気難しい老人が愛する妻の唯一の楽しみだった合唱を通して周囲の人々との親交や不仲の息子との絆を取り戻すまでを描く、主演テレンス・スタンプ、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、ジェマ・アータートン、クリストファー・エクルストン他共演、監督、脚本ポール・アンドリュー・ウィリアムズによるドラマ。 ★★★☆☆ |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
製作
ケン・マーシャル
フィリップ・モロス
製作総指揮
アリステア・ロス
タラ・モロス
クリスティアン・アンガーマイヤー
マルク・ハンゼル
ジュディ・トッセル
ティム・スミス
ポール・ブレット
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
脚本:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
撮影:カルロス・カタラン
編集:ダン・ファレル
音楽:ローラ・ロッシ
主題歌:セリーヌ・ディオン”Unfinished Songs”
出演
アーサー・ハリス:テレンス・スタンプ
マリオン・ハリス:ヴァネッサ・レッドグレイヴ
エリザベス:ジェマ・アータートン
ジェームズ・ハリス:クリストファー・エクルストン
ブレンダ:アン・リード
スティーヴン:ジャメイン・ハンター
医師:カリータ・レインフォード
チャーリー:ラム・ジョン・ホルダー
イギリス/ドイツ 映画
配給
Entertainment One
ワインスタイン・カンパニー
2012年製作 93分
公開
イギリス:2013年2月22日
ドイツ:2013年3月14日
北米:2013年6月21日
日本:2013年6月28日
北米興行収入 $1,702,670
世界 $7,041,350
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
無口で気難しいアーサー・ハリス(テレンス・スタンプ)は、近所でも頑固者で通っていたが、妻マリオン(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)にだけは優しく接していた。
マリオンは、病弱ではあったものの陽気な性格で、公民館でレッスンをする合唱団で歌うことを楽しみにしていた。
アーサーは、息子のジェームズ(クリストファー・エクルストン)との仲もしっくりいっていなかった。
合唱団のレッスン担当のエリザベス(ジェマ・アータートン)は、グループの名前を”OAPZ”(老齢年金受給者)に決める。
アーサーが、合唱コンクールへの参加を否定的に考えているため、エリザベスは理解を求める。 コンクールへの参加を決めたエリザベスは、それをメンバーに伝えてレッスンを始めるが、マリオンが倒れてしまう。 それを知らされたアーサーは病院に向かい、マリオンに寄り添う。 その後の検査で、マリオンは癌の再発と余命短いことを医師から知らされ、化学療法を拒み家に戻る。 アーサーは、マリオンが数か月の命だということを、率直にジェームズに伝える。 ジェームズはマリオンを抱きしめて悲しみをこらえるが、彼女から、アーサーの支えになってほしいと言われる。 その夜、ベッドの中で、ジェームズに辛く当たらないでほしいと言われたアーサーは、息子と話し合うことを約束する。 翌朝、エリザベスら合唱団のメンバーは、マリオンのために雨の中で歌を捧げる。 アーサーはそれを迷惑に思うが、マリオンは仲間達に感謝する。 外に出るというマリオンを制止したアーサーは、エリザベスらに余計なことをしてくれたと言って悪態をついてしまう。 マリオンは、仲間達に謝り自分を合唱に連れて行くことをアーサーに約束させる。 アーサーがそれに同意しないため、マリオンは彼と口をきかなくなる。 仕方なくそれを承知したアーサーは、マリオンを合唱団に連れて行き皆に謝罪する。 翌日、具合が悪くなったマリオンに代わりアーサーが練習の場所などを聞きに行く。 合唱団に加わる気になれないアーサーは、レッスンが終わったエリザベスに声をかける。 要件を知ったエリザベスはアーサーを車で送り、自分がなぜ合唱団のレッスンをしているかなどを話す。 その後エリザベスは、マリオンの手助けをするようにと彼をレッスン会場に誘う。 コンサートのチラシ貼りなども手伝ったアーサーは、少しずつではあるが、人との触れ合いに何かを感じ始める。 そしてコンサート当日、そのことを伝えてあったジェームズが迎えに来ないために、アーサーはマリオンを先に会場に向かわせる。 ジェームズの元に向かい、迎えに来ない理由を問い詰めたアーサーだったが、見に行くことだけを約束していた彼にその態度を非難される。 アーサーは会場に向かい、ロックやヒップホップを取り入れた”OAPZ”のコンサートは始まる。 ジェームズと娘のジェニファーも現れ、マリオンはアーサーのために、独唱で”トゥルー・カラーズ”を歌い大きな拍手を受ける。 エリザベスは、それでも仲間に加わろうとしないアーサーを見て呆れてしまう。 マリオンの気持ちは十分に伝わったのだが、アーサーは、彼女と別れたくないため気持ちが沈むのだった。 その後、マリオンは寝たきりとなり、そしてある夜、彼女は息を引き取り、アーサーは絶叫しながら悲しみジェームズも慰めようがなかった。 葬儀を済ませたアーサーは、よい父親でない自分に会わないことが最善だとジェームズに伝える。 アーサーの様子を見に行ったエリザベスは、合唱団が本大会に出られることを伝え、何かあれば公民館に来るようにと付け加える。 マリオンの墓参りに行ったアーサーは、その場にジェームズがいたために引き返してしまう。 公民館に向かったアーサーは、再びエリザベスに送ってもらい、好きな歌があると言ってそれを口ずさむ。 その夜、恋人にフラれたエリザベスがアーサーを訪ね、同世代で相談できる者がいないことを彼に伝える。 数日後、公民館で歌ってみる気持ちになったアーサーは、合唱団が帰った後でエリザベスの前で歌い、彼女に心を開く。 楽しむことにチャレンジする気になったアーサーは、合唱団に入ることになる。 孫のジェニファーの元に向かったアーサーは、ジェームズに会いたくないと言ったのは本心でないことを伝える。 しかし、その後もジェームズとの関係は、容易には改善しなかった。 エリザベスとの親交を深め、個人レッスンも受けたアーサーはコンサートで歌うことと、それにジェームズを招待するよう言われる。 ジェームズを訪ねて話し合おうとしたアーサーだったが、今更遅いと言われてしまう。 動揺するアーサーはエリザベスの元に向かい、自分がしていたことは見当違いだったと言ってその場を去る。 荷物をまとめていたアーサーは、マリオンとの結婚式や幼いジェームズとの写真を見て考えを巡らせる。 アーサーが現れないまま、エリザベスは合唱団と共にコンクール会場へと向かい、準備を整える。 ジェームズは、届けられた家族の写真と共に、コンクールのパンフレットが添えられていたことに気づく。 参加者の練習を見学して控室に戻ったエリザベスらは、その場にアーサーがいることに気づく。 マリオンが楽しんでいた合唱の友人達に対し、これまでの態度を謝罪したアーサーは、歌いたいことを伝える。 エリザベスや仲間達はそれを歓迎するのだが、合唱団は規格外だという判断で除外されてしまう。 バスに乗っていたエリザベスらだったが、アーサーは納得できずに会場に向かい、ステージに上がってしまう。 エリザベスや仲間達もそれに続き、合唱団は歌うことを許可されて熱唱を始める。 独唱で声が出ずにいたアーサーだったが、ジェームズと共に会場に来ていたジェニファーに励まされる。 アーサーは、マリオンやジェームズそして家族を想いながら歌い切り満場の拍手を受ける。 3位となった合唱団は、それを誇りに思いながら街に戻る。 マリオンが亡くなって以来、ソファーに寝ていたアーサーだったが、その日はベッドで眠ていた。 電話をかけたジェームズは、ジェニファーと共にメッセージを残し、一緒に車で帰り話しができて嬉しかったことなどを父アーサーに伝える。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
無口で気難しい老人アーサー・ハリスは、唯一、病弱の妻マリオンだけには優しく接していた。
マリオンは陽気な性格で、公民館で合唱団のレッスンを受けることを楽しみにしていた。
アーサーは、息子のジェームズともしっくりいかない仲で、当然、合唱団にも興味はなかった。
そんなアーサーは、倒れたマリオンが、検査の結果、癌の再発と余命短いことを知らされる。
マリオンがいない人生が考えられないアーサーは気持ちが沈む一方で、合唱のレッスンを担当するエリザベスに心を開きかけるのだが・・・。
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監督のポール・アンドリュー・ウィリアムズが、家族の体験を基にしてストーリーを書き上げ脚本も担当している。
イギリスのベテラン俳優で、共に70歳を過ぎたテレンス・スタンプとヴァネッサ・レッドグレイヴが夫婦を演じる味わい深い感動のドラマであり、現在でも精力的に活動を続ける二人に、まず拍手を贈りたい。
頑固な老人や張り切る老人、親子の溝の修復などは見慣れた内容ではあるが、やはり、主人公二人の重厚な演技により引き込まれるものがある。
恐れていた現実が訪れる妻の死は中盤であるため、その後、残された夫がどう生きていくのか、また、息子を拒絶してしまった主人公の苦悩など、後半は重々しい雰囲気で展開する。
それがメインのドラマではないため、コンサートの模様は意外にもあっさりと描かれている。親子の和解が、直接的ではなく心を開いた老人の安堵の様子で描かれる映像、そしてそのラストもシンプルで実に心地よい雰囲気で終わる。
主人公二人にとっては孫の世代となる、合唱のレッスン担当者を好演するジェマ・アータートン、主人公と和解することができる息子クリストファー・エクルストン、合唱団のメンバー、アン・リード、ラム・ジョン・ホルダー、医師役のカリータ・レインフォードなどが共演している。