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シャッター アイランド Shutter Island (2010)

ミスティック・リバー」(2003)の原作者デニス・ルヘインが2003年に発表した同名小説の映画化。
精神犯罪者施設に収容されていた女性失踪事件を担当する連邦保安官の捜査に隠された秘密を描く、製作、監督マーティン・スコセッシ、主演レオナルド・ディカプリオマーク・ラファロベン・キングスレーミシェル・ウィリアムズエミリー・モーティマーマックス・フォン・シドージャッキー・アール・ヘイリーパトリシア・クラークソン他共演のスリラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー

レオナルド・ディカプリオ / Leonardo DiCaprio 作品一覧


スタッフ キャスト ■
監督:マーティン・スコセッシ

製作総指揮
クリス・ブリガム
レータ・カログリディス

デニス・ルヘイン
ジャンニ・ヌナリ
ルイス・フィリップス
製作
マーティン・スコセッシ

ブラッドリー・J・フィッシャー
マイク・メダヴォイ

アーノルド・メッサー
原作:デニス・ルヘイン

脚本:レータ・カログリディス
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:セルマ・スクーンメイカー
音楽:ロビー・ロバートソン

出演
エドワード”テディ”ダニエルズ/アンドリュー・レディス:レオナルド・ディカプリオ

チャック・オール:マーク・ラファロ
ジョン・コーリー:ベン・キングスレー
ドロレス・チャナル・ダニエルズ:ミシェル・ウィリアムズ
レイチェル・ソランドー:エミリー・モーティマー
ジェレマイア・ナーリング:マックス・フォン・シドー
ジョージ・ノイス:ジャッキー・アール・ヘイリー
アンドリュー・レディス:イライアス・コティーズ
エセル・バートン/レイチェル・ソランドー:パトリシア・クラークソン
警備長:テッド・レヴィン
マクファーソン:ジョン・キャロル・リンチ
ピーター・ブリーン:クリストファー・デナム

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ

2010年製作 138分
公開
北米:2010年2月19日
日本:2010年4月9日
製作費 $80,000,000
北米興行収入 $127,968,410
世界 $294,804,200


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1954年。
連邦保安官エドワード”テディ”ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ)とチャック・オール(マーク・ラファロ)は、ボストン湾沖の孤島”シャッター アイランド”に向う。

島に上陸した二人は、副警備長マクファーソン(ジョン・キャロル・リンチ)に迎えられる。

嵐が近づく中、厳重且つ物々しい警備に気をとられながら、二人は精神を患った犯罪者を収容する、アシュクリフ病院を訪れる。

マクファーソンに施設内の規則を教えられ、拳銃を預けた二人は、院長のジョン・コーリー(ベン・キングスレー)の元に案内される。

二人は、失踪した女性患者レイチェル・ソランドー(エミリー・モーティマー)の捜査のために島を訪れたのだが、 彼女は自分の三人の子供を溺死させた罪で入院させられていた。

ここが自宅だと思い込んでいたレイチェルは、窓に鉄格子が付いた、鍵のかかった部屋から逃亡したということだった。
...全てを見る(結末あり)

レイチェルの部屋を調べた二人は、裸足で病院を出たと思われる彼女が、険しい地形の島から脱出するとは考えられなかった。

そこでダニエルズは、床下から”4の法則、67は誰?”と書かれたメモ書きを見つけ、それを頼りに捜査を始める。

マクファーソンに岸壁などを案内され、洞穴や昔の灯台を確認するが、そこは、裸足のレイチェルが行けるような場所ではなかった。

その後、職員らを集め質問を終えたダニエルズとオールは、コーリーに、同僚の精神科医ジェレマイア・ナーリング(マックス・フォン・シドー)を紹介される。

ダニエルズは、英語の発音はほぼ完璧なのだがちょっとしたアクセントでナーリングがドイツ人だと分かり不信感を抱く。

全職員と医師らの情報提示を求めたダニエルズは、それを拒もうとするナーリングに怒りをぶつけ、捜査を終了し、その後はFBIに受け渡すことを告げその場を立ち去る。

宿舎に戻ったダニエルズは、誰も協力しようとしない現状の中で、病院側の出方を探ろうとする。

ダニエルズは2年前に、自分の留守中に火災事故で死亡した妻ドロレス(ミシェル・ウィリアムズ)が、”レディス”がここにいると教えてくれる夢を見る。

翌日、嵐でフェリーが出ないことを理由に、捜査を続けることをダニエルズはコーリーに伝える。

その後ダニエルズは、女の顔を切り裂いた患者のピーター・ブリーン(クリストファー・デナム)などから話を聞くが、事件とは無関係な”レディス” という名前の男を知らないかと彼に言い寄る。

失踪したレイチェルの主治医”シーアン”が、休暇で島を出たということを聞いていたダニエルズとオールは、彼が事件の鍵を握ると考え、患者達などへの聞き込みを続ける。

しかし、レイチェルの捜索は難航し、彼女が異常者であること以外は何もわからず、ダニエルズは患者達が質問の答えを指示されていると疑う。

ダニエルズが、皆から”レディス”について聞き出そうとすることを不審に思ったオールは、それが誰かを彼から聞き出そうとする。

この事件を知り志願したダニエルズは、自分の住んでいたアパートの修理人”レディス”が、妻ドロレスを殺した放火魔だということをオールに話す。

”レディス”がこの島に移送されたことは分かっているのだが、依然レイチェルの行方もわからず、捜査は行き詰まる。

そしてダニエルズは、質問した患者から”逃げろ”と警告されたことをオールに知らせる。

島を捜査していたダニエルズとオールは、嵐が激しくなったために林の中の小屋に避難する。

ダニエルズは、第二次大戦中、ドイツダッハウ強制収容所の解放部隊に加わっていた時のことをオールに話し始める。

収容所に到着した解放部隊に対しドイツ兵は降伏し、その前に司令官は自決を図っていた。

無数の人々の死体を確認したダニエルズらは、監視兵の武器を奪い彼らを並ばせて射殺してしまった。

終戦後、職務に復帰したダニエルズは、この島の運営を援助しているのが”非米活動委員会”だと知り、ここで、人間の精神を操るマインドコントロールの実験がされているいると推測した。

社会主義者の学生ジョージ・ノイス(ジャッキー・アール・ヘイリー)がその実験台となり、トラブルを起こしてこの島に収容され、退院後に殺人を犯し、病院に戻ることを拒み終身刑になった。

そのノイスに会っていたダニエルズは、島で人体実験が行われていることを知ったのだった。

ダッハウでの体験が心から離れないダニエルズは、狂人のようなノイスの言葉を信じ、島で同じことが行われている証拠をつかみ暴露する決心をしていたのだった。

それを聞いたオールは、黒幕が政府で、ダニエルズがはめられたと指摘し、レイチェルの存在すらも疑い始める。

その後、コーリーに呼ばれたダニエルズは、レイチェルの残した”67は誰?”という言葉が患者数で、病院全体では66人しかいないことを伝える。

ダニエルズは、レイチェルが戻ってきたことをコーリーに知らされて彼女に会う。

レイチェルが自分を夫と勘違いしたため、ダニエルズはそれを否定するが、彼女は困惑してしまう。

コーリーの部屋に戻ったダニエルズは、偏頭痛とめまいで倒れそうになり、医療室に連れて行かれる。

そして、眠りについたダニエルズだったが、ダッハウで助けてやれなかった少女、アンドリュー・レディス(イライアス・コティーズ)、子供を殺したレイチェルなどが夢に現れる。

その悪夢で目が覚めたと思ったダニエルズだったが、そこにドロレスが現れ、彼女はレディスが生きていて、ここにいることを伝える。

そこで目覚めたダニエルズは、電力が遮断されて施設内が混乱していることを知り、凶悪犯が収容されている南北戦争時代に砦だった棟に向かう。

オールと建物に入ったダニエルズは、そこにレディスがいることを感じるが、逃げていた患者に襲われる。

患者はオールが医務室に連れて行き、ダニエルズは、この場にいるはずのないノイスと再会する。

ノイスは、全てがダニエルズのために仕組まれたゲームであり、オールまでもが疑わしいことを伝え、人体実験を施される灯台に連れて行かれることに怯える。

ドロレスが、ダニエルズをおかしくしていると言い放つノイスは、レディスが灯台に移送されたことを伝える。

その後ダニエルズは、コーリーが建物にいることをオールから知らされ、二人はその場から逃れる。

灯台に向かおうとするダニエルズに、オールはレディスの受け入れ表を見つけたため、その場に行く必要がないことを伝える。

自分を止めようとするオールを疑ったダニエルズは、独りで灯台に向かおうとする。

その場に行けそうもないことに気づいたダニエルズは引き返すが、オールが姿を消してしまう。

崖下に人が倒れているのを確認したダニエルズは、海岸に向かうが誰もいなかった。

洞窟に人影を見たダニエルズはその場に向かい、そこにいた精神科医で、患者でもある本物のレイチェル・ソランドー(パトリシア・クラークソン)に出会う。

痛みや感覚をなくした上で、記憶を消し去られた人間を作り出し、スパイとして外の世界に送り出すための人体実験が行われていることを、ダニエルはソランドーから知らされる。

さらにソランドーは、既にダニエルズには薬物投与が始められていることと、島に来てから起きている彼の症状を言い当て、実験が灯台で行われていることを教える。

島の全員がそれを知っていることも、ソランドーはダニエルズに伝える。

ソランドーは、島の脱出が不可能なことと、オールを含め、ダニエルズに”友人”は一人もいないことも告げる。

その後、警備長(テッド・レヴィン)に見つかったダニエルズは、車に乗せられて病院に送られる。

コーリーに会ったダニエルズは、ノイスにも会ったという侵入者のことで探りを入れられ、島には自分が独りで来たと言われる。

その後、フェリーに向かおうとしたダニエルズは、ナーリングに見つかり鎮静剤を打たれそうになる。

しかし、その鎮静剤を奪い取ったダニエルズは、ナーリングをナチスと罵り注射を打ち逃亡する。

オールが、灯台で実験台にされると考えたダニエルズは、ドロレスとダッハウの少女の幻覚を振り払い海岸に向かう。

ダニエルズが灯台にたどり着くと、コーリーがそこで待ち構えていた。

コーリーは、ダニエルズが洞窟にいたというソランドー医師も幻覚で、彼がこの場で、精神病薬”クロルプロマジン”を2年前から投与されていたことを伝える。

さらに、コーリーは連邦保安官だというダニエルズに、彼自身が”67番目の患者”だと証明する、受け入れ表のコピーを見せる。

”エドワード・ダニエルズ”と”アンドリュー・レディス”、”ドロレス・チャナル”と”レイチェル・ソランド”が同一人物であることを、” アナグラム”でコーリーに証明された、67番目の患者であるダニエルこそが、レディスだったのだ。

レディスは、自分を許すことの出来ない犯罪を犯し、別の自分をこの世に存在させようとしたのだった。

コーリーは、ノイスとの会話記録なども見せ、”ロボトミー”を施すことをレディスに告げる。

そして、レディスは現れたオールが、自分の部下を装う監視役だった、シーアン医師であることも知る。

シーアンとコーリーは”ロール・プレイング”(役割演技)を試み、レディスを現実に戻そうとしたのだった。

混乱するレディスは銃を奪い二人に銃口を向けるが、その銃は偽物だった。

レディスの妻ドロレスは、躁鬱病に悩みアパートに放火し、引っ越した湖畔の家で三人の子供を溺死させた。

ダッハウの少女だと思っていた子が、自分の娘”レイチェル”だとレディスは、シーアンとコーリーに知らされる。

ドロレスが子供達を殺したことを知ったレディスは、彼女を射殺してしまったのだ。

レディスは、そのショックから幻想を抱くようになり、その一部として”レイチェル”を作り出していたのだ。

その後、レディスの記憶は戻り一連の事柄を理解するが、彼は再びシーアンを”オール”だと思ってしまう。

それを知ったシーアンは、実験の失敗をコーリーに知らせる。

コーリーは、ナーリングと警備長とでそれを確認する。

レディスは、モンスターとして生きるか、善良な男として死ぬかを考えてしまうことをオール(シーアン)に伝える。

そしてレディスは、ナーリングと警備長に付き添われながら”ロボトミー”の処置のため、灯台に向かおうとする。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
精神犯罪者施設に収容されていた女性”レイチェル”の失踪事件を捜査するため、連邦保安官エドワード・ダニエルズと同僚のオールが、ボストン湾沖の孤島”シャッターアイランド”に派遣される。
非協力的に見える院長コーリーや職員に悩ませられながら、ダニエルズらの捜査は難航する。
しかし、ダニエルズが島に来た目的は、妻ドロレスを殺した放火魔を見つけることと、人体実験が行われていると思われる島の実情を探ることだった。
そして、進まぬ捜査の中、謎が謎を呼びダニエルズの身に隠された恐ろしい秘密が、次第に明らかになっていく・・・
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ディパーテッド」(2006)に続き4度目のコンビとなったマーティン・スコセッシレオナルド・ディカプリオの組んだ力作であり、脇を固める演技派や名優達の共演も見逃せない話題作でもある。

8000万ドルの製作費をかけ、北米興行収入は約1億2800万ドル、全世界では3億ドルに迫るヒットとなった。
残念ながら、複雑な展開のなかで字幕を追う観客は戸惑ってしまったようで、日本では受け入れられなかったようだ。

周辺から閉ざされた孤島を舞台に、妻の悲劇的な死と悲惨な戦争体験が混在し、混乱していく主人公の恐怖の実体験を描く、サイコ・スリラー及び一級のサスペンス作品に仕上がっている。

ロケ地”アーカディア国立公園”や”ぺドックス島”を不気味な孤島に仕立て、度々登場するナチスによる”ホロコースト”の犠牲者の描写など、恐怖を効果的に煽る。

劇場では上映前に、表情や仕草に謎を解くヒントが隠されているとか、結末は語らないようになどとお決まりの大袈裟な補足が入ったのだが、主人公の隠された事実は途中から明白で、その注釈が安っぽく感じてしまう。

マーティン・スコセッシのシャープな演出をはじめ、ハリウッドの英知を結集した作品に余計な言葉は不要だ。

妻の死と戦争体験で、自分の置かれた立場を迷走する主人公を演じたレオナルド・ディカプリオの迫真の演技は見もので、いつもと全く違う、冒頭の船上での彼の異様な表情が、錯乱状態の主人公の心を暗示させている。

飄々とした序盤から中盤の”風”のようでもある空虚な演技が、終盤で明らかになる、重要人物としての役割を際立たせるマーク・ラファロの好演も光る。

厳格な院長であり、クライマックスで主人公の今後に涙する表情が印象的なベン・キングスレー、終盤の殺害回想場面と幻覚でしか登場しない、主人公の妻役を熱演するミシェル・ウィリアムズ、失踪者”レイチェル”のエミリー・モーティマーナチスの暴挙を投影させる人物として登場する精神科医マックス・フォン・シドー、人体実験の恐怖を知るジャッキー・アール・ヘイリー、放火魔としての幻覚イライアス・コティーズ、謎の女性である幻覚”本物”のレイチェルということになっているパトリシア・クラークソン、警備長テッド・レヴィンと副長のジョン・キャロル・リンチ、患者クリストファー・デナムなどが共演している。


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