刑期を終え出所した男が出会った男達や弟と共に同じ仇やそれに通じる悪党に勇敢に立ち向かう姿を描く、製作、監督、脚本ローレンス・カスダン、主演ケヴィン・クライン、スコット・グレン、ロザンナ・アークェット、ジョン・クリーズ、ケヴィン・コスナー、ダニー・グローヴァー、ジェフ・ゴールドブラム他共演の西部劇。 |
・西部劇
■ スタッフ キャスト ■
監督:ローレンス・カスダン
製作:ローレンス・カスダン
脚本
ローレンス・カスダン
マーク・カスダン
撮影:ジョン・ベイリー
編集:キャロル・リトルトン
音楽:ブルース・ブロートン
出演
ペイドン:ケヴィン・クライン
エメット:スコット・グレン
ハンナ:ロザンナ・アークェット
ジョン・T・ラングストン:ジョン・クリーズ
ジェイク:ケヴィン・コスナー
コッブ保安官:ブライアン・デネヒー
マラッチ”マル”ジョンソン:ダニー・グローヴァー
レイ・ジョンソン:リン・ホワイトフィールド
イーサン・マッケンドリック:レイ・ベイカー
カルヴィン”スリック”スタンホープ:ジェフ・ゴールドブラム
ステラ:リンダ・ハント
ホバート:ブライオン・ジェームズ
エズラ・ジョンソン:ジョー・セネカ
ドーソン:ジェームズ・ギャモン
タイリー保安官補:ジェフ・フェイヒー
ケイト:パトリシア・ゴール
オーギー:トーマス・ウィルソン・ブラウン
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1985年製作 133分
公開
北米:1985年7月10日
日本:1986年3月22日
製作費 $26,000,000
北米興行収入 $33,200,000
■ アカデミー賞 ■
第58回アカデミー賞
・ノミネート
作曲・録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
5年の刑を終えたエメット(スコット・グレン)は、無法者の襲撃を退け、彼らの馬を奪い旅を続ける。
途中、仲間に身包みはがされ倒れていたペイドン(ケヴィン・クライン)という男を救い介抱したエメットは、彼と共にある町に向かう。
その町で、自分の馬を盗んだ男を見つけたペイドンは、銃を調達して、その男を倒し馬を奪い返す。
さらにペイドンは、かつての仲間コッブ(ブライアン・デネヒー)に出くわし、仕事に誘われるがそれを断る。
そして、ペイドンはターリーに寄り、その後、シルバラードの姉の元にむかうというエメットに同行することにする。
ターリーに着いたエメットとペイドンは、酒場で暴れ、逮捕寸前の黒人客マル・ジョンソン(ダニー・グローヴァー)を助ける。
保安官ジョン・T・ラングストン(ジョン・クリーズ)は、マルを町から追い出し、エメットの捜す弟ジェイク(ケヴィン・コスナー)が投獄されていることを伝える。 エメットは、ジェイクが殺人を犯し翌日縛り首になることを知り、彼を助けようとするが、ペイドンは加担することを断る。 酒場に向かった2人だったが、自分の帽子を被った男を見つけたペイドンが、その男を撃ち殺し、ジェイクと同じ牢屋に入れられてしまう。 翌朝、エメットは処刑台に火を放ち、牢屋番を痛めつけて脱出したペイドンとジェイクと共に逃亡する。 ラングストンは、捜索隊を編成し3人を追うが、彼に町を追い出されたマルが、彼に加勢し捜索隊を追い払う。 そして、エメットらはマルを仲間に引き入れてシルバラードに向かう。 途中4人は、金を奪われた幌馬車隊のホバート(ブライオン・ジェームズ)らに出会う。 エメット達はジェイクを幌馬車隊の道案内に残し、金を奪い返しに向かう。 ドーソン(ジェームズ・ギャモン)率いる、金を奪った無法者集団を見つけたエメット達は、一芝居打って集団を罠にかけ、現金を奪い返す。 幌馬車隊に合流したエメット達だったが、彼らに同行していた、無法者に命を奪われた男の妻ハンナ(ロザンナ・アークェット)とペイドンが親密になる。 シルバラードに向かったエメットは途中マルと別れ、ペイドンはハンナを開拓地に送ることになる。 エメットは、ジェイクと2人で町に向かい、ペイドンを待つことになる。 故郷の家に向かったマルは、父エズラ(ジョー・セネカ)と再会するが、母親は死に、立ち退きを迫る牧場主イーサン・マッケンドリック(レイ・ベイカー)に家は焼かれていた。 シルバラードに着いたペイドンは、酒場の女主人ステラ(リンダ・ハント)と出会い、コッブがその酒場のオーナーで、町の保安官をしていることを知る。 翌日、父エズラをマッケンドリックの手下に殺されたマルは、復讐のためにシルバラードに向かう。 姉ケイト(パトリシア・ゴール)一家の自宅に戻ったエメットは、町でペイドンと再会する。 ペイドンは、酒場の用心棒として雇われることになるものの、職を与えたコッブの強引且つ残虐な手法に眉をひそめる。 町の女に成り下がっていた妹レイ(リン・ホワイトフィールド)を尋ねたマルは、彼女に父親の死を伝えるが、家族を捨て家を出た兄を、レイは許さなかった。 幌馬車隊の開拓民のパーティーに出席したエメットは、実はハンナに心を寄せていたことを、彼女に伝えようとするのだが、そこで、マッケンドリックの手下の襲撃に遭う。 エメットはジェイクと共に応戦し、何とか敵を追い払うことができる。 町でマッケンドリックに出くわしたエメットは、出所後に自分を殺そうとした男達が、彼の手下だということに気づく。 マッケンドリックと通じているコッブは、エメットとジェイクを追い払うために、ペイドンに手出しをするなと忠告する。 エメットは、保安官補タイリー(ジェフ・フェイヒー)らからリンチ受けるが、そこにマルが現れて彼を救い出す。 隠れ家の洞穴にエメットを匿ったマルは、命を狙われているジェイクを助けようとして、妹レイに助けを求める。 マルは、レイの客で、町に立ち寄ったギャンブラーのスリック・スタンホープ(ジェフ・ゴールドブラム)の協力を得てジェイクを助けようとする。 しかし、スリックに裏切られたマルは、コッブの罠にはまり、捕らえられてしまう。 ペイドンは牢屋のマルに面会に行くが、コッブに雇われている彼を、マルは信用しなかった。 ジェイクが、姉ケイトの家に帰ったことに気づいたペイドンは、彼と姉の息子オーギー(トーマス・ウィルソン・ブラウン)がさらわれたことを知る。 ペイドンはコッブを見限ろうとするが、ステラの命と引き換えにコッブに脅されて引き止められる。 コッブの暴挙を見兼ねていたステラは、ペイドンに立ち向かうよう勇気付けられる。 レイは裏切ったスリックのナイフを奪い、マルを助けようとして保安官補に撃たれる。 そして、脱走したマルはエメットの元に向かう。 マルは洞窟に戻り、傷の癒えないエメットに姉夫婦が襲われ、息子オーギーをさらわれたことを伝える。 エメットはそれを聞き復讐を誓い、マルと共にマッケンドリックの牧場に向かう。 ペイドンも2人に合流し、彼らは牛を暴走させて牧場を襲う。 エメットは、甥のオーギーを救い出し、彼からジェイクが落馬して死んだと聞かされるが、乗馬の名手のジェイクは無事だと確信する。 納屋に隠れていたジェイクも加勢して敵を倒し、エメット達はシルバラードに逃げたマッケンドリックを追う。 コッブはレイを捜すようスリックに命令し、彼は瀕死のレイを見つけるが、彼女はスリックを警戒する。 マルはスリックを殺しレイを助け、エメットは自分を刑務所送りにしたマッケンドリックを、ペイドンはコッブと決闘して倒す。 その後、マルはレイと共に自分達の土地に向かい、エメットは、ハンナとシルバラードの保安官になったペイドンに別れを告げる。 そして、エメットとジェイクは、町を離れる姉ケイト一家と別れカリフォルニアに向かう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
5年の刑期を終えたエメットは、無法者の襲撃を退け彼らの馬を奪い旅を続ける。
エメットは、仲間に身包みはがされたペイドンに出会い、姉ケイトが住むシルバラードへと向かう。
その途中、黒人のマル、弟ジェイクを仲間にしながら、エメットは先を急ぐ。
その後エメットらは、金を奪われた幌馬車隊に出会う。
エメットは、ベイトンらと別れて、弟ジェイクと共にシルバラードに向かう。
しかし、シルバラードは、ペイドンの昔の仲間である、悪徳保安官のコッブと牧場主のマッケンドリックが支配していた。
それを知った、合流したエメットらは、悪を倒すために戦いに挑む・・・。
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正統派西部劇が作られなくなってしまった時代、復讐、悪徳保安官、幌馬車隊やロマンス、差別や裏切りに牛の大暴走、そして決闘まで、西部劇の、あらゆる醍醐味を網羅している娯楽作品に仕上がっているのは嬉しい。
公開当時、どうも好きになれない”現代風”西部劇に期待をせずに観たのだが、上記のように、やや欲張り過ぎな所はあるものの、十分楽しめる内容に満足したのを思い出す。
特に、リンチを受けたエメット(スコット・グレン)が、姉家族が襲われ、さらに甥をさらわれたのを聞き、傷の痛みを忘れて敵に戦いを挑もうとする姿が、強烈に印象に残った。
最もアメリカらしい伝統文化とも言える西部劇を、消滅させないために作ったローレンス・カスダンの意気込みが、十分伝わってくる作品でもある。
その後、個人的には「許されざる者」(1992)、「ワイルド・レンジ」(2003)など以外は気に入った西部劇はないが、その灯火を消さないことに貢献した作品であることに違いない。
第58回アカデミー賞では、作曲・録音賞にノミネートされ、軽快なブルース・ブロートンのテーマ曲は印象に残る。
ひょうきんな男の雰囲気で登場するケヴィン・クラインは、友情と悪事との狭間で苦悩する男を全体的にはシリアスに演じている。
寡黙なヒーロータイプのスコット・グレンが、男気のある人物として際立つ存在に描かれ、作品を引き締めている。
美しい幌馬車隊の未亡人ロザンナ・アークェット、イギリス出身の保安官ジョン・クリーズ、少年のような風貌で、軽快な演技が見もののケヴィン・コスナー、シルバラードを牛耳る悪徳保安官ブライアン・デネヒー、土地を奪われそうになるが、怯まず敵に立ち向かうダニー・グローヴァーとその妹リン・ホワイトフィールド、保安官と結託する牧場主のレイ・ベイカー、裏切り者のギャンブラー、ジェフ・ゴールドブラム、酒場の女主人リンダ・ハント、幌馬車隊のリーダー、ブライオン・ジェームズ、マル(D・グローヴァー)の父親ジョー・セネカ、無法者のジェームズ・ギャモンと、保安官補のジェフ・フェイヒーなどが共演している。