2008年に発表された、マシュー・クイックの小説”The Silver Linings Playbook”を基に製作された作品。 愛する者を失った男女の恋の行方を描く、監督、脚本デヴィッド・O・ラッセル、製作、主演ブラッドレイ・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィーヴァー他共演のロマンチック・コメディ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:デヴィッド・O・ラッセル
製作
ブルース・コーエン
ドナ・ジグリオッティ
ジョナサン・ゴードン
製作総指揮
ブラッドレイ・クーパー
ジョージ・パーラ
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
原作:マシュー・クイック”The Silver Linings Playbook”
脚本:デヴィッド・O・ラッセル
撮影:マサノブ・タカヤナギ
編集
ジェイ・キャシディ
クリスピン・ストラザーズ
音楽:ダニー・エルフマン
出演
パトリック”パット”ソリターノJr.:ブラッドレイ・クーパー
ティファニー・マックスウェル:ジェニファー・ローレンス
パトリツィオ”パット”ソリターノ:ロバート・デ・ニーロ
ドロレス・ソリターノ:ジャッキー・ウィーヴァー
ダニー・マクダニエルス:クリス・タッカー
クリフ・パテル医師:アヌパム・カー
ロニー:ジョン・オーティス
ヴェロニカ:ジュリア・スタイルズ
ジェイク・ソリターノ:シェー・ウィガム
ランディ:ポール・ハーマン
キーオ:ダッシュ・ミホク
ニッキ・ソリターノ:ブレア・ビー
アメリカ 映画
配給 ワインスタイン・カンパニー
2012作 122分
公開
北米:2012年11月16日
日本:2013年2月22日
製作費 $21,000,000
北米興行収入 $132,088,900
世界 $236,412,450
■ アカデミー賞 ■
第85回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(ジェニファー・ローレンス)
・ノミネート
作品・監督
主演男優(ブラッドレイ・クーパー)
助演男優(ロバート・デ・ニーロ)
助演女優(ジャッキー・ウィーヴァー)
脚色・編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
フィラデルフィア。
パトリック”パット”ソリターノJr.(ブラッドレイ・クーパー)は、妻の浮気がきっかけで怒りをコントロールできなくなり、”双極性障害”と診断され精神病院で治療を受けていた。
退院することになったパットは、迎えに来た母親ドロレス(ジャッキー・ウィーヴァー)の車に、親しくなった患者ダニー・マクダニエルス(クリス・タッカー)を乗せて病院を後にする。
ところが、電話を受けたドロレスは、ダニーが退院許可を受けていないことを知り病院に戻る。
ダニーを降ろし、ドロレスと自宅に向かったダニーは、父親パトリツィオ(ロバート・デ・ニーロ)に迎えられる。 ノミ屋で稼いだ金でレストラン経営を考えるパトリツィオは、パットが治って退院したのかを疑い、その後の言動を見て頭を傾げる。 クリフ・パテル医師(アヌパム・カー)のセラピーを受けるパットは、薬を飲むよう指示されるが不安定な状態は続く。 その後もパットの不安定な行動は続き、彼はある夜、友人のロニー(ジョン・オーティス)と妻のヴェロニカ(ジュリア・スタイルズ)から食事に招待され彼らの家を訪ねる。 ヴェロニカの妹ティファニー・マックスウェル(ジェニファー・ローレンス)も現れ、パットは素っ気ない彼女に挨拶する。 食事は始まるものの盛り上がるわけでもなく、機嫌がよくないティファニーは帰ると言って、パットに家まで送ってもらうことになる。 途中ティファニーは、いきなり愛し合う提案をするが、一応結婚しているパットはそれを伝える。 ティファニーも結婚していたのだが、事故で夫を亡くしていることをパットは確認する。 突然、泣き出したティファニーはパットに抱き付き、彼の頬を殴り自宅に向かう。 帰宅したパットは、暫くして結婚式のビデオを見ると言いだし、それが見つからないために彼は興奮して騒ぎ始める。 パットが母ドロレスを殴ったために、パトリツィオは憤慨して息子に襲いかかり大騒動になる。 隣人の通報で警官キーオ(ダッシュ・ミホク)が現れ、何んとかその場は鎮まる。 翌朝、パトリツィオの前で薬を飲んだパットは、ジョギング中にティファニーの家の前を通る。 現れたティファニーに、自分に気があるのかを問われたパットはそれを否定する。 ティファニーに後を追われたパットは取り乱しそうになり、彼女と言い争って別れる。 パテル医師に、親子で争ったことなどを話したパットは、薬を飲み冷静に物事を考えるよう再び指示される。 パットは、妻ニッキ(ブレア・ビー)に手紙を渡したいことを伝えるが、パテルは接近禁止だと言ってそれを拒む。 ティファニーのことも話したパットは、ニッキの友人でもある彼女を救えば、自分も救われるとパテルに言われる。 翌日、再びジョギング中にティファニーの家の前を通ったパットは、現れた彼女から友達になりたいと言われる。 二人は食事をすることになり、ティファニーはニッキに手紙を渡してもいいことをパットに伝える。 パットは、ティファニーが夫の死のショックで、女性を含めて会社の同僚の多数と寝た話を聞く。 ニッキが浮気の最中にかけていた局で、結婚式でも使った”スティーヴィー・ワンダー”の”My Cherie Amour”を聴くと、キレてしまうことなどをパットは話す。 その後ティファニーは、”精神異常者”に自分がおかしいと言われ、手紙の件は撤回し、憤慨して大声を出しその場を去る。 店を出たティファニーを追ったパットは、現実を受け入れず怯えているだけだと彼女に罵倒され、変態呼ばわりされて騒がれる。 その場にいた若者達と争いになったパットは、例の曲が頭に浮かび動揺してしまい、駆けつけたキーオが歩み寄る。 ティファニーはパットをかばい、曲に怯えることはないと言って彼をなだめる。 キーオにからかわれたティファニーはその場を去り、それを追ったパットは、彼女に手紙は渡すと言われて、翌日も会う提案をするが答えがない。 翌朝、パットが封筒を持ち出したことで、パトリツィオは彼と言い合いになる。 それを気にせずティファニーの家を訪ねたパットは、やはり手紙は渡せないという彼女から、その条件としてダンス大会のパートナーになることを要求されるものの戸惑う。 自宅に戻ったパットは、訪ねてきたダニーを歓迎し、法律家の兄ジェイク(シェー・ウィガム)が来ていることを知る。 ジェイクは、パトリツィオの手伝いや法律事務所の共同経営者になるため忙しく、見舞いにも行けなかったことを詫びる。 順風満帆のジェイクに、自分の惨めな生活を比較されたパットだったが、彼は兄に愛を伝えて歓迎する。 無許可で出てきたダニーは、現れたオキーフと共に病院に向うことになる。 ティファニーの家を訪ねたパットは、手紙を受け取ってもらうものの、ダンス以外のことをしたいと伝える。 それを聞き入れず、ティファニーはパットにダンスを教えようとするものの、彼はその気になれない。 ティファニーは夫の死因や、なぜ自分がそんな目に遭ったのかを考えていることを話す。 その後、パットはダンスにのめり込み、当然ティファニーを意識するようになるが、彼はそんな自分の気持ちを恐れる。 再びダニーが現れ、パットとティファニーは彼の前でダンスを披露する。 パトリツィオは、NFLの地元チーム”イーグルス”のことしか頭になかったが、相容れない関係のパットとの絆を深めようとする。 レストランの全経営資金を”イーグルス”の”ジャイアンツ”戦に賭けたパトリツィオは、スタジアムに出入り禁止である自分の代わりに、ジェイクと共に観戦に行くようパットに伝える。 友人ランディ(ポール・ハーマン)に無謀な賭けだと言われたパトリツィオは、これは家族のビジネスであり、結束すれば必ず幸運を掴めるとパットに伝える。 パットは、試合のある日曜も、心が安らぐダンスをしたいことをパトリツィオに伝える。 ティファニーに、半日だけ試合を観に行っていいかを聞いたパットだったが、彼女は大技をマスターする約束だと言って承知しない。 ティファニーは、ニッキからの返事を見せパットを納得させて練習を始める。 返事が気になり集中できないというパットは、手紙を渡されてそれを読み、内容は理解するものの今は離れて暮らしたいというニッキの気持ちを知りショックを受ける。 ”リンカーン・フィナンシャル・フィールド” ところが、インド人のパテルがファンにからかわれ、ジェイクも含めて乱闘になり、パットは警備員に取り押さえられてしまう。 パットを待っていたティファニーは、諦めてその場を去る。 ”イーグルス”は試合に負けてしまい、取り乱すなと警告しておいたパトリツィオは、帰宅したパットを罵倒する。 そこにティファニーが現れ、パットは混乱し、パトリツィオは、息子がおかしくなったことを彼女のせいにする。 ティファニーは言い返し、パットが自分とダンスをしていれば乱闘もなく、”イーグルス”も試合に勝っていたと言ってその場の者達を納得させる。 更にティファニーは、父親がランディとの賭けに負けたことにも意見したことで話が発展する。 勝目のないダンス大会でパットとティファニーが、5ポイントを取るというランディとの賭けにパトリツィオは乗る。 パットは出場しないと言い出してその場を去るが、彼を立ち直らせるためには必要なことだと、賭けに反対するドロレスに伝える。 ティファニーは、ニッキが来ると言ってパットを出場させることを考え、パトリツィオとドロレスは納得する。 そして大会当日、パットと共に会場に向かったティファニーは、ヴェロニカとロニーがニッキを連れて来たことを知り驚く。 動揺するティファニーはバーに向かい、パットはニッキが来ていることを確認する。 同じ頃、”イーグルス”は勝利してプレーオフに進出し、賭けに負けたランディは呆然となる。 バーにいたティファニーが、ウォッカを2杯も飲んだことに呆れながら、パットは彼女と共にステージに上がる。 息の合った二人は満足いくダンスを披露し、失敗した大技までもが演技に見え喝采を浴びる。 採点となり、ポイントは平均で5.0となり、目標を達成できたパットとティファニーは興奮して家族と共に喜び合う。 ティファニーと健闘を称え合ったパットは、ニッキの元に向かう。 それを見たティファニーは、居たたまれない気持ちになりその場を去る。 ニッキと挨拶程度の会話を交わしたパットは、ティファニーの気持ちに気づくようパトリツィオに助言され、彼女の愛を受け入れるため後を追う。 ティファニーは、近づくパットから逃げようとするが、彼から自分への手紙を渡される。 パットは、会った時から愛しているという手紙の内容を言葉にして、涙する彼女を抱き寄せる。 そして、人の生き方は様々だということを知ったパットとティファニーは幸せを手に入れる。
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パトリツィオに送られて現場に着いたパットは、パテルがフェイス・ペインティングをして応援に来たことを知り驚く。
*(簡略ストー リー)
フィラデルフィア。
妻の浮気がきっかけで怒りがコントロールできなくなり、精神病院で治療を続けていたパトリック”パット”ソリターノJr.は退院する。
パットを迎えた父親パトリツィオは、彼の言動に頭を傾げ息子が治ったのかを疑う。
その後パットは、友人ロニーとヴェロニカ夫妻に食事に招待され、事故で夫を失った、妻ニッキの友人ティファニーに出会う。
素っ気ないティファニーだったが、いきなりパットを求め、一応結婚している彼はそれを断る。
それでも、パットは、ティファニーが気になる存在にはなり、彼女に妻への手紙を渡してもらおうとする。
辛い思いや理解できない行動もしたティファニーは、それを承知する条件として、パットにダンス大会のパートナーになることを要求する・・・。
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物語の主人公のような状況下に置かれる男女の関係というのは、日本ではあまりお目にかからないパターンなので、本国や世界で大いに受けたことを、意識し過ぎないで観ることをお勧めする。
舞台を観ているような、実力派スターによる激しい演技のぶつかり合い、クールなユーモアや、何と言ってもそのセリフ回しなど、脚本家でもあるデヴィッド・O・ラッセルの、計算しつくされた見事な演出を楽しむことが出来る。
難しいことは考えずに、ヒューマン・コメディとしてさらりと受け止めたいところだが、英語が理解できないと楽しみ半減とも言える作品。
第85回アカデミー賞では、22歳のジェニファー・ローレンスが主演女優賞を受賞した。
・ノミネート
作品、監督
主演男優(ブラッドレイ・クーパー)
助演男優(ロバート・デ・ニーロ)
助演女優(ジャッキー・ウィーヴァー)
脚色、編集賞
北米興行収入は約1億3200万ドル、全世界では2億3600万ドルのヒットとなった。
もともと唯のハンサム・ガイとは思ってはいなかったが、今回の演技でブラッドレイ・クーパーを見直した方は多いはずだ。
感情を制御できなくなる情緒不安定気味な男性を、その眼差しだけで表現する細やかな演技力は素晴らしい。
実力派、ベテランを前に画面を狭く感じさせるほどの圧倒的な演技を見せるジェニファー・ローレンスは、見事にアカデミー主演賞を受賞するのだが、撮影当時まだ21歳ということを考えると末恐ろしい感じがする女優だ。
私は、数年前から、彼女が数十年に一人の女優になると周囲に語っている。
映画の中で盛んに、美しいとか魅力的と言われるが、いわゆるハリウッド的美女とは言えない彼女だが、前記の言葉でも足りない特別なオーラを感じる。
やや外れ気味ではあるが、いい味で主人公の父親を演ずるロバート・デ・ニーロ、その妻役ジャッキー・ウィーヴァー、主人公と同じ病院の患者役クリス・タッカー、精神科医のアヌパム・カー、主人公の友人ジョン・オーティス、その妻ジュリア・スタイルズ、主人公の兄役シェー・ウィガム、父親の賭け仲間ポール・ハーマン、警官ダッシュ・ミホク、主人公の妻ブレア・ビーなどが共演している。