生活苦のシングルマザーが家族と共に生きる目的を見つけ新たな人生を歩み始めるまでを描く、主演エイミー・アダムス、エミリー・ブラント、アラン・アーキン他共演、監督クリスティン・ジェフズによる心温まる感動のドラマ。 |
・エイミー・アダムス / Amy Adams / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:クリスティン・ジェフズ
製作
グレン・ウィリアムソン
マーク・タートルトーブ
ピーター・サラフ
ジェブ・ブロディ
脚本:ミーガン・ホリー
撮影:ジョン・トゥーン
編集:ヘザー・パーソンズ
音楽:マイケル・ペン
出演
エイミー・アダムス:ローズ・ローコウスキー
エミリー・ブラント:ノラ・ローコウスキー
アラン・アーキン:ジョー・ローコウスキー
ジェイソン・スペヴァック:オスカー:ローコウスキー
メアリー・リン・ライスカブ:リン・ワイズマン
クリフトン・コリンズJr.:ウィンストン
スティーヴ・ザーン:マック
エリック・クリスチャン・オルセン:ランディ
ケヴィン・チャップマン:カール・スワンソン
エイミー・レッドフォード:ヘザー
アメリカ 映画
配給 Overture Films
2009年製作 91分
公開
北米:2009年3月13日
日本:2009年7月11日
製作費 $5,000,000
北米興行収入 $12,062,560
世界 $16,331,080
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
元ハイスクールのチアリダーで、今ではハウスキーパーのローズ・ローコウスキー(エイミー・アダムス)は、7歳の息子オスカー(ジェイソン・スペヴァック)と暮らす、30代半ばのシングル・マザー。
妹のノラ(エミリー・ブラント)は、父ジョー(アラン・アーキン)と暮らして定職もなく、ハンバーガー・ショップでアルバイトをしていたがクビになってしまう。
ローズは、不動産業者の資格を取りに夜学に通うという口実で、高校時代の恋人、刑事のマック(スティーヴ・ザーン)と不倫を続けていた。
その日、スポーツ店で自殺事件の現場検証をしたマックは、ローズにその後始末をする仕事を勧める。
ある日ローズは、学校で頻繁に問題を起こすオスカーが、今度は何でも”なめる”という理由で、校長から薬事療法を勧められる。 オスカーを転校させ、私立学校に入れようにも、今の生活ではとても無理だと分かり、ローズは悩む。 仕方なくローズは、マックの紹介で大金を稼げるという、自殺や殺害現場をクリーニングする清掃業を、妹ノラと共に始めてみることにする。 嫌がるノラを連れて、恐る恐る向かった初めての現場は、指を拳銃で撃ち落された悲惨な状況だった。 ローズの父ジョーは、オスカーを連れて行商に歩き、方々の店を回っていた。 慣れない手つきで現場をクリーニングしたローズとノラは、クライアントからその仕事振りを褒められ、5000ドルの小切手を受け取る。 少々コツをつかんだローズとノラは、次に自殺現場の後始末に向かい、ノラが、自殺した女性の身分証と娘の写真を見つける。 全て処分しするよう頼まれていたローズは、それを捨てるようにノラに指示するが、彼女は、身内に返すべきだと言ってそれを持ち帰ってしまう。 やる気が出てきた二人は、片腕のウィンストン(クリフトン・コリンズJr.)の店で清掃用具を揃えるが、同業に素人が参入してきたという、客の噂を聞いてしまう。 ウィンストンは、ローズとノラに、専門知識を学ぶようにとアドバイスし、清掃の規則書を渡す。 ノラは、現場で見つけた女性の娘の写真を頼りに、献血センターに勤める、リン・ワイズマン(メアリー・リン・ライスカブ)を探し当てる。 だらしない生活を送るノラだったが、亡くなった自分の母を思うと、リンにも何かしてあげたいという気持ちが込み上げる。 順調に仕事が入るようになり、ローズ達は中古のバンを手に入れる。 そして、信頼が必要だと”サンシャイン・クリーニング”という社名をつけ、新聞などにも広告を出し、幅広く事業展開を始める。 ローズは、”血液媒介病原体”のセミナーなどにも積極的に参加する。 そんなローズは、マックの妻ヘザー(エイミー・レッドフォード)が、二人目を妊娠したと聞き、本人からも浮気のことで罵倒されてしまう。 献血をすることにして、リンと接触したノラは、彼女に母親のことを告げようと誘い出す。 しかし、リンは、ノラが自分に好意を持っているものと思い込み、その機会を逃してしまう。 ノラは、母のいない自分と同じ境遇のリンと接して、自分の人生を見つめ直そうとする。 リンを列車の高架橋に誘ったノラは、自分の母親が端役でテレビ・ドラマに出演したことがあり、その後、自殺したことを告げる。 高架橋を線路の下まで上ったノラは、列車が通った瞬間に叫び声を上げ、母の自殺した時のことを思い浮かべる。 その後ローズは、疎遠になっていたマックと縁を切ることにする。 ハウスキーパーの仕事をしていた時、ある家の主人が高校の同窓生で、その際誘われた”ベビー・シャワー”の招待状がローズの元に届いていた。 今は一応事業主となったローズは、チアリーダーとして活躍した、かつての栄光を取り戻した気分で、それに出席しようとする。 しかし、そこに仕事が入り、ローズは父ジョーにオスカーのお守りを断られたため、ウィンストンに彼を預けて、ノラに一人に仕事を任せる。 ”ベビー・シャワー”の会場となる邸宅に着いたローズは、裕福な出席者に目一杯見栄を張るが、そのうち居たたまれなくなりその場を立ち去る。 その頃、作業を進めていたノラが、猫に気を取られている間に、現場の家が火事になってしまう。 駆けつけたローズは激怒してノラを罵るが、結局4万ドルの賠償金を背負わされてしまう。 オスカーを迎えに行ったローズは、何もかもうまくいかない自分の人生をウィンストンに語る。 そして、廃業に追い込まれたローズとノラは、絶縁状態になってしまう。 リンに会ったノラは、現場で見つけた彼女の母親の身分証と彼女の写真を渡して事情を話す。 しかし、酒浸りの母親と不仲だったリンは気分を害し、自分に好意を持っていたのかと思っていたことをノラ告げて、立ち去ってしまう。 オスカーの8歳の誕生日を祝う日、ジョーはオスカーが欲しがっていた、亡き妻の双眼鏡を彼にプレゼントする。 ウィンストンも顔を出すが、現れたノラを見てローズは席を外してしまう。 ローズを追ったノラは素直に謝り、二人は和解して席に戻り、ノラは旅に出ることを告げる。 その夜、ローズは無名の女優だった母が、唯一出演したことがあるテレビ番組を偶然見て、ノラに連絡を入れる。 二人は、在りし日の美しい母を見て涙し、ローズは、天国の人と話せるとオスカーが信ずる、車の無線機に向かって母に語りかける。 ハウスキーパーに戻ったローズが帰宅すると、父ジョーが玄関で荷物を持って待っていた。 ジョーは、家を売り払ったので暫くローズ達と一緒に暮らしたいということと、新しい商売を思いついたことを彼女に告げる。 ジョーは、”ローコウスキー・クリーニング”という社名が書かれた、きれいにペイントされたバンをローズに贈る。 ノラは、現場で拾った猫を連れて独り旅立つ。 そして、商売の嘘は方便だと笑い飛ばし”1963年創業”と書かれたバンに乗り、ローズはジョーと共に再び事件現場清掃の仕事に励む毎日を送る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
元ハイスクールのチアリダーで、今はハウスキーパーの仕事をするのローズ・ローコウスキーは、学校で問題ばかりを起こす7歳の息子オスカーに頭を抱えるシングル・マザー。
ローズは、オスカーを私立学校に入れるため、愛人の刑事マックに、事件現場清掃の仕事を紹介してもらう。
無職の妹ノラと仕事を始めたローズは、悲惨な事件現場に驚きながらも、大金が手に入る仕事に精を出す。
ある日ノラは、自殺した母親が所持していた身分証と写真を見つけ、それを頼りにその娘リンの所在を知る。
自分達の母も自殺しているノラは、同じ境遇のリンに接触しつつ、自分の人生を見つめ直そうとする。
父ジョーや用具販売店ウィンストンの協力で、軌道に乗ってきた事業だったが、ノラの失態で現場で火災を起こし、ローズの努力も空しく、二人は廃業に追い込まれてしまう・・・。
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2001年、製作スタッフが”ナショナル・パブリック・ラジオ”で、シアトルの二人の女性(姉妹ではない)が、生物学的危険物質除去の清掃サービスという事業を始めたことを聞いたのがきっかけとなり、それを基に製作された作品。
日本では、インディーズ作品として公開され、各方面で絶賛されアカデミー作品賞候補にもなった、「リトル・ミス・サンシャイン」(2006)のスタッフが再び集結して作られたように宣伝されているが、実際は製作者二人と出演者のアラン・アーキンとメアリー・リン・ライスカブが両作に関係しているだけで、同作の人気にあやかりたいという考えが窺える。
しかし、タイトルや登場する車、さらには、偏屈だが、人間味溢れるアラン・アーキンの役柄などは「リトル・ミス・サンシャイン」に似ているばかりか、旅の途中で死んでしまうアラン・アーキンが、本作で復活してくれた(させた?)ような作りは、やはり同作をかなり意識しているとも言える。
「リトル・ミス・サンシャイン」の、弾けるような爽やかな感動に比べるとややパンチに欠けるが、その分しみじみとしていて涙を誘う作品でもある。
魅力的なキャストの割には、北米の上映館数が極端に少なかったため、興行的には低迷した作品。
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製作費 $5,000,000
北米興行収入 $12,062,560
世界 $16,331,080
着実にキャリアを重ねている主演のエイミー・アダムスは、全てに中途半端な人生を送る平凡な女性を、実力派らしくユーモアもまじえ見事に演じている。
彼女のキャリアで最高とも言える好演を見せる妹役のエミリー・ブラントの演技は、主演と言っていいほどの存在感で、高い評価を受けた。
前記の「リトル・ミス・サンシャイン」(2006)のエドウィン老人がそのまま生き返ったような、アラン・アーキンの”復活”は個人的に非常に嬉しい。
わずか7歳の”問題児”、主人公の息子役のジェイソン・スペヴァック、ノラ(E・ブラント)の好意を勘違いするメアリー・リン・ライスカブ、主人公達を見守り支える用具店の主人役のクリフトン・コリンズJr.、主人公の不倫相手のスティーヴ・ザーン、その妻役であるロバート・レッドフォードの娘エイミー・レッドフォードなどが共演している。