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スティグマータ 聖痕 Stigmata (1999)

トマスによる福音書”の排斥活動とそれに巻き込まれイエス・キリストの言葉を伝える使者となった平凡な女性が体験する恐怖を描く、主演パトリシア・アークエットガブリエル・バーンジョナサン・プライス他共演、監督ルパート・ウェインライトによるサスペンス・ホラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー


スタッフ キャスト ■
監督:ルパート・ウェインライト

製作:フランク・マンキューソ・ジュニア
原案:トム・ラザラス
脚本
トム・ラザラス

リック・ラメージ
撮影:ジェフリー・L・キンボール

編集
マイケル・J・ダシー
マイケル・R・ミラー
音楽
ビリー・コーガン

エリア・クミラル

出演
フランキー・ペイジ:パトリシア・アークエット

アンドリュー・キアナン神父:ガブリエル・バーン
ダニエル・ハウスマン枢機卿:ジョナサン・プライス
ドナ・チャドウェイ:ニア・ロング
ダーニング神父:トーマス・コパッチ
マリオン・ペトロチェリ:レイド・セルベッジア
レストン医師:アン・キューザック
ジェニファー・ケリホ:ポーシャ・デ・ロッシ
ダリオ神父:エンリコ・コラントーニ
ジアーニ・デルモニコ神父:ディック・ラテッサ
スティーヴン:パトリック・マルドゥーン
パウロ・アラメイダ神父:ジャック・ドナー
ER看護師:トム・ホッジス
エクワース医師:デューク・ムースキアン

アメリカ 映画
配給 MGM
1999年製作 103分
公開
北米:1999年9月10日
日本:2000年5月27日
製作費 $29,000,000
北米興行収入 $50,046,300
世界 $89,446,270


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ブラジル南東部、ベロキント。
元科学者でイエズス会の神父アンドリュー・キアナン神父(ガブリエル・バーン)は、パウロ・アラメイダ神父(ジャック・ドナー)の葬儀に立ち会う。
(アンドリューは、この時点でアラメイダの名前を知らない)

教会の”グアダルーペの聖母”の像の目から流れる血を確認したアンドリューは、神父が亡くなった日からの現象だと知らされる。

聖母の涙はキリストの血だと言われたアンドリューは、像の写真を撮る。

ある少年がアラメイダ神父のロザリオを盗み、市場にいた女性に売りつける。

買ってはいけないと言われた女性だったが、それを受け取り少年に金を払う。

ピッツバーグ
ヘア・ドレッサーのフランキー・ペイジ(パトリシア・アークエット)は、ブラジル滞在中の母からの電話で起こされ、小包が届いたかを聞かれる。

それを確認したフランキーは、ベロキントという村で手に入れたロザリオだと母に言われる。
...全てを見る(結末あり)

もう一度ロザリオを手にしたフランキーは吐き気を催し、妊娠した可能性もあることを同僚で親友のドナ・チャドウェイ(ニア・ロング)に伝える。

バチカン
ダニエル・ハウスマン枢機卿(ジョナサン・プライス)に会ったアンドリューは、既に聖母像の写真をチェックしていた枢機卿に、血の涙は温度が高く人の血であることを伝える。

報告を受けたハウスマンは次の調査の話を始めるが、アンドリューは、再びベロキントに向い石像を調べたいことを伝える。

調査を続行したい場合は石像を持ち帰り、専門家に調べさせるとハウスマンは伝え、今回だけは何かが違うと言うアンドリューの申し出を却下する。

帰宅して入浴していたフランキーは、突然、現れたハトに驚き、直後に浴槽に引きずり込まれる。

両手首の傷から出血したフランキーは、ドナに付き添われながら救急車で病院に運ばれる。

血圧が低下し危険な状態になったフランキーは、悲鳴をあげながら起き上がり、そして意識が戻る。

レストン医師(アン・キューザック)から名前を聞かれたフランキーは、血が噴き出す手首の傷の治療を受ける。

尖ったもので刺された傷だとレストンから言われたフランキーは、両手の同じ傷は自分でやったものではないと答える。

状況からすると自分でつけた傷だと指摘するレストンだったが、それはあり得ないとフランキーに言われる。

アパートに戻ったフランキーは、花の香りがすると言うドナと共に眠る。

バチカン
ジアーニ・デルモニコ神父(ディック・ラテッサ)に会ったアンドリューは今回の件を話し、教会が都合の悪いものは表に出さないと伝える。

仕事に復帰したフランキーは、通りに立つ女性が赤ん坊を道路に落とす姿を目撃してしまう。

店から飛び出したフランキーは子供を救おうとするが、その場に誰も居なかったために混乱し、ドナになだめられる。

ドナと共に地下鉄でアパートに向かったフランキーは、車内の神父にアンドリューかを尋ねる。

ダーニング(トーマス・コパッチ)だと答えた神父は、フランキーに手助けが必要かを尋ねる。

手遅れだと言うフランキーは、その場にいた尼僧のロザリオを奪い取り投げ捨てる。

暴走する車両は激しく揺れ始め、フランキーは鞭打たれたように傷つく。

その様子を見ていたダーニングは驚き、車両はようやく止まる。

病院に運ばれ治療を受けたフランキーは、妊娠していないことを医師から知らされる。

検査を受けたフランキーは傷以外は健康体だと言われ、癲癇の可能性を指摘される。

フランキーが気になったダーニング神父は、話をしたいことを彼女に伝える。

スティグマータ”のことを知っているかを尋ねたダーニングは、話を聞かずに退院するフランキーに連絡先を渡す。

バチカン
ベロキントの教会や亡くなったアラメイダ神父の記録がないことを、ハウスマン枢機卿とダリオ神父(エンリコ・コラントーニ)から知らされたアンドリューは驚く。

次の調査が決まったと言われたアンドリューは、ダーニング神父が地下鉄で撮影した映像を見せられる。

女性が鞭打たれていたと言うダーニングの話を伝えたハウスマンは、アンドリューに調査を命ずる。

フランキーのサロンに向かったアンドリューは名前を聞かれ、彼女に待っていたと言われる。

二人はカフェに向かい、ダーニングの依頼で来た調査官だとアンドリューはフランキーに伝える。

フランキーから名前や年令を聞き、無神論者だと確認したアンドリューは、”スティグマータ”は神を信じる者に現れると言って質問を終える。

磔になったキリストは、背中を鞭打たれ、額には棘の冠、両手と足は杭打たれ、そして槍で脇腹を貫かれた5つの傷を負って死んだことをアンドリューは伝える。

世の中でこの傷を負った者は、真の信者だとアンドリューは付け加える。

教会はそれを天恵とみなしていると言われたフランキーは、アンドリューに両手首の傷を見せる。

信者ではないため教会が扱うことではないことを伝えたアンドリューは、自分が書いた覚えのないメモをフランキーから渡される。

”木や石造りの建造物にはない、木を剥がしてみよ、私はそこにいる・・・石をどけろ、そこにいる”というイタリア語だったメモを確認したアンドリューが、自分を救う気のないことが分かったフランキーは苛立ちその場を去る。

その後、癲癇や”スティグマータ”について調べたフランキーは困惑する。

クラブに向かったフランキーは今回の件を考えながら、その場にいたドナに八つ当たりする。

その直後、額から出血したフランキーは取り乱し、店を出て道路に飛び出してしまう。

歩いてアパートに戻ろうとしたフランキーは、入り口にいたアンドリューに気づき逃げ去る。

フランキーを追い路地に向かったアンドリューは、酒瓶を割って車のボンネットに何かを書き記す彼女に罵られる。

アンドリューはそれを録音し、正気に戻ったフランキーを、現れたドナと共にダーニング神父の教会に連れて行く。

フランキーをベッドで休ませたアンドリューは、付き添うドナに後を任せる。

花の香りがすると言うフランキーは、ドナに見守られながら眠る。

バチカンに電話をしたアンドリューは、フランキーが発した言葉のテープをデルモニコ神父に聞かせて翻訳してもらう。

翌朝、礼拝堂に向かったフランキーはキリスト像を確認する。

現れたアンドリューに、手のひらと手首では傷が違うと伝えたフランキーだったが、体重を支えるため手首を杭打ったのが正しいという説もあり不確かだと言われる。

路地で発した言葉が、イエス・キリスト時代のアラム語であることをアンドリューはフランキーに伝える。

その後、アパートに閉じ篭ったフランキーは、壁に向い文字を綴り、現れたアンドリューはそれを写真に撮る。

フランキーに何者かがとり憑いていることに気づいたアンドリューだったが、ベッドに横たわった彼女は正気になり、花の香りがすると言って立ち上がる。

自分が書いたとアンドリューに言われた壁の文字を見て、フランキーは驚く。

バチカン
アンドリューからの報告がないハウスマンは、現地の新聞で”スティグマータ”のことが報道されていることをダリオから知らされ、その事態を憂慮する。

潜在意識の中に何かが存在するかもしれないとアンドリューに指摘されたフランキーは、それを否定して街に出る。

フランキーを追ったアンドリューは彼女に謝罪し、自分が科学者から神父になった経緯などを話し、二人は初めて心通わせる。

ところが、フランキーは再び傷つけられ、アンドリューと共にアパートに戻る。

足を杭打たれたような4番目の傷を手当てするアンドリューは、最後の槍の傷を負った者はいないとフランキーに伝える。

アンドリューは”スティグマータ”を負った神父の事例を話し、邪悪な夢や厳しい苦痛と共に花の香りを伴うことを伝える。

長生きしたというその神父が2つの傷しか負っていないと言われたフランキーは、自分の死を意識する。

壁の文字の写真をデルモニコにFAXで送ったアンドリューは、アラム語で書かれたその言葉が、”神の国は汝の内や周りにある”という内容だったため、問題があると言われる。

ハウスマンが突然、閉鎖した福音書の調査会の件を確認したデルモニコは、発見した新しい福音書の内容がアラム語で、イエスと弟子達の言葉だと伝える。

ダリオがいることに気づいたデルモニコは電話を切り、FAXのデータをフロッピーに保存して持ち去る。

アンドリューは、壁の写真と共に写っていた人の顔に気づく。

デルモニコが使っていたパソコンを調べたダリオは、壁の写真のデータをプリントしてハウスマンに見せ、それがアンドリューから送られてきたものだと伝える。

ニューヨーク
マリオン・ペトロチェリ神父(レイド・セルベッジア)に電話をしたデルモニコは、ピッツバーグで福音書が確認されたことを伝える。

それを送るのは無理だと答えたデルモニコは、ハウスマンに殺されると伝える。

フランキーを訪ねたアンドリューは、壁の文字が消されていることを知り、彼女に迫られる。

それを拒んだアンドリューは、フランキーにとり憑いた者に誘惑されて痛めつけられる。

ナイフを持ったフランキーは自らを傷つけて苦しみ、磔になったような状態で空中に浮かび、血の涙を流す。

フランキーを抱きかかえてベッドに寝かせたアンドリューは、ロザリオを見つけて祈りを捧げ、目覚めた彼女に寄り添う。

デマルコとダリオと共に現れたハウスマンは、救いに来たと言って、フランキーを大司教の所へ連れて行くことをアンドリューに伝える。

壁の文字の件をアンドリューに問い質したハウスマンは、あとは自分達が処理することを伝える。

それに納得しないアンドリューは、壁の文字と福音調査会の関係を聞くものの、とにかく休むようにとハウスマンに言われる。

教会の礼拝堂にいたアンドリューは、現れたペトロチェリに声をかけられ、アラメイダ神父のことを聞かれる。

アラメイダを知らないアンドリューは、デルモニコから送られてきた壁の文字をペトロチェリから見せられる。

それがキリストの残した最も重要な遺品だと言うペトロチェリは、キリスト自身がアラム語で語った福音書だとアンドリューに伝える。

バチカンの一派が、それにより教会の権威が失われることを恐れていることをペトロチェリは伝える。

その言葉が、いかにして教えを続けるかを指示した、最後の晩餐でのイエスの弟子達への言葉だとペトロチェリは語る。

福音書調査会に意見を述べた際、中止を命じたハウスマンの指示をアラメイダが拒み、文書を持って姿を消したということだった。

ハウスマンが自分とアラメイダを破門したことをに伝えたペトロチェリは、デルモニコとアラメイダと共に文書を翻訳していたことを語り写真を見せる。

アラメイダだという人物をブラジルの村で見たと言うアンドリューは、教会の棺で眠っていたことをペトロチェリに伝える。

ハウスマンらが何を恐れていたのかを問うアンドリューに、教会は単なる建物であり、文書の最初の言葉が”神の国は汝の内や周りにある・・・木や石造りの建造物にはない、木を剥がしてみよ、私はそこにいる・・・石をどけろ、そこにいる”だったとペトロチェリは語る。

信仰深いアラメイダが、”スティグマータ”を手袋で隠していたことを聞いたアンドリューは、フランキーがアラメイダの言葉を伝える役目を果たしていたことに気づく。

ハウスマンが妨害してくるとペトロチェリに言われたアンドリューは、フランキーの元に向かう。

ダリオを伴いフランキーに宿る敵を滅ぼす儀式を始めたハウスマンだったが、現れたアンドリューにそれを阻止される。

アンドリューはハウスマンの愚かな行為を批判し、身の破滅を伝える。

フランキーに宿るアラメイダに語りかけるアンドリューは、自分が使者になるなると言って、彼女を解き放つよう伝える。

アラメイダに安らかな眠りを与えたアンドリューは、苦しみから解放されたフランキーを抱きかかえてその場を離れる。

フランキーの傷は消え去り、アンドリューは回復した彼女を見守る。

ブラジル、ベロキント。
教会を訪れたアンドリューは床板を剥がし、”トマスによる福音書”の内容が書かれた巻物を発見する。

神の国は汝の内や周りにある・・・木や石造りの建造物にはない、木を剥がしてみよ、私はそこにいる・・・石をどけろ、そこにいる”
”これは、イエスが語った言葉だ、この意味を知る者は死を味わうことがない”
__________

1945年、エジプトナグ・ハマディで巻物が発見され、それは、”生きたイエスの言葉”と言われる”ナグ・ハマディ写本”に含まれる”トマスによる福音書”であり、イエスの言葉に最も近いと言われる。

しかしバチカンは、この福音書を異端とみなして認めていない。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ブラジルの村で血の涙を流す石像を確認した、元科学者であるバチカンの調査官アンドリュー神父は、それをハウスマン枢機卿に報告するものの、調査は打ち切られる。
ピッツバーグ在住のヘア・ドレッサー、フランキー・ペイジは、ブラジル滞在中の母から送られてきたロザリオを受け取った直後に異変が起きる。
両手首に傷を負ったフランキーは病院に運ばれ、その後も地下鉄で鞭打たれたような傷を負う。
その件を調査するようハウスマンに命ぜられたアンドリューは、フランキーの元に向かう。
フランキーの傷が、イエス・キリストが磔の際に受けた”スティグマータ/聖痕”であるかを確かめようとするアンドリューは、彼女が無神論者だと知る。
深い親交の持ち主でなければ”スティグマータ”を負うことはないと言うアンドリューに対し、納得できないフランキーは、自分に起きる異変を伝えるのだが・・・。
__________

単なるオカルト・ホラーではなく、”トマスによる福音書”を異端とみなす者達の、その存在を阻止しようとするサスペンス仕立ての作品。

スティグマータ/聖痕”は主人公に襲いかかる恐怖体験となるのだが、主題は、イエス・キリストの教えを告げた言葉の発見であるため、その神秘的な内容が実に興味深い。

主人公が、”キリストの磔刑”で受ける傷と同じ体験をする痛々しい映像は刺激的で、とり憑かれる姿を映す映像は、オカルト映画の傑作「エクソシスト」(1973)を思い出す。

無神論者である奔放な主人公の生活が一変する展開は、その後、常に雨が降っている日々が続く陰湿なムードにより、物語の展開の不透明さを感じさせる演出となっている。

発見した福音書の存在を伝える使者として選ばれる主人公を熱演するパトリシア・アークエット、彼女を救おうとする神父ガブリエル・バーン、福音書を排斥しようとする枢機卿ジョナサン・プライス、主人公の同僚で友人のニア・ロング、主人公の傷を”スティグマータ”と判断する神父トーマス・コパッチ、福音書を調査していた神父レイド・セルベッジア、医師アン・キューザック、主人公の同僚ポーシャ・デ・ロッシ、枢機卿の助手である神父エンリコ・コラントーニ、主人公の恋人パトリック・マルドゥーン、福音書を保管していた神父ジャック・ドナーなどが共演している。


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