脚本も担当するピーター・ハウイットの初監督作品で、主人公が地下鉄に乗り遅れた瞬間に起きるパラレル・ワールドを描く、製作シドニー・ポラック、主演グウィネス・パルトロー、ジョン・ハナー他共演のラブ・コメディ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ピーター・ハウイット
製作
シドニー・ポラック
フィリッパ・ブレイスウェイト
ウィリアム・ホーバーグ
脚本:ピーター・ハウイット
撮影:レミー・アデファラシン
編集:ジョン・S・スミス
音楽:デイヴィッド・ヒルシュフェルダー
出演
ヘレン・クイリー:グウィネス・パルトロー
ジェームズ・ハマートン:ジョン・ハナー
ジェリー:ジョン・リンチ
リディア:ジーン・トリプルホーン
アンナ:ザーラ・ターナー
ラッセル:ダグラス・マクフェラン
ハマートン夫人:ヴァージニア・マッケンナ
ポール:ケヴィン・マクナリー
クライヴ:ポール・ブライトウェル
クローディア:ニナ・ヤング
イギリス/アメリカ 映画
配給 ミラマックス
1998年製作 99分
公開
イギリス:1998年5月1日
北米:1998年4月24日
日本:1998年9月12日
製作費 $9,000,000
北米興行収入 $11,883,500
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロンドン。
慌しい朝を迎えた、広告代理店に勤務するヘレン・クイリー(グウィネス・パルトロー)は、同棲中の恋人で小説家志望のジェリー(ジョン・リンチ)をベッドに残して会社に向かう。
しかし、会議に遅れたヘレンは、上司ポール(ケヴィン・マクナリー)にクビを言い渡され、失意のうちに”ロンドン地下鉄”のホームに向かう。
ヘレンは、到着した車両に乗り込もうとした瞬間にドアが閉まってしまい、乗車することが出来なかった。
・・・ その瞬間から、ヘレンが電車に間に合った場合の世界も展開する。 ・・・ 地下鉄に乗り遅れたヘレンは、タクシーを拾おうとしていた時、引ったくりに遭い怪我をしてしまい、念のために病院に連れて行かれる。 ●電車に間に合った場合 次のホームで降りたジェームズを追い、ヘレンは自分の態度を謝罪し、軽い会話を交わして彼と別れる。 帰宅したヘレンは、ジェリーがアメリカ人の元恋人リディア(ジーン・トリプルホーン)と、浮気している現場を目撃してしまう。 リディアが帰った後、憤慨したヘレンはジェリーを罵り、彼を見限ってその場を去る。 ◆電車に乗り遅れた場合 へレンが怪我をしたことを知り、クビになったことや引ったくりに遭った話を聞かされたジェリーは、リディアのいたことを気づかれないかと気が気でない。 地下鉄に乗れていたら、引ったくりにも遭わず、怪我もせずに帰宅できたと言うヘレンだったが、ジェリーはそれを聞いて焦ってしまい、気分転換に外食することを提案する。 ●電車に間に合った場合 ヘレンの親友アンナ(ザーラ・ターナー)の家を訪ねたジェリーは、 彼女に自分が悪いことをしてしまったことを見抜かれてしまう。 パブで自棄酒を飲んでいたヘレンは、その場でジェームズと出くわし慰められる。 ◆電車に乗り遅れた場合 ●電車に間に合った場合 その後、ヘレンは悪酔いしてしまい、アンナに連れられて店を出て、ちょうどタクシーで帰ろうとしていたジェームズに送られる。 ◆電車に乗り遅れた場合 ●電車に間に合った場合 そんな時、現れたジェームズとヘレンは外出し、冗談ばかり言う彼と、後日、会うことを約束する。 ◆電車に乗り遅れた場合 焦ったジェリーは、疑われているのが不快だと言って言葉を返し、ヘレンはただの質問だと彼をなだめる。 図書館に行くと言って外出したジェリーを尾行したヘレンだったが、彼はそれに気づき、ホテルに行くはずの予定が狂い、リディアに電話をする。 強引なリディアに旅行にも誘われていたジェリーは、彼女とは早く別れるべきだと、友人ラッセル(ダグラス・マクフェラン)に助言される。 ●電車に間に合った場合 ヘレンは、ジェームズに自分で事業を始めてみてはと助言され、彼やアンナの協力を得て、オフィスを借りてビジネスを始める。 ◆電車に乗り遅れた場合 それをリディアから知らされたジェリーは、仕方なくヘレンに全てを告白しようとするが、彼女は疲れて眠ってしまう。 ●電車に間に合った場合 しかし、ヘレンに声をかけることも出来ず、優柔不断さに痺れを切らしたリディアにも見限られる。 そして、ヘレンとジェームズは、自然の成り行きで愛し合うようになる。 そんなある日、ジェームズの友人クライヴ(ポール・ブライトウェル)の、店の開店をサポートしていたヘレンの元に、ジェリーが現れる。 ジェリーはヘレンと寄りを戻そうとするが、彼女は答を返さず、その様子を見ていたジェームズは、その後、出張だと言って姿を消してしまう。 ◆電車に乗り遅れた場合 ”悪女”から解放された気分のジェリーは、それを興奮しながらラッセルに知らせ、帰宅してヘレンの帰りを待つ。 浮気の後ろめたさから、恋人に花を贈ろうとした男性を勤め先のレストランで見ていたヘレンは、ジェリーも花を用意していたことに戸惑ってしまう。 ●電車に間に合った場合 ラッセルに会ったジェリーは、リディアが妊娠している可能性を伝える。 ジェリーは、まるでコメディだと言ってラッセルに笑われ、落ち込む一方だった。 ◆電車に乗り遅れた場合 慌てふためくジェリーに、ヘレンは妊娠したかもしれないことを言いそびれてしまう。 ●電車に間に合った場合 ヘレンは、ジェームズがジェリーに遠慮していたことを知り、その夜、クライヴの店で会う約束をする。 そして、楽しい夜を過ごした後、二人は愛し合い、その後、ヘレンはジェームズの子を妊娠していることを知り、それをアンナに話す。 ジェームズにもそれを知らせようとしたヘレンは、彼が妻帯者だということを知ってしまう。 ◆電車に乗り遅れた場合 ●電車に間に合った場合 ヘレンを橋の上で見つけたジェームズは、妻のクローディア(ニナ・ヤング)とは別居中で、離婚する予定だということを伝える。 さらに、母親(ヴァージニア・マッケンナ)が病気だったため、妻とは仲の良いふりをしていたことをジェームズは伝え、ヘレンの誤解は解ける。 しかし、別れ際にヘレンは車に轢かれてしまい、病院に運ばれ、彼女が流産したことをジェームズは知らされる。 ◆電車に乗り遅れた場合 そこに、就職の面接に来たへレンが現れ、彼女はリディアの妊娠を知ってしまう。 驚いたヘレンは慌てたため階段から落ちてしまい、病院に運ばれ、彼女が流産したことをジェリーは知らされる。 ●電車に間に合った場合 ◆電車に乗り遅れた場合 エレベーターに乗ったヘレンは、母親の見舞いのジェームズと一緒になる。 ヘレンの落としたイヤリングを拾ったジェームズは、悲しい顔をしている彼女に、”モンティ・パイソンは、何と言ってるか”を尋ねる。 ”スペイン異端宗教裁判を期待するものはいない”と、即座に答えたヘレンとジェームズは、お互い見つめ合う。
...全てを見る(結末あり)
会社のエレベーターで会い、イヤリングを拾ってもらった男性ジェームズ・ハマートン(ジョン・ハナー)に、車内で話しかけられたヘレンは、 彼を迷惑に思い素っ気無い態度をとってしまう。
軽傷だったヘレンは、治療を終えタクシーで帰宅し、リディアが帰った後シャワーを浴びていたジェリーは、それに気づき驚いてしまう。
ショックを受けたヘレンは、橋の上から指輪を捨ててしまい、同じ頃、ジェリーは姿を消した彼女を捜し始める。
ヘレンとジェリーはパブに向かい、楽しい酒を飲み始める。(カウンターにはジェームズがいる)
心配してパブに現れたアンナは、ヘレンを見つけジェリーが来たことを伝え、気落ちする彼女を抱きしめて慰める。
ヘレンは、翌日から職を探し、とりあえずウエイトレスや馴染みのカフェの配達係などを始める。
アンナの家で同居を始めたヘレンは、心機一転、髪の毛をカットして何とか立ち直ろうとする。
ヘレンは、クビになった日に帰宅した時、ワイングラスが二つあったことをジェリーに問質す。
ジェームズとの約束の日、ヘレンは彼や友人らと楽しい時を過ごす。
リディアは、 サンドイッチで食中毒が起きたと言って、カフェの配達係のヘレンを職場に呼び出し探りを入れる。
ヘレンは、ジェームズと友人として親交を深め、ジェリーは、そんな彼女をパブで見かける。
取材を理由に、リディアとの旅行に出かけたジェリーは、自分の意思をはっきりさせないことに憤慨した彼女に捨てられてしまう。
ジェリーを訪ねたヘレンは、彼に戻って欲しいと言われるが、かかってきた電話の相手がリディアだと知り、憤慨してその場を立ち去る。
旅行から戻ったジェリーは、ヘレンの再就職の件を知らされるが、家の外のリディアに気づき動揺してしまう。
ジェームズに連絡を取ろうか迷うヘレンは、街角で彼に出くわす。
ヘレンは、様子のおかしいジェームズに、浮気をしているかを問質すが、彼はそれを否定する。
ジェームズはアンナの家を訪れ、ヘレンを裏切ったことを知った彼女に罵倒される。
ジェリーはリディアの元に向かい、彼女と完全に別れようとするが、彼は妊娠を知らされる。
ヘレンが意識を取り戻すのを待つジェームズは、彼女を幸せにすることを誓う。
意識を取り戻したヘレンは、ジェリーを病室から追い払い、回復後に退院することになる。
*(簡略ストー リー)
慌しい毎日を送る、広告代理店勤務のヘレン・クイリーは、同棲中の恋人である、作家志望のジェリーを養っていた。
そんなヘレンは、会議に遅刻してクビになってしまい、失意のうちに地下鉄に乗り帰宅しようとする。
しかし、ヘレンは地下鉄に乗り遅れてしまい、その瞬間に、彼女が車両に乗れた場合の世界も展開する。
・乗れた場合・
車内で愉快な男性ジェームズと出会ったヘレンは、彼と軽い会話を交わして別れる。
帰宅したヘレンは、ジェリーが元恋人のリディアと浮気している現場を目撃してしまい、憤慨した彼女は家出してしまう・・・。
・乗れなかった場合・
引ったくりに遭い、怪我をしたヘレンは病院に向かい、その後、帰宅する。
ジェリーの浮気にヘレンは気づかないが、彼の様子がおかしいことを感じながらも、生活のために働き始めるのだが・・・。
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地下鉄のスライディング・ドアが閉まった瞬間に起きる、パラレル・ワールドで展開する恋の行方を、コミカルな序盤で始まり、恋人に裏切られる失意の主人公が、新たな恋を掴みながらも、悩み困惑する切ない女心を描いたユニークな作品。
当然ながら、二つの世界の舞台や登場人物が同じなために戸惑ってしまうが、主人公のヘアースタイルを変えることで、区別をつける工夫をしている。
イギリス人気質丸出しの、主人公を取り巻く友人達などの描写も実に楽しい。
なんと言っても注目は、透き通るような白い肌も印象的なグウィネス・パルトローのキュートな魅力で、彼女は、同年12月公開の「恋におちたシェイクスピア」(1998)で、見事にアカデミー主演賞を受賞することになる。
軽い感じで登場するが、ドラマが進むに連れ、微妙に揺れ動く女心を演じ切っている。(二役と言ってもいい)
スーパー・キャリア・ウーマンでもないが、主人公のグウィネス・パルトローとは釣り合わないような雰囲気もある、愉快ではあるが誠実な実業家ジョン・ハナー、同じく冴えない作家志望の恋人ジョン・リンチ、その元恋人で、悪女的な存在のジーン・トリプルホーン、主人公の友人役ザーラ・ターナー、ジェリー(J・リンチ)の友人のダグラス・マクフェラン、ジェームズ(J・ハナー)の母親で、懐かしいヴァージニア・マッケンナ、主人公の上司ケヴィン・マクナリー、ジェームズの友人ポール・ブライトウェル、妻ニナ・ヤング、監督ピーター・ハウイットも端役で登場する。