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未来を花束にして Suffragette (2015)

1910年代にイギリスで起きたサフラジェット/女性参政権を求める運動を主導した女性達の闘いを描く、監督サラ・ガヴロン、主演キャリー・マリガンヘレナ・ボナム=カーターベン・ウィショーブレンダン・グリーソンアンヌ=マリー・ダフメリル・ストリープロモーラ・ガライ他共演の社会派ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(社会派)


スタッフ キャスト
監督:サラ・ガヴロン

製作
アリソン・オーウェン
フェイ・ウォード
製作総指揮
キャメロン・マクラッケン
テッサ・ロス
ローズ・ガーネット
ニック・バウアー
ジェームズ・シェイマス
テレサ・モネオ
脚本:アビ・モーガン
撮影:エド・グラウ
編集:バーニー・ピリング
音楽:アレクサンドル・デスプラ

出演
モード・ワッツ:キャリー・マリガン
イーディス・エリン:ヘレナ・ボナム=カーター
サニー・ワッツ:ベン・ウィショー
アーサー・スティード警部:ブレンダン・グリーソン
ヴァイオレット・ミラー:アンヌ=マリー・ダフ
エメリン・パンクハーストメリル・ストリープ
アリス・ホートン:ロモーラ・ガライ
ヒュー・エリン:フィンバー・リンチ
エミリー・ワイルディング・デイヴィソンナタリー・プレス
ベネディクト・ホートン:サミュエル・ウェスト
ノーマン・テイラー:ジェフ・ベル
デヴィッド・ロイド・ジョージエイドリアン・シラー
ウォルソップ:モーガン・ワトキンズ
コールマン夫人:ロレイン・スタンレー

イギリス 映画
配給 20世紀FOX
2015年製作 106分
公開
イギリス:2015年10月12日
北米:2015年10月23日
日本:2017年1月27日
製作費 $14,000,000
北米興行収入 $4,702,400
世界 $16,002,400


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1912年、ロンドン
数十年間、女性は男女平等と参政権を平和的に要求してきたものの、無視され続けた。

急進的なサフラジェット/女性参政権論者エメリン・パンクハーストは、全国的な抵抗運動を呼び掛けた。

劣悪な環境の洗濯工場で働き続ける24歳のモード・ワッツ(キャリー・マリガン)は、工場長のノーマン・テイラー(ジェフ・ベル)から、配達を指示される。

洗濯物の包みを持って街に向かったモードは、子供ではなく何かを積んで押している女性(ウィザース夫人)の乳母車を気にしながら、ショーウィンドウを見つめる。

その直後、”女性参政権を!”と叫びながらウィザース夫人は、乳母車に隠してあった石をウィンドウに投げつける。
...全てを見る(結末あり)

転んで洗濯物を落としたモードは、混乱を避けてその場を去る。

帰宅したモードは、夫のサニー(ベン・ウィショー)から、息子のジョージは寝ていると言われる。

叫ぶ女性達がウインドウに石を投げた騒ぎに巻き込まれたモードの手の傷を手当するサニーは、同じ職場で働くため、洗濯物は自分が明日、届けておくと彼女に伝える。

翌日、職場に遅れてきたヴァイオレット・ミラー(アンヌ=マリー・ダフ)がテイラーに責められている様子を見たモードは、機械のベルトが緩んでいると言って彼に点検を頼む。

ヴァイオレットに感謝されたモードは、毎週、月曜と木曜に集まっていると言われる。

テイラーから洗濯物のことを訊かれたモードは、息子が胸の病気で苦しんだために、主人が届けたことを伝える。

仕事が終わり、モードはヴァイオレットの娘マギーを紹介される。

ベネディクト・ホートン議員(サミュエル・ウェスト)の妻アリス(ロモーラ・ガライ)は、仕事を終えた女性労働者に、路上で男女平等を訴える。

テイラーらがそれを嘲り笑う中、アリスは、デヴィッド・ロイド・ジョージ大蔵大臣(エイドリアン・シラー)が委員長である下院の公聴会で証言できる者を、この工場から選ぼうとする。

それを聞いていたモードは、女性参政権運動に参加するヴァイオレットの強い信念を知る。

その夜、アリスのことをサニーに話したモードだったが、彼は関心を示さなかった。

翌日、薬局を夫婦で経営するイーディス・エリン(ヘレナ・ボナム=カーター)にジョージを診てもらったモードは、彼女が女性参政権運動に参加していることを知る。

証言で何かが変わると思うか尋ねたモードは、パンクハースト夫人は、言葉より行動で参政権を勝ち取ることを考えていると言われる。

イーディスの夫である薬剤師のヒュー(フィンバー・リンチ)に薬を調合してもらったモードは、ショーウィンドウ襲撃事件のウィザーズ夫人が現れたことを気にしながらその場を去る。

その頃、イーディスやヒューを含めてミラーは、警察の監視対象になっていた。

その指示をホートン議員から受けていたアーサー・スティード警部(ブレンダン・グリーソン)は、イーディスの薬局に出入りするモードが新たに運動に加わったと考える。

マギーに手を出しているとことをモードに見られたテイラーは、かつて同じ目に遭ったことを思い出して動揺する彼女を牽制する。

モードは、集会に向かおうとするヴァイオレットに、明日の公聴会に行くことを伝える。

その様子を見ていたサニーは驚く゚が、モードから聴きに行くだけだとい言われる。

翌日、夫に殴られたヴァイオレットと共に公聴会に向かったモードは、アリスに迎えられる。

顔の傷を見たアリスから証言は無理だと言われたヴァイオレットは、それをモードに頼む。

原稿があるので大丈夫だと言われたモードは席に着き、ロイド・ジョージから、洗濯工場での労働についてなどを訊かれる。

原稿を置いたモードは、工場は生まれた場所で、母もその場で14歳から働き、自分が4歳の時に熱湯を浴びたヤケドで亡くなり、7歳からパートで12歳からは社員として働いていることを話す。

17歳で班長、20歳で職場主任になり、現在は24歳だと話すモードは、ロイド・ジョージから、若いのに立派だと言われたために、洗濯女は短命だと伝える。

その労働環境により体は痛むと言うモードは、賃金は週13シリングであり、男は19シリングで労働時間が3割短い上に、配達が主な仕事で外にも行けると話す。

選挙権のことを訊かれたモードは、ないと思っていたので意見はないと答える。

ロイド・ジョージから、この場に来た理由を訊かれたモードは、もしかしたら、違う生き方があるかもしれないと考えたことを伝える。

余計なことを話したと考えたモードだったが、ロイド・ジョージから、心を動かす言葉こそ物事を動かす、修正案が女性参政権認可の追い風になればいいがと言われる。

モードはヴァイオレットとアリスと共に去り、スティードがその場で傍聴していた。

帰宅したモードは、ヴァイオレットに代わり証言したことをサニー話し、投票が可能になったら何をしたいか訊かれて、権利を行使すると答える。

立派な運動家だと言うサニーは、心配していることをモードに伝える。

翌日モードは、自分の証言を評価してくれたイーディスからお茶に誘われて、彼女と様々な話をする。

数日後、イーディスやヴァイオレットら運動家の女性と共に議会に向かったモードは、現れたロイド・ジョージの、首相が選挙制度法案を改正する根拠はないと考えたため否決されたという言葉を聞き、耳を疑う。

その場から去るロイド・ジョージを非難する女性達は騒ぎを起こし、警官に暴行される。

抵抗したモードらは逮捕され、アリスは、自分の保釈金だけを払った夫ホートンから、今まで見逃してきたが、今回はやり過ぎだと言われる。

スティードの取り調べを受けたモードは、1週間の実刑だと言われて、イーディスやヴァイオレットらと収監される。

サニーは、職場の男達にモードのことで皮肉を言われる。

ジョージのことが心配でサニーに申し訳なく思うモードは、最も長い刑期の運動家である、ハンストをするエミリー・ワイルディング・デイヴィソンナタリー・プレス)のことを知り、イーディスから紹介される。

釈放されて帰宅したモードは、サニーに謝罪するものの責められる。

警察に尋問されて近所は影口ばかり、テイラーにも知られたと言うサニーに、二度としないと伝えたモードはジョージを抱きしめる。

翌日、問題ばかり起こすという理由でヴァイオレットは解雇され、モードは、テイラーがマギーに手を出さないか心配する。

金曜の集会にパンクハースト夫人が来ることをヴァイオレットから知らされたモードは、行けないと伝える。

報復行動を警戒するスティードは、運動家を監視する。

金曜日。
考え直したモードはサニーには残業すると伝えて、エミリーやイーディスらと集会に向かったモードは、姿を現したパンクハースト夫人の、”犠牲を伴った行動こそ必要不可欠な戦術だ”という言葉に心を動かされる。

参加者は歓喜した直後に警察の取り締まりが始まり、パンクハースト夫人を逃がしたモードらは連行されるものの、スティードは、彼女らを家に帰す。

帰宅してサニーに非難されたモードは、家から追い出されてしまう。

モードに部屋を世話したヴァイオレットは、落ち込む彼女を励ます。

警察は、モードを含めた運動家の写真を新聞に掲載し、その件でテイラーに嫌味を言われたモードは解雇される。

仕返しだと言ってテイラーの手にアイロンを押し付けたモードは、その場に現れたスティードから今回のことは見逃すと言われるが、その代わりに情報を流すよう協力を求められる。

スティードから、運動家に利用されているだけなので、自分を頼るようにと言われたモードだったが、その後も活動を続ける。

怪しまれていない教会に集まったモードらは、イーディスの指示で、郵便ポストの爆破と電線の切断で通信手段を遮断する計画を立てる。

路上で遊んでいるジョージに会ったモードは楽しい時間を過ごし、彼を連れて家に戻る。

サニーから責められたモードは、法律上は自分が保護者なので会わせないと言われる。

結婚指輪を外したモードは、協力はできないという手書きをスティードに書く。

WSPU/女性政治社会連合本部で働き始めたモードは、強く生きようとする。

破壊工作は続き、イーディスの元に向かったスティードは、その場にいた実行犯と思われるウィザース夫人を逮捕する。

手を緩める気がないイーディスは、アリスからの情報を得て、ロイド・ジョージの別荘を爆破する計画を考える。

そこまでするのはやり過ぎだと言うヴァイオレットは反対し、モードは、妊娠した彼女が不安を抱えていることを知る。

ジョージの誕生日にプレゼントを持って家を訪ねたモードは、サニーから会わすことはできないと言われる。

強引に家に入ったモードは、ジョージが養子に出されることを知りショックを受ける。

自分には育てられないと言うサニーを責めるモードは、ジョージにプレゼントの像の置物を渡す。

涙するジョージに、”自分の名前を忘れないように、いつか見つけに来て”と伝えたモードは、彼と引き離される。

泣き叫ぶモードは、サニーを激しく非難してその場を去る。

教会で爆弾を作るイーディスは、ヒューから、行動を考え直しようにと意見される。

仕方なく協力するヒューが運転するトラックで、ロイド・ジョージの別荘に向かったイーディスとモード、そしてエミリーは、その場の爆破に成功する。

モードらを逮捕したスティードは、ホートンから、パンクハースト夫人が罪を被り自分に目を向けさせるつもりだと言われ、逮捕者の口を割らせるよう指示される。

スティードから、爆破の際に別荘に家政婦がいたことを知らされ、人を殺す権利があるのかと言えわれたモードは、女性を暴行するのを傍観する権利を問う。

男の法により虐げられている女の最後の抵抗手段だと言うモードは、自分達が勝つことを確信する。

収監され、5日間のハンストを続けるモードは、強制的に食事をさせられるものの抵抗する。

自白は困難だとホートンに伝えたスティードは、それではパンクハーストの勝利になると言われる。

釈放されたモードは、イーディスを迎えに来たヒューから、教会に泊まるようにと指示される。

食事を運んで来てくれたヴァイオレットから、今度、捕らえられれば2年は投獄されると言われたモードは、工場で働き詰めのマギーのことを心配する。

そんなモードに、ヴァイオレットは、パンクハースト夫人が所有していたオリーヴ・シュライナーの著書”夢”を渡す。

翌日、本部が家宅捜索を受けたことを知ったモードは、体調が悪そうなイーディスを気遣い、ヒューから、イーディスの心臓が限界だと言われる。

水曜に行われる”ダービー”を国王が観戦することをエミリーから知らされたモードとイーディスは、大観衆の前で世界に向けて主張するチャンスだと考える。

ダービー当日、出かけようとしたイーディスは、行かせられないと言うヒューに部屋に閉じ込められる。

モードが教会で寝泊まりしていること知ったスティードは、その場に向かい、ダービーの記事の新聞を見つけて現場に向かう。

エプソム競馬場
到着したモードはエミリーと合流し、イーディスがいないことを気にしながら、国王ジョージ5世の姿を確認する。

国王に近づきカメラの前で用意したメッセージを掲げようとしたモードとエミリーは、パドックに入れないために、スタートが近づくコースに向かう。

その場に着いたスティードは、人ごみの中でモードを捜す。

レースは始り、”諦めずに闘い続けて”と言い残したエミリーは、国王の所有馬”アンマー”の前に飛び出して激突する。

その場は騒然となり、ショックを受けるモードは、スティードに気づくものの、何も語らずに立ち去る。

ロンドンに戻り工場に向かったモードは、マギーを連れてアリスの家を訪ねる。

マギーをアリスに雇ってもらったモードは、教会に向かい、ヴァイオレットから受け取った、イーディスやエミリーにも渡った”夢”を読む。

その後、イーディスから、”デイリー・ミラー”に掲載されたエミリーの葬儀の一面記事を見せられたモードは、数千人の参列者が来るだろうと言われる。

モードは、闘い続けることをイーディスに誓う。

1913年6月14日。
エミリーの葬儀が行われ、参列者の長い列ができた。

その死は世界中で報道され、サフラジェット/女性参政権のための闘いに世界中が注目した。

この闘いで投獄された女性は数千人以上に及び、1918年、30歳以上の女性に制限選挙権が付与された。

1925年、母親の親権が法律で認められ、1928年に男女平等による普通選挙権が実現した。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1912年、ロンドン
男女平等を訴える運動は数十年間、無視され続けたため、急進的なサフラジェット/女性参政権論者エメリン・パンクハーストは、全国的な抵抗運動を呼び掛けた。
劣悪な環境の洗濯工場で働く24歳のモード・ワッツは、同じ職場の夫サニーと幼い息子のジョージと共に貧しい生活を続けていた。
ある日、参政権を求める女性達がショーウィンドウに石を投げ込む騒ぎに巻き込まれたモードは、薬局を経営するイーディスも運動家であることを知り、同じく同僚のヴァイオレットに誘われて集会に参加するようになる。
まず言葉より行動を起こすべきだと言うイーディスらに感化されたモードは、違う世界が見られる可能性を信じて、女性の権利を求める運動にのめり込んでいくのだが・・・。
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短編映画などで活躍していたサラ・ガヴロンが、サフラジェット/女性参政権を求める女性達の闘いを描いた社会派ドラマ。

恵まれない身の上であり、洗濯工場と貧しい家庭でしか生きる道がない女性が、サフラジェットの活動に目覚め、幼い息子と引き離される辛い目に遭いながらも、未来を信じて闘う姿が力強く描かれた作品。

女性らしい視点で捉えたサラ・ガヴロンの演出が特徴であり、男社会の中で虐げられる女性達の痛ましい姿は観ていて辛い。

物語の中で、公聴会で女性の意見を聞いた下院議員のデヴィッド・ロイド・ジョージが、改正法案を首相に訴えるものの否決され彼女らに非難されるシーンがある。
時の首相はハーバート・ヘンリー・アスキスなのだが、彼の曾孫が、当然そのシーンに登場する、サフラジェットの活動家を演ずるヘレナ・ボナム=カーターだということを知りながら観ると興味深い。

主演のキャリー・マリガンは、夫との生活と幼い息子の成長だけを心の支えに劣悪な環境下で仕事を続け、違う世界を見られる可能性を信じてサフラジェットの運動に参加する女性を好演している。

主人公と共に運動を続ける活動家のヘレナ・ボナム=カーター、彼女を支える夫のフィンバー・リンチ、生活のために妻を支えることができない主人公の夫ベン・ウィショー、主人公ら運動家を監視する警部のブレンダン・グリーソン、主人公と共に活動する同僚のアンヌ=マリー・ダフ、彼女らの運動を指揮するエメリン・パンクハーストメリル・ストリープ、運動を支える夫人ロモーラ・ガライ、その夫である議員のサミュエル・ウェストエプソム競馬場で自らの命を犠牲にして運動を訴え、サフラジェットの象徴的存在となったエミリー・ワイルディング・デイヴィソンナタリー・プレス、洗濯工場の工場長ジェフ・ベル、下院議員デヴィッド・ロイド・ジョージエイドリアン・シラー、他モーガン・ワトキンズロレイン・スタンレーなどが共演している。


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