サイトアイコン That's Movie Talk!

サイドウェイ Sideways (2004)

離婚で落ち込む小説家志望のワイン通の教師と結婚を控えた売れない俳優のワイナリー巡りの旅を描く、監督、脚本アレクサンダー・ペイン、主演ポール・ジアマッティトーマス・ヘイデン・チャーチヴァージニア・マドセンサンドラ・オー他共演のコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト
監督:アレクサンダー・ペイン

製作:マイケル・ロンドン
原作:レックス・ピケットSideways
脚本
アレクサンダー・ペイン
ジム・テイラー
撮影:フェドン・パパマイケル
編集:ケヴィン・テント
音楽:ロルフ・ケント

出演
マイルス・レイモンド:ポール・ジアマッティ
ジャック・コール:トーマス・ヘイデン・チャーチ
マヤ・ランドール:ヴァージニア・マドセン
ステファニー:サンドラ・オー
フィリス・レイモンド:メアリールイーズ・バーク
ヴィクトリア:ジェシカ・ヘクト
ステファニーの母親:ステファニー・ファラシー
レスリー・ブロー:ピーター・デニス
キャミ:ミッシー・ドティ
キャミの夫:M・C・ゲイニー
クリスティーン・エルガニアン:アリシア・ライナー
マイク・エルガニアン:デューク・ムースキアン
ウォルト・ヘンドリックス医師:フィル・リーヴス

アメリカ 映画
配給 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
2004年製作 123分
公開
北米:2004年10月22日
日本:2005年3月5日
製作費 $16,000,000
北米興行収入 $71,502,300
世界 $109,706,930


アカデミー賞
第77回アカデミー賞

・受賞
脚色賞
・ノミネート
作品・監督
助演男優賞(トーマス・ヘイデン・チャーチ
助演女優賞(ヴァージニア・マドセン


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
”土曜日”

サンディエゴ
離婚のショックから立ち直れていない小説家志望の英語教師マイルス・レイモンド(ポール・ジアマッティ)は、親友で落ち目の俳優ジャック・コール(トーマス・ヘイデン・チャーチ)との約束に遅れそうになり焦る。

ロサンゼルス
ジャックの結婚相手クリスティーン・エルガニアン(アリシア・ライナー)の家に着いたマイルスは、彼女の父マイク(デューク・ムースキアン)などに挨拶する。

結婚を1週間後に控えたジャックと共に、ワイン通のマイルスは、ワイナリーを見て回るワイン・ツアーに出かけるのだが、ジャックは結婚を前に羽目を外すことしか考えていなかった。

遅れたことでジャックに責められたマイルスは、小説が出版されるとジャックが家族に言ったことで、予定でしかないために不満に思う。

オックスナード
母フィリス(メアリールイーズ・バーク)が翌日誕生日だったため、立ち寄ることにしたマイルスは、彼女に歓迎されて食事を楽しむ。
...全てを見る(結末あり)

翌日の妹とのブランチを共にするようフィリスに誘われたマイルスは、気乗りしない。

席を外したマイルスはフィリスの部屋に向かい、彼女のヘソクリを抜き取る。

ジャックと結婚式の話をしたフィリスは、マイルスに再婚の予定を訊き、離婚したばかりだと言われる。

2年経つとジャックから言われたマイルスは、別れた妻ヴィクトリア(ジェシカ・ヘクト)と寄りを戻すべきだと考えるフィリスの言葉を迷惑に思う。

”日曜日”

サンタバーバラ郡
あるワイナリーに寄ったマイルスとジャックは、試飲をして先を急ぐ。

ブエルトン
二人はモーテルの部屋をとり町に出かけ、ジャックは、経験者であるマイルスに結婚についてを尋ねる。

クリスティーンの父マイクに、不動産業をやらないかと誘われていると話すジャックは、俳優も諦めていないことを伝える。

レストランのバーに向かった二人は、ワインで乾杯して食事の席に着く。

ウェイトレスのマヤ・ランドール(ヴァージニア・マドセン)に魅力を感じたジャックは、彼女を知るマイルスから既婚者だと言われる。

マヤに声をかけられたマイルスの対応を見たジャックは、彼女がワイン通であるため、モノにできそうだと話す。

その後、バーにいた二人は仕事が終わったマヤと話すものの、マイルスは疲れたので寝るとジャックに伝える。

二人はモーテルに戻ろうとするが、ジャックは、マヤが誘っていたとマイルスに伝え、彼女がバーに来た時は指輪をしていなかったため、結婚していないと断言する。

”月曜日”

翌朝、二人はダイナーに向い、ワイナリーを回るつもりのマイルスに、ナンパするのが目的だと言うジャックは苛立つ。

結局、二人はワイナリー回りを始め、マイルスは純粋にワインの試飲を楽しみ、ジャックは、マヤの親友ステファニー(サンドラ・オー)と知り合う。

ステファニーからマヤの連絡先を聞いたジャックは二人と会うことになり、マヤが1年前に離婚したことをマイルスに伝える。

途中で車を止めて、ヴィクトリアとのことを話していたマイルスは、結婚式に出席する彼女が、実は結婚したことをジャックから知らされる。

憤慨したマイルスは、ボトルを手にしてワイン畑に向うが、”ピノ・ノワール”の房に触れて落ち着く。

二人はモーテルに戻り、夜になり出かける。

ロス・オリヴォス
自分の邪魔をするなとマイルスに言ってレストランに入ったジャックは、マヤとステファニーのテーブルに向かう。

4人は楽しい時を過ごすが、酔ったマイルスは席を立つ。

ヴィクトリアに電話をしたマイルスは、ジャックの結婚式には出席しないことを伝える。

動揺しながら再婚の話をしたマイルスは、自分達にはやり直すチャンスがあったと伝える。

戸惑うヴィクトリアから結婚式には来ない方がいいと言われたマイルスは、電話を切って席に戻る。

マヤとステファニーがトイレに行っ後で、マイルスの態度を批判するジャックは、いじけてないでマヤをものにするようにと促す。

ステファニーの家に行くことになり、ジャックは彼女に歓迎され、マイルスはキッチンにいたマヤと話をする。

小説の話をしたマイルスは、難解な内容をよく出版まですることができたとマヤに言われる。

大学で園芸学の学位を取るつもりのマヤは、レポートを書いていることを話し、ワイナリーで働くつもりがあることをマイルスに伝える。

本はいつ読めるのかと訊かれたマイルスは、原稿が車にあるがタイプミスが多いと答え、それでもよければ読ませると言って、彼女とポーチに向かう。

なぜ”ピノ・ノワール”に愛着を持つのかと訊かれたマイルスは、繊細な味わいは絶品だとマヤに伝える。

ワインの世界に興味を持った理由を、マイルスはマヤに尋ねる。

大きなワインセラーを持っていた別れた夫の影響で鋭い味覚があることに気づき、ブドウの成長と共に1年を過ごすまでになったことをマヤは話す。

マヤの話に聞き入ったマイルスは、最近は”リースリング”にも凝っていると言ってトイレに向い、気持ちを落ち着かせて戻り、そして彼女にキスする。

帰ると言うマヤは、マイルスに帰り道を教えて、原稿を受け取り車で走り去る。

”火曜日”

モーテルで目覚めたマイルスは、戻って来たジャックから、休みのステファニーとハイキングに行くと言われる。

ゴルフの予定だったマイルスだが、一人で楽しむようにとジャックに言われ、夜、マヤの店で落ち合う約束をする。

出かけようとしたジャックに、クリスティーンから伝言が来ていることを知らせたマイルスは、連絡をするようにと伝えて部屋を出る。

問題ないと言うジャックは出かけてしまい、マイルスはその日を一人で過ごす。

部屋に戻ったマイルスは、ジャックとステファニーが愛し合っていたためにバーに向かう。

その場に現れたジャックに、ステファニーのことをどうするのかと尋ねたマイルスは、結婚式を延期する考えがあると言われる。

ステファニーに惚れたのかもしれないと言うジャックは、ワイン畑を買って一緒に経営しようと言い出し、マイルスは、彼の考えが正気とは思えない。

ボーリング場に付き合わされたマイルスは、ステファニーと母親(ステファニー・ファラシー)と過ごし、彼女らを送ると言うジャックと別れる。

モーテルに戻り眠ってしまったマイルスは、夜になったことに気づきシャワーを浴びて出かける。

マヤの店に向かったマイルスだったが、彼女が休みだったために酔って店を出る。

”水曜日”

ジャックとゴルフをしたマイルスは、マヤが自分に気があるらしいと、ステファニーが言っていたことを知らされる。

作家でもない単なる教師である何の取柄もない自分に自信が持てないマイルスは、ステファニー、マヤ、ジャックと共に4人で出かける。

ワイナリーに向い、楽しい時を過ごしたマイルスは、その夜、マヤの家に誘われて愛し合う。

”木曜日”

その日もマヤと過ごしたマイルスは、土曜の夜にサンタバーバラで試飲会があるため、週末も残ることを勧められる。

金曜に前祝があると言うマイルスは、ジャックが結婚することを話してしまう。

ジャックがステファニーを騙したことを知ったマヤは憤慨し、自分が結婚生活で苦しんだことを話す。

離婚後に付き合った女性はいないと言うマイルスは、自分はジャックとは違うと伝えるものの、マヤに納得してもらえない。

モーテルに戻ったマイルスは、マヤのことでジャックにからかわれ、再び塞ぎ込んでしまう。

気分転換に、ジャックと共に人気ワイナリーの”フラス・キャニオン”に向かったマイルスは、出版社からの連絡をエージェントに確認し、出版は見送りになる。

安定剤を飲み、ワインをがぶ飲みしたマイルスは騒ぎを起こし、その場を離れて海岸に向い、ジャックに励まされる。

二人はモーテルに戻り、ジャックは、待っていたステファニーに罵られて殴られる。

鼻が折れたジャックからバラしたと非難されたマイルスは、それを否定して彼を病院に連れて行く。

マヤに電話をしたマイルスは、一緒に過ごせてよかったことを話し、自分が作家ではなく本が出版されることはないとメッセージに残す。

モーテルに戻った二人は食事に出かけ、ジャックはウェイトレスのキャミ(ミッシー・ドティ)と意気投合する。

キャミーを誘う気のジャックに呆れるマイルスだったが、自分の気持ちは理解できないとジャックに言われる。

”金曜日”

早朝、全裸でモーテルに戻って来たジャックに起こされたマイルスは、キャミは人妻だったと言われる。

話を聞いて笑うしかないマイルスは、財布を忘れてきたので戻らねばならないと言われるが、カードは停止すれば問題ないと伝える。

財布に指輪が入っていると言うジャックは、バーで盗まれたことにして諦めろと話すマイルスに、協力してほしい伝えて泣きつく。

仕方なくキャミの家に向かったマイルスは、開いていた裏から侵入し、キャミと夫(M・C・ゲイニー)が愛し合っている部屋にある財布を確認する。

それを奪ったマイルスはクルマに戻り、夫に追われるものの、その場から逃走する。

二人はサンディエゴに向い、途中、運転を代わったジャックは、わざと車を大木に衝突させる。

ジャックは、事故を起こして大怪我をしたように見せかる考えだった。

クリスティーンの家に戻ったジャックは、マイルスに感謝して前祝で会う約束をする。

ジャックはクリスティーンの家族に迎えられ、彼女らは事故を起こした車を確認して、マイルスは走り去る。

”土曜日”

ジャックとクリスティーンの結婚式は行われ、マイルスは介添人を務める。

出席したヴィクトリアに声をかけられたマイルスは、彼女の夫を紹介される。

幸せそうなヴィクトリアから妊娠したと言われたマイルスは、パーティーで会うことを約束して別れる。

その後、パーティーには出席せずに、家から”シャトー・シュヴァル・ブラン”の1961年ものを持ち出してダイナーに向ったマイルスは、ハンバーガーを食べながらそれを隠し飲む。

翌週の授業を終えたマイルスは帰宅し、マヤからの電話メッセージに気づく。

手紙を受け取っても返事が遅れたのは原稿を読んでいたためで、素晴らしい物語だと言ってマヤは絶賛する。

出版されなくても、これほど美しく切ない物語はないと言うマヤは、実話なのかを尋ね、マイルスの苦労を察する。

難解な箇所も指摘したマヤは、近くに来た際は訪ねてほしいと伝え、諦めないで書き続けてほしいと言ってマイルスを励ます。

その後、ブエルトンに向かったマイルスは、マヤの家を訪ねてドアをノックする。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
サンディエゴ
離婚のショックから立ち直れていない小説家志望の英語教師マイルス・レイモンドは、結婚を控える親友である売れない俳優のジャックと共に旅に出る。
ワイン通のマイルスはワイナリー巡りを計画していたが、結婚を1週間後に控えたジャックは、羽目を外すことしか考えていなかった。
サンタバーバラ郡ブエルトンのモーテルに宿泊した二人は、レストランでウェイトレスのマヤを見かけて、ジャックは早速、彼女が気になる存在になる。
度々この地を訪れているマイルスはマヤを知っていたため、ジャックに誘うよう促される。
別れた妻ヴィクトリアに未練があるマイルスは、そんな気にはなれなかった。
翌日、二人はあるワイナリーを訪ね、ジャックは、その場で働くステファニーと意気投合する。
ステファニーがマヤと親しかったために4人で食事をすることになったマイルスだったが、ジャックとは違い積極的な行動に出る気になれない・・・。
__________

2004年に発表された、レックス・ピケットの小説”Sideways”を基に製作された作品。

本作を含めアカデミー脚色賞を2度受賞し、3度の監督賞の他、作品賞に1度ノミネートされたアレクサンダー・ペインが、演出と脚本を兼ね、個性派スター、ポール・ジアマッティトーマス・ヘイデン・チャーチなどが共する注目作。

社会性のある人間関係を描くドラマを得意とするアレクサンダー・ペインが、ユーモアをまじえながらシニカルに描く彼らしい作品である。
離婚から立ち直れない主人公の心情をしみじみと描く、人間ドラマとしても実に味わい深い作品だ。

一般観客よりも批評家の評価は高く絶賛された作品で、第77回アカデミー賞では、アレクサンダー・ペインが盟友のジム・テイラーと共に脚色賞を受賞し、作品、監督、助演男優賞(トーマス・ヘイデン・チャーチ)、助演女優賞(ヴァージニア・マドセン)にノミネートされた。

また、第62回ゴールデングローブ賞では作品賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞した。

個人的にはあまり詳しくないために理解できない部分もあるが、ワイン好きにはたまらない一作でなないだろうか。
その雰囲気を醸し出す役者の見事の演技や、美しいカリフォルニア各地のロケも素晴らしい。

キャリア最高とも言っていい演技を見せる主演のポール・ジアマッティは、実生活と同じように知性を感じさせながらも、積極的な人生を送れない悩み多き男性を好演している。

主人公の友人である売れない役者を、人間味溢れる演技で怪演するトーマス・ヘイデン・チャーチ、主人公の気持ちを理解するワイン愛好家のウェイトレス、ヴァージニア・マドセン、その友人で、当時のアレクサンダー・ペインの妻サンドラ・オー、主人公の母親メアリールイーズ・バーク、主人公の元妻ジェシカ・ヘクト、ステファニー(サンドラ・オー)の母親ステファニー・ファラシー、ジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)が愛し合ってしまうウェイトレスのミッシー・ドティ、その夫M・C・ゲイニー、ジャックの婚約者アリシア・ライナー、その父親デューク・ムースキアンなどが共演している。


モバイルバージョンを終了