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シモーヌ Simone (2002)

バーチャル女優を起用して再起を図ろうとする落ち目の映画監督の奮闘を描く、製作、監督、脚本アンドリュー・ニコル、主演アル・パチーノキャサリン・キーナーエヴァン・レイチェル・ウッドレイチェル・ロバーツ他共演のコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)

アル・パチーノ / Al Pacino / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:アンドリュー・ニコル

製作:アンドリュー・ニコル
製作総指揮
ブラッドレイ・クランプ
マイケル・デ・ルカ
リン・ハリス
脚本:アンドリュー・ニコル
撮影:エドワード・ラックマン
編集:ポール・ルベル
音楽:カーター・バーウェル

出演
ヴィクター・タランスキー:アル・パチーノ
エレイン・クリスチャン:キャサリン・キーナー
レイニー・クリスチャン・タランスキー:エヴァン・レイチェル・ウッド
シモーヌ:レイチェル・ロバーツ
ハル・シンクレア:ジェイ・モーア
マックス・セイヤー:プルイット・テイラー・ヴィンス
ニコラ・アンダース:ウィノナ・ライダー
ミルトン:ジェイソン・シュワルツマン
ケント:ジェフリー・ピアース
ハンク・アリーノ:イライアス・コティーズ
ジェーン:ジェニー・ブロン
フェイス:レベッカ・ローミン
男性:ジョエル・ヘイマン
ウォルター:バリー・パピック
フランク・ブランド:スタンリー・アンダーソン
刑事:ダニエル・フォン・バーゲン
バーナード:ショーン・カレン
VBCアンカー:アレック・マードック
エコーのカメラマン:クリス・コッポラ
レニー:トニー・クライン

アメリカ 映画
配給 ニュ ー・ライン・シネマ
2002年製作 118分
公開
北米:2002年8月23日
日本:2003年9月13日
製作費 $10,000,000
北米興行収入 $9,688,680
世界 $19,576,020


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ハリウッド
二度もオスカーにノミネートされたものの、今は落ち目の映画監督であるヴィクター・タランスキー(アル・パチーノ)は、自分の作品の出演者である女優のニコラ・アンダース(ウィノナ・ライダー)に、脚本を直したと伝えて彼女のご機嫌を窺う。

しかし、注文ばかり付けてくる二コラに腹を立てたヴィクターは、彼女を見限る。

撮影が済んでいる場面と編集を加えれば、二コラなしでも作品は完成できるというヴィクターだったが、1カットでも使えば訴えると彼女が言ってきていることを知る。

別の女優の起用も考えるヴィクターは、共演者ハル・シンクレア(ジェイ・モーア)やスタジオのトップである元妻のエレイン・クリスチャン(キャサリン・キーナー)から、二コラでなけらばだめだと言われるものの、意地でも完成させると伝える。
...全てを見る(結末あり)

エレインと話したヴィクターは、俳優が自分達を見下していると言って、利益を優先するスタジオの製作姿勢も批判する。

契約を切るとエレインから言われたヴィクターは落ち込むものの、娘のレイニー(エヴァン・レイチェル・ウッド)に励まされ、必ず復活して見せると伝える。

フィルムを運び出しスタジオを去ろうとしたヴィクターは、自分のファンだと言うハンク・アリーノ(イライアス・コティーズ)から、ヴァーチャル女優の件が成功したと力説されるものの、彼を相手にせずにその場を去る。

その後、家を抵当に入れて資金を調達したヴィクターは、二コラに代わる女優を探していた。

ある男が現れたために債権者だと思い逃げ出したヴィクターは、ハンクの遺言を預かっていると言う彼から、ハードディスクを受け取る。

その内容を確認したヴィクターは、バーチャル女優”シモーヌ”(レイチェル・ロバーツ)を確認する。

9か月後。
シモーヌを二コラの代わりに起用した、ハンクに捧げたヴィクターの作品は、完成して絶賛される。

彗星のごとく現れたシモーヌは、世界中の映画ファンの心を捉えるものの、彼女に関することは全て謎だった。

スタジオに戻りエレインに歓迎されたヴィクターは、大女優の最高の部分を合わせたようなシモーヌの存在が、社会現象化していると言われる。

隠遁生活を送っているシモーヌとは会うことができないと言うヴィクターは、だから純粋なのだと話してエレインを納得させる。

スタジオの一つを借り切ったヴィクターは、その場でコンピューターを操作するため、完全に立入禁止にする。

ヴィクターは、多くの中から適切な女優を選び、それをシモーヌのプログラムにインプットして、好みの彼女を創り出す。

次の作品の後でシモーヌのことを公表することを決めたヴィクターは、記者会見の場で、彼女の質問は一切受け付けず、コメントを読み上げる。

今日から新作に入ると言うヴィクターは、その場にいたマックス・セイヤー(プルイット・テイラー・ヴィンス)から、作品を捧げたハンクについて質問され、シモーヌの恋人かと訊かれる。

二人は一時期深い関係にあったと答えたヴィクターは、今は、それが思い出に変わったと伝えて会見を打ち切る。

ハルに声をかけられ、新作への出演を希望する彼から、シモーヌに会ったと言われたヴィクターは、彼女から電話があったように見せかける。

それを盗聴していたマックスとミルトン(ジェイソン・シュワルツマン)は、シモーヌの声が聴こえないために不思議に思う。

その後、ヴィクターのビーチハウスにはマスコミが殺到し、マックスとミルトンも現れる。

レイニーをエレインの家に送ったヴィクターは、新作の打ち合わせをしながら、エレインから、シモーヌが信用できないと言われる。

新作の撮影準備が始まり、ハルらキャストを集めたヴィクターは、別々の撮影を行うシモーヌとは決して接触することは許さないと言って、スピーカーとマイクで彼女と話をさせる。

スタジオのコンピューターに向かったヴィクターは、シモーヌに代わってキャストと話す。

撮影は進み、スタジオに引き籠ったヴィクターは編集を始めて、シモーヌを作品に合成させる。

計画を変えると言うヴィクターは、世界への影響が大きいため、このまま出演を続けさせることをシモーヌに伝える。

ホテルのフロントに向かったヴィクターは、特別な客”ミス・エノミス”が来るため、全ての監視カメラを切る配慮を求める。

”エノミス”を逆さにして読むとシモーヌであったため、フロント係はマスコミに情報を流してしまう。

部屋でシモーヌと過ごしたように見せかけたヴィクターは、マスコミが集まることを承知していた。

女優のフェイス(レベッカ・ローミン)に協力してもらい、シモーヌの存在を世間に知らせたヴィクターは、ビーチハウスに向かう。

フェイスと愛し合おうとしたヴィクターは、一晩だけシモーヌになりたいと言われたあため、次の機会にしようと彼女に伝える。

ホテルに向かい、ヴィクターの部屋を確認したマックスは、フロント係とミルトンを部屋から出して、シモーヌの下着や所有物などを手に入れて満足する。

その後、新作は完成し、プレミアで作品は絶賛され、盛大なパーティーが開かれる。

雑誌”エコー”の記者だったマックスは、シモーヌの情報を何も得られないために苛立ち、24時間体制でヴィクターを追うことをミルトンとカメラマン(クリス・コッポラ)に指示する。

マックスは、シモーヌを誘き出すために、彼女の少女時代をエコーで特集することを考える。

エレインら重役が強引にスタジオに入ろうとしたため、それを阻止しようとしたヴィクターだったが、シモーヌと話すと言う彼女らは強引に入ってしまう。

誰もいない場に驚くエレインらに、シモーヌはコンピューター中毒だと伝えたヴィクターは、インタビューなどで宣伝したいと言われ、中継で行うことを約束する。

人との接触を極端に嫌うシモーヌを、ヴィクターが守っていると考えたエレインは、パーティーに来ていた彼女が自分と写っている写真を受け取る。

シモーヌをフランク・ブランド(スタンリー・アンダーソン)のトークショーに中継で出演させたヴィクターは、終盤でメモリ不足のため画像が乱れたために焦るものの、何とか無事にインタビューを終る。

番組を見ていたマックスは、シモーヌがいる背景に見覚えがあったために、ミルトンと共にニューメキシコに向かう。

現地の砂漠にはホテルが建っていたいたために、マックスとミルトンは不思議に思う。

新作は大ヒットして、シモーヌの人気は更に高まり、彼女の写真だけはメディアに提供したヴィクターは、ネット・インタビューにも応じる。

現れたマックスからシモーヌはでっち上げだと言われたヴィクターは、歌手としてもデビューした彼女のコンサートを、”モリアル・コロシアム”で行うことを決める。

コンサート当日。
カメラも双眼鏡も禁止されたスタジアムの10万人の観客は熱狂し、ヴィクターは、ホログラムで彼女を登場させる。

その様子は全世界に中継され、コンサートは成功する。

シモーヌに会うことと、ヴィクターのことばかりを気にしているエレインの考えについていけなくなった恋人のケント(ジェフリー・ピアース)は、彼女と別れる決心をする。

両親の復縁を望むレイニーは、この事態を嬉しく思う。

エレインとケントのことをレイニーから知らされたヴィクターは、落ち込んでいる母にシモーヌと会せてあげて欲しいと頼まれる。

食事で会うのはダメだと言うヴィクターは、電話ではなく何とか会せて欲しいとレイニーから説得され、考えておくと答える。

シモーヌの人形を乗せてエレインの車と並走したヴィクターは、彼女に電話をかけてシモーヌと話をさせる。

助手席でハンドルを握るヴィクターは事故を起こしそうになり、アカデミー賞授賞式は自分と言ってほしいと、シモーヌの声でエレインに伝える。

電話を切ろうとしてエレインに別れをつげたヴィクターは、トレーラーハウスに衝突してしまう。

アカデミー賞授賞式。
主演女優賞の発表となり、プレゼンターのハルは、シモーヌが2作品で同賞を受賞したことを発表する。

ヴィクターは、エレインとレイニーと共にダブル受賞を喜び、関係者やハンクに感謝する、中継によるシモーヌのスピーチ映像が流れる。

自分への感謝の言葉がなかったとレイニーとエレインから言われたヴィクターは、スタジオに向かう。

ヴィクターは、シモーヌが、インプットしたはずの言葉を言わなかったことを疑問に思う。

その後、シモーヌの姉役のオーディションを受けに来た二コラを迎えたヴィクターは、態度を一変させて、かつてのことを謝罪する彼女をテストする。

シモーヌが作品で乗った車をレイニーの誕生日に贈ったヴィクターは、免許が取れるまでは撮影所内で乗るように伝える。

車はいらないと言うレイニーは、代わりに昔の父に戻ってほしいとヴィクターに伝える。

シモーヌの名声の影に隠れ、彼女一筋であることを不満に思うレイニーは、利用されているだけとヴィクターに伝える。

ヴィクターの秘書ジェーン(ジェニー・ブロン)から、ヴィクターがビーチハウスでシモーヌに会うようだと知らされたエレインは、彼の元に向かう。

エレインが来るように仕向けていたヴィクターは、現れた彼女にやり直したいことを伝える。

同じ気持ちだったエレインと愛し合おうとしたヴィクターは、世界一の女性シモーヌとは張り合えないとエレインから言われる。

仕方なくヴィクターは、シモーヌは人間ではなく、自分が創り上げたデジタル映像だとエレインに伝える。

ヴィクターが酔っていると思い、その話を信じないエレインは、その場を去る。

その後、シモーヌを破滅させようと考えたヴィクターは、次回作で彼女に相応しくない役を演じさせるものの、それでも観客は絶賛する。

シモーヌのイメージを下げようとすることにも失敗したヴィクターは、彼女の人気は高まる一方だったために苦悩する。

ハンクの墓に向かったヴィクターは、ある考えが閃き、ウィルスを使いシモーヌのデータを消去してしまう。

ヨットで沖に向かったヴィクターは、シモーヌのデータが入ったディスクなどを、トランクに入れて海に沈める。

記者会見を開いたヴィクターは、シモーヌが亡くなったことを発表し、死因はウィルス感染によるもので、苦しみはなかったと伝える。

シモーヌの葬儀は行われるが、現れた刑事は、棺の中に遺体がないことを確認して、ヴィクターを殺人容疑で逮捕する。

ジェーンや二コラ、そしてマックスらは、ヴィクターの犯行を裏付けるような証言をする。

シモーヌに関することは全て創作されたフェイクだと刑事(ダニエル・フォン・バーゲン)に話すヴィクターは、唯一の証人であるハンクも亡くなっているため、何も信じてもらえない。

マリーナの監視カメラ映像を見せられたヴィクターは、”死体”を入れたトランクを運ぶ姿の説明を求められる。

死体ではなくシモーヌのデータだと言っても信じてもらえないヴィクターは、トランクを捨てた場所に刑事を案内する。

トランクは引き上げられるものの、中身が空だったために、ヴィクターは、ディスクは海底に沈んでいると伝える。

シモーヌの遺体はサメの餌になったと判断され、あらゆる状況証拠から犯人であると判断される可能性があるため、ヴィクターは、弁護士のバーナード(ショーン・カレン)から、事実を認めなければ死刑になると言われる。

殺す相手などいなかったと言うヴィクターが、心神喪失ということで裁判を進めようとするバーナードだったが、それを拒まれたために弁護を降りようとする。

スタジオを調べていたエレインは、シモーヌが存在したと言い張るものの、レイニーはそれを疑問に思う。

コンピューターにウィルスがセットされていることを、パソコンが得意のレイニーが確認し、操作をし始めた彼女はシモーヌを復元する。

あくまで精神異常の線で乗り切ろうとするバーナードだったが、諦めたヴィクターは、自分がシモーヌを殺したと言い始める。

テレビを点けた刑事は、シモーヌが生きていたという映像を流す報道を、ヴィクターとバーナードに見せる。

釈放されたヴィクターは、車で迎えに来たエレインとレイニーに感謝する。

キャスト全てがCGの映画を製作するアイデアをヴィクターに話したエレインは、半信半疑の彼にある提案をする。

エレインから、シモーヌと共にうちに引っ越してこないかと言われたヴィクターは、それに同意する。

笑顔のレイニーに、シモーヌを創ったことを謝罪したヴィクターは、それよりも、自分達に黙っていたことが間違いだと言われる。

詰めかけた報道陣とマックスとミルトンに注目されながら、ヴィクターらはその場を去る。

その後、ブランドのトークショーに出演したシモーヌは、なぜ死を偽装したのかと訊かれ、プライバシーのない生活から抜け出したかったからだと答える。

復帰する考えのシモーヌは政治の世界を目指すと言って、ヴィクターとの間に生まれた子供の将来のためだとブランドに伝える。

エレインに見守られながらレイニーが処理する映像のため、ヴィクターは、ブルースクリーンの前に置かれたソファーに座り演技する。

その後もシモーヌの私生活を提供しようとするヴィクターは、食品店で彼女が買い物をする映像を作製して流す。

それを見たマックスは、シモーヌの好みがチキン・パイであることを知り、自分と同じだったために喜ぶ。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ハリウッド
二度もオスカーにノミネートされたものの、今は落ち目の映画監督であるヴィクター・タランスキーは、新作の主演女優二コラの横暴に我慢できず、彼女を見限る。
スタジオのトップである元妻のエレインから、二コラでなければ製作しないと言われたヴィクターは解雇されてしまう。
そんなヴィクターの前に現れたハンクは、ヴァーチャル女優の話をするものの相手にされない。
ハンクの死後、プログラムの入ったディスクを受け取ったヴィクターは、それで創造されたヴァーチャル女優”シモーヌ”を起用して新作を完成させ、作品は絶賛される。
世界中から注目される完璧な女優シモーヌを創り再起を果たしたヴィクターは、彼女の存在を隠しつつ次回作の製作を始めるのだが・・・。
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トゥルーマン・ショー」(1998)の脚本で注目されたアンドリュー・ニコルが、製作、監督、脚本を手掛け、実力派アル・パチーノの主演も話題になった作品。

そのアル・パチーノが主人公を演ずるということで、彼の重厚な演技が見れるドラマかと思いきや、コメディ色の強いSFファンタジー・タッチの作品である。

爆発的な普及を始めた頃の作品でもあり、コンピューターを駆使したデジタルによるヴァーチャル女優の創造という、現実味のある内容もなかなか興味深い。

また、利益優先の製作側と映画作家の意見の対立や、傲慢なスターの存在など、映画界の裏話なをシニカルに描いている。

落ちぶれて映画界から追放されかけるものの、最新の技術を使って再起する映画監督を軽妙に演ずる、アル・パチーノの変幻自在の演技も楽しめる。

映画スタジオのトップである主人公の元妻キャサリン・キーナー、その娘を愛らしく演ずる、撮影当時まだ13歳のエヴァン・レイチェル・ウッド、ヴァーチャル女優を妖艶に演ずるレイチェル・ロバーツ、共演者の男優ジェイ・モーア、シモーヌを追う雑誌社の記者プルイット・テイラー・ヴィンス、その部下のジェイソン・シュワルツマン、映画女優のウィノナ・ライダー、エレイン(キャサリン・キーナー)の恋人ジェフリー・ピアース、主人公にプログラムを渡す男性のイライアス・コティーズ、主人公の秘書ジェニー・ブロン、主人公に協力する女優のレベッカ・ローミン、トークショーのホスト、スタンリー・アンダーソン、刑事のダニエル・フォン・バーゲン、主人公の弁護士ショーン・カレン、雑誌社のカメラマン、クリス・コッポラニコラス・ケイジの兄)などが共演している。


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