ジーン・ロッデンベリー原案のテレビ・シリーズ「スタートレック」の劇場版映画のリブート作品「スター・トレック」(2009)の続編。 宇宙艦隊に対するテロ行為を実行した謎の犯罪者を捕らえる任務を受けたU.S.S.エンタープライズの船長カークとクルーの活躍を描くSF超大作。 製作、監督J・J・エイブラムス、主演クリス・パイン、ザカリー・クイント、ベネディクト・カンバーバッチ、レナード・ニモイ、カール・アーバン、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペグ、ジョン・チョー、アントン・イェルチン、ブルース・グリーンウッド共演。 |
・SF
・ベネディクト・カンバーバッチ / Benedict Cumberbatch 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:J・J・エイブラムス
製作
J・J・エイブラムス
ブライアン・バーク
デイモン・リンデロフ
ロベルト・オーチー
アレックス・カーツマン
製作総指揮
ジェフリー・チャーノフ
デヴィッド・エリソン
デイナ・ゴールドバーグ
ポール・シュウェイク
原作:ジーン・ロッデンベリー
脚本
デイモン・リンデロフ
ロベルト・オーチー
アレックス・カーツマン
撮影:ダニエル・ミンデル
編集
メリアン・ブランドン
メアリー・ジョー・マーキー
音楽:マイケル・ジアッキーノ
出演
ジェームズ・タイベリアス・カーク:クリス・パイン
スポック:ザカリー・クイント
ジョン・ハリソン/カーン:ベネディクト・カンバーバッチ
レナード・マッコイ:カール・アーバン
ニヨータ・ウフーラ:ゾーイ・サルダナ
モンゴメリー・スコット:サイモン・ペグ
ヒカル・スールー:ジョン・チョー
パヴェル・チェコフ:アントン・イェルチン
クリストファー・パイク:ブルース・グリーンウッド
アレクサンダー・マーカス:ピーター・ウェラー
キャロル・マーカス/ウォレス:アリス・イヴ
トーマス・ヘアウッド:ノエル・クラーク
リマ・ヘアウッド:ナズニーン・コントラクター
ジョージ・カーク:クリス・ヘムズワース
ウィノナ・カーク:ジェニファー・モリソン
キーンサー:ディープ・ロイ
スポック・プライム:レナード・ニモイ
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
2013年製作 132分
公開
北米:2013年5月16日
日本:2013年8月23日
製作費 $190,000,000
北米興行収入 $228,778,660
世界 $467,365,250
■ アカデミー賞 ■
第86回アカデミー賞
・ノミネート
視覚効果賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニビル(Mクラス惑星)。
宇宙暦2259。
U.S.S.エンタープライズ船長ジェームズ・タイベリアス・カーク(クリス・パイン)と医師レナード・マッコイ(カール・アーバン)は、現地種族の絶滅を阻止しようとする。
種族に姿を見られて追われる二人を救うために、スポック(ザカリー・クイント)が、通信士である恋人ウフーラ(ゾーイ・サルダナ)に見送られながら活発化する火山に向かう。
海中のエンタープライズに戻ったカークとマッコイは、機関士モンゴメリー・スコット(サイモン・ペグ)から、スポックが火山にいることを知らされる。
カークは、火山噴火を鎮静化させようとするスポックを救うために、規則違反と知りながらエンタープライズを発進させてしまう。 種族は飛び立つエンタープライズを目撃し、スポックは転送され、彼の作動させた冷却装置で火山噴火は収まり、惑星は絶滅の危機から救われる。 宇宙暦2259.55、ロンドン。 サンフランシスコ、宇宙艦隊本部。 惑星探査が目的の今回の任務で、住民に目撃されるという規則違反を犯したカークは、パイクから痛烈に非難される。 反論するカークを許す気のないパイクは、彼に、解任及びアカデミー行きを言い渡す。 ロンドン。 気落ちするカークだったが、バーに現れたパイクに声をかけられ、彼がエンタープライズの船長に戻ったことを知らされる。 スポックが他の船に転属になったため、カークはパイクの副長を命ぜられ、それに対し感謝する。 緊急招集があり、本部に向かったカークは、スポックが形式に従い報告したために今回の処分に至ったことを責めるが、移動となった彼との別れを寂しく思う。 幹部会議は始まり、司令官のアレクサンダー・マーカス提督(ピーター・ウェラー)から、ハリソンによるロンドンのテロ事件が報告される。 ハリソンを逃さぬよう命令を受けたカークらだったが、その場が襲撃されてパイクが重傷を負う。 カークは、相手がハリソンであったことを確認してそれを撃退するが、パイクは息を引き取る。 恩師パイクの死にショックを受けるカークは、ハリソンが転送装置を使い逃れたことを知らされる。 ハリソンが向かったのがクリンゴンの本拠地クロノスだと分かったカークは、マーカス提督に会い、単独でその場に向かう許可を得ようとする。 マーカスは、爆破された”セクション31”が極秘支部であり、防衛技術の開発と敵の情報収集をする士官の訓練を行っていた部門で、ハリソンも所属していたことを知らせる。 ”セクション31”が、クリンゴンのセンサーに感知されない防衛用の新型魚雷を開発していたこともカークとスポックに伝えたマーカスは、ハリソンを捕えることを命ずる。 マーカスは、カークの要請によりスポックを副長にすることを許可する。 カークは、スポックとマッコイ、そして赴任した科学士官のキャロル・ウォレス(アリス・イヴ)と共にエンタープライズに向かう。 魚雷搭載が戦闘行為であると意見するスコットを解任したカークは、代役をパヴェル・チェコフ(アントン・イェルチン)として、パイロットのヒカル・スールー(ジョン・チョー)に発進命令を出す。 カークは、クルーに目的地がクリンゴンの支配するクロノスであり、ハリソンを逮捕する任務を伝える。 キャロルの行動を不審に思うスポックは、赴任した理由と、本名が”マーカス”で提督の娘である彼女の正体を知っていた。 キャロルは、父マーカスには、今回の件を秘密にしてほしいことをスポックに伝える。 その後、ワープが中断されてしまい、カークはクロノスに向かうことを伝え、スポックと仲違いをしているウフーラと共に出発の準備をする。 チェコフに修理を命じ、ハリソンに魚雷を打ち込むことを伝えるようスールーに指示し船を任せたカークは、クロノスに向かう。 スールーは、カークの指示に従いハリソンに警告を発して魚雷の準備をする。 クロノス。 感情を捨てたことが、愛がないのとは別だと答えたスポックだったが、その時、シャトルは攻撃を受ける。 追い詰められた三人だったが、クリンゴン語が話せるウフーラが交渉を始める。 ウフーラは、仲間達を殺した犯罪者がこの場にいることを相手に伝えるものの殺されそうになる。 そこに何者かが現れて攻撃を加え、カークらも応戦してウフーラを救う。 現れたのはハリソンであり、彼は、魚雷で脅されていたことをカークらに伝え、それが72基あることを知り投降する。 カークはそれを認め、殺されたパイクのことを想いながらハリソンを殴る。 ハリソンを連行しエンタープライズに戻ったカークは、艦隊本部に逮捕の連絡をして、修理が済み次第発進することをウフーラに伝える。 なぜハリソンが投降したかを疑問に思うカークは、彼が全てを知っていることを知り、ある座標と魚雷を調べるよう言われる。 サンフランシスコに戻っていたスコットに連絡したカークは、ハリソンから言われた座標を調べるよう指示する。 カークは、マッコイに危険を指摘されるものの、魚雷を開けてみることにする。 スコットがいない状況であったが、スポックはマーカス提督の娘であったキャロルが武器に詳しいことをカークに伝える。 キャロルは、魚雷に隠された秘密を知るために身分を偽り忍び込んだことをカークに伝える。 シャトルで魚雷を地上に運んだマッコイとキャロルは、それを開けて人工冬眠する人間を確認する。 座標:23.17.46.11、木星。 魚雷が戻り、人工冬眠が300年前の技術だと知ったカークは、全ての魚雷に人を入れたことをハリソンから知らされる。 人類を平和に導くために遺伝子操作で超人化されるものの、犯罪者とみなされ宇宙に追放された話をハリソンは始める。 探査中の宇宙船が自分を見つけて蘇生したのだが、マーカス提督がそれを隠したことを、ハリソンは”カーン”という自分の名前と共にカークに伝える。 宇宙艦隊の提督が300年前の者の力を借りる理由を尋ねるカークに対し、カーンは、全てにおいて自分が優れているからだと答える。 マーカスが望む戦争を始めるための陰謀を語ったカーンは、自分が作った部下達が見つかり殺されることを恐れ報復したとも伝える。 その時ワープした宇宙船”ヴェンジェンス”が到着し、カークは乗船していたマーカスと交信する。 カークがカーンと話したことを知ったマーカスは、彼を引き渡すことを要求する。 それを承知したカークは、カーンを転送するとマーカスに伝えるものの、修理途中の船体をワープさせて地球に向かう。 エンタープライズはマーカスの攻撃を受け、自分がいると知れば父が攻撃しないとカークに伝えたキャロルが交信の許可を得る。 キャロルは、自分の過ちを正そうとして行動する父マーカスの考えを理解しながら説得するが、転送されてしまう。 マーカスはエンタープライズを攻撃しようとするのだが、カークはカーンを引き渡すことを約束して、自分以外のクルーを救おうとする。 それを無視したマーカスは攻撃を命ずるが、木星に格納されていたヴェンジェンスに忍び込んでいたスコットが、パワーをダウンさせる。 カークは、スコットとの交信を維持しながら、反対するスポックに船を任せて、カーンと共にヴェンジェンスに向かおうとする。 カーンを説得したカークは、スコットの協力でヴェンジェンスに乗り移り、武器を持ってブリッジに向かう。 その間、マーカスの元に向かったキャロルは父親を非難し、彼はカーンが船に侵入したことを知る。 その頃、スポック・プライム(レナード・ニモイ)から情報を得たスポックは、カーンが、エンタープライズにとって最大の脅威になることを知らされる。 スポックは、カーンを倒したかをスポック・プライムに確認して、その方法を聞き、マッコイに魚雷を起動させる準備をさせる。 ブリッジに押し入り制圧したカークだったが、カーンがマーカスを殺害する。 カーンは、カークを人質に取り部下達を引き渡すよう要求する。 シールドを解除させたカーンは魚雷を転送し、カークとスコット、キャロルをエンタープライズに戻して攻撃を仕掛ける。 スポックは、ヴェンジェンスに移った魚雷を爆発させる。 しかし、制御不能となったエンタープライズは地球に向かい降下を続け、スポックはクルーを退避させようとする。 スールーは船に残ることをスポックに伝え、カークとスコットは機関室に向かい、危ういところをチェコフに助けられる。 ずれたコアを修理させることが必要なため、カークは、放射能汚染の危険があるというスコットを殴って気絶させてその場に向かう。 エンタープライズはシールドなしで大気圏に突入するが、カークがコアを復活させて動力が戻った船体は高度を安定させる。 スコットに呼ばれたスポックは、汚染が広がる区域に残るカークの死を見届けて涙する。 カーンに対し怒りをぶつけるスポックは、ヴェンジェンスの墜落を確認して、逃亡した彼を追う。 カークを医療室に運んだマッコイは、カーンの血液で彼が救える可能性に気づく。 マッコイは、カーンを船に転送することを考え、ウフーラが格闘する二人の元に向かう。 カーンを殺そうとしたスポックは、彼がカークを救えることをウフーラから知らされて船に戻る。 カーンの血液により生き返ったカークは、命を救ってくれたスポックに感謝する。 その後、カーンらは人工冬眠処置を受けて保管される。 そして、回復したカークは、生まれ変わったエンタープライズに戻り、キャロル・マーカスを加えたクルーと共に、5年間の長期任務で宇宙を調査し、新たな生命や文明を探すために旅立つ。
...全てを見る(結末あり)
ジョン・ハリソン中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)は、小児科病院に入院する娘を自分なら救えると、士官のトーマス・ヘアウッド(ノエル・クラーク)に伝える。
クリストファー・パイク提督(ブルース・グリーンウッド)に呼び出されたカークとスポックは、ニビルの報告書の件で質問される。
ヘアウッドは、ハリソンから渡された薬剤を娘に投与し、彼の指示に従い、保管庫”セクション31”を爆破する。
シャトル内でウフーラは、無謀な行動をとるスポックを非難する。
カークから言われた場所に着いたスコットは、その場のU.S.S.ヴェンジェンス資材格納庫に入り驚く。
参考:
・「スター・トレック」(1979)
・「スタートレックII カーンの逆襲」(1982)
・「スタートレックIII ミスター・スポックを探せ!」(1984)
・「スタートレックIV 故郷への長い道」(1986)
・「スタートレックV 新たなる未知へ」(1989)
・「スタートレックVI 未知の世界」(1991)
・「スタートレックVII ジェネレーションズ」(1994)
・「スタートレックVIII ファーストコンタクト」(1996)
・「スタートレックIX 叛乱」(1998)
・「スター・トレックX ネメシス」(2002)
・「スター・トレック」(2009)
・「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013)
・「スター・トレック BEYOND」(2016)
*(簡略ストー リー)
宇宙暦2259年。
U.S.S.エンタープライズのジェームズ・T・カーク船長は、ある任務で規律違反をしたため、恩師のパイク提督に解任される。
その頃、ロンドンでテロ行為を起こしたハリソン中佐は宇宙艦隊本部も襲う。
エンタープライズに戻るパイクの副官を命ぜられたカークは、緊急会議の席でハリソンに襲われる。
カークはパイクが死亡したことでショックを受け、爆破されたロンドンの秘密セクションの士官ハリソンを捕らえるよう司令官マーカス提督の命令を受ける。
そしてカークは、副長スポックや医師マッコイ、通信士ウフーラや機関士スコットらクルーと共に、ハリソンが逃れた、クリンゴン支配下のクロノスに向かう。
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”トレッキー”には絶大な支持をうけていたものの、世界を席巻するような爆発的なヒットとは言えなかった、映画シリーズのリブート作「スター・トレック」(2009)の大成功を受け、4年ぶりに製作された作品。
前作で、運命的な出会いを果たした主人公とクルーらは、宇宙艦隊の中心的な立場として活躍し、今回は、人間を超越した敵役として人気スターのベネディクト・カンバーバッチが登場することで大いに話題になった。
初期シリーズ第二作の「スタートレックII カーンの逆襲」(1982)と内容が重なので、参考にして鑑賞すると一層楽しめる作品。
”トレッキー”とは言えないが、テレビ・シリーズを見て育った世代としては鳥肌ものの前作よりは、やや控えめに感じてしまう内容ではあるが、主人公他、平均的に能力を発揮し困難に立ち向かう”チーム力”の勝利までを描く物語は見応え十分。
製作費も増えて(1億9000万ドル)大味になりそうなところだが、細やかな人物描写など、J・J・エイブラムスの演出も注目だ。
北米興行収入は前作を下回る約2億2900万ドルだったが、全世界では、前作から約8000万ドルアップした4億6700万ドルの大ヒットとなった。
しかし、パラマウントは更に上を見ていたように感じるし、個人的にも平凡な成績だったように思える。
第86回アカデミー賞では、視覚効果賞にノミネートされた。
ウィリアム・シャトナーの出演も噂された中で、前作に続きレナード・ニモイの登場は嬉しい。
前作の彼の登場場面では、思わず拍手してしまったが、今回は短い出演だったのは残念だ。
無鉄砲さが少々影を潜め、角も取れて人間的に成長した主人公カーク船長を演ずるクリス・パイン、ややふっくらしたような顔立ち、激しい感情や悲しみも露にするスポック役のザカリー・クイント、悪くもないが、良かっただろうかと言われると、敵役としては物足りなさを感じてしまうベネディクト・カンバーバッチ、医師マッコイのカール・アーバン、通信士ウフーラのゾーイ・サルダナ、船長に意見して一度は解任されるが終盤で活躍する機関士スコットのサイモン・ペグ、パイロットのスールー役ジョン・チョーと機関室を任されるチェコフのアントン・イェルチン、主人公の恩師である提督役のブルース・グリーンウッド、宇宙艦隊司令官を重厚に演ずるピーター・ウェラー、その娘で科学者のアリス・イヴ、テロに加担させられる士官役ノエル・クラーク、その妻ナズニーン・コントラクター、主人公の両親役(声)クリス・ヘムズワースとジェニファー・モリソン、スコット(S・ペグ)の助手役のディープ・ロイ、そしてスポック役でレナード・ニモイなどが共演している。