サイトアイコン That's Movie Talk!

セント・マーティンの小径 St. Martin’s Lane (1938)

浮浪者同然の幸薄い女性に惹かれた大道芸人の悲哀を描く、監督、脚本ティム・フェーラン、製作、脚本、主演チャールズ・ロートンヴィヴィアン・リーレックス・ハリソン他共演のコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)

ヴィヴィアン・リー / Vivian Leigh / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ティム・フェーラン

製作
エリッヒ・ポマー
チャールズ・ロートン(クレジットなし)
脚本
バートレット・コーマック
クレメンス・デイン
チャールズ・ロートン
エリッヒ・ポマー
ティム・フェーラン
撮影:ジュール・クリュージェ
編集
ロバート・ハマー
ヒュー・スチュワート
音楽:アーサー・ジョンストン

出演
チャールズ・スタガーズ:チャールズ・ロートン
リバティ”リビー”:ヴィヴィアン・リー
ハーレー・プレンティス:レックス・ハリソン
ダン・コンスタンティン:ラリー・アドラー
ジェントリー:タイロン・ガスリー
アーサー・スミス:ガス・マクノートン
サッチ:エドワード・レキシィ
サッチ夫人:メア・オニール
セリーナ:ヘレン・ヘイ
大道芸人:シリル・スミス
パブの男:ロナルド・シャイナー

イギリス 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1938年製作 85分
公開
イギリス:1938年10月18日
北米:1940年2月15日
日本:未公開


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ロンドンセント・マーティン通り
大道芸人のチャールズ・スタガーズ(チャールズ・ロートン)は、朗読の最中に、近づいてきたリバティ”リビー”(ヴィヴィアン・リー)に集めた小銭を奪われそうになる。

リビーを相手にしていられないチャールズは、仲間のジェントリー(タイロン・ガスリー)とアーサー・スミス(ガス・マクノートン)を紹介して芸を代わる。

盗んだ金を持って馴染みの屋台に向かったリビーは、作曲家のハーレー・プレンティス(レックス・ハリソン)に出会い、ダンサーだと言って芸を見せる。

リビーを見つけたチャールズは彼女を懲らしめようとするが、ハーレーに制止される。

騒ぎを起こしたために警官に注意されたチャールズは、ハーレーからタバコをもらい冷静になる。
...全てを見る(結末あり)

リビーがハーレーのシガレット・ケースを盗んだことに気づいたチャールズは、彼女を追う。

空き家に逃げ込んだリビーを見つけたチャールズは、彼女の踊る姿を見て驚く。

リビーからシガレット・ケースを奪ったチャールズは、孤児院で育った惨めな人生を語りながら涙する彼女を落ち着かせようとする。

騒ぎに気づいた警官が近づいて来たため、二人はその場から逃げる。

リビーを下宿に連れて行ったチャールズは、彼女をベッドに寝かせる。

翌朝、目覚めたチャールズは、リビーと朝食を済ませて裁縫を始める。

そこに家主であるサッチ(エドワード・レキシィ)の息子ジュリアンが現れ、母親のスカートを取りに来る。

後で来るようにと言われたジュリアンは両親の元に戻り、チャールズが女の人といたことを話す。

出かけると言うチャールズが、察署に向かうことを知ったリビーは動揺する。

シガレット・ケースは落としものとして届けるとリビーに伝えたチャールズは、現れたサッチから、女を連れ込んだことを追及される。

騒ぎ始めたリビーを部屋に閉じ込めたチャールズは、サッチと妻(メア・オニール)に芸仲間の女優だと伝える。

サッチは納得しないものの、チャールズは、部屋が見つかるまで子供部屋にいさせるようにと言ってくれた夫人に感謝する。

暴れたリビーを落ち着かせたチャールズは、罪を認めながら涙し謝罪する彼女を抱きしめる。

昨夜のダンスを見て才能を感じたと言うチャールズは、一緒に組んで芸をすることをリビーに提案し、希望を持たせる。

その後、サッチ夫人に親切にしてもらったリビーは、チャールズの誕生日にケーキを作り、帰って来た彼と共に祝おうとする。

そこにジェントリーとアーサーが現れ、皆と一緒に楽しむチャールズは、リビーも加えて4人で芸をすることを考える。

チャールズらはその場で芸を始め、訪ねて来たハーレーら通りを歩く人々はそれに気づく。

夫人に部屋に案内されチャールズと話したハーレーは、シガレット・ケースの件でお礼を言い、現金を渡そうとするものの受け取ってもらえなかった。

ハーレーに気づいたリビーは戸惑うが、チャールズからシ、ガレット・ケースを届けてくれたと言われ、友人の記者が自分たちを記事にしてくれることを知り喜ぶ。

ハーレーと話をしたリビーは、今後の夢も語る。

その後、4人は通りで芸を始め、それを見たハーレーは、チャールズとリビーを友人に紹介する。

リビーは、大道芸人も物乞いも同じだと言う貴婦人セリーナ(ヘレン・ヘイ)の言葉が気になり傷つく。

ハーレーにパーティーに誘われたリビーは断るものの、仕事として踊ってほしいと言われたために、4人で行くことを彼に伝える。

パブに向かったチャールズは、リビーから、大道芸人に未来はない、ハーレーの友人セリーナの言葉通り物乞いと同じだと言われ、パーティーに向かおうとする彼女を制止する。

それを無視したリビーはパーティー会場に向かい、ハーレーに歓迎される。

下宿に戻ったチャールズは、リビーが帰っていないことが気になる。

リビーを待ちながらサッチ夫人と話すチャールズは、リビーに惹かれていることを伝える。

ダンスを披露したリビーは、ハーレーから俳優のエージェントを紹介される。

チャールズは、リビーが戻らないために眠れない。

ハーレーに送ってもらったリビーは、成功物語が始まると言われ、彼とキスして別れる。

戻って来たリビーから、パーティーでハーレーと一緒だったと言われたチャールズは、それを信じようとしない。

やましいことはしていないと伝えたリビーは信じてもらえるが、チャールズが自分に惹かれていることに気づく。

舞台に立つことを伝えたリビーは、自分や仲間のことを考えていないと言うチャールズに、邪魔しないでほしいと伝える。

自分の才能を認めてくれたチャールズに、大道芸などばかげている伝えたリビーは、彼から結婚を迫られ、それを拒み泣き叫ぶ。

リビーを見限ったチャールズは、騒ぎに気づき様子を見に来たサッチ夫妻やジェントリーとアーサーに、大道芸はやめて他の仕事を見つけることを伝えてその場を去る。

その後、舞台に立ったリビーは、下積みから才能を発揮してスターとなる。

ある日、思うように作曲できないハーレーは苛立ち、惹かれ合うようになっていたリビーに励まされる。

ハーモニカ奏者のダン・コンスタンティン(ラリー・アドラー)を紹介されたリビーは、かつてチャールズらと通りで踊った曲を思い出す。

それを参考にしたハーレーは、ダンの協力で曲が思い浮ぶ。

曲は完成し、ハリーの指揮でダンが演奏し、リビーが踊る。

舞台の初日を迎え、開演を待つリビーは、窓の外から聴こえるジェントリーが吹くハーモニカの曲に気づく。

かつて劇場の前で芸をしていたリビーは、今は楽屋にいる幸せを実感する。

劇場に入る列に並んでいたチャールズは、アーサーに気づかれてその場から逃げる。

アーサーの愛犬ビティが追ってきたため、チャールズはパブに逃げ込む。

舞台は成功し、ハーレーと劇場を出たリビーはファンに囲まれる。

酔ったチャールズは、リビーの名を呼びながら騒ぎを起こし、警官に連行される。

パーティーを抜け出したリビーはハーレーのアパートに向かい、電話を受けた彼から、ハリウッドから声がかかったことを知らされる。

リビーから結婚を迫られたハーレーはそれを断り、理由はチャールズになりたくないからだと伝える。

その意味が理解できないリビーは下宿に向かい、チャールズの部屋に向かうものの、彼は住んでいない様子だった。

ジェントリーと話したリビーは、自分たちを利用したと言う彼から批判される。

多くの罪で起訴されたチャールズは、禁固4か月の刑を言い渡される。

数か月後、出所したチャールズは、盲人に扮して物乞いをしていたが、通りでリビーに出くわす。

チャールズをタクシーに乗せて劇場に向かったリビーは、刑務所にまで入り人生をダメにされたと言われたために憤慨する。

成功したのは自分のおかげだと言うリビーが、ずっと心配していてくれたことを知ったチャールズは、芸をすることを願う彼女の話を聞く。

酒を欲しがるチャールズに、一杯だけだと言ってグラスを渡したリビーは、それを一気に飲む彼を制止する。

新しい舞台に役があることをチャールズに伝えたリビーは、テストを受ける提案をする。

リビーに見守られながらテストを受けたチャールズだったが、自分は大道芸人だと言い残してその場を去る。

涙しながら追って来たリビーを抱きしめたチャールズは、待っているファンの元に戻るよう彼女に指示する。

その様子を笑顔で見つめていたチャールズは、劇場の入り口の前で芸をするジェントリーとアーサーに加わり、朗読を始める。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ロンドンセント・マーティン通り
大道芸人のチャールズ・スタガーズは、小銭を盗んだビリーを責めるものの、ダンスの才能を認めて、帰る場所もない彼女を下宿に住まわせる。
その後、リビーに惹かれたチャールズは、芸人仲間のジェントリーとアーサーに彼女も加えた4人組で芸を始める。
そんな時、リビーの才能に目をつけていた作曲家のハーレーは、彼女にチャンスを与えようとする。
貴婦人から、大道芸人も物乞いも同じと言われたリビーは傷つく。
あくまで大道芸にこだわるチャールズの元を去ったリビーは、ハーレーの協力で舞台に立ち、やがてスターになるのだが・・・。
__________

ハロルド・ロイド作品の脚本などで知られるティム・フェーランが、脚本を兼ねた監督作品。

大道芸に誇りを持ちながら生きる、人生の悲哀を感じさせる演技で主人公を見事に演じたチャールズ・ロートンが、製作と脚本を兼ねた意欲作でもある。

主人公に才能を認められ、浮浪者同然の身分からスターになる女性を演ずる美しいヴィヴィアン・リーは、ローレンス・オリヴィエとの不倫関係が始まり、「風と共に去りぬ」(1939)の”スカーレット・オハラ”役に決まる可能性が出てきた頃の作品であり、それを考えながら観ると更に興味深く鑑賞できる。

住む場所もない幸薄い生き方を脱し、舞台のスターとなったヒロインが、主人公のことを思い恩返ししようとする終盤は涙を誘う。

また、ヒロインの好意を断った主人公が、誇りをもって大道芸に復帰する、人間の逞しさを感じさせるラストも素晴らしい。

ヒロインの才能を評価しスターに育てる思慮深い作曲家のレックス・ハリソン、彼の曲を演奏するハーモニカ奏者のラリー・アドラー、主人公の芸仲間タイロン・ガスリーガス・マクノートン、主人公の下宿の主人エドワード・レキシィと妻メア・オニール、大道芸人及びヒロインを見下す貴婦人ヘレン・ヘイ、顔面黒塗りの大道芸人シリル・スミス、パブの男ロナルド・シャイナーなどが共演している。


モバイルバージョンを終了