1966年からテレビ放映された、ジーン・ロッデンベリー原案による、「スタートレック」を基に製作された作品。 処女航海のU.S.S.エンタープライズに運命的に集結する主人公とクルー達の勇気ある戦いを描くSFアクション・アドベンチャー大作。 製作、監督J・J・エイブラムス、主演クリス・パイン、ザカリー・クイント、レナード・ニモイ、カール・アーバン、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペグ、ジョン・チョー、アントン・イェルチン、エリック・バナ、ブルース・グリーンウッド、ウィノナ・ライダー共演。 |
・SF
■ スタッフ キャスト ■
監督:J・J・エイブラムス
製作総指揮
ジェフリー・チャーノフ
ロベルト・オーチー
アレックス・カーツマン
製作
ブライアン・バーク
J・J・エイブラムス
デイモン・リンデロフ
原案:ジーン・ロッデンベリー
脚本
アレックス・カーツマン
ロベルト・オーチー
撮影:ダニエル・ミンデル
編集
メリアン・ブランドン
メアリー・ジョー・マーキー
音楽:マイケル・ジアッチーノ
出演
ジェームズ・タイベリアス・カーク:クリス・パイン
(少年期:ジミー・ベネット)
スポック:ザカリー・クイント
(少年期:ヤコブ・コーガン)
スポック:レナード・ニモイ
レナード・マッコイ:カール・アーバン
ニヨータ・ウフーラ:ゾーイ・サルダナ
モンゴメリー・スコット:サイモン・ペグ
ヒカル・スールー:ジョン・チョー
パヴェル・チェコフ:アントン・イェルチン
ネロ:エリック・バナ
クリストファー・パイク:ブルース・グリーンウッド
サレク:ベン・クロス
アマンダ・グレイソン:ウィノナ・ライダー
ジョージ・カーク:クリス・ヘムズワース
ウィノナ・カーク:ジェニファー・モリソン
リチャード・ロバウ:ファラン・タヒール
ゲイラ:レイチェル・ニコルズ
アイエル:クリフトン・コリンズJr.
オルソン:グレッグ・エリス
リチャード・バーネット提督:タイラー・ペリー
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
2009年製作 127分
公開
北米:2009年5月8日
日本:2009年5月29日
製作費 $150,000,000
北米興行収入 $257,704,100
世界 $384,953,670
■ アカデミー賞 ■
第82回アカデミー賞
・受賞
メイクアップ賞
・ノミネート
録音・音響編集・視覚効果賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2387年。
銀河は不安定な超新星の脅威を受けていた。
宇宙暦:2233.04。
謎の物体からの攻撃を受ける惑星連邦軍”USSケルヴィン”の指揮を任されたジョージ・カーク大尉(クリス・ヘムズワース)は、出産間近の妻ウィノナ(ジェニファー・モリソン)をシャトルで脱出させる。
カークは、母船と共に謎の物体に吸い込まれ、衝突する寸前に、ウィノナが男の子を出産したことを知り、その子を”ジム”(ジェームズ)と名付け、その後、命を落とす。
アイオワ州。
成長した少年ジム・カーク(ジミー・ベネット)は、無鉄砲な行動ばかりする問題児だった。
ヴァルカン星。
父親サレク(ベン・クロス)と地球人の母親アマンダ・グレイソン(ウィノナ・ライダー)の間に生まれたスポック(ヤコブ・コーガン)は、それが理由でいじめられ暴力沙汰を起こすが、サレクから、感情を制御し支配するよう教えを受ける。
やがて、天才的知性を身につけ成長したスポック(ザカリー・クイント)は、科学アカデミーへの進学を拒否して艦隊に志願する。
アイオワ州。 それを制止したクリストファー・パイク大佐(ブルース・グリーンウッド)は、カークの父親ジョージの母艦USSケルヴィンの論文を執筆していた。 勝ち目のない戦いに立ち向かい、800人の命を救った指揮官ジョージの血を引くカークに、パイクは宇宙艦隊アカデミー入隊を勧めて、人生の意義を教え込もうとする。 4年で士官になれるというパイクに対し、自分は3年でそれを達成すると豪語したカークは、アカデミーに志願する。 入隊シャトルには、候補生のウフーラや医師のレナード・マッコイ(カール・アーバン)らがいた。 3年後。 その時、ヴァルカン星からの救難信号を受けた士官候補生は、全員出動準備に入る。 謹慎処分中のカークは、仮病を使いマッコイの医師の権限で、最新鋭航宙艦”USSエンタープライズ”に乗船することに成功する。 そして、船長のパイク、そしてスポック、ウフーラ、パイロットのヒカル・スールー(ジョン・チョー)、パヴェル・チェコフ(アントン・イェルチン)らを乗せたエンタープライズは発進する。 ウフーラが翻訳した通信を知っていたカークは、目的地のヴァルカンをロミュラン船が襲い、自分達を罠にかけようとしていることをパイクに知らせる。 規則に反したカークを、拘束するようにとパイクに進言したスポックだったが、彼は、今のカークの意見が論理的には ロミュラン船の船長ネロ(エリック・バナ)との交信で、敵艦に向かうことになったパイクは、スポックを船長に任命して、そして副長にカークを指名する。 スポックはマッコイを医療主任に任命し、カークはスールーとオルソン(グレッグ・エリス)と共にパイクに同行する。 ロミュランがヴァルカンに仕掛けた、重力を変える巨大ドリルのプラットホームに、シャトルからダイビングしたカークらだったが、オルソンが着地に失敗して死亡する。 妨害電波を除去し、転送装置が使えるようになったものの、ドリルは既にヴァルカン星のコアまで達し、ネロは”赤色物質”を投下する命令を出す。 やがてヴァルカンの重力が異常に高まり、スポックは星の中心に、人工的な”ブラックホール”が作られたことを察知する。 ドリルの回収が始まり、プラットホームから落下したカークとスールーは、地上に落下する寸前でエンタープライズに転送される。 その後スポックは、議員や両親を救おうとヴァルカンに向かう。 議員と父サレクを救ったスポックだったが、母アマンダは転送に失敗して命を落とし、ヴァルカンはブラックホールに吸い込まれて消滅する。 宇宙暦:2258.42 ネロは、人質にとったパイクから、宇宙艦隊の防衛網の周波数を聞き出そうと拷問にかける。 かつて同胞だったネロは、故郷ロミュランが滅亡して妻が犠牲になったのは、連邦やスポックのせいだと思い込み、復讐を誓っていたのだ。 次の行動を決める議論で、スポックと対立したカークは船外に放出され、惑星デルタ・ヴェガで孤立してしまう。 巨大生物に襲われたカークは、129年後の世界からやって来たスポック(レナード・ニモイ)に命を救われ、彼からある話を聞かされる。 その時代にある星が爆発し、銀河に危険が及んだために、スポックはロミュラン人を救うことを約束し、人工のブラックホールで爆発を吸収しようとした。 しかし、爆発した星がロミュラン星を破壊し、スポックは急いで”赤色物質”を爆発に投じた。 帰還途中スポックはネロに拉致され、2人ともブラックホールに落ち、ネロが先に過去に到達し、USSケルヴィンと遭遇したのだった。 ネロは、スポックの到着を待ち彼を責めて、デルタ・ヴェガに転送した。 スポックに、自分と同じ苦痛を与えるため、ネロはヴァルカン星を滅ぼしてしまったのだった。 艦隊の前哨基地に向かおうとするスポックは、自分の世界ではカークの父ジョージは健在で、ジムが船長になったことを喜んでいることを彼に告げる。 前哨基地に到着したスポックは、エンジニアのモンゴメリー・スコット(サイモン・ペグ)の協力で、ワープ中のエンタープライズにカークを転送しようとする。 スポックはカークを船長にするために、船長代理の過去の自分を、精神錯乱で解任する方法についてカークに伝授し、彼に別れを告げる。 カークとスコットはエンタープライズに転送され、カークは、スポックの感情を刺激する。 スポックは怒りを表面化させてしまい、精神的破綻を自ら申し出て、彼は船長の任務を降りる。 カークは船長になり、艦隊との合流を取り止め地球に向かう指示を出す。 父サレクの助言で冷静さを取り戻したスポックは、カークに協力を申し出て、地球人のハーフとしての誇りを主張し、同種族であるロミュランとの交渉を志願する。 その頃、地球に到着したロミュラン船のネロは、ドリルの準備を始める。 ヴァルカンが消滅し、スポックに同情するウフーラは、次第に彼に心を寄せるようになる。 ロミュラン船に転送されたカークとスポックは、敵を倒しながらブラックホール装置を捜しだす。 そしてスポックは、それが宇宙暦の2387年に作られたことを知る。 ドリルが起動し地球上の人々は混乱するが、スポックが、”赤色物質”が搭載されたヴァルカン船を奪いドリルを破壊する。 ネロと相対したカークは、彼から父を殺したのが自分だということを知らされる。 スポックに気をとられたネロが、カークから目を離した間に、カークは、ネロの部下アイエル(クリフトン・コリンズJr.)を倒し、囚われていたパイクを救出する。 スポックはワープで逃亡し、ロミュラン船もそれを追い攻撃を加えるが、そこにエンタープライズが現れ彼を援護する。 スポックはロミュラン船に体当たりし、その瞬間パイクを助けたカークと共に、エンタープライズに転送される。 ロミュラン船に衝突した”赤色物質”により、ブラックホールに飲み込まれるネロに対し、カークは降伏を求める。 ネロはそれを拒否し、カークはロミュラン船への総攻撃を加える命令を出す。 エンタープライズは、ブラックホールに吸い込まれそうになるが、大爆発の余波を逃れて危機を回避する。 地球に戻ったスポックは、艦隊を去りヴァルカン再建の道を選ぼうとするが、未来の自分と出会い、艦隊に残りカークに協力するよう説得される。 カークはアカデミーで表彰され、未来のスポックに見守られながら、提督に昇進したパイクに代わり、エンタープライズの指揮を命ぜられる。 そしてカークは、通信士ウフーラ、パイロットのスールーとチェコフ、機関士スコット、主任医師マッコイ、そして副長にスポックを指名し、エンタープライズを艦隊基地から発進させる。
成長しても、相変わらず堕落した日々を送るカーク(クリス・パイン)は、酒場で士官候補生ウフーラ(ゾーイ・サルダナ)に言い寄り、他の候補生と喧嘩になってしまう。
...全てを見る(結末あり)
不可能と思われていた、”コバヤシマル”の試験プログラムをパスしたカークは、プログラムの考案者スポック中佐に、不正行為を追及される。
正しく、ウフーラの翻訳も正しいと判断する。
パイク船長の消息は不明のまま、ネロに拘束されたものと推測され、60億ものヴァルカン星人を失い、スポックの種族も絶滅寸前となる。
参考:
・「スター・トレック」(1979)
・「スタートレックII カーンの逆襲」(1982)
・「スタートレックIII ミスター・スポックを探せ!」(1984)
・「スタートレックIV 故郷への長い道」(1986)
・「スタートレックV 新たなる未知へ」(1989)
・「スタートレックVI 未知の世界」(1991)
・「スタートレックVII ジェネレーションズ」(1994)
・「スタートレックVIII ファーストコンタクト」(1996)
・「スタートレックIX 叛乱」(1998)
・「スター・トレックX ネメシス」(2002)
・「スター・トレック」(2009)
・「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013)
・「スター・トレック BEYOND」(2016)
*(簡略ストー リー)
惑星連邦軍USSケルヴィンの、非常事態中に生を受けたジェームズ・カークは、やがて成長し、自らが犠牲となり、800人のクルーを救った父の後を継ぎ、宇宙艦隊アカデミーに入隊する。
数年後、ヴァルカン星からの救難信号を受けた艦隊基地内の士官候補生は、直ちに緊急出動することになる。
問題を起し、謹慎中のカークだったが、最新鋭航宙艦”USSエンタープライズ”に乗り込むことに成功する。
カークは、彼の父を尊敬する艦長パイクの指揮下、通信士のウフーラ、パイロットのスールーとチェコフ、医師マッコイ、ヴァルカン星人スポックらと共に、ロミュラン船に襲われるヴァルカン星へと向うのだが・・・。
__________
1979年からシリーズ化されていたTVドラマのオリジナルキャストによる映画版の続編ではない。
個性豊かな登場人物の出生の秘密や少年時代を経て艦隊アカデミーの候補生となり初実戦で処女航海のエンタープライズに運命的に集結する主人公とクルー達の勇気ある戦いを描くSFアクション・アドベンチャー大作。
「バットマン」、「ターミネーター」、「X-メン」シリーズと同様、主人公達や物語の原点に戻る新シリーズ。
日本では、想像もつかないほどの人気を誇るシリーズの映画化で、北米での興行収入は約2億5600万ドル、全世界では約3億8500万ドルの大ヒットとなった。
第82回アカデミー賞では、メイクアップ賞を受賞した。
・ノミネート
録音・音響編集・視覚効果賞
キャラクターやエンタープライズをはじめとする創作物以外は、前シリーズを全く意識させない斬新なストーリーで、やや高尚で難解な前シリーズに比べ、単純明快な痛快作に仕上がっている。
1億5000万ドルの製作費をかけた、迫力ある見事なVFX映像も見応えがある。
テレビ・シリーズに親しみ、前シリーズも一応は見ているものの、とても”トレッキー”とは言えない自分は、カークが温厚で生まれながら”詩人”のような思考を持った人物だと思っていたのだが、それを全く覆す人物像にも興味津々だ。
沈着冷静なスポックが、感情を露にする姿や、主人公の二人が対立しながらも、やがて生涯の友となり、愛すべきキャラクターであるクルー達と結集する経緯や友情なども、J・J・エイブラムスは丁寧且つ、自然な雰囲気で描いている。
個人的には、マッコイ演ずるカール・アーバンの表情や物腰が、今は亡きオリジナルキャストのデフォレスト・ケリーの”Dr.マッコイ”を、明らかに意識し演じていたのが印象的で、後半に登場し、圧倒的な存在感を示す”スポック”役のレナード・ニモイの登場は感激だ。
また、前シリーズのジェリー・ゴールドスミス他の曲を使わずに、アレクサンダー・カレッジのTVシリーズのテーマ曲で締めるエンドロールは涙ものだ。
突出した才能を持ちながら、欠落する部分を、対立や友情で補い、成長していく主人公の二人、クリス・パインとザカリー・クイント、通信士のゾーイ・サルダナ、機関士のサイモン・ペグ、パイロット、ジョン・チョーとアントン・イェルチン、ロミュラン船船長エリック・バナ、USSエンタープライズの初代艦長ブルース・グリーンウッド、スポックの父ベン・クロスと母ウィノナ・ライダー、主人公の父クリス・ヘムズワース、ネロ(E・バナ)の部下クリフトン・コリンズJr.等が共演している。