人気クイズ番組”Who Wants to Be a Millionaire”で正解し続ける青年の行動を通しインドの社会問題を描く、監督ダニー・ボイル、主演デーヴ・パテル、フリーダ・ピント、アニル・カプール、イルファーン・カーン他共演によるラブ・ロマンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ダニー・ボイル
製作:クリスチャン・コルソン
脚本:サイモン・ビューフォイ
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
編集:クリス・ディケンズ
音楽:A.R.ラフマーン
出演
デーヴ・パテル:ジャマール・マリク
マドゥル・ミッタル:サリーム・マリク
フリーダ・ピント:ラティカ
アニル・カプール:プレーム・クマール
イルファーン・カーン:警部
アンカー・ヴィカル:ママン
マヘシュ・マンジレカー:ジャヴェド・カーン
アーユッシュ・マヘーシュ・ケーデカール:ジャマール(幼少期)
アズルディン・モハメド・イスマイル:サリーム(幼少期)
ルビーナ・アリ:ラティカ(幼少期)
タナイ・チェーダー:ジャマール(少年期)
アーシュトーシュ・ローボー・ガージーワーラー:サリーム(少年期)
タンヴィー・ガネーシュ・ローンカル:ラティカー(少女期)
イギリス 映画
配給
Pathe Pictures International(イギリス/ヨーロッパ)
フォックス・サーチライト・ピクチャーズ(北米)
ワーナー・ブラザーズ
2008年製作 120分
公開
イギリス:2009年1月9日
北米:2008年11月12日
日本:2009年4月18日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $141,319,930
世界 $377,417,290
■ アカデミー賞 ■
第81回アカデミー賞
・受賞
作品・監督・脚色・編集・撮影・録音・作曲・歌曲賞
・ノミネート
音響編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2006年、インド、ムンバイ。
コールセンターで働くジャマール・マリク(デーヴ・パテル)は、人気クイズ番組”Who Wants to Be a Millionaire”に出演し、賞金2000万ルピー獲得寸前で警察に連行されてしまう。
スラム育ちのジャマールは、教養も知識もないはずなのに、次々と問題を解き、何か細工をしているのではないかと疑われたのだ。
警部(イルファーン・カーン)は、ジャマールを拷問するが、彼は答えを知っていたと言い張り、番組をビデオで再生しながらその理由を語り始める。
番組の問題の答えは、ジャマール/幼少期(アーユッシュ・マヘーシュ・ケーデカール)が、スラムの極貧生活を兄のサリーム/幼少期(アズルディン・モハメド・イスマイル)と生き抜いた生活の中で、経験したことで回答できたのだった。 苦労してサインを貰った、人気俳優の名前などがそれだったのだ。 ある日、反イスラム教徒の暴動により、目の前で母を殺されたジャマールとサリームは、孤児のラティカ(ルビーナ・アリ)と出会い、住む家もない生活を強いられる。 ゴミ収集場で暮らしていた3人は、その後、ママン(アンカー・ヴィカル)という優しそうな男に、”孤児院”のような施設に連れて行かれる。 同じような境遇の子供達が集まり、何より飢えから解放されるその施設は、ジャマール達にとっては天国のように思える場所だった。 しかし、そこは、ストリート・チルドレンを集め、物乞いをさせる事をビジネスにしている集団の施設だった。 サリームに目をつけたママンは、彼を自分に服従させるように訓練し、子供達を町に放ち金を搾取した。 さらにママンは、歌の上手い子供を見つけ失明させて、より人々の同情を買うことを考える。 ママンは、サリームにジャマールを連れてくるよう指示するが、サリームは、さすがにそれをためらい、ジャマールと共に施設を脱出しようとする。 ママンの隙を見て逃亡し、列車で逃げ延びたジャマールとサリームだったが、ラティカは逃げ遅れてママンに捕まってしまう。 ジャマールとサリームは物を売り、生き抜くためにあらゆることをして年月が過ぎていく。 ある日、ジャマール/少年期(タナイ・チェーダー)とサリーム/少年期(アーシュトーシュ・ローボー・ガージーワーラー)はタージ・マハルにたどり着き、そこで観光客相手に盗みなどをして暮らしていた。 さらに、ジャマールは、即興でツアーガイドを始めてしまい、人を騙してなんとか極貧生活から脱出する。 ジャマールはムンバイに戻るが、気の毒なラティカのことが忘れられず、働きながら彼女を捜し回る。 ある日ジャマールは、ママンに失明させられて路上で物乞いをしながら歌う少年と再会する。 ラティカの居場所を聞き出したジャマールは、サリームと共にその場に向かい、ラティカ/少女期(タンヴィー・ガネーシュ・ローンカル)を見つける。 そこにママンが現れてジャマールらを脅すが、サリームが彼を銃で殺害し、金を奪い逃走した3人は、廃墟のホテルに身を潜める。 ママンを殺したことを強みに、サリームは、彼と対立していた、街を牛耳る暗黒街の男ジャヴェド・カーン(マヘシュ・マンジレカー)の手下となる。 ホテルに帰ったサリームは、ラティカを自分の物にするために、ジャマールを追い出そうとする。 二人は争いになり、サリームはジャマールに銃を向け、ラティカはジャマールの命を助けるために、自分を犠牲にして彼を部屋から出す。 数年後、ムンバイのコールセンターでアシスタントとして働くジャマールは、同僚から、数分間だけ交換手を頼まれる。 ジャマールは、コンピュータのデータベースでサリームの電話暗号を知り、彼に連絡をする。 サリーム(マドゥル・ ミッタル)に呼び出されたジャマールは、自分に黙って姿を消した兄を許すことが出来ず殴り倒す。 ジャマールは、ジャヴェドの右腕となっていたサリームの後を付けて、屋敷にラティカ(フリーダ・ ピントー)がいることを確認する。 屋敷に侵入したジャマールはラティカと再会するが、既にジャヴェドの情婦になっていた彼女を、救い出すことができなかった。 ジャマールは、毎日5時に駅で待っていることをラティカに伝え、屋敷から立ち去る。 翌日から、ラティカを駅で待つジャマールは、ある日、彼女の姿を見つける。 しかし、ラティカはサリーム達に車で連れ去られ、ナイフで左頬を切られてしまう。 ジャマールは、姿を消したラティカを見つける手段として、人気クイズ番組”Who Wants to Be a Millionaire”に出演し、 誰もが成し遂げられなかった、全問正解直前の問題まで正解を続けてしまう。 司会者プレーム・クマール(アニル・カプール)は、全国民の注目を浴びるジャマールを妬む。 クマールは休息中にトイレで、ジャマールに間違った回答を教える。 しかし、ジャマールは、その裏をかき正解を答え、ついに1000万ルピーを獲得する。 2000万ルピーへの挑戦は、翌日に持ち越されるのだが、クマールは、ジャマールが不正をしていると警察に通報してしまう。 ジャマールは、最終回答を明日に控え、番組終了後に警察に連行される。 警部は、金のために番組に出たのではないことが証明された、ジャマールを釈放することにする。 ジャヴェドの屋敷では、サリームが彼の携帯電話と車の鍵をラティカに渡す。 サリームは自分のしたことを謝罪し、ラティカをジャマールの元に向かわせる。 国中の注目を集めたジャマールは、最後の回答に挑むためにスタジオに向かう。 そして、ジャマールへの最後の問題は、アレクサンドル・デュマ・ペールの、”三銃士”の3人目の銃士は誰かというものだった。 問題の答えが解らないジャマールは、”Phone-A-Friendlifiline”を選択して、サリームに電話を掛ける。 渋滞に巻き込まれ街頭で番組を見ていたラティカは、その電話に気づくが、彼女も答はわからなかった。 かつて子供の頃、自分達を”三銃士”にたとえ、その名前だけは知らなかった”アラミス”とジャマールは答える。 ジャヴェドは、その番組を見て、ラティカが逃げ出したことを知り、裏切ったサリームが逃げ込んだ浴室に押し入ろうとする。 ジャマールは正解して、2000万ルピー(約40万ドル)を獲得、固唾を呑んで見守っていた国民は歓喜する。 ジャヴェドはサリームに射殺され、部下が彼を銃撃して、”神は偉大なり”と言い残しサリームは息を引き取る。 その後ジャマールが、再び駅でラティカを待っていると、ホームに彼女が現る。 そしてジャマールは、再会が運命であることをラティカに伝え、二人は固く抱き合う。
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...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
2006年、インド、ムンバイ。
コールセンターで働くジャマール・マリクは、クイズ番組”Who Wants to Be a Millionaire”に出演する。
教養も知識もないはずの、スラム育ちの彼が、次々に問題を解いていくことが疑問視されてしまい、2000万ルピー獲得寸前で、警察に連行されてしまう。
警部はジャマールを拷問するが、幼少期に彼は、スラムの極貧生活を兄のサリームと生き抜き、その中で経験したことなどで回答ができたことを訴え、その頃を思い出す。
反イスラム教徒の暴動で、目の前で母を殺されたジャマールとサリームは、同じく孤児のラティカと出会い、住む家もない日々を過ごす。
ある日3人は、ママンという男に、子供達が集まる”孤児院”のような施設に連れて行かれる。
ジャマール達にとって、飢えから解放されるその施設は、天国のように思える場所だったのだが・・・。
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独自の形式で世界各国で放映されているイギリス発祥のクイズ番組”Who Wants to Be a Millionaire”で正解し続ける青年の出場の理由の影にあるインドの抱える社会問題、貧困に喘ぐ人々や子供達の生活を赤裸々に描く
ダニー・ボイルは、自ら運命を切り開こうとする、若者の逞しい姿とロマンスを、躍動感ある映像と演出で力強く描き切っている。
第81回アカデミー賞では9部門にノミネートされ、作品賞以下8部門で受賞し世界各国で絶賛された作品。
・受賞
作品・監督・脚色・編集・撮影・録音・作曲・
歌曲賞
・ノミネート
音響編集賞
インドを舞台にした、地元俳優を多く起用したイギリス映画として予算不足の中でようやく完成した作品で、北米ではわずか10館の上映から始まり、アカデミー賞受賞以後、さらに支持層を広げ続け、全世界の興行収入で約3億7700万ドルの大ヒットとなった。
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製作費 $15,000,000
北米興行収入 $141,319,930
ムンバイのスラム街で暮らす人々の精神的な強さと逞しく生きる姿に、冒頭から圧倒され、そのスピーディーでスリリングな映像と、A.R.ラフマーンの音楽が見事にマッチし、あたかもミュージカル映画を見ているような雰囲気でもある。
その、リズミカルでテンポの良い展開とは裏腹に、溢れる孤児達の悲惨な生活は、これが作り物で現実ではなく、映画の中だけであってほしいと願ってしまうほど痛々しい。
無邪気なのは姿だけで、たちまち、大人達の厳しく陰湿な世界に順応しなければならない子供達が、世の中には数知れずいるかと思うと、それもまた信じ難い現実だ。
アクションでもSF大作でもない作品で、これだけのパワーを感じさせてくれものはかつてなかったように思える。
ラストの若者達のダンスには、全世界が拍手喝采だっただろう!!
主人公を演ずる青年デーヴ・パテル、兄マドゥル・ミッタル、彼らと生き抜く少女フリーダ・ピント、番組司会者のアニル・カプール、警部のイルファーン・カーン、子供達を物乞いにする男アンカー・ヴィカル等が共演している。