製作、原案、特撮レイ・ハリーハウゼンによる”シンドバッド3部作”の最終作。 魔術で人間から姿を変えられた王子を救おうとするシンドバッドらの活躍を描く、監督サム・ワナメイカー、主演パトリック・ウェイン、タリン・パワー、マーガレット・ホワイティング、ジェーン・シーモア、パトリック・トラウトン他共演のファンタジー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:サム・ワナメイカー
製作
チャールズ・H・シニア
レイ・ハリーハウゼン
原案
ビヴァリー・クロス
レイ・ハリーハウゼン
脚本:ビヴァリー・クロス
撮影:テッド・ムーア
特撮:レイ・ハリーハウゼン
編集:ロイ・ワッツ
音楽:ロイ・バッド
出演
シンドバッド:パトリック・ウェイン
ディオーネ:タリン・パワー
ゼノビア:マーガレット・ホワイティング
ファラー:ジェーン・シーモア
メランシアス:パトリック・トラウトン
ラフィ:カート・クリスチャン
ハッサン:ナディム・サワラ
カシム:ダミアン・トマス
バルソラ:ブルーノ・バルナベ
ザビド:バーナード・ケイ
マルーフ:サラミ・コーカー
アブー=シール:デヴィッド・スターン
ミノトン:ピーター・メイヒュー
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1977年製作 113分
公開
イギリス:1977年7月14日
北米:1977年8月12日
日本:1977年8月20日
製作費 $3,500,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
チャラック王国では、カシム王子(ダミアン・トマス)の戴冠式が行われていた。
しかし、カシムの邪悪な継母ゼノビア(マーガレット・ホワイティング)は、息子のラフィ(カート・クリスチャン)と共にその様子を見つめながら、カシムに呪いをかけてしまう。
それを見て驚いたカシムの妹ファラー(ジェーン・シーモア)は、叫び声をあげる。
船員たちと上陸したバグダッドの王子である船乗りシンドバッド(パトリック・ウェイン)は、町に向かう。
城門が閉まっているために不思議に思ったシンドバッドは、その場にいたラフィから、カシムが即位していないことを知らされ、彼とファラーに会おうとする。 疫病で閉ざされた城内に、夜明けなら入れると言われたシンドバッドは、ラフィのテントで待つことにする。 振る舞われた酒に毒が盛られていることに気づいたシンドバッドらは、ラフィに襲い掛かり剣で脅す。 そこにゼノビアが現れ、虎の目をした彼女が魔術をかけ、三人の”グール”を呼び寄せる。 グールと剣を交えたシンドバッドらは、その場から逃げようとする。 現われたファラーから声をかけられたシンドバッドは、船に向かうために彼女と海に飛び込む。 船に戻ったシンドバッドは、直ちに出航させて沖に停泊し、夜明けに戻ろうとする。 シンドバッドは、ファラーから、呪いをかけられたカシムを助けてほしいと言われ、恩人のために命をかけることを約束する。 疫病という話はウソで、夜になると、魔女の恐怖に包まれるという噂だと言いながら怯えるファラーをシンドバッドは気遣う。 ファラーとの愛を確かめたシンドバッドは彼女に求婚し、承諾してもらう。 カシムの同意を得るには人間に戻す必要があると言うファラーは、兄が戴冠の日に呪をかけられたことを話しながら眠る。 翌日、港に戻ったシンドバッドは、ファラーのおじバルソラ(ブルーノ・バルナベ)から、カシムの呪いの話を聞く。 呪いを解くには、黒魔術や錬金術に精通した者が必要だと言うシンドバッドは、カスガル島のギリシャの賢人メランシアス(パトリック・トラウトン)が相応しい人物だと、バルソラとファラーに伝える。 シンドバッドは、7度めの満月までに即位しないとカシムが継承権を失うことを知り、バルソラから財宝は好きなだけ与えると言われ、ほしいものはファラーだと伝える。 そこにゼノビアが現れ、挨拶したシンドバッドは滞在の理由を訊かれ、カシムに会いに来たと答えて、王に結婚の許可を得たいと伝える。 決して元に戻らないカシムは即位できないと言って苛立つゼノビアは、バルソラとファラーに近づき諦めさせようとする。 ラフィを王にしようとするゼノビアに襲いかかったファラーを制止したシンドバッドは、メランシアスの元に向かおうとする。 ハッサン(ナディム・サワラ)とアブー=シール(デヴィッド・スターン)に出航の準備をさせたシンドバッドは、ゼノビアを警戒するようバルソラに伝える。 ゼノビアは、シンドバッドがメランシアスの元に向かうことをラフィに伝え、牛頭人身の青銅の怪物”ミノトン”(ミノタウロス)を従えて追跡しようとする。 シンドバッドは、呪いでヒヒの姿になったカシムを乗せて出航する。 ヒヒがファラーとチェスをしていたために驚いたハッサンは、それがゼノビアに呪いをかけられたカシムだと知る。 その頃、ゼノビアとラフィは、巨体のミノトン(ピーター・メイヒュー)が漕ぐ帆のない船でカスガル島に向かう。 それに気づいた兵士らはボートで船に近づくが、衝突されて海に落ち、ミノトンに殺される。 カスガル島。 シンドバッドらは岩山の上から投石され、それをメランシアスの娘ディオーネ(タリン・パワー)が制止する。 シンドバッドからメランシアスに会いに来たと言われたディオーネは、彼らを父の元に案内する。 メランシアスとテレパシーで話たディオーネは、会うと言っていることをシンドバッドに伝える。 メランシアスに歓迎されたシンドバッドは、彼が自分のことを知っていたために驚く。 シンドバッドは、ファラー以外には凶暴なヒヒのカシムを、メランシアスに対面させる。 要件を理解したメランシアスは、カシムの体を調べる。 鏡でヒヒとなった自分の姿を見せられたカシムは動揺し、涙を流す。 その様子を見たメランシアスは、ヒヒが人間であるカシムだと確信し、敬意をこめて握手する。 船は座礁してオールが折れたために、ゼノビアは急いで修理させる。 カシムが気に入ったディオーネは、餌を与えて面倒を見る。 ゼノビアの黒魔術について考えるメランシアスは、時が経つにつれて、カシムは人間性を失うことをシンドバッドとファラーに伝える。 メランシアスは、過去にこの魔術と戦った記録が記してある、2000年前のアリマスピの巻物を広げる。 アリマスピの国”ハイパボリア”に行くしかないと言うメランシアスは、地図を見ながら、それが北の果ての氷河にあることを確認する。 そこには、土・火・空気・水の四大元素をつかさどる神殿があり、パワーの源が谷を氷河から守り、物質の変化も可能にすることを、メランシアスはシンドバッドらに話す。 その場に行くのは難しいと言うメランシアスを説得したシンドバッドは、神殿の鍵を手にしながら命の泉を見る気になった彼と共に出発する。 シンドバッドの船を確認したゼノビアは、それを追う。 北に向かう理由を考えるゼノビアは、カシムを変身させた薬を使い、ラフィの前で、カモメに姿を変えてシンドバッドの船に向かう。 カモメから人形ほどの大きさの元の姿に戻ったゼノビアは、メランシアスがどんな助言をしたか探ろうとする。 カシムがゼノビアに気づいて騒ぎ、檻から出て彼女を捜す。 ゼノビアを見つけたメランシアスは、捕えて瓶に閉じ込める。 ゼノビアが変身した方法が、カシムの呪いと同じだと考えたメランシアスは、それを聞き出すためにハチを使い彼女を脅す。 アリマスピのことを口にしてしまったメランシアスは焦り、ゼノビアが落とした薬を探す。 こぼれていた薬を見つけたメランシアスは、その量が足りるか考えながら、カシムを変身させたことを確かめるために、それをハチになめさせる。 ハチは巨大化してメランシアスに襲いかかり、その隙にゼノビアは薬を飲んでカモメに変身する。 シンドバッドがナイフでハチを殺し、ゼノビアは窓から逃げる。 しくじったことを後悔するメランシアスは、カシムが凶暴化していることに気づく。 船に戻ったゼノビアは、ラフィに薬を飲ませてもらい人間に戻る。 ゼノビアは、薬が足りなかったために右脚が元に戻らなかったことを悲しみながら、シンドバッドの船を追跡する。 その後、氷河が近づき、シンドバッドらは先を急ぐ。 神殿につながるトンネルを見つけたシンドバッドらは、船が通れないために、回り道をしてある場所で船を降りる。 吹雪の中を前進するシンドバッドらの前に、巨大セイウチが現れる。 勇敢に戦ったシンドバッドらは、犠牲者を出しながらセイウチを撃退する。 氷河に到着したゼノビアは、トンネルを探す。 ハイパボリアに着いたシンドバッドらは雪山から温暖地に着き、神殿がある谷に向かう。 水浴びをしていたディオーネとファラーは、角を持つ巨人が現われたために叫び声をあげて逃げる。 巨人への攻撃を止めさせたメランシアスは、穴居人の巨人は人間の祖先であることを皆に伝える。 メランシアスに指示されたディオーネが巨人に話しかけ、カシムが近づく。 ディオーネは、巨人をメランシアスの元に連れて行くようカシムに指示する。 神殿の門の顔を地面に描いたメランシアスは、それを巨人に見せて理解させ、その場に案内させる。 トンネルを見つけたゼノビアは、先回りできると考えて前進する。 ミノトンに漕ぐのをやめさせたゼノビアは、船が進むために、大きなパワーで船が神殿に引き寄せられているとラフィに伝える。 神殿の門に到着したメランシアスらは、怪力の巨人にそれを開けさせる。 四大元素の神殿を目の前にしたメランシアスらは、その場に向かう。 止まった船から降りたゼノビアは、入り口から通路を通り抜け、地上に出て神殿を確認する。 神殿に着いたゼノビアは、入り口が見つからないために、ミノトンに石を動かすよう指示し、薬を使い石に刺激を与える。 その音に気づいたシンドバッドらは、ゼノビアの仕業だと考える。 巨大な石を動かしたミノトンは落下してしまい、石下敷きになり息絶える。 入り口が現れ、ゼノビアとラフィは神殿に入る。 その場に着いたシンドバッドらはミノトンの死体を確認し、外気で神殿が汚れたと言うメランシアスは、鍵を捨てて中に入る。 凍りついた主室に着いたメランシアスは、太陽神から注ぐ光を見つめる。 メランシアスは、神殿の番人である凍った”スミロドン”に気づき、シンドバッドは氷が解け始めていることを知る。 カゴがあることをディオーネから知らされたメランシアスは、カシムをそれに入れて光の中に入れるよう、シンドバッドに指示する。 シンドバッドはカゴが動かせることを確認するが、現われたゼノビアが妨害し、ラフィが彼らに襲いかかる。 カシムに襲われたラフィは階段から落下してしまい、息子の死を確認したゼノビアは絶叫する。 シンドバッドは、カシムをカゴに乗せて光の中に入れる。 メランシアスが祈りを捧げてシンドバッドがカゴを戻し、その中から人間のカシムが姿を現す。 カシムが元の姿に戻ったことを喜ぶファラーは、兄に駆け寄る。 虎の目をしたゼノビアは、スミロドンを見つめながらそれに乗り移る、 神殿が崩れそうになり、その場から逃げようとしたシンドバッドらは、凍結から解放されたスミロドンに襲われる。 巨人がスミロドンと戦っている間に、シンドバッドはカシムらを逃がす。 巨人に加勢したシンドバッドは、傷つきながらも槍と剣でスミロドンを倒す。 その場から脱出したシンドバッドは、待っていたカシムらと合流する。 チャラックに戻ったカシムは、シンドバッドらに見守られながら国王に即位する。
...全てを見る(結末あり)
上陸したシンドバッドらは内陸に向かい、岩を彫って建造された神殿に到着する。
参考:
・「シンバッド七回目の航海」(1958)
・「シンドバッド黄金の航海」(1973)
・「シンドバッド虎の目大冒険」(1977)
*(簡略ストー リー)
チャラック王国の王子カシムは、王位につく戴冠式で継母ゼノビアに呪いをかけられ、ヒヒの姿にされてしまう。
バグダッドの王子である船乗りシンドバッドは、それをカシムの妹である愛するファラーから知らされる。
息子ラフィを王位につけようとするゼノビアを警戒するシンドバッドは、カスガル島のギリシャの賢人メランシアスに協力を求めるため、仲間たちと共に旅立つのだが・・・。
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製作、原案、特撮レイ・ハリーハウゼンによる、”シンドバッド三部作”の最終作。
魔術でヒヒに姿を変えられた王子を救おうとする、シンドバッドとその仲間たちの活躍を描くファンタジー。
今回もレイ・ハリーハウゼンによる特撮が見どころの作品であり、グール、ヒヒ、巨大セイウチ、原始人の一角巨人、ミノタウロス、スミロドンらが、主人公らと戦う迫力映像などはファンを大いに楽しませてくれる。
人間が中に入り演じても問題ないキャラクターであっても、ストップモーション・アニメーションを使おうとする、レイ・ハリーハウゼンのこだわりが感じられる。
監督は俳優としても知られるサム・ワナメイカーであり、ユーモアをまじえたスケール感のある演出は見ものだが、特撮に頼り過ぎているのがやや気になる。
また、ジョン・ウェインの息子として知られるパトリック・ウェインが、恩人である王子のために、命を懸けて勇敢に戦うシンドバッドを熱演し、亡きタイロン・パワーの娘タリン・パワーが、主人公に協力する賢者の娘役で出演しているのも注目だ。
息子を王位につけるために、義理の息子である王子に呪いをかける魔女のマーガレット・ホワイティング、シンドバッドと愛し合う、美しい王子の妹ジェーン・シーモア、シンドバッドに協力するギリシャの賢者パトリック・トラウトン、王位を狙う魔女の息子で、前作にも別の役で出演したカート・クリスチャン、呪いでヒヒに姿を変えられた王子ダミアン・トマス、そのおじブルーノ・バルナベ、シンドバッドの仲間である船員ナディム・サワラ、バーナード・ケイ、サラミ・コーカー、デヴィッド・スターン、そして、直前に公開された「スター・ウォーズ」(1977)でチューバッカを演じたピーター・メイヒューが、巨体の”ミノタウロス/ミノトン”役で出演している。