1949年に発表された、ジャック・シェーファーの同名小説の映画化。 開拓民に手を貸す流れ者と悪党の対決を描く、製作、脚本ジョージ・スティーヴンス、主演アラン・ラッド、ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン、ブランドン・デ・ワイルド、ジャック・パランス、ベン・ジョンソン他共演による映画史上に残る西部劇の名作。 |
・西部劇
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・スティーヴンス
製作:ジョージ・スティーヴンス
原作:ジャック・シェーファー
脚本:A・B・ガスリーJr.
撮影:ロイヤル・グリグス
編集
ウィリアム・ホーンベック
トム・マクアドー
音楽:ヴィクター・ヤング
出演
シェーン:アラン・ラッド
マリアン・スターレット:ジーン・アーサー
ジョー・スターレット:ヴァン・ヘフリン
ジョーイ・スターレット:ブランドン・デ・ワイルド
ジャック・ウィルソン:ウォルター・ジャック・パランス
クリス・キャロウェイ:ベン・ジョンソン
ルーファス・ライカー:エミール・メイヤー
フランク・トーリ:イライシャ・クックJr.
リズ・トーリ:エレン・コービー
アメリカ 映画
配給 パラマウン・ピクチャーズ
1953年製作 118分
公開
北米:1953年4月23日
日本:1953年10月20日
製作費 $3,100,000
北米興行収入 $20,000,000
■ アカデミー賞 ■
第26回アカデミー賞
・受賞
撮影賞(カラー)
・ノミネート
作品・監督
助演男優(ウォルター・ジャック・パランス/ブランドン・デ・ワイルド)
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ワイオミング。
開拓地のある牧場に、1人の流れ者(アラン・ラッド)が現れる。
男は開拓民のジョー・スターレット(ヴァン・ヘフリン)の家に立ち寄り、彼に挨拶する。
その後、男は、スターレットの息子ジョーイ(ブランドン・デ・ワイルド)が持つライフルに敏感に反応する。
その直後、立ち退きを要求する近隣地域を牛耳るルーファス・ライカー(エミール・メイヤー)とその手下達の姿が見え、男はスターレットにその仲間と間違われ追い帰される。
しかし、男はそこに現れたライカー一味を見ると、スターレットの友人だと言って彼に加勢し、一味を追い払ってしまう。
スターレットは男に謝罪し夕食に招待し、改めて挨拶して彼を歓迎する。
その男シェーンは、スターレットの妻マリアン(ジーン・アーサー)の手料理でもてなされる。 食事のお礼にと考え、シェーンはスターレットが掘り起こそうとしていた、大木の根元を取り去る作業を手伝い、二人はそれをやり遂げる。 スターレットの好意で、シェーンはその夜は納屋に泊めてもらい、翌朝、ジョーイに、この地にいて欲しいと告げられる。 ライカーのことも気になったシェーンは、しばらくスターレットの家で彼の手伝いをすることにする。 スターレットに世話になる間、拳銃を外したシェーンは、丸腰で町に買い物に行く。 そこでシェーンは、ライカーの手下のクリス・キャロウェイ(ベン・ジョンソン)に絡まれるが相手にしなかった。 その夜、ライカーの嫌がらせに苦しむ開拓民は、スターレットの家に集まり対策を練っていた。 そこに現れたフランク・トーリ(イライシャ・クックJr.)は、町であったことを伝え、シェーンを腰抜け呼ばわりする。 ジョーイは、旅人シェーンに好意を寄せていたが、その話を聞いてしまいショックを受ける。 シェーンは話し合いの席を外し、その話を信じようとしないジョーイに言い訳をしなかったが、マリアンは彼の気持ちを察する。 マリアンは、温厚ではあるが、結局は旅立つことになる流れ者のシェーンを、好きになり過ぎないようにとジョーイに言い聞かせ、自分も深入りすることを避けようとする。 数日後、開拓民達と町に出かけたシェーンは、再びライカー一味のクリスの嫌がらせを受ける。 シェーンは、ジョーイに立ち向かう勇気を見せるために、今回はクリスを殴り倒す。 その後も二人の殴り合いは続き、シェーンはクリスを叩きのめし、ライカーは彼を雇い入れようとする。 それを断ったシェーンは侮辱を受け、さらに一味の集団と戦うことになる。 シェーンは袋叩きに遭うが、それを知ったスターレットが加勢して一味を打ち負かす。 家に戻ったシェーンは、マリアンに傷の手当てをしてもらうが、自分を、父親と同じくらい好きだというジョーイの言葉を気にする。 マリアンも、夫とは違うシェーンの逞しさや優しさに惹かれ、やがて訪れる彼との別れを思うと心が痛む。 独立記念日。 しかし、銃は農具と一緒で、使い方次第で役に立つと、シェーンはマリアンに伝える。 その後ライカーは、シェーンが開拓民達とは違う種類の男だと察し、シャイアンから、殺し屋ジャック・ウィルソン(ウォルター・ジャック・パランス)を呼び寄せる。 開拓民は集まりパーティーを開いていたが、町の酒場に顔を出してきたトーリは、ライカーが新顔を雇ったことを知らせる。 風貌などから、その男が有名な早撃ガンマンのウィルソンだと考えるシェーンらは、家で待ち構えていたライカーに気づく。 ライカーはウィルソンを従え、スターレットらを威嚇しながら譲歩案を提示する。 しかし、当然スターレットはそれに同意せず、ライカーは脅しをかけてその場を立ち去る。 その後ライカーは、法に触れぬようスターレットを始末しようとする。 ライカーは、スターレットを誘き出すために、トーリを殺すようウィルソンに命ずる。 そして、喧嘩早い開拓民のトーリは、ウイルソンに挑発され、一瞬のうちに射殺されてしまう。 それを知った他の開拓民は、土地を去ろうとする者もあらわれるが、スターレットは、せめてトーリの葬儀だけでも済ませてからと、彼らを説得する。 トーリの葬儀を済ませ、旅立とうとする仲間をスターレットは再び説得し、自分がライカーと決着をつけようとする。 マリアンは町に向かおうとする夫を止めようとするが、シェーンは安易な口出しは出来ない。 ライカーの手下が現れ、スターレットに話し合いに応じることを伝え彼を誘き出す。 シェーンは、ライカーのやり方に嫌気がさした、自分と殴り合ったクリスから、ライカーがスターレットを罠にかけようとしていることを知らされる。 命を捨てる覚悟で町に向かおうとする夫を、マリアンは必死に止めようとするが、ガンベルトを付けたシェーンが現れる。 シェーンは、スターレットにはウィルソンを倒すことが無理だと伝え、彼と格闘になり銃で殴り倒して町に向かおうとする。 ジョーイは、シェーンが銃で父を殴ったことを非難するが、マリアンは彼の気持ちを察する。 そして、マリアンに謝る必要がないと言われたシェーンは、彼女に別れを告げる。 シェーンのしたことが正しいことを理解したジョーイは、彼に謝りながら後を追う。 町の酒場に着いたシェーンは、ライカーやウィルソンに脅しをかけられても全く動じない。 そこにジョーイが到着し、酒場の決闘を息を呑んで見つめる。 不敵な笑みを浮かべながら、余裕を見せて銃を抜こうとしたウィルソンを、一瞬早くシェーンの弾丸が捉え、彼はライカーも射殺する。 その後、シェーンは2階から狙われるが、ジョーイの叫び声でそれも倒す。 全てを終えたシェーンは、相手が殺し屋で早撃ちのウィルソンだったことをジョーイに伝える。 シェーンに謝罪したジョーイは、彼と一緒に家に戻ろうとする。 それに対しシェーンは、”人を殺した者は、もうここにはいられない、両親を大切に、立派な男になるんだ”と、撃たれていた自分を気遣うジョーイに、笑みを浮かべながら語りかける。 そして、ジョーイに別れを告げたシェーンは旅立っていく。 別れを惜しむジョーイの声を聞きながら、シェーンは山の彼方に向かう。
...全てを見る(結末あり)
シェーンがジョーイに銃の使い方を教えていると、それを見ていたマリアンが彼を責める。
*(簡略ストー リー)
流れ者のガンマン、シェーンは、開拓地の入植者スターレットの家に立ち寄る。
スターレットは、シェーンが立ち退きを要求している地域を牛耳るライカーの手下だと思い込む。
しかし、シェーンは現れたライカーを追い払うため、スターレットに加勢する。
誤解の解けたスターレットは、シェーンに謝罪して、妻マリアンと息子ジョーイと共に彼を歓迎する。
その後、シェーンはスターレットの手伝いをすることになり、拳銃を外して開拓民達と共に生活を始める。
町に向かったシェーンは、ライカーの手下クリスの嫌がらせに遭いながら、無抵抗のまま帰ってくる。
シェーンを慕うジョーイは、彼を腰抜けだと言う開拓民の言葉が信じられずにいた。
再び家族と共に町に向かったシェーンは、ジョーイの前で、戦う勇気を見せるためにクリスらに立ち向かう。
そして、シェーンが、開拓民とは違う人種だと気づいたライカーは、早撃ちの殺し屋ウィルソンを雇い呼び寄せる・・・。
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西部劇にはよくありがちな流れ者の物語なのだが、原作に基づき、少年ジョーイの視点から描いているところが注目だ。
ジョージ・スティーヴンスらしい、派手さを押さえたきめ細やかで現実味のある演出は見事で、特にスターレット一家の母子がシェーンを慕う姿、開拓民の苦悩や生活の描写などが素晴しい。
第26回アカデミー賞では、撮影賞(カラー)を授賞した。
・ノミネート
作品・監督
助演男優(ウォルター・ジャック・パランス/ブランドン・デ・ワイルド)
脚本賞
1993年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
実際にワイオミングで行われ、アカデミー賞を獲得した撮影そしてロケが、素朴さと逞しさを感じさせる作品に、見事な効果をあげている。
ヴィクター・ヤングの美しい主題曲”遥かなる山の叫び声”と共に、少年ジョーイがシェーンに別れを告げる映画史上に残るラストシーンは秀逸だ。
同じくクライマックスの決闘シーンも、数ある西部劇の中でも屈指の名シーンとなった。
アメリカ人としては非常に小柄なアラン・ラッド(165cm)なのだが、何箇所かを除き大柄な悪党ベン・ジョンソン(188cm)達と同じ画面に登場しても、全く見劣りしない力強さがある。
*ジャック・パランスは193cm
イデス・ヘッドの担当する洒落た衣装で登場するジョン・ウェインなどとは違い、大き目のだぶついた鞣革の上着にガンベルトという、やや野暮ったいアラン・ラッドの現実に近い衣装もいい。
小柄な体とは対照的な、ドスの利いた低い声も印象的だ。
当時、既に50歳を過ぎていたとは思えないジーン・アーサーの質素な美しさと、思慮深く優しい温かみのある母親役の好演も見逃せない。
開拓者として逞しく生きようとするヴァン・ヘフリンの熱演も光る。
その後、1972年に30歳の若さでこの世を去ることになるブランドン・デ・ワイルドの、飾り気のない少年役は忘れられない名演となりアカデミー助演賞候補にもなった。
出番は少ない、同じく同賞候補になるウォルター・ジャック・パランスの凄みのある殺し屋役も出色で、あの不敵な面構えは、誰にも真似できないだろう。
*当時は”ウォルター”も付け加えられてクレジットされていた。
後年のクリント・イーストウッド作品「ペイルライダー」(1985)は、リメイクではないが多くの場面で本作と同じ状況が登場する。
シェーンの人柄に触れ、改心する悪党ベン・ジョンソン、悪党のボス、エミール・メイヤー、やたらに粋がるがあっさりとジャック・パランスに殺される開拓民のイライシャ・クックJr.、その妻エレン・コービーなど、それぞれの個性を活かした役柄を演ずる共演者も好演している。