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舞台恐怖症 Stage Fright (1950)

1947年に雑誌”Collier’s”に掲載され1948年に発表された、セルウィン・ジェプソンの小説”Man Running”を基に製作された作品。
殺人事件に関わった演劇学校の女優の行動を描く、製作、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演ジェーン・ワイマンマレーネ・ディートリッヒマイケル・ワイルディングリチャード・トッドアラステア・シム他共演のサスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧
アルフレッド・ヒッチコック / Alfred Hitchcock / Pinterest
マレーネ・ディートリッヒ / Marlene Dietrich / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:アルフレッド・ヒッチコック

製作:アルフレッド・ヒッチコック
原作:セルウィン・ジェプソンMan Running
脚本
ホイットフィールド・クック

アルマ・レヴィル
撮影:ウィルキー・クーパー
編集:エドワード・B・ジャーヴィス
音楽:レイトン・ルーカス

出演
イヴ・ギル:ジェーン・ワイマン

シャーロット・インウッド:マレーネ・ディートリッヒ
ウィルフリッド・スミス:マイケル・ワイルディング
ジョナサン・クーパー:リチャード・トッド
ギル:アラステア・シム
ギル夫人:シビル・ソーンダイク
ネリー・グッド:ケイ・ウォルシュ
フレディ・ウィリアムズ:ヘクター・マグレガー
フォーテスキュ.:マイルズ・メイルソン

チュビー・バニスター:パトリシア・ヒッチコック
バイヤード警部:アンドレ・モレル

イギリス 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ

1950年製作 110分
公開
イギリス:1950年8月28日
北米:1950年2月23日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ロンドン
王立演劇学校の女優イヴ・ギル(ジェーン・ワイマン)は車を運転しながら、警官に追われている友人ジョナサン・クーパー(リチャード・トッド)から何があったのかを聞く。

愛人の女優シャーロット・インウッド(マレーネ・ディートリッヒ)を助けたいジョナサンは、彼女が起こしたことが大事になったと言ってその内容を話し始める。
__________

夕方5時頃、血の付いたドレスのままアパートに現れたシャーロットを招き入れたジョナサンは、自分とのことで口論になり夫を殺害してしまったことを伝える。

夫が死んでいないかもしれないと言うジョナサンは、シャーロットにブランデーを飲ませて落ち着かせようとする。

目撃者はいないはずだとは言うものの、シャーロットは絶望的な気持ちになる。
...全てを見る(結末あり)

電話をして舞台を休もうとするシャーロットだったが、ジョナサンは劇場に向かうよう指示し、ドレスの着替えは自分が取りに行くことを伝える。

しかし、鍵を渡されたジョナサンは躊躇してしまい、その様子にシャーロットは愛がないのかを彼に問う。

シャーロットのためなら何でもすると言うジョナサンは、彼女の家に向かう。

夫の死体を確認したジョナサンは、凶器と思われる転がっていた火かき棒を元に戻し、クローゼットからドレスを取り出す。

侵入者の犯行に見せかけたジョナサンだったが、叫び声を聞く。

現れたシャーロットのメイドであるネリー・グッド(ケイ・ウォルシュ)に気づいたジョナサンは、彼女に姿を目撃されながらその場から逃れる。

アパートに戻り、それをシャーロットに伝えたジョナサンは、顔を見られたかは分からなかった。

ドレスを着替えて劇場に向かおうとしたシャーロットは、身を隠すようにとジョナサンに伝える。

自分はどうなってもいいと言うジョナサンは、ドレスの処分などはしておくことを伝えてシャーロットを送り出す。

しかし、ネリーが警察に通報して自分を目撃したことを伝え、電話番号が知られるだろうと考えたジョナサンは、電話のベルが鳴ったために驚く。

受話器を取らなかったジョナサンは、イヴの自宅に電話をして、王立演劇学校のリハーサルであることを母親(シビル・ソーンダイク)から知らされる。

そこに二人の男性が現れ、ドレスを隠し持ち入り口に向かったジョナサンは、彼らが警官だったために隙を見て車で逃走する。

王立演劇学校
役者を装いリハーサル中のイヴに抱き付き、殺人犯に疑われ警官に追われていることを伝えたジョナサンは、彼女の協力を得て車でその場を離れる。
__________

海岸沿いの父親ギル(アラステア・シム)の家に向かったイヴは、助けてもらえることを確認して、眠っているジョナサンを愛していることを伝え、シャーロットを憎んでいることを付け加える。

ギルは、強かなシャーロットにジョナサンが利用されていると考え、自分達も警戒する必要があることをイヴに伝える。

ドレスの血が故意に付けられていると指摘したギルは、ジョナサンが家で目撃されるようシャーロットが仕組んだと考える。

わざと着替えずにジョナサンの元を訪れたのは明白であり、ギルはドレスが重要な証拠になると言って、警察に行くべきだとイヴに助言する。

ジョナサンを起こしたイヴは、シャーロットに利用されていることを伝える。

しかし、シャーロットを信用しているジョナサンは、故意に血を付けたとイヴが指摘するドレスを、暖炉に投げ込み燃やしてしまう。

イヴが嫉妬しているだけだと言うジョナサンを、客である身で礼儀をわきまえるべきだとギルは叱責する。

ジョナサンは謝罪し、泊めてもらえることをギルに確認して先に休ませてもらう。

イヴとギルは外に出て話し、彼女は、シャーロットに会い女同士の対決をすると言いだす。

それを危険視するギルは、演技に励む平穏な生活をすることを勧める。

ジョナサンがそんなに大切な男かとギルに尋ねられたイヴは、その通りだと答える。

翌朝、眠っているギルの注意が必要だというメモを確認したイヴは、ロンドンにに戻りシャーロットの家に向かうものの警察の捜査が始まっていた。

それを電話でギルに伝えたイヴは、ジョナサンが追われていることを伝え、同時にシャーロットも捜査対象となっている可能性があると父に言われる。

シャーロットの家から出て来た男性(マイケル・ワイルディング)がパブに向かったためそれを追ったイヴは、気分が優れないかのように装い彼の注意を引こうとする。

ところが、酔っていたフォーテスキュ.(マイルズ・メイルソン)に声をかけられてしまい、イヴは彼を追い払う。

何とか男性の注意を引くことができたイヴは、通りで殺人の話を聞いたことなどを語り、シャーロットについて意見する。

そこにシャーロットのメイドのネリーが現れ、彼女が目撃した男がジョナサンだと考えていることなどをイヴは知る。

死体の第一発見者であるネリーが、自分の置かれている情況を楽しんでいるように思えるイヴは、男性と共に嫌みを言う。

パブを出て男性に家まで送ってもらったイヴは、ウィルフリッド・スミスと言う彼の名前を聞き、警部補であることを知り驚きながら翌日のお茶に誘い別れる。

その後、パブに戻り記者に扮したイヴは、ネリーと話をしてメイドになり記事を書きたいことを伝える。

刑事とこの場に座っていたため警察の回し者と疑われたイヴは、ネリーに金を渡してメイドの件を承知させる。

翌日、ネリーに扮してみるものの、母親は自分に気付いてしまう。

ネリーのいとこと言って代わりのメイドになるため、シャーロットの家に向かったイヴはスミスが現れたために焦る。

二階に上がったイヴは、シャアーロットのマネージャーのフレディ・ウィリアムズ(ヘクター・マグレガー)に迎えられる。

喪服を試着中のシャーロットに近づいたイヴは、ネリーの推薦状を呼んで”ドリス”だと伝える。

シャーロットは、警察のスミスらが現れたことを執事から知らされる。

今夜の舞台にも出演し後日の葬儀後にパーティーにも出席すると言うシャーロットは、6時に劇場に来るようイヴに伝える。

咳をしたら医者が来たと言うようシャーロットに指示されたイヴは、フレディと共に隣の部屋に向かう。

現れたバイヤード警部(アンドレ・モレル)とスミスは、ジョナサンの話などをシャーロットから聞く。

シャーロットが咳をしたため、イヴは医者が来たことを彼女に伝える。

舞台に立つため診察を受けると言うシャーロットに気を遣い、バイヤードとスミスはその場を去る。

イヴはスミスと顔を合わさないで済む。

愛人関係だったフレディに抱き寄せられながら、ジョナサンの居場所が分からないシャーロットは、破滅を恐れて怯える。

帰宅したイヴは、スミスが訪れていることに気付きながら二階に向かう。

スミスの相手をしていた母親はイヴが遅いことを気にしていたが、そこにギルが現れる。

部屋に入ってきたイヴは遅れたことをスミスに謝罪し、父親のギルに久しぶりに会ったような挨拶をする。

イヴからスミスが刑事だと知らされた母親は驚き、ギルは興味を示して容疑者のジョナサンについてを聞く。

時計の鐘の音で劇場に行くことを思い出したイヴは、ギルに舞台裏で会うことを伝えて席を外そうとする。

送ると言うスミスに父親の相手をしてほしいと伝えたイヴは、翌日に電話をすることを約束して劇場に急ぐ。

ウエスト・エンド
ミュージカル・ショーの主演を演じるシャーロットの舞台を、イヴとギルは舞台脇で見守る。

シャーロットから犯人は劇場には来ないと言われるものの、イヴはギルに見張りを頼む。

現れたジョナサンに気づいたイヴは、楽屋に男が入ったことをシャーロットに知らせる。

身を隠しているようジョナサンに指示したシャーロットは、フレディが逃亡の手助けをすることを伝える。

指示通りに行動することを嫌うジョナサンに、ドレスを処分していないため、主導権は自分にあると言われたシャーロットは動揺する。

イヴは、その話をドア越しに聞いていた。

ジョナサンが来たことを知ったフレディは、警官に楽屋を調べさせるとシャーロットに言ってイヴに案内させる。

イヴはわざと大粉声で話し、警官が来ることをジョナサンンに知らせる。

警官は部屋を調べ始めるが、気を失った振りをしたイヴはその邪魔をする。

そのことをギルに話したイヴは、スミスを劇場のパーティーに招待して、シャーロットを疑わさせることを考える。

帰宅した二人はジョナサンがいたために驚き、泊めてほしいと言う彼の頼みを聞き入れる。

戸惑いながら対応していた妻を部屋から連れ出したギルは、ジョナサンが殺人容疑の逃亡者であり、事情があってイヴが匿っていると話してしまう。

ギルの話を信じない妻は、スミスも刑事とは思えないと言って部屋に向かう。

シャーロットに騙されたと言うジョナサンは、イヴに感謝する。

翌日、スミスと共にパーティーに向かうイヴは、ジョナサンを目撃したはずの”ドリス”に彼が会おうとしていたことを知り戸惑う。

ジョナサンのことなどを気にしたイヴは、葬儀直後にパーティーに出席するシャーロットの神経を疑い、スミスに彼女への不信感を抱かせようとする。

タクシー内でそんな話をしながら、惹かれ合うようになった二人はキスする。

雨の中、ガーデン・パーティー会場に着いた二人だったが、イヴはその場にいたネリーが近づいて来たために驚く。

イヴはネリーに合図を送り、ずっと一緒にはいられないと言ってスミスを友人のチュビー・バニスター(パトリシア・ヒッチコック)らに任せる。

ネリーに探りを入れられ金を要求されたイヴは、不足だと言われたために、ギルに電話をして金を用意してほしいことを伝える。

フレディに呼ばれてシャーロットの元に向かったイヴは、警察が会いたがっていると言われる。

雨が上がり、ネリーが近づいて来たことに気づいたイヴは、現れたギルに彼女がネリーだということを合図で教える。

ギルは脅迫だと言いながらネリーに金を渡すが、彼女はまだ不足だと不満を伝えて立ち去る。

シャーロットの所にいたことをギルに伝えたイヴは、スミスに全てを話そうと考える。

スミスがシャーロットを疑うように話をしなかったのかを尋ねたギルは、イヴにはそれよりも”大切な事”があったことを悟る。

イヴは、ジョナサンからスミスに気持ちが移っても彼を見捨てる気にもなれない。

ある考えが浮かんだギルは、スミスをシャーロットのテントに連れて行くようイヴに指示する。

イヴはスミスを誘い、シャーロットのショーが行われているテントに向かう。

射的で人形を手に入れたギルは、手のひらを切って人形の服に血を付ける。

人形を子供に持たせてステージのシャーロットに渡すよう指示したギルは、イヴにそれを知らせる。

ステージに上がった子供が持つ人形を見たシャーロットは、動揺して歌うのを止めてしまう。

シャーロットに寄り添うフレディに”ドリス”と呼ばれて手を貸すよう言われたイヴは、傍らのスミスには頷いただけでステージに上がる。

イヴはシャーロットに手を貸し、子供の人形を手にしたスミスは、今までのイヴの言動を思い出して考えを巡らせる。

帰宅したイヴとギルは、ジョナサンと共に逮捕される可能性がある今後の展開を考える。

自首した方が迷惑がかからないというジョナサンに、他の方法がないか考えるイヴだったが、その時、スミス来たと母親に言われる。

今までの行為をスミスに非難されたイヴは、愛人のために人は平気で嘘をつくと言われたためそれを否定する。

確かにあった愛情は消えたと言うイヴは、それでも無実のジョナサンを助けたいことをスミスに伝える。

無実かどうかは法が決めることで、イヴと父親の立場が非常に悪いことを伝えたスミスは、どうしていいのか分からないと付け加える。

騙されたスミスはタクシーの中の演技は見事だったと言うが、あれは演技ではなく恋だと答えるイヴは、全てを話す気がありそれを信じてほしいと伝える。

そこにギルと妻が現れ、彼女は青年の来客がいることを話してしまう。

手を貸すと言うギルに対し、娘を危険にさらすこれまでの行動をスミスは非難する。

自分とイヴがネリーに脅迫されたとスミスに伝えたギルは、”ドリス”がシャーロットにドレスを持っていると言って、同じように探りを入れてみる提案をする。

ドレスがないことを知ったスミスは署に戻ると言って、イヴにシャーロットの元に向かうよう指示してその場を去る。

スミスが乗る気ではあると考えたギルは、イヴと共に劇場に向かう。

その後、ギルに電話をしたスミスはイヴも外出中だと夫人に知らされ、滞在している青年と話そうとする。

劇場に向かったスミスは、ある部屋にマイクを隠して劇場内に聞こえるようにしてギルと待機する。

翌日はネリーと代わるため最後の仕事を終えてシャーロットと楽屋を出たイヴは、血の付いた人形の話をしてマイクのある部屋に向かう。

血の付いたドレスを持っていることをシャーロットに伝えたイヴは、要求額を聞く彼女に金の話などしてないことを伝える。

ドレスが100ポンドの価値はあると言われたシャーロットは、それを脅迫だと指摘して警察を呼ぼうとする。

一緒に話すと言って動じないイヴは、メイドでも警官でもないと伝えて、なぜドレスに血が付いたかを聞き出そうとする。

ジョナサンが主人を殺した歳にドレスに血が付いたと話すシャーロットは、彼が自分を守るために物取りに見せかけたと伝える。

それを嘘だと言われるが誓って真実だと答えるシャーロットは、何でも欲しいものをイヴに渡そうとする。

スミスはジョナサンを連れてくるよう指示し、部屋から出たイヴの様子を見る。

ギルはイヴの演技に拍手を贈るが、彼女は動揺して涙する。

スミスと話したシャーロットは、イヴが正気ではないと言って、連行されたジョナサンが逮捕されたとことを知り安堵する。

しかし、なぜジョナサンを逮捕するのかと言ってイヴは警官を非難する。

隙を見てジョナサンはその場から逃走し、イヴが彼を助けようとする。

ステージで監視されるシャーロットは、イヴとの会話を隠しマイクで聞かれたことを知る。

監視する刑事に自分を裏切った者がいると伝えるシャーロットは、あり得ることだと言われる。

ジョナサンの行方が分からないスミスは、今回は犯人ではないだろう彼には殺人の前科があるとギルに伝える。

前回は正当防衛で無実になったのだが、スミスとギルは、ジョナサンと一緒のはずのイヴの身を案ずる。

隠れていたイヴは無実が証明されたとジョナサンに伝えるが、彼が殺人鬼だと言う捜しに来たギルの声が聞こえる。

ジョナサンはその通りだと伝え、シャーロットに煽られて夫を殺したことを話す。

愛人関係だったフレディと一緒になるために、シャーロットが怒りを抑えられない自分の性格を利用したとジョナサンは語る。

少女殺しが正当防衛だったことを話したジョナサンは、車の中で嘘をつきたくなかったことをイヴに伝える。

自分が夫を殺した後でシャーロットがアパートに来たのだが、ドレスには少しの血しかついていなかったため、イヴを信用させるためにもっと血を付けたこともジョナサンは話す。

ジョナサンに同情して自首を促すイヴだったが、精神異常を装うために、ジョナサンは三人目の殺人を考える。

イヴはジョナサンの手を取り、落ち着かせて逃げることを提案しながら、彼をステージの前のオーケストラ席に向かわせて叫び声をあげる。

その場から逃れようとしたジョナサンは警官に追い詰められ、セイフティ・カーテンに挟まれて死亡する。

その姿を見たイヴはショックを受け、スミスに抱き寄せられながらその場を去る。


解説 評価 感想 ■

★ヒッチコック登場場面
上映から約39分、マレーネ・ディートリッヒのメイドの代わりとして彼女の家に向かおうとする、ジェーン・ワイマンとすれ違う男性がアルフレッド・ヒッチコック
ジェーン・ワイマンに向い振り返るのではっきりと分かる。

*(簡略ストー リー)
ロンドン
王立演劇学校の女優イヴ・ギルは、警官に追われるジョナサンを何とか助けようとする。
愛人の女優シャーロットが夫を殺害したのだが、自分が疑われてしまったと言うジョナサンの話を聞き、彼に惹かれていたイヴは父親ギルに助けを求める。
翌日、シャーロットの家の捜査が始まっていることを知ったイヴは、その場から出て来た男性とパブで話し情報を入手する。
男性がスミス警部補だと知ったイヴは、驚きながら翌日も会う約束をする。
その後、ジョナサンをシャーロットの家で目撃したメイドのネリーに会ったイヴは、彼女に金を渡し代わりのメイドに扮する。
シャーロットがジョナサンを利用していると考えたイヴは、彼女のメイドになりジョナサンを救う方法を考えるのだが・・・。
__________

殺人事件に関わることになる女性の戸惑いから始まるオープニング、協力者となる周囲の人々のユーモラスな行動、事件のカギを握る大女優の華やかな存在感など、アルフレッド・ヒッチコックの演出が遺憾無く発揮された作品。

登場人物に直接的に迫る恐怖などがそれほど描写されていないところが注目で、笑いを誘う場面が多い非常に楽しい作品でもある。

ドラマの中で重要な証拠品である血の付いたドレスは呆気なく処分されてしまうものの、モノクロ画面を生かしたドレスの”血”とその存在を強調する演出などは見事だ。

レイトン・ルーカスのコミカルな音楽も印象に残る。

主人公のジェーン・ワイマン王立演劇学校の女優というところもポイントで、様々な役柄を演じようとする姿がユーモラスであり、実力派でもある彼女の演技力が堪能できる。

ヒッチコック作品であっても、彼女らしさを前面に出し素晴らしいパフォーマンスも見せてくれる大女優役のマレーネ・ディートリッヒ、当時のイギリス俳優の中でも特別な存在の人気スターであった、主人公に惹かれる警部補マイケル・ワイルディング、殺人犯であり女優の愛人を好演するリチャード・トッド、いい味で主人公の父親を演ずるアラステア・シム、その妻シビル・ソーンダイク、女優のメイド、ケイ・ウォルシュ、マネージャーのヘクター・マグレガー、パブの客マイルズ・メイルソン、主人公の友人パトリシア・ヒッチコックヒッチコックの娘)、警部アンドレ・モレルなどが共演している。


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