鬱病の女性の精神科の主治医が病気を利用したある計画に巻き込まれる姿を描く、監督、撮影、編集スティーブン・ソダーバーグ、主演ジュード・ロウ、ルーニー・マーラ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、チャニング・テイタム他共演のサスペンス。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:スティーブン・ソダーバーグ
製作
ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ
グレゴリー・ジェイコブズ
スコット・Z・バーンズ
製作総指揮
ダグラス・ハンセン
マイケル・ポレール
ジェームズ・D・スターン
脚本:スコット・Z・バーンズ
撮影:ピーター・アンドリュース(スティーブン・ソダーバーグ)
編集:メアリー・アン・バーナード(スティーブン・ソダーバーグ)
音楽:トーマス・ニューマン
出演
ジョナサン・バンクス博士:ジュード・ロウ
エミリー・テイラー:ルーニー・マーラ
ヴィクトリア・シーバート博士:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
マーティン・テイラー:チャニング・テイタム
ディアドラ・バンクス:ヴィネッサ・ショウ
マーティンの母親:アン・ダウド
エミリーの上司:ポリー・ドレイパー
カール・ミルバンク:デヴィッド・コスタビル
ケイラ・ミルバンク:メイミー・ガマー
アメリカ 映画
配給 オープン・ロード・フィルムズ
2013年製作 106分
公開
北米:2013年2月8日
日本:2013年9月6日
製作費 $30,000,000
北米興行収入 $32,154,400
世界 $63,372,760
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
3ヶ月前、ニューヨーク。
エミリー・テイラー(ルーニー・マーラ)は、インサイダー取引で逮捕されて収監中の、ウォール街のエリート金融マンだった夫マーティン(チャニング・テイタム)と面会する。
エミリーは、マーティンが4年の刑期を終え出所するため、彼の母親(アン・ダウド)と共に迎えに行く。
アパートに戻りエミリーと愛し合ったマーティンは、所内で知り合った元金融マンとビジネスを始める気があることを彼女に話す。
その後エミリーは、駐車場から車を出そうとして壁に激突して病院に運ばれる。
軽傷だったエミリーは意識を取り戻し、精神科医ジョナサン・バンクス(ジュード・ロウ)の診察を受ける。 わざと壁に激突した自傷行為を指摘されたエミリーは、数日の入院をバンクスに提案されるが、それを断りセラピーを受けることを約束する。 バンクスは、迎えに来たマーティンに抗鬱薬”SSRI”を渡してエミリーを帰宅させる。 数日後、広告会社の仕事に復帰したエミリーは気分が悪くなりトイレに駆け込み、心配した上司(ポリー・ドレイパー)は、抗鬱薬の”セレクサ”を彼女に勧める。 バンクスのセラピーを受けたエミリーは、マーティンと知り合い結婚した経緯や、以前、鬱の診察を受けていたコネチカットの医師ヴィクトリア・シーバート(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)のことを話す。 エミリーの許可を得てシーバードに会ったバンクスは、処方していた薬が効かなかったことなどを聞き、”ゾロフト”ではどうかと問う。 シーバードは新薬を試すことを提案して”アブリクサ”を勧め、バンクスはエミリーが流産したことがあることを知る。 ”ゾロフト”を飲むようになったエミリーは、マーティンに誘われてパーティーに出席して観ることにする。 友人のカール・ミルバンク(デヴィッド・コスタビル)と妻ケイラ(メイミー・ガマー)と会話を交わしたエミリーだったが、気分が悪くなってしまう。 心配したケイラは、自分も”エフェクサー”を飲んでいたことをエミリーに伝える。 エミリーはその場の雰囲気に耐えられなくなり、マーティンと共に帰宅する。 その後エミリーは、地下鉄のホームで身投げする寸前を警官に止められる。 妻ディアドラ(ヴィネッサ・ショウ)と街で会っていたバンクスは、現れたエミリーから地下鉄の件を聞く。 エミリーはホテルのロビーでセラピーを受けて、前向きに生きていることを伝える。 ”ゾロフト”を飲むことを拒んだエミリーは、”アブリクサ”を処方されて副作用を知らされ飲み始める。 マーティンとの平穏な生活が続いたエミリーだったが、夜中に他人の分まで食事を作ったりし始める。 心配してバンクスに会ったマーティンだったが、エミリーは薬を変えることを拒む。 バンクスは、”アブリクサ”で鬱を、別の薬で夢遊病を改善することを提案する。 マーティンから、ビジネスを始める収監中の男と会い事業をヒューストンで始めると言われたエミリーはそれを気にする。 バンクスは、新薬”デラトレックス”がタダで使えることをマーティンの母親に伝え、それをエミリーに飲ませることを承諾させる。 エミリーは、マーティンのビジネスが気になり仕事にも支障をきたすようになる。 食事の用意をしていたエミリーは、帰宅したマーティンをナイフで刺し殺してしまう。 駆け付けた警察の質問を受けたエミリーは、目覚めた後、マーティンが刺殺されていたことを話す。 侵入者もなくナイフの指紋はエミリーのものだったことを警察で聞いたバンクスは、彼女が眠っていた可能性を指摘する。 バンクスは、薬の副作用として夢遊病の症状が出ることを検事と警官に伝える。 逮捕されたエミリーが殺人者であるか、薬が影響する場合はバンクスが訴えられる状況となる。 バンクスは、収監されたエミリーと面会し、シーバートにも会い、マーティンの母親が雇った弁護士の話も聞く。 警官が監視する中、エミリーも参列したマーティンの葬儀が執り行われる。 エミリーは義母と面会し、自分のしたことを理解できない彼女は声明文を渡す。 マーティンの母親がテレビ出演して読み上げた声明文では薬の危険性が語られ、大きな問題になり、その件についてバンクスはマスコミから意見を求められる。 患者から不安を訴えられたバンクスは、警察の捜査協力を求められる。 母国イギリスでは精神科医に通う者は”病人”と見られるが、アメリカでは応援されると語るバンクスは、妻の失業や子供の教育費、新居購入のために働き過ぎだったことを認める。 事件の裁判は始まり、証人として証言したバンクスはエミリーの行為が心神喪失によるものだと言って病気が原因だと語る。 それが認められる可能性は低く、エミリーは病気だとすれば”アブリクサ”が原因だと言って、病院に入れられることなどで不安を隠せない。 今回の件で迷惑をこうむる同僚達から見限られたバンクスは、エミリーに惹かれたのではないかとも指摘され、事実ではない患者女性との性的関係も問われる。 それを妻ディアドラに話したバンクスだったが、相手の妄想であり何もなかったことを伝える。 シーバードが、”アブリクサ”大量摂取による睡眠行動の報告をネット上に掲載していたことを知ったバンクスは、彼女に会いそれを話さなかっことなどに疑問を抱く。 最初の車の衝突も疑ったバンクスは、エミリーがエアバックによる車の安全性を知っていたことなどにも気づく。 職場の上司に会い、エミリーが架空の友人を作り上げていたことなどに注目したバンクスだったが、それがバイト先の友人だったことを精神医療センターに移された彼女から知らされる。 ”アブリクサ”を製造する製薬会社の株は暴落し、ウォール街がそれにより大儲けしていることを知ったバンクスは、それを利用してエミリーが何かを仕組んだと考える。 真相を突き止めるための調査に没頭するバンクスに苛立つディアドラと彼の関係は悪化する。 エミリーと面会したバンクスは、”アミタール”を投与しながら話を聞き彼女は眠ってしまう。 検事の元に向かったバンクスは、単なる食塩水で眠るその際のエミリーの映像を見せる。 映像などを破棄するよう伝えた検事は、無罪になったエミリーが、同じ罪で2度裁けない”ダブル・ジョパディー”ことについて説明する。 エミリーには、保険金の他に財産も残らないことを指摘されたバンクスは、自分達が騙されたという事実しかないと言われる。 同僚医師にエミリーの診察を断られたバンクスは、シーバードがエミリーに面会したことを知る。 現れたバンクスを相手にしないシーバードは、彼とエミリーがホテルのロビーで話し合う姿などを撮った写真を、妻のディアドラに送る。 ディアドラは別れると言って去り、シーバードから連絡を受けたバンクスは彼女に会う。 シーバードの話を聞いたバンクスは、全てを知っていると言って、今のうちに手を打つよう伝えてその場を去る。 それを気にしてバンクスを追ったシーバードは、完治したとことにしてエミリーを退院させるよう彼を脅す。 エミリーに会ったバンクスは、稼いだ大金でシーバードから報酬を受け取ったと伝え彼女を動揺させる。 バンクスはシーバードを呼び出し、エミリーが部屋の窓から見ていることを知りながら、自分達が友好関係にあるように見せかける。 真実を話す気になったエミリーは、マーティンの逮捕で満ち足りた生活を奪われて精神的不安定になり、シーバードのセラピーを受けたことを話す。 シーバードと関係を持ったエミリーは、鬱になる振りを教わり、株を手に入れてそれに関することを代わりに伝授する。 当然、処方された薬は飲まずに、マーティンを愛している妻を演じ、車の衝突は計画的に実行し、地下鉄ホームの警官の名前もエミリーはチェックした。 たまたま診察したバンクスは計画に巻き込まれただけで、そしてエミリーはマーティンを殺害した。 話を終えたエミリーは”アブリクサ”だけは飲んでいたが、特に効果はなかったことを伝える。 シーバードといつから組んだかを聞かれたバンクスは、彼女が裏切られると気づいていたことを語る。 退院できるかも聞かれたバンクスは、その必要があるのかをエミリーに問うが、そうすることが得だというある取引を提案される。 バンクスは、法廷でエミリーが退院できる状態であることを証言して、それが認められる。 シーバードを訪ねたエミリーは、全てがうまくいった計画のことなどを話しながら愛し合おうとする。 しかし、盗聴器に気づいたシーバードは、現れた警官と検事に殺人共謀と証券詐欺容疑で逮捕される。 診療所を開設したバンクスに会ったエミリーは、シーバードを差し出したことを無視された上で、全てを監視していると言われる。 バンクスは、取り乱すエミリーに統合失調症だという診断結果を伝える。 エミリーは、部屋の外で待機していた義母に殴られ、検事と弁護士を振り切りその場から逃れるものの、警官に取り押さえられる。 バンクスは、戻ったディアドラと義理の息子との平穏な生活を取り戻す。 施設に戻ったエミリーは、呆然として窓の外を見つめながら、気分はどうだという看護師に答える。 ”いいわ、すごくいい・・・”
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*(簡略ストー リー)
ニューヨーク。
インサイダー取引で逮捕され、4年の刑期を終えたエリート金融マンの夫マーティンを迎えたエミリーは、鬱病で悩み車を壁に激突される事故を起こす。
自傷行為の可能性を考え、エミリーを診察した精神科医ジョナサン・バンクスは、彼女に抗鬱薬を処方する。
以前にエミリーを診ていたシーバード医師に会ったバンクスは新薬を勧められ、それをエミリーに試そうとする。
その後もエミリーは、地下鉄ホームから身を投げようとして心の乱れは続き、ついにマーティンを刺殺してしまう。
状況証拠からエミリーは犯人として逮捕されるものの、病気を理由に無罪となる。
ところが、薬を処方したバンクスはそれを追求されてしまい、窮地に立たされる。
そんな時バンクスは、エミリーのとった行動に疑問を持ち、真相究明の調査を始めるのだが・・・。
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スティーブン・ソダーバーグが監督、撮影、編集を兼ね、彼の作品でお馴染みの大物スター他が集結した話題の作品。
予備知識なしで観ると、序盤ののんびりと進行する夫婦の問題的内容に物足りなさを感じる。
ところが、作品がサスペンスだと分かった瞬間から考えが一気に変わり、スティーブン・ソダーバーグの無駄のない軽快な演出と、その展開に引き込まれる。
鬱病患者の女性と謎めいた女性精神科医が関係する陰謀はほぼ予想がつくのだが、二人に利用されながらも、必死に食い下がる主人公を演ずるジュード・ロウ他、実力派の演技のぶつかり合いは見応えある。
どこにでもいるような女性で、とりわけ美人とも言えないルーニー・マーラの、”異様”な雰囲気の演技は特に注目で、次代を担う若手のホープとして期待されているだけに、彼女の表情などを追っているだけでも楽しめる印象深い女優だ。
陰謀に屈するかのように思えるが、家族の幸せを取り戻すため、それに立ち向かう精神科医を熱演するジュード・ロウ、黒幕的存在として全てを操る精神科医キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、妻の病気に苦悩しながら犠牲者となるチャニング・テイタム、その母親アン・ダウド、ヒロインの上司役ポリー・ドレイパー、主人公の妻ヴィネッサ・ショウ、ヒロイン夫妻の友人デヴィッド・コスタビルと妻メイミー・ガマーなどが共演している。