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スノーピアサー Snowpiercer (2013)

1982年に発表された、ジャック・ロブバンジャマン・ルグランジャン=マルク・ロシェットのグラフィック・ノベル”Le Transperceneige”を基に製作された作品。
温暖化対策の失敗により氷河期となった地球で唯一の生存空間である永久機関列車”スノーピアサー”内で起きる支配階級に対する貧困層の反乱を描く、原案、監督、脚本ポン・ジュノ、主演クリス・エヴァンスソン・ガンホジェイミー・ベルジョン・ハートティルダ・スウィントンオクタヴィア・スペンサーエド・ハリス他共演のSFスリラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF


スタッフ キャスト
監督:ポン・ジュノ

製作
パク・チャヌク
イ・テホン
スティーヴン・ナム
チョン・テソン
原作
Le Transperceneige
ジャック・ロブ
バンジャマン・ルグラン
ジャン=マルク・ロシェット
原案:ポン・ジュノ
脚本
ポン・ジュノ
ケリー・マスターソン
撮影:ホン・キュンピョ
編集
スティーブ・M・チェ
キム・チャンジュ
音楽:マルコ・ベルトラミ

出演
カーティス・エヴェレット:クリス・エヴァンス
ナムグン・ミンス:ソン・ガンホ
エドガー:ジェイミー・ベル
ギリアム:ジョン・ハート
メイソン:ティルダ・スウィントン
ターニャ:オクタヴィア・スペンサー
ウィルフォード:エド・ハリス
ヨナ:コ・アソン
アンドリュー:ユエン・ブレムナー
グレイ:ルーク・パスカリーノ
教師:アリソン・ピル
フユ:スティーヴン・パーク
年上のフランコ:ヴラド・イヴァノフ
若いフランコ:アドナン・ハスコヴィッチ
画家:クラーク・ミドルトン
クロード:エマ・リヴィー
エッグ・ヘッド:トーマス・レマルキス
ポール:ポール・レイザー

韓国/アメリカ 映画
配給 CJ Entertainment
ワインスタイン・カンパニー
2013年製作 126分
公開
北米:2014年6月27日
日本:2014年2月7日
製作費 $39,200,000
北米興行収入 $4,563,700
世界 $86,758,910


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
2014年7月1日。
地球温暖化が進み、79か国による協議の結果、大気圏上層部に、開発が続けられていた人工冷却物質”CW-7”が散布されることが決定する。

”CW-7”は散布されるが、予想をはるかに上回る低温化により、地球は氷河期へと突入してしまう。

生物は死滅し、永久機関により走り続ける巨大なパワーを誇る列車”スノーピアサー”に乗車した者だけが生き残った。

17年後、2031年。
列車内は、前方車両に住む富裕層が全てを支配し、最後尾の貧困層は、満足な食料と生活環境も与えられない虐げられた扱いを受けていた。

貧困階級のカーティス・エヴェレット(クリス・エヴァンス)は、過酷な日々から抜け出すために、エドガー(ジェイミー・ベル)と共に反乱を起こすチャンスを窺っていた。
...全てを見る(結末あり)

カーティスは、ターニャ(オクタヴィア・スペンサー)の息子ティミーの食料であるプロテインブロックを何とか渡してもらい、中に隠されていた”赤い手紙”を確認する。

それを長老のギリアム(ジョン・ハート)に見せたカーティスは、ナムグン・ミンス(ソン・ガンホ)という、反乱に必要な監獄にいるセキュリティーのプロの存在を知らせる。

エドガーは監獄の男の救出に意見するが、カーティスは、ナムグンを脱獄させる方法をギリアムに伝える。

ナムグンを救い出して力を借りれば、先頭の車両に行けるとカーティスは考える。

エンジンを奪い、スノーピアサーを開発した支配者のウィルフォード(エド・ハリス)を殺すため、指導者となってほしいとカーティスに言われたギリアムは無理だと答える。

それを知ったエドガーは、年老いたギリアムは先が短いため、カーティスに列車を率いてほしいと伝える。

自分はリーダーにはなれないと言うカーティスは、監視兵が現れたために話を止める。

子供達が検査のために連れて行かれることになり、現れたウィルフォードの補佐クロード(エマ・リヴィー)は、ターニャのスカートの中に隠れていたティミーを見つける。

ティミーは連れて行かれ、息子を奪われて抵抗したアンドリュー(ユエン・ブレムナー)は、右手を極寒の外気にさらされる。

現れた支配層の”総理”メイソン(ティルダ・スウィントン)は、過酷な環境下で生き延びるための秩序についての説明を始め、身分をわきまえた行動をするよう警告する。

メイソンの話は終わり、完全に凍結したアンドリューの腕は砕かれる。

ギリアムが近寄って来ることに気づいたメイソンは、”役に立たない”銃を下ろすよう兵士に命ずる。

アンドリューにコートをかけるよう指示したギリアムは、ウィルフォードと話をしなければならないとメイソンに伝えただけでその場を去る。

可燃性が高く幻覚を起こすドラッグのクロノールを手に入れたカーティスは、メイソンが”役に立たない”と言っていたため、監視兵の銃は空だと考える。

それを疑問に思うギリアムに、4年前の反乱で弾が尽きたという考えをカーティスは伝える。

間違いならば殺されて終わると言うギリアムは、赤い手紙を待つようカーティスに指示する。

画家(クラーク・ミドルトン)から息子の絵を受け取ったアンドリューは、悲しみを堪える。

ターニャもティミーの絵を受け取り、自分も戦いに加わりたいことをカーティスに伝える。

計画実行を決意したカーティスは、監視兵の銃が空であることを確認し、エドガーのかけ声で反乱が始まり相手を倒す。

後方でその様子を監視していたギリアムは、護衛のグレイ(ルーク・パスカリーノ)に指示を出し、抵抗する監獄の看守を殺害させる。

グレイが奪った鍵で監禁ボックスが開けられ、眠っているクロノール依存症のナムグンにそれを吸わせて目覚めさせる。

韓国語しか話さないナムグンは、翻訳機を使ってカーティスと話し、セキュリティ・システムをプログラムした自分に、先頭車両までの扉を開けさせる考えを知らされる。

扉を開けるごとにクロノールを渡すと言われたナムグンは、それを受け取りタバコを吸う。

その場にいた少年チャンが、ナムグンのマッチを奪う。

娘ヨナ(コ・アソン)のボックスを開けて起こしたナムグンは、彼女を連れて行くことを伝え、扉ごとにクロノール2個をカーティスに要求する。

最初の扉が開き、その居住空間に誰もいないことを確認したカーティスらは、全てが凍ったままの外の様子を見る。

プロテインブロックの製造現場で作業するポール(ポール・レイザー)と話したカーティスは、その原料が昆虫であることを知る。

ポールが手紙の入っているカプセルを持っていたため、それを追及したカーティスは、持ち込まれたものを混ぜ込んでいるだけだと言われる。

カプセルの赤い手紙に”水”と書かれていたため、2~3車両先に給水セクションがあると言うギリアムは、そこを確保すれば交渉の主導権を奪えると考える。

その後、エドガーやターニャはナムグンの作業の遅さに苛立ち、カーティスは、透視能力のあるヨナに扉の向こうの様子を探らせようとする。

開けてはいけないと言うヨナだったが、ナムグンは扉を開けることに成功する。

そこには武器を持った兵士が待ちかまえ、激しい殺し合いが始まる。

鉄橋に迫り戦いは中断し、年が明けたことを知らされるものの、列車は何度か氷壁に突っ込む。

現れたメイソンは、反乱を起こしたカーティスらを批判し、兵士に赤外線ゴーグルを付けさせる。

トンネルが迫ることをヨナとナムグンから知らされたカーティスは、暗闇の中で仲間達が次々と殺される中、チャンが持っているはずのマッチのことを思い出す。

松明を手にしたカーティスらは反撃し、傷を負ったメイソンを人質に取ろうとする。

若いフランコ(アドナン・ハスコヴィッチ)に捕らえられたエドガーを諦めたカーティスは、メイソンを人質に取り戦いを止めさせる。

カーティスはエドガーの死を確認し、ギリアムは、給水セクションで体を洗うよう指示する。

ターニャとアンドリューは、メイソンを脅して息子達がどこにいるかを聞き出そうとする。

ウィルフォードが知っていると答えたメイソンは、彼をこの場に呼ぶことを要求するカーティスとギリアムに、水源を止めると脅される。

水源は、氷と雪を砕いて作る先頭車両にあると言うメイソンはカーティスに殺されそうになり、自分は役に立つと伝えて命乞いをする。

案内すると言うメイソンは、先頭車両に着いたらウィルフォードを殺し、自分を助けてほしいと伝える。

先に進むことを諦めるようにとギリアムに言われたカーティスだったが、考えを変えるつもりはなかった。

ウィルフォードの居場所をギリアムから知らされたカーティスは、相手に隙を与えないようにと忠告される。

選抜した数人を連れたカーティスは、メイソンに案内させて次の植物栽培セクションに向かう。

海中トンネルを通り、その場にあった寿司バーで食事をすることになったカーティスは、メイソンにプロテインブロックを食べさせる。

その後カーティスらは、精肉保管庫を通り、子供達が学ぶ教室に向かう。

ターニャとアンドリューは息子達を捜すものの見つからず、前方車両に連れて行かれたことを知る。

その場では、教師(アリソン・ピル)による、ウィルフォード崇拝の洗脳教育が行われていた。

かつて列車から脱出した乗客7人が、凍ったままでいる場所を通過し、それを子供達に見せた教師は反乱の末路を教える。

エッグ・ヘッド(トーマス・レマルキス)が現れ、ウィルフォードからの新年の湯で卵が届けられ、それは、後方で待機していた貧困層の者達にも配られる。

卵を受け取ったカーティスはカプセルに気づき、赤い手紙の”血”という文字を確認した直後に、教師やエッグ・ヘッドが銃を乱射する。

アンドリューは射殺され、グレイが放ったナイフで教師は刺殺される。

捕らえられたギリアムがモニターに映し出され、カーティスは、年上のフランコ(ヴラド・イヴァノフ)にギリアムが射殺される姿を確認する。

動揺するカーティスは、ターニャに頬を殴られ、リーダーになるようにと言われる。

メイソンを射殺したカーティスは前進し、支配者階級のリッチな空間を通過する。

線路が湾曲している場所で、フランコは、前方車両に向かっているカーティスらを銃撃する。

カーティスも反撃し、ナムグンは、銃弾の穴から車両内に入って来た雪の結晶を見つめる。

サウナ・ルームに入ったフランコは、襲い掛かって来たグレイに肩を刺される。

カーティスと銃撃戦になったフランコは、彼を叩きのめして殺そうとするが、それをグレイに阻止される。

グレイを刺殺したフランコは、隠れていたナムグンとヨナを見つける。

ナムグンと格闘になったフランコは、カーティスにわき腹を刺されて息絶える。

銃弾を受けたターニャは、ティミーを必ず見つけだすと言うカーティスに感謝して息を引き取る。

快楽の空間を通過したカーティスとナムグン、そしてヨナは、ついにウィルフォードの部屋の扉に到着する。

扉を開けるようにとカーティスに言われたナムグンは、クロノールを要求する。

苛立つカーティスを落ち着かせたナムグンは、彼に最後のタバコを渡す。

最後尾に乗り込んだ時の話を始めたカーティスは、千人余りが、水も食料もないまま1か月間放置されたため、弱者を食料にし始めたことを語る。

子どもを隠したある母親を男達が襲って殺したものの、現れた老人が自分の腕を切って、それを食べるようにと指示した。

赤ん坊には手を出すなと言ったその老人が誰かは察しがつくだろうが、その子供はエドガーで、母親を殺したのは自分だと伝えたカーティスは、辛い経験を語る。

その後、自分の腕や脚を切って与え始める者達が現れたことを、カーティスは奇跡だと考えた。

1か月後に監視兵が運んできた、プロテインブロックを食べて生き延びたことを話すカーティスは、18年間憎んできたウィルフォードに会うためにこの場に来たと言って、ナムグンに扉を開けさせようとする。

話しは理解したが、外界に出る扉を開けると言うナムグンは、外で生きていける可能性を語り始める。

鉄橋の下に墜落した旅客機を10年前から観察していたナムグンは、確実に雪と氷が解けているとカーティスに伝える。

雪の結晶も観察していたナムグンは、溶ける準備ができていると確信していた。

山の雪が崩れ落ちるはずだと言うナムグンは、あるものを窓から見たことも話そうとするものの、それが何かは語らなかった。

クロノールの吸い過ぎだとカーティスに言われたナムグンは、可燃性のあるそれを、爆弾として利用するために集めていたことを伝える。

マッチを渡せと言うナムグンだったが、開いた扉から現れたクロードに撃たれてしまう。

クロードはカーティスを内部に案内し、食事の用意をしていたウィルフォードと話す。

特権を批判されたウィルフォードは、増え過ぎたものを減らす場合には、過激な行動をとるのは必要だと伝える。

時に殺し合いをさせることは有効な手段であると言うウィルフォードは、ギリアムと組んで反乱を意図的に計画したことを話す。

それを信じようとしないカーティスに、トンネルで終わる予定だったはずが、予想外にこちら側の被害が出たため、ギリアムには責任を取らせたことをウィルフォードは伝える。

ギリアムらの居住空間にいるエッグ・ヘッドに電話をしたウィルフォードは、18周年であるため18人を見逃すよう伝えて、その場の者達の殺害を命ずる。

ウィルフォードから、ギリアムと話した内容を知らされたカーティスはショックを受ける。

息のあったフランコは起き上がり、脇腹のナイフを抜き前方に向かう。

気を失っていたヨナは目覚めて、ナムグンが撃たれていることに気づく。

快楽の空間から現れた者達に襲われそうになったナムグンは、ヨナに扉を開けさせようとする。

呆然とするカーティスをエンジンの心臓部に案内したウィルフォードは、絶望しかける彼にカプセルを渡す。

赤い手紙に書かれた”列車”の文字を確認したカーティスは、自分の地位を譲りたいとウィルフォードに言われる。

列車が一つの世界を構成していると語るウィルフォードは、それを率いるのが使命だとカーティスに伝える。

扉を開けたヨナは、出てきたクロードを叩きのめし、クロノールを奪い扉に張り付けるようにとナムグンに指示される。

クロノールを扉に張り付けたヨナは、カーティスがマッチを持っているとナムグンに言われる。

カーティスは、近づいてきたヨナと共に、床下の機械室で作業するティミーを見つける。

狭いために5歳以下の子供しか入れないと言うウィルフォードは、作業させるには最適だったとカーティスに伝える。

ウィルフォードを殴ったカーティスは、腕で歯車を止めてヨナにマッチを渡し、ティミーを救い出そうとする。

アンドリューの息子が現れ、カーティスが制止するものの、彼は持ち場に向う。

ティミーを救い出したカーティスは腕を折ってしまい、点火したヨナを抱きしめ、ナムグンも寄り添う。

扉は爆破され、衝撃を受けた雪山は雪崩を起こし、列車に襲いかかる。

列車は脱線し、生き残ったヨナはティミーの無時も確認し、ナムグンとカーティスを捜す。

外に出たヨナは生れて初めて雪の上を歩き、ティミーと共に山を登るホッキョクグマを見つめる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
2014年、温暖化対策の失敗により、地球は氷河期となってしまう。
2031年、唯一の生存空間である永久機関列車”スノーピアサー”は、世界各地を走り続ける。
列車内は前方車両の富裕層が支配し、最後尾の貧困層の生活は虐げられていた。
貧困層のカーティス・エヴェレットは、長老である指導者ギリアムに反乱を計画を話して実行し、先頭車両を目指そうとする。
セキュリティ・システムをプログラムしたナムグンを救い出したカーティスらは、何か所もある扉を彼に開けさせて前進しようとするのだが・・・。
__________

原作”Le Transperceneige”が気に入った韓国人映画監督のポン・ジュノが、原案、監督、脚本を担当した意欲作であり、ハリウッドフランス資本で製作され、人気スターのクリス・エヴァンス他、ベテランの実力派など豪華競演も話題になった作品。

トップ・スターの出演や作品のスケールの割には、製作費は3900万ドルに抑えられている。

物語自体はそれほど興味深い内容ではなく、SFなので大袈裟に考えることもないが、やや荒唐無稽な話でもある。

しかし、穴倉のような貧困層の居住空間から脱出した者達の、人間の尊厳を求める逞しく勇ましい戦いは見応え十分。
先頭車両に向かうにしたがって生活環境が変わる、階級制を実感させる描写もなかなか面白い。

批評家の評価はよかったのだが、北米では全国的な拡大公開はされずに、興行成績はわずか500万ドル弱に終わり、全世界では約8700万ドルとまずまず健闘した。

過去の傷を引きずりながら、反乱計画を実行するリーダーとなるクリス・エヴァンス、彼に協力す入るセキュリティのプロ、ソン・ガンホ、その娘コ・アソン、主人公を慕う青年ジェイミー・ベル、貧困層の指導者である長老のジョン・ハート、支配階級の総理を怪演するティルダ・スウィントン、息子を救うために逞しく戦う貧困層の女性オクタヴィア・スペンサー、終盤しか登場しない列車の支配者のエド・ハリス、息子を救い出そうとする貧困層のユエン・ブレムナー、指導者ギリアムの護衛である戦士のルーク・パスカリーノ、教師のアリソン・ピル、監視兵の指揮官スティーヴン・パーク、支配階級の殺し屋ヴラド・イヴァノフアドナン・ハスコヴィッチ、貧困層の画家クラーク・ミドルトン、支配者ウィルフォードの補佐エマ・リヴィー、エッグ・ヘッドのトーマス・レマルキス、プロテインブロックの製造を担当するポール・レイザーなどが共演している。


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