スヴェンガリはトリルビーを呼び寄せ、再び頭痛が起きた彼女に治してほしい言われる。

トリルビーに催眠術をかけようとしうたスヴェンガリだったが、彼女はそれを嫌がり部屋を出る。

しかし、スヴェンガリは思い通りになったと確信する。

翌日ビリーは、トリルビーが全裸のモデルをしていたために驚く。

それを後悔したトリルビーは、ビリーを傷つけてしまったことで悩み、スヴェンガリに相談する。

動揺するトリルビーの心を乱し、ビリーには他に付き合っている女性がいることや、相応しくない相手だと言って、スヴェンガリは二人を引き離そうとする。

レアードとタフィに励まされたビリーだったが、トリルビーからの別れの手紙に気づき、彼女の部屋に向かう。

そこには警官がいて、トリルビーの衣服が川岸にあったことをビリーは知らされる。

身投げしたと思われる、トリルビーの遺体発見が困難だと言われたビリーはショックを受ける。

その頃、スヴェンガリは、トリルビーを連れてパリを離れる。

5年後。
スヴェンガリが名のある音楽家となり、夫人である歌手と共に戻ったことを知ったレアードとタフィそしてビリーは、その公演が開かれる会場に向かう。

妻トリルビーと共に劇場入りしたスヴェンガリは、会見の要請を拒む。

開演となり、スヴェンガリはゲッコらのオーケストラを指揮し、ステージに上がったトリルビーが歌い始める。

満席のため立ち見だったレアードらは、美しい歌声のスヴェンガリ夫人の顔が確認できない。

トリルビーの歌声に魅了された観客は喝采を贈る。

劇場の外でスヴェンガリを待つレアードらは、現れたゲッコにも面会を断られる。

やがて、劇場から出て来たスヴェンガリに寄り添う女性がトリルビーだと気づいたビリーは驚くが、二人は彼らを無視して馬車に向かう。

ゲッコは、度々起きる発作で苦しむスヴェンガリを気遣う。

スヴェンガリがうつむいている間、ビリーに気づいたトリルビーは、彼に駆け寄り再会を喜ぶ。

しかし、スヴェンガリがトリルビーを見つめた瞬間、彼女は態度を変えて馬車に戻る。

それを追おうとしたビリーはレアードに制止され落ち着くようにと言われる。

ホテルに戻ったスヴェンガリは、ビリーのことが頭から離れないため、自分に愛を示さないトリルビーに催眠術をかける。

愛を伝えるトリルビーを抱き寄せるスヴェンガリだったが、自分の気持ちが理解されないためその場を去る。

トリルビーのその後の公演がキャンセルされたことを知ったビリーは、レアードとタフィに彼女を取り戻すと伝えて旅立つ。

各地の公演を中止したトリルビーだったが、スヴェンガリの病気が回復したため、ナポリでは開催されることになる。

開演は大幅に遅れるが、スヴェンガリは待たせておけと言って客席のビリーを確認する。

公演を中止することを決めたスヴェンガリは、契約破棄と共に二度と舞台に立てないと興行主に言われる。

トリルビーが歌えないため、公演は中止だと観客に伝えるようスヴェンガリに言われたゲッコは、その指示に従い観客席から罵声を浴びる。

エジプトカイロ
ある大衆カフェで歌う予定になっていたトリルビーは、ゲッコと共に控室に行くようスヴェンガリに言われる。

スヴェンガリは客席にいたビリーに話しかけ、自分を追うのを止めるよう伝える。

その必要がなくなると言われたビリーは、トリルビーの公演は今夜が最後だと知らされる。

今後はトリルビーの望み通りにさせるとスヴェンガリに言われたビリーは、それを信じて喜ぶ。

司会者に紹介されたスヴェンガリは席を立ち、”世界は無限にして深遠”だと言い残し、トリルビーの元に向かう。

今夜は自分のことだけを思い目を見つめ続け、心を無にして歌うようにとトリルビーに指示したスヴェンガリは、ステージに向かう。

スヴェンガリの指揮と共に歌い始めたトリルビーは、彼が意識を失ったために声を詰まらせて失神する。

ビリーはトリルビーに駆け寄り、スヴェンガリは、彼女の愛を受けられるよう神に祈りを捧げる。

目覚めたトリルビーは、スヴェンガリの名を呟きながら息を引き取る。

トリルビーが自分以外の男のものにならないことを悟ったスヴェンガリは、笑みを浮かべながら息絶える。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
パリ
貧しい声楽教授でピアニストでもあるスヴェンガリは、イギリス人画家レアード、タフィ、ビリーをからかっていたが、モデルとして現れた若い女性トリルビーに惹かれてしまう。
催眠術を使うスヴェンガリは、トリルビーの慢性頭痛を治して感謝される。
ビリーもトリルビーに心惹かれるのだが、スヴェンガリは催眠術で彼女の心を操り、二人の仲を裂こうとする。
トリルビーが全裸のモデルになったことでショックを受けたビリーだったが、彼女もそれを後悔する。
二人の心を乱れを利用し別れさすことに成功したスヴェンガリは、トリルビーと共に旅立ち、彼女を有名な歌手に育て上げて5年後にパリに戻る。
公演を見たビリーは、変貌したトリルビーに驚き、スヴェンガリに操られている彼女を連れ戻そうとして旅立つのだが・・・。
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主人公が魔術に近い催眠術を使うため、ホラー映画のような展開でドラマは進む。

容姿からして悪魔のような主人公なのだが、ユーモアのセンスがあり楽観的、彼をからかうイギリス人画家二人はコメディ・コンビのような存在で、それに恐怖映画のような雰囲気を漂わせるという、様々な要素を取り入れたアーチー・メイヨの演出が見所の作品。

また、1930年代初頭の作品ということを考えると、当時としては全裸を含めかなり際どいシーンが登場するため規制映画となった。

第4回アカデミー賞では、撮影、美術賞にノミネートされた。

異様な雰囲気で画面を支配する、名優ジョン・バリモアの怪演は見ものだ。

撮影当時17歳だったマリアン・マーシュは、年齢相応に見えるシーンもあるが、後半は妖艶な雰囲気でヒロインを好演している。

イギリス人画家を陽気に演ずるドナルド・クリスプラムスデン・ヘイア、同じくヒロインに恋する青年画家ブラムウェル・フレッチャー、冒頭で主人公に見捨てられて自殺する夫人カーメル・マイヤーズ、主人公の助手兼バイオリニストのルイ・アルバーニなどが共演している。


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